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ジ「蒼星石ってさ、僕のことどう思ってるの?」
蒼「大好き」
ジ「えっ」
蒼「…たぶん」
ジ(…蒼星石顔真っ赤だ)
【大好き】【…たぶん】

 

 



「ちょっとJUM君!そろそろ起きなよ!」

「ん…ふぁぁ。おはよう蒼星石」

「全くもう…いくら自由登校になったからって、気を抜きすぎだよ」

「いーの。僕は家で勉強するから」

「そんなこと言って、エロゲばっかりやってるじゃないか…」

「別に僕の勝手だろ!」

「それじゃあ駄目だよ…う~ん、仕方ないなぁ」モジモジ

「なんだ?」

「そ、その、僕が処理してあげるから、学校に行こう…?」カァァ

「なっ!?」カァァ

 

 



ジ「つきあい始めて今日で三年目か」
蒼「去年の今頃はなにをしてたっけ」
ジ「去年も同じことを言ってたよ」
蒼「あれ、そうだった?」
ジ「ぼけるにはまだ早いぞ」
蒼「そうだね、あはっ」
ジ「くすっ」

翠「おめぇらは80年後でもずっとその調子ですよ…」
真「ひがんでも仕方ないのだわ」

 

 



蒼「日本人は桜が好きだね」
ジ「日本の心とまで言う人もいるしな」
蒼「でも桜って、バラ科なんだよね」
ジ「え、そうなの?」
蒼「うん。……つまり、桜も薔薇乙女……」
ジ「いやそうはならないと思うけど…」
蒼「桜…桜……カードキャプター……」
ジ「は?」
蒼「つまり!僕にも変身して魔法を使う権利があるはずなんだ!」
ジ「……」
蒼「……ごめん、ちょっと言ってみただけだから……」
ジ「いや、いいよ…っていうか…」


ジ「アイツ意外とマニアックだよな」
翠「うぅ…蒼星石はNHKしかみない真面目な子でしたのに…」
ジ「それだ」




下校中の翠と蒼
翠「おじじとおばばの財布も苦しいようですから、翠星石達も何かしなければです」
蒼「それはいい考えだけど…何をするんだい?」
翠「株を買うのはどうです?」
蒼「スープに入れるのかい?」
翠「そんなベタなボケをしれっと出す辺り、流石は翠星石の可愛い妹ですぅ!」
蒼「うわあ!ちょっちょっと姉さん、ほっぺたがまさちゅーせっつ!!」
翠「って株式の事ですぅ!!ネットで翠星石達にも手軽に出来るそうですよぉ」
蒼「…失敗したらおおごとだよ?やるんなら慎重にやらなくちゃ…」
翠「そうですね、確かにどこの会社の株を買うかは大事