梅「さあ、今日はもう下校だけど、申し訳ないけどジャンケンで負けた10人は
放課後にプール掃除の手伝いに来てくれ!!今日でプールの授業は終わりだからね!」
生徒たちが一斉に見せるめんどくさそうな顔。
そして数分後、選ばれし勇者たちはため息をつきつつ体操服に着替えてプールへ
と向かっていた。
銀「なぁんで真紅が一緒なのよぉ」
真「貴女も負けたくせに私に文句を言わないで頂戴」
翠「もぉ~早く園芸部に行きたいのにとんだ災難ですぅ~」
蒼「仕方ないよ翠星石、だって翠星石はジャンケンではいつもパーしか出さないじゃないか…」
翠「そ~言う翠星石もいっつもチョキしか出さないですぅ!ずるいですぅ!」
雪「プール掃除なんてやったこともありませんわ。お風呂すら洗ったこともありませんのに」
薔「…いつも私が洗ってるのに…」
金「楽してズルして掃除かしら~」
雛「ズルするのなら最初からサボタージュを決行するという手もあるの~」
ジ「今日も今日とてこのメンツだな。柏葉は部活はいいのか?」
巴「ああ桜田君、たとえ漂流する木材に私しか乗れなくても、沈みゆく桜田君を
忘れることはないわ」
ジ「日本語でおk」
プールにつくと、すでに梅岡がスーツの上着を脱ぎ、ズボンをまくった状態で
掃除道具を用意していた。
梅「やあみんな、来てくれたね!!先生は、エネルギーを発散させるのも良いこと
だと思うけど、こうして見えないところで頑張るのもオッケーイだと思うんだ!
じゃあ早速だけど、今水抜きをしているから、膝までつかる位になったら、中に
入ってそのモップでプールを磨いてくれ!!僕はポンプを制御してくるから、
頼んだよ!!」
一同「はーい…」
ぞろぞろとプールに入る一同。適当に散らばってめいめいモップを動かしていたのだが…
バシャ
真「きゃっ!!」
銀「あらぁごめんなさあぁい真紅ぅ、お水がかかっちゃったぁ」
蒼「今のはどう見てもわざとだよね…」
真「やったわね水銀燈、ただではおかないわ!!」
そう言うやいなや、真紅は水に沈んでいた塩素の固まりを取り、高笑いをしている
水銀燈に向かって投げつける。塩素は見事に水銀燈の腹に命中してしまった。
銀「真紅ぅぅぅぅ!!」
プールの中心で憎悪が叫ばれ、水の掛け合いが始まる。文字通り水争いだ。
バシャ
蒼「あっ!!」
翠「ふひひ~、油断してるほうが悪いんですよ蒼星石ぃ」
蒼「やったてくれたね翠星石!」
また一か所。
バシャ
雪「!!何なんですの!?」
薔「…お姉ちゃん…お風呂掃除をいつも私にさせている恨み…ここで果たすよ…」
雪「ひっ…ひぃいいいい!!」
また一か所。
バシャバシャ
雛「わ~いわ~いなの~」
金「かしら!?」
また一か所。
バシャ
ジ「!?何するんだ柏葉…」
巴「桜田君…一緒に濡れましょう?濡れることはとても気持ちがいいことなのよ」
ジ「柏葉が狂った」
もはやプールは戦場と化し、水しぶきの狂宴があちらこちらで繰り広げられ…
「うおおおおおおおお!真紅ぅ!!」
「堀江!!」
「双子の姉としてまっとうな道に連れ戻してやるですぅ!!」
「おじいさんを悪く言うなぁ!」
「だァれが…殺した…コマドリさん…」
「お父様…お父様ぁ!!」
「もう怒ったわなの!」
「田代~!!じゃない、かしら~!!」
「行かなくちゃ…桜田君が呼んでる…」
「いやもう何っつうか…!!」
ジュンが目にしたのは、水を掛け合う乙女らの…透けている体操服。水分を含んだ
それは、その下に隠している胸を覆うブラをあられもなく透過していた。
水銀燈の濃紫、真紅の紅、翠星石の緑、蒼星石の青、雛苺のピンク、金糸雀の黄…
そして、ふらふらと自分に追いすがる幼馴染、柏葉巴の…あれ?つけてない…
脱力しきったジュンは、ついに巴につかまり、水底へと引き込まれていった。
とその時、プールサイドにある男が仁王立ちになった。言うまでもない。
梅「やあ君たち!!元気だね!真面目にやるのもいいけどたまにはこうして
息抜きもしなくちゃね!!先生も混ぜて…」
一同「断る!」
水の集中砲火が哀れな教員へと襲いかかる。
…ここまでは良かった。良かったのだ。しかし、力なく笑う梅岡のシャツの下から
透けていたのは、シャツではなく…
銀「嫌ぁああああああああ!」
真「そ、そんな…」
翠「チビ苺に神奈川!見るんじゃねえですぅ!!」
雛「うい?」
金「どうしたかしら?」
蒼「とっとにかく、見ちゃダメ!」
雪「ああ…あんなものを見せられては…お嫁さんにはなれませんわ…シクシク」
薔「大丈夫…私がお姉ちゃんをもらってあげるよ…梅岡コロす…」
ジ「ブクブク」
巴「ブクブク」
…梅岡がつけていたのは、まぎれもなく男性ブラだった。色は茶。
彼はその後、す巻きにされて水中に没することになる。
真「あれはまさに透けブラでもあり精神的ブラクラでもあったわ」
銀「ちょ」
【透けブラ】【注意】
