雪華綺晶はステージの上に立った
雪「皆、食事しながらで良いですから聞いて下さい」
こういう時に性格が出るのだろう
ウルージや蒼星石は手を止めて話を聞いている
逆に億泰や翠星石は本当に『食事』をしている
雪「これから…花火をしませんか?」
蒼「花火か…ちょっと早いけどいいんじゃないかな」
苺「ヒナ花火やりたいのー!」
仗助「花火か…久しぶりだな」
ドレーク「髪が燃えるんじゃないか?」
仗助「んだとぉ!?」
紅「落ち着きなさい。ただの冗談でしょ」
ウルージ「実は私も…花火を持ってきたのだ」
金「え?」
ウルージは自分のカバンを開けた
そこにはぎっしりと打ち上げ花火がつまっていた
ドレーク「また親父さんの趣味か…死人が出ないことを祈ろう」
億泰「何だかグレートだなァァ~~~ッ!」
ウルージ「雪華の人、こっちも使ってよろしいぞ」
雪「どうもありがとう」
銀「ほらほらぁ!燃えちゃうわよぉ」
雪「ひゃああっ!こっち向けないでー!」
薔薇「……」
水銀燈が雪華綺晶に花火を向けて追いかけている
薔薇水晶は、それをニコニコと見つめていた
銀「あっ!引火しちゃった!」
雪「ああっ!本当!?」
銀「冗談よ」
雪「しれっと返さないで欲しいですね」
ウルージ「打ち上げ花火…点火」
点火すると同時に轟音を上げて打ち上げられるウルージの父の特製花火
笹塚「うわー!」
金「綺麗かしらー!」
紅「そうね…ってドレーク、貴方どうしてそんなに離れているの?」
ドレーク「すぐに分かる」
紅「え…ってきゃあああ!」
ドレーク「この花火の恐ろしい所は…火花がそのまま降って来るんだ」
金「焼夷弾みたいかしら…熱い!」
紅「あ…!!」
まるで地獄絵図だった
金糸雀と真紅は逃げ惑い、ウルージは避ける事すらできずに火達磨になってしまった。笹塚は既に燃え尽きていた…
だがさすがはウルージ、それでも微動だにしていない
…そうこうしている内に、火の雨は止んだ
金「ぜぇ…ぜぇ…」
紅「ウルージーー!!」
何とか二人は逃げ切ったみたいだ
しかし髪はボサボサ、汗だくだった
ウルージ「おーおー失礼な事をした」
紅「失礼ですめばいいのだわぁぁ!!」
ウルージ「うわぁぁぁっ!…どうっ!」
真紅のツインテールビンタがまともにウルージの頬を捉えた
ウルージは吹っ飛び、そのまま倒れた
紅「フン…!!」
蒼「やっぱり花火はゆっくり楽しむに限るね」
苺「そうなのー!」
さっきまでの地獄絵図を見ていた二人はつくづくそう思うのだった
億泰「おっと、オレ達も一緒にいいか?」
蒼「うん。いいよ」
億泰「…ありがてぇ」
仗助「こういうイベントはやっぱり面白れーなぁ」
苺「ああっ!ヒナの手持ち花火が消えちゃったの」
億泰「ああ~~っ 残念だなぁぁ~~っ オレの一本やるよ」
苺「うわ~~い!ありがとうなのー!」
翠星石とJUMは、少し喧騒から離れ、線香花火をしていた
翠「ちび人間は…楽しいですか?」
JUM「え?何で急にそんなこと聞くんだよ」
翠「べ、別に…特に理由はねーですよ」
JUM「そっか。…僕は、『楽しい』ぞ。皆でこうやってはしゃいで、騒いで、笑って…楽しくないわけが無いじゃないか」
翠「そーですね。翠星石も…とっても楽しいですよ」
JUM「もう…線香花火、落ちそうだな」
翠「ああっ…翠星石のが落ちちまったですぅ!」
JUM「ははははは」
雪「そろそろ…フィナーレです。みんなその場に仰向けになってください」
蒼「!?」
みんな驚きの表情を見せるも、すぐに指示通り仰向けになった
汚れるのなど、構いやしないというように…
雪「それでは、最後に打ち上げ花火を…」
ドカン!と音を立て、花火が打ちあがる
それははるか上空で爆ぜる
そして、大輪の花を咲かせた
薔薇「綺麗…」
苺「わーい!大きな花火なのよー!」
金「あんな大きな卵焼き、食べてみたいかしらー!」
ウルージ「それはいい願いだ。金の人。よし、それじゃ私の花火も…」
紅「二度と打ち上げないで頂戴」
ドレーク「同感だな」
蒼「今、僕とっても『楽しい』なぁ」
億泰「オレもだぜェ~~ッ! こんなに楽しいのは久しぶりだなァァ~~ッ!」
仗助「ああ…そうだな」
銀「でも、もう終わりねぇ」
笹塚「また、皆でやろうよ。夏休みにでも、さ」
翠「それは良いですね!もちろんちび人間も来るですよね」
JUM「多分な」
空は、満天の星空だった