「離れても、傍にいるよ」

寂しくなるねと言った私に、その言葉を添えて、貴方はプレゼントをくれた。
貴方をデフォルメした、ぬいぐるみ。
徹夜で拵えたのだろう。ちょっと縫い目が粗い。
私は、アナタを胸にきつく抱きながら、貴方の乗る飛行機を見送った。
どこまでも高い蒼穹に消えてしまう前に、私の視界は滲んでしまったけれど。


それから毎週、貴方は留学先で買い求めた絵ハガキで、便りをくれた。
風習の違いに戸惑う様子や、言葉の壁に苦しめられていること、等々・・・
行の間、字の傾きから、貴方の苦悩が偲ばれて、私は落ち着かなかったものよ。
そんな夜には、返事の手紙を書いた後、アナタを抱いて眠ったわ。
せめて、遠い異郷の貴方に、安らかな時間が訪れますようにと祈りを込めて。


三ヶ月が経ち、貴方からの便りは隔週になった。
半年が過ぎて、それは一ヶ月に一回となった。
便りの無いのは元気な証し。貴方も異郷での生活に慣れてきたんだよね。
それは喜ぶべきことだし、貴方の努力を賞賛すべきだとも思う。
でも・・・やっぱり私・・・寂しいな。


国際電話というものを、私が生まれて初めて使ってみたのは、そう――
離れ離れになって、一年が過ぎた頃だったよね。貴方からの便りは、もう来なくなってた。
胸騒ぎがして、時差も考えずにかけたから、貴方を深夜に叩き起こしてしまったのよね。
受話器から届く貴方の声は、奇妙に硬かった。
その時は、寝ぼけ半分だから、そう聞こえただけなのだと思っていたのよ・・・。


そんなことがあって暫くの間は、貴方も近況を絵ハガキにしたためてくれた。
でも、それも長くは続かなくて・・・半年も経つと、また音信不通になった。
私から頻繁に手紙や電話をしたら、貴方の邪魔になるかもしれないし・・・
なにより、しつこいと拒まれてしまうのが怖かったのよ。
私は毎晩のようにアナタを抱きながら、不安な眠りに就いていた。


二年目の夏休みに、貴方は帰国した。私に一報もくれずに。
貴方のお姉さんに教えてもらわなかったら、帰省したことさえ知らなかった筈だ。
どうして、こそこそ隠れるように戻ったのか。咎める気持ちよりも、その理由が知りたくて。
だから、私は貴方の家を訪れた。そして、知ってしまったわ。
貴方の隣には、美しい女の子が寄り添っていた。


高潔な気品をまとったブロンドの女の子を、貴方は『真紅』と呼んだ。
とても優しく。とても愛おしげに。
向こうで知り合った留学生同士なのだと、貴方はいう。
それにしては馴々しすぎるのではないかと思うけれど、私には何も言えない。
所詮、私は単なる幼なじみ。見守り、ただ応援するだけ。


貴方が真紅と共に留学先へと戻っていった日、私は見送りに行けなかった。
貴方たちの仲睦まじい姿を見ているのが、いたたまれなくて。
その日はずっと、夜になるまで悶々としていた。
勇気をもって変わった貴方と、変われなかった意気地なしの私――
悪いのは、やっぱり私の方なのかな? ねえ、どう思う・・・桜田くん。



そして更に半年が過ぎて、もう三年・・・。そろそろ、ケジメを着けようと思う。
ぬいぐるみに――アナタに罪はないけれど、傍に置いておくと辛くなるから。
だから、捨てるね。ごめんなさい、桜田くん。
私は手にしたハサミの切っ先を、ぬいぐるみの縫い目に宛った。
そこに詰め込まれている私の想いも、解き放つつもりで。


――結局、捨てられなかった。
私は今夜も、貴方のぬいぐるみを抱きしめて眠る。
貴方も、こんな風にあの娘を・・・真紅を抱いて眠ってるのかな。
やだ。もう考えたくない。
私はアナタに鼻を埋めて、そっと匂いを嗅いだ。


別々の道を歩きだした、あの日から・・・ずっと傍に居てくれるアナタ。

「僕はいつでも、傍にいるよ」

夢に落ちていく寸前、そんな囁きを聞いた気がして、少しだけ心が安らいだ。
こんな私を、貴方は寂しい女だと笑うのかな? それとも・・・。



ジ「なぁ柏葉」
巴「なに?」
ジ「なんで斉藤さんだけ名前が一文字じゃないんだ?」
斉藤さん「それ私も気になってた」
巴「……どうでもいいじゃない」
ジ「いや、気になるよ。……なんか柏葉、斉藤さんに冷たくないか?」
巴「……」
ジ「斉藤さんいい子だぞ?その、優しいし、責任感もあるし、何より夢に向かって…」
巴「なら好きにすれば」
ジ「え?な、何怒ってるんだよ」

