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「…はぁ…またやっちまったです…」
今日、私はまたジュンと喧嘩をしてしまった。
いつもは次の日くらいに仲直りするが、今回はそういう訳にはいかなさそうだ。
「どうして…こうも素直になれないんでしょうか…」
ジュンと話すといつも素直になれない。そして、喧嘩になってしまう。
「はぁ…もう嫌です…」
そんな素直じゃない自分が嫌になる。
本心は、ジュンとたくさん話がしたいだけなのに…
「明日…ちゃんと謝るです…」
そう言って私は、日の沈みかけた帰路をトボトボと歩いていった。
 
「ただいまです…」
私が家に帰ってきた時には、もう双子の妹、蒼星石が夕飯の準備をしていた。
「あ、おかえり翠星石!…どうかしたの?元気ないみたいだけど…またジュン君と喧嘩したの?」
その言葉に、私は小さく頷いた。
「はいですぅ…」
「まったく…明日ちゃんと謝るんだよ?」
「分かってるです…」
そう言って、私はリビングのソファに膝を抱えて座り込んだ。
テレビを見るわけでもなく、顔をうずめて少し泣いていた。
 
そして、明日どうやって謝ろうかと考えていると夕飯が完成していた。
「じゃあ食べようか、いただきます」
「いただきますですぅ…」
「もう、元気だしなよ翠星石。明日謝ればいいことじゃないか」
「それはそうですけど…」
そんな会話をしつつ、夕飯を食べ終わった。
「翠星石、お皿はボクが洗っとくからいいよ」
「えっ…でも、準備も片付けも蒼星石にやらせる訳には…」
「いいからいいから、今日くらいゆっくり休みなよ」
「あ…ありがとです…」
蒼星石に感謝をし、今日はゆっくりと休むことにした。
でも、ゆっくり休もうと思うと今日のことを思い出してしまう。
「一体、どうしたら許してもらえるのでしょうか?…」
そんなことをポツリと呟き今日は早めに寝た。
 
そして次の日の朝、私は目を覚ました。
蒼星石は朝の部活で先に行っている。
リビングへ行くと、テーブルの上にラップがしてある朝食があった。
私はそれを食べ、学校へ向かう。
いつもはジュンと二人だが、今日は一人。
私は一人でトボトボと学校へ行った。
 
学校へ着き、自分の席に座っているとジュンが登校してきた。
でも、私と目が合うと、ジュンはそっぽを向いてしまった。
うぅ…やっぱりジュンは怒ってる…
でも、早く謝らなければ…
しかし、なかなか謝るタイミングが無く、昼休みも私は一人でしょんぼりと弁当を食べていた。
 
ついに放課後になってしまった。
私はさっさと先に帰ろうとするジュンを呼び止めた。
「ジュン!!…その…ちょっと待ってほしいです…」
「…なんだよ、何か用か?」
いかにもジュンは不機嫌そうに返してきた。
でも…言わなければ…
「…ええと…その…」
がんばれ、そのまま素直に謝るんだ私!
「お…お前はどうしようもないやつなのです!だから…特別に仲直りしてやるです!」
あぁ…またやってしまった。素直になれなかった。本当に嫌になる。
恐る恐るジュンの顔を見る。すると…怒りに震えていた。
「…言いたい事はそれだけか?」
「ひっ…!」
「僕は別にお前なんかと仲直りなんかしたくない!お前と一緒にいたくもない!それじゃあな!」
そう言ってジュンは教室から出て行ってしまった。
教室には私一人だけとなってしまった。
「どうして…どうして私は素直になれないですかぁ!!」
私は素直になれない自分を恨めしく思った。
「ひっく…グスッ…翠星石は…どうしたらいいですかぁ…」
そして一人で泣き続けた。涙でぐしゃぐしゃの顔を両手で押さえながら。
 
私は家に帰ることにした。しかし、今日も私は一人だった。
夕焼けが痛いくらい体に染みる。
私は昨日よりも寂しく家に帰った。
家に着くと、また蒼星石が先に帰ってきていた。
私は”ただいま”も言わずリビングのソファで泣いた。
「うぅ…ひっく…どうして…どうして…グスッ…」
「その調子だと、上手くいかなかったみたいだね…」
「…ひっく…グスッ…」
私は蒼星石に話しかけられてもそのまま膝を抱えて泣いた。
暫くしてから私は口を開いた。
「…ひっく…翠星石は…グスッ…どうしたらいいですか?…」
「…素直に自分の気持ちを伝えればいいんじゃない?」
その言葉に、私は今まで溜め込んできた自分への不満を放った。
「そんなの分かってるです!!…それでも…グスッ…できなかったじゃないですかぁ…ひっく…翠星石はダメなやつなんです…自分の気持ちも素直に伝えられないんです…」
分かっていることだが、やはり言葉に出すと余計に涙が出てきてしまう。
私は両手で顔を押さえたが、涙は零れていく。
「…そんなに一度に素直になろうとしなくてもいいよ、翠星石…。ちょっとずつ…ちょっとずつ…ね?」
「…はいですぅ…」
私は本当にいい妹を持っていたと思う。
私のことを人一倍思ってくれている。それにとても優しい。
そして、私たちは夕食を食べ、今日も早めに寝た。
 