ジ「やあ、薔薇水晶に雪華綺晶じゃないか。二人とも眼帯外して何やってんだ?」
薔「あ…ジュン…」
雪「ばらしーちゃんとわたくしの眼帯を使って、あるものを作っているのですわ」
ジ「あるもの…?」
雪「ブラですわ。ちょっと小さいですけれどね」
薔「…形状からアイデアを得たよ…」
ジ「…まあいいや、お前ららしいな。…で、誰に作ったブラなんだ…ってまさか…」
雪「お察しの通りですわ」
薔「せ~の…」
一同「真紅」
ジ「なんだやっぱりな」
薔「…これなら真紅でも着けられる…」
雪「きっと喜んでもらえますわ」
真「残念ね」
ジ「うお!」
雪「あら」
薔「いつの間に後ろに…」
真「絆ックル!!!」
一同「へああああああああああ」
真紅「ふあぁ…もう九時なのだわ…」
翠星石「もう眠たいですね…」
蒼星石「寝ようかな…?」
ラプラス「さて…ミステリーといえば推理」
JUM「いきなり何言ってるんだ」
ラプラス「九時から十一時のお約束。さて…今回の目的は…」
ラプラス「『美人OL水銀燈 旅情殺人ツアー』の犯人を逮捕してもらいます」
JUM「はぁ!?」
翠星石「何言ってるですか!?」
真紅「…でも、それらしい格好になってる」
JUM「何ィィーーーーッ!?」
JUM「えーと…?結局水銀燈を捕まえればいいんだろ?」
ラプラス「え?主人公の美人OLが犯人なワケないですよ」
蒼星石「…僕かも…しれない」
↑平日なのに温泉に居る営業マン
翠星石「……」
JUM「マジかよ……」
ラプラス「…分かっていますね自分のキャラを」
真紅「えっと…じゃあ……逮捕?」
ジ「あー蕎麦が上手い」ズゾゾ
翠「やっぱ讃岐うどんは最高ですねぇ」ズゾゾ
ジ「お前も蕎麦食えばいいのに。上手いぞ」ズゾゾ
翠「その言葉、そのまま返してやるですよ」ズゾゾ
ジ「………」ズルズル
翠「………」ズルズル
ジ「前々から思ってたんだけどさ、うどんってダサいよな。何だよ『うどん』って。カッコ悪い名前だ」
翠「前々から思ってたんですが、蕎麦って気持ち悪くないですか?麺に黒い粒々って。不気味ですよ」
ジ「ヘイ、トンチキガール。聞き捨てならないな。僕のグレイトなランチにケチつけようってか?」
翠「HA。スモールヒューマンがほざくとは。翠星石の白い恋人が笑ってますよ?」
ジ「なら白黒付けてやる。うどんと蕎麦だけにな。それを食わせてみろ」
翠「いいですよ。白黒付けましょう。うどんと蕎麦だけに」
ジ「………」ズルズル
翠「………」ズルズル
ジ「…うどんも、普通に上手いな」
翠「…蕎麦も、捨てたモンじゃねーですね」
ジ「…それに、翠星石の味がする」
翠「な…!何を言いやがりますかこのバカは…!」
ジ「なあ…食べさせてくれないか?」
翠「うう…恥ずかしいです…」
ジ「あーん」
翠「…どうぞ」
ジ「うん…上手い。愛してるよ翠星石…」
翠「はい…私もですよ、ジュン…」
蒼「なんだコレ」ズルズル
薔「…こんにちは」
め「あら、いらっしゃい。珍しいわね、アナタがお見舞いに来てくれるなんて」
薔「今回の入院には私の責もあるから…お詫びを兼ねて、お見舞い」
め「そう。ま、ありがと」
薔「………」
め「………」
薔め「「ねえ」」
薔「…どうぞ」
め「…うん。あのね、私達、今まで色々と敵対してきたじゃない?その、水銀燈の事でさ」
薔「うん」
め「水銀燈を一番愛してるのは私…だと思ってるけど。これまでやりあって来て、アナタの事も、認める部分は、無くもないの」 薔「…私も」
め「まあそれ以上に…私達の抗争の中で水銀燈が迷惑するのは…やっぱり、あってはいけないと思うわけ」
薔「その通りだよ。銀ちゃんが困る姿は、やっぱり見たくない」
め「ふふっ、なーんだ。アナタ、ちゃんと話してみれば悪い人じゃないのね。なんだか気が抜けちゃった」
薔「私も最初はめぐの事憎かったけど…銀ちゃんの魅力をわかる人だもんね。その時点で気付くべきだった」
め「誤解と偏見。ま、戦争なんて大抵そんなモノから起きるものよね。もちろんだからといって水銀燈を渡すつもりは無いけど、これからはモラルの中で、互いに切磋琢磨したいわ」
薔「うん、出来るよ。私達なら」
め「そうね。あ、そうだ、じゃあライバル誕生を祝して、これジュン君からのお見舞いだったんだけど…ゼリーだったかな?アナタにあげるわ」
薔「じゃあ私もお見舞い。プリンだけど、コレ食べて、早く良くなってね」
め「ええ、ありがとう。じゃあね、バイバイ薔薇水晶」
薔「うん、お大事に。さようなら、めぐ」
ジ「あ、おーい水銀燈」
銀「あらぁ、お久しぶりジュン」
ジ「お前もあの二人のお見舞いか?」
銀「ええ…まったく、私は何度病院に足を運べばいいのかしらねぇ」
ジ「ははっご愁傷様だな。しっかし二人して長期入院とは穏やじゃないなぁ」
銀「毒性の強い食中毒症状だなんて…一体二人して何を食べたのかしら」
ジ「危ないよな」
銀「本当にねぇ」