斉「はぁ~、わかっていたけど、ジュンくん鈍感だよね」
ジ「ど、どういう意味さ…」
斉「……わかんないかな?」
ジ「わかんないよ」
斉「……やっぱり、鈍感。ね、ジュンくん……」ジッ
ジ「あ……えっと……」タジタジ

巴「どうでもいいけど斉藤さんってお兄さんいるんだよね。苗字だけじゃ区別つかないよね。
  斉藤さんなら斉藤さんのことだろうけど、斉だけじゃ本当にどっちかわかんないよね」
斉「……」
巴「それを採用して今の会話をリピートすると…」
ジ「おいマジでやめろ」



ジ「梅雨はジメジメ~だけとそれが終わればサマー!!スィー!!二つ合わせてビッグボイン!!イエー!ひゃっほー!!」
巴「楽しそうだね」
ジ「おおともさ!筋トレもばっちり僕の体は今や愛されボ~イ!!ギャルや姉ちゃん寄ってこい!!そのおバストを僕に拝ませろぉお!!」
巴「…桜田君、おっきいのが好きなの?」
ジ「当たり前田のクラッカー!!たわわに実った果実をもぎに行くぞぉー………あ」
巴「私、やっとBになったくらいなんだけどな」
ジ「…………」
巴「私、桜田君の彼女さんなのにな」
ジ「…………」
巴「桜田君」
ジ「ハイ」
巴「私の家にいらっしゃい」
ジ「/(^0^)\」
ガチャン、ガラガラガラガラ…
巴「桜田君、ご飯の時間よ」
ジ「あううう…僕の夏が…僕のビッグボインがぁああ…」
巴「もう、まだそんな事言ってる」
ジ「海岸沿いをチチをもげ!をフルボリュームでかけながらオープンカーでぶっとばす僕の計画がぁああああ!!」
巴「変態さんだね」
ジ「返せぇえ~僕のビッグボインを返せぇええ~」
巴「だから、はいこれ」つ『スーパーカップ』
ジ「コイツァでけえや!ひゃっほー!」
巴「泣かない泣かない。私がもっと大きくなったら連れて行ってあげるから」
ジ「無理じゃん!!不可能じゃん!!エターナル・ノー・ボインじゃねーかぁあああぁあ…………あ」
巴「…………」
ジ「あ、あ、あああI氏てるよ、巴」
巴「桜田君」
ジ「ハイ」
巴「もっともっと、頭冷やそか」
ジ「\(^0^)/」

【時は夏】【海と乳】



「ねぇ桜田君、風鈴って卑猥よね。」
「……あぁ、そうだな。僕はもう寝るから適当にしといてくれ。」
「えぇ、楽しみにしてるわ。」フフッ
「死のう」



巴「待ちに待った丑の日です」
ジ「待ってたのかよ」
巴「ねえ桜田君、ウナギを見るとなにか思い浮かばない?」
ジ「どうせ変な力が増えるとかそう言う事だろ」
巴「あの大きさ、あの輝き…」
ジ「そっちかよ」
巴「ところで桜田君、変な力って何?」
ジ「俺も柏葉に毒されてしまったようだ」
巴「中国産のウナギには要注意よ桜田君」
ジ「そこは気が合うな」
巴「せっかくだから桜田君、ウナギ食べに行きましょう」
ジ「こんな遅くにかよ…どこも開いてねえよ」
巴「あら別に私はお店で食べようなんて言ってないわ」
ジ「どこで食う気だよ」
巴「もちろん二人で川に夜釣りに出かけるのよ」
ジ「なぜそこまでする」
巴「暗い川辺でサオを出し、玉ウキをつけてぶっ込むのよ」
ジ「その表現やめれ」
【土用の】【丑の日】


