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4ページめ
雛「うゆ~、もう疲れたの~」
別荘の一室では、机に向かっている雛苺が、夏休みの宿題を前に不平を漏らしていました。
雛「大体この『良い子の学習』っていうネーミングが気に入らないの~。
ヒナはホントは悪い子なのよ~」
あらあら、雛苺がちょっとダークになってしまいました。宿題恐るべし。
真「ほら、しゃんとなさい、雛苺。このペースなら2~3日中で全部終わるわ…」
真紅は雛苺のかたわらで宿題のヘルプをしています。何だか元気がありません。
雛「どうしたの真紅?」
真「何でもないわ…はぁ」
雛「!!分かったの~、真紅は今朝のラジオ体操の歌のこと気にかけてるの~」
真「…」
雛苺に見透かされてしまいました。真紅は、自分の胸が少ない事をかねがね
気にかけていたのです。成長期の中学三年生だというのに、クラスメイト達に
比べても明らかに小ぶりの胸…だから真紅は、着替えを要する体育の時間が好きでは
ありませんでした。殊に水泳の時間は好きになれませんでした。それで真紅は未だに
泳ぎが苦手です。朝になぜあのような歌が流れたのかは分かりませんが、おおかた
韓国か北朝鮮の電波が混信したのでしょう。うん、間違いありません。
雛苺は雛苺なりに、真紅にまとわりついた重い空気を一掃しようと話題を変えてみました。
雛「ところで真紅は、もう宿題はおわったの~?」
雛苺はこの点が素朴に疑問でした。何せ、真紅は雛苺の宿題を早く片付けるよう
協力してくれてはいるのですが、自分の宿題は持ってきてもいない様子なのです。
真「中学校では宿題の冊子が終業式の3日前に配られたから、私は家で片付けたわ…
自由研究はまだだけど」
雛「真紅抜け目ないの…」
さすがは結菱家の長女、といったところでしょうか。
と、ドアをノックする音が部屋に響き、食事用のカートを押した白崎さんが入ってきました。
白「失礼いたします。勉強をなさっているとのことなので、気晴らしにアイスクリームを
用意させていただきましたが、お召し上がりになりますか?」 
雛「うわ~いアイスなの~」
真「ごめんなさいね白崎さん。頂くわ」
白「かしこまりました」
銀製の上品な食器の上に、ブルーベリーが添えられたバニラアイスが載っています。美味しそう。
白「本日は外出されるご予定はございますか?」
真「今日はこの子の宿題を片付けてしまうつもりだから特に出歩きはしないと思うわ。
御苦労様。ところで白崎さん、私も雛苺も自由研究の宿題があるのだけれど、白崎さんの
ウサギを研究の題材にさせてもらっても構わないかしら?」
白崎さんの表情が一瞬にして曇りました。
白「え…あ…その…お嬢様、私めが何か失礼を…?」
真「??」
白「どっどうか、あのバニーたちの命だけは!!あの子たちが解剖されるのは何とも…」
真「あら嫌だわ白崎さん、研究と言ってもウサギの観察をさせてもらいたいだけなのよ。食べたりしないわ」
雛「…いや食べるとは白崎さんも言ってないの」
白「そっそうでございましたか…私めときたら研究と聞いてつい良からぬ想像を…」
真「うふふ。ではアイス御馳走様。美味しかったわ」
雛「アイスありがとうなの~。ヒナはアイスを愛すの~」
白「ありがとうございます。では、失礼いたしました」
白崎さんは空の食器をカートに載せて部屋を出て行きました。
真「さあ雛苺、あとは漢字ドリルだけよ。こんなものすぐに終わらせてしまいましょう」
雛「はいなの~。ヒナ、宿題が全部終わったらこの辺りを散策してみたいの~」
真「そうね、終わったら色々見てまわりましょうか」
そう言って、真紅は窓の外に目を向けました。
部屋の中では冷房の音が響き、暑い日差しが木々を射す窓の外からは、東京よりも
一際大きな声でセミが大合唱をしています。
やはりここは過ごしやすいわね、と真紅は少し元気を取り戻しました。
つづく

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