次の日の朝、
私が起きてリビングへ行くと、蒼星石がいた。今日は朝部活はないようだ。
「あ、おはよう翠星石」
「おはようです…」
まだ眠いが、朝食を食べ、支度をして、今日は二人で学校へ向かった。本当は三人がいいのだが…
 
しかし、やはり登校中はジュンとは会わなかった。
「…やっぱり…いねぇですか…」
「そんなに急がなくても…一日は長いんだし、学校でもう一度謝ればいいよ」
「そうですね、でも今日のうちにはしっかりと謝りたいです…」
 
そんな会話をしているうちに学校へ着いた。
暫くすると、ジュンも登校してきた。
「ジュ…ジュン…えっと…あの…」
私がジュンに話しかけようとしたら、私から逃げるようにどこかへ行ってしまった。
「あっ…」
また泣きそうになる。でも、ここはグッと堪えた。
「…蒼星石ぃ…」
私が泣きそうな目で蒼星石を見ると、コクリと頷いてジュンの方へ歩いていった。
 
数分が経つと、蒼星石が戻ってきた。
「翠星石、今日の放課後、教室に残ってくれるって。それと、ボクも一緒に残るよ。何かと心配だからね…」
「あ…ありがとです、蒼星石ぃ…」
 
そして放課後、教室には三人だけとなった。
「…ところで、話って何だ?…」
今日もやはり不機嫌そう…でも、言わなきゃ…素直に…
「えっと…その…」
後ろにいる蒼星石から”がんばって!”と聞こえてきそう。
勇気を振り絞って、素直に言うんだ!
「その…こ…この前はごめんなさいですぅ…」
「えっ!?」
「えっと…この前喧嘩しちゃったから…昨日謝ろうと…グスッ…思ったんですけど…グスッ…素直に言えなくて…うぅ…」
思い出すと、また涙が零れてくる。伝えなきゃいけないのに…
「翠星石…」
「グスッ…グスッ…」
私が泣いてしまって何も言えなくなっていると、蒼星石がフォローしてくれた。
「翠星石はね、この前から帰ってきたらずっと泣いてたんだ。いつもみたいな元気も無いし…よっぽどショックだったみたいだよ」
私は泣きながら、一番言いたいことを伝えた。
「…グスッ…この前は…翠星石が悪かったです…グスッ…ごめんなさいですぅ…グスッ…お願いですから…また、前みたいに…皆で話が…グスッ…したいですぅ…許してほしいですぅ…」
私は泣いていて途切れ途切れになりながらも、必死で素直に自分の思いを伝えた。
 
暫く間が空き、ジュンが沈黙を破った。
「…お前がここまで素直に言うってことは本気なんだな…」
「…グスッ…えっ?…」
「僕もちょっとカッとなっちゃったしな…」
「…グスッ…じゃ…じゃあ…」
「あぁ…また前みたいに、楽しく、一緒に話したりしよう」
「うっ…うぅ…うわぁぁぁぁぁぁ!」
私は今まで以上に泣きながら、ジュンに飛びついた。
「うぅ…ごめんなさいですぅ…そしてありがとですぅ…グスッ…」
「僕のほうこそ、ゴメンな…冷たくあたって…」
そう言ってジュンは優しく私の背中を撫でてくれた。
蒼星石も優しく私たちを見つめていた。
 
そして帰り道で、前のように三人で楽しく話していた。
「じゃあ、明日からまた、朝にお前の家に迎えにいくからな」
「はいですぅ♪」
私はすっかり泣き止んで、元気よく言った。
「ふふっ…すっかり元気になって…」
蒼星石が私を見てそう言った。
「べ…別にいいじゃないですか!嬉しいんですから!」
「あれ?いつもだったら”何いってるですか!”とか”お前には関係ないです!”とか言うのに…」
ジュンが私にそう言ってきた。
「い…いや、だって…」
「だって…何だ?」
だって、素直なほうが…ジュンと一緒にいられるから!…何て言えない…
これはまだ言わなくてもいい…
「まだこれはいうべきじゃないです!・・・まぁ時がきたら言うですよ♪」
「何だ?今日はいつもと違って素直だな…」
「そんなの別にいいじゃないですかぁ♪」
ジュンと…一緒にいられるのならば…
「じゃあ、また明日な!」
「また明日です~!」
「またね、ジュン君!」
そして自分たちの家に入り、いつものようにリビングのソファに座る。
「よかったね、翠星石!仲直りできて!」
「ありがとです!蒼星石のおかげです!」
「い…いや、ボクは何も…それにしても、今日はどうしたの?機嫌いいけど…仲直りできたから?」
「だから、そんなの別にいいじゃないですか♪」
「本当にどうしたんだろう?」
明日からはもっと素直になろう
伝えたいことを伝えようもっと…ジュンと一緒にいたいから…

私がさっき言わなかった言葉を言うときは、意外とすぐに来た…

そして、それからの私は二人のときだけは素直になれるようになった…

 
 

 FIN

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