「あ、トモエお風呂上がったのね。はい、麦茶」
「うん、ありがとう」

雛苺から麦茶のコップを受け取って、一緒にベランダに腰掛ける。コップから伝わる冷たさと夜風が心地良い。

「いい夜なの」
「そうだね」

エアコンを使わなくて済む夏の夜は良いものだと思う。特にこの匂いが好きだ。夜の匂いに混じった植物や土の香り。少し甘いような、色々な思い出の中にある香り。

「………」

だけど、今日はそんな夜が…落ち着かない。この香りに包まれいると、どうしてか不安になってしまう。

「…トモエ」
「なに?」
「ジュンのこと考えてるでしょ」
「ッ…!!ゲホッ!ケホッ!」

む、麦茶が変な場所に…

「…なんで?」
「顔に描いてあるもの。最近トモエはよくそういう顔をするわ」
「そう…かな」
「そうよ。夏休み前からず~と」

そんなに露骨だったらしい。他の家族に悟られていないかとふと心配になった。

「ジュンと約束したんでしょ?夏祭りとか、旅行とか」
「…うん」
そう、あれだけ勇気を出してやっと取り付けられた約束。それも一つだけじゃない。夏休みの間、たくさん。
その日は眠れないくらい嬉しかった。だけど、夏休みが近づいてくると、この匂いをかいでいると…

「楽しみじゃないの?」
「…楽しみよ」
「でも不安?」
「…なのかな」

今までずるずると続けてきた優しい関係。それで満足してる私もいる。だけど、それじゃダメだって私を急かす私もいる。
幼なじみ。それは、私にとって希望なのか、枷なのか。

「ちょっとだけ、恐いの。変わるって、良いことだけじゃないから」
「でも変わらないと、変われないのよ」
「そうだよね」

ここで辞めるなら、誘うべきじゃなかったし、誘っちゃいけない。約束したからには、私は頑張るんだって、決めたんだから。

「ヒナは応援するわ」
「ありがとう、雛苺」

私の前と後ろには、こんなにも素敵な人がいる。
それはとても幸せな事だから。

「私は、強くならなきゃ」
「出来るのよ。トモエなら」

雛苺とグラスを鳴らし、笑い合う。
見上げた夜空は、夏の香りをたっぷりと含んで、私を見下ろしてくる。
この私の好きな夜を、もっと好きになるために。
胸に宿る熱い想いを空に誓った、夏の始まり。


【瞳に映る】【夏の夜空】


「そろそろ入ろっか。冷えてきたし」
「はいなの」
「よし、じゃあ張り切ってバストアップ体操を始めましょう。桜田君の為に」
「…きっと大丈夫よ。そこまではっちゃけたトモエに敵はいないわ」



8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:sage :2009/08/13(木) 11:19:49.63 ID:*********
近所にトモエ牛乳とかいう工場があった
よからぬことを想像してすいません

41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: :2009/08/13(木) 20:54:43.92 ID:---------
>>8に捧ぐ…? 



銀「巴~、馬鹿ども捕まえたわよぉ」
巴「……。貴方たち、何か弁解があるなら言ってみなさい」

笹「ご、ごめんなさい! ほ、ほんの出来心で…」
ベ「トモエ牛乳って言うからさ、てっきり巴嬢の[ピーーーーー][ピーーーーー][ピーーーーー][ピーーーーー]かと…」

巴「……」ビキビキ




雪「あら、血もしたたるおいしそうな生肉が放置されてますわね?」
J「やめとけきらきー、それは[元はベジータだった何か]と[元は笹塚だった何か]だ、きっと不味いぞ」
保守。


42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: :2009/08/13(木) 21:11:30.37 ID://///////
>>41
巴さん>>8は許してあげて。[元は>>8だった何か]にはしないであげて



巴「雛、こっちおいで」
雛「どうしたの巴?あっ、お団子とススキが飾ってあるの~」
巴「ふふ、今日は十五夜なの。お月見しましょう」
雛「わ~いなの~」
巴「…」
雛「…巴?どうしたの~」
巴「…ひっく…」ポロポロ
雛「巴泣いちゃだめなの~」
巴「…ごめんなさい。ただ…」
雛「うぃ?」
巴「昔話を思い出しちゃって…もし月から迎えが来て雛がいなくなっちゃったら…私…」グスッ
雛「巴…」ギュウ
巴「雛…」
雛「ヒナは巴の前からいなくなったりしないの。ヒナはこんなにも巴の事が好きなのよ?」
巴「雛苺…ありがとう」
雛「…じゃあ一緒にお団子食べるのよ?巴」
巴「ええ」
雛「…あっ!!このお団子うにゅ~なの~!!」
巴「雛にはこっちのほうが良いと思って…」
雛「巴、ヒナの事考えてくれてて嬉しいの~!ありがとうなの~!巴大好きなの~!」
巴「雛…!」ギュウ
【月光の】【下で】

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最終更新:2009年08月27日 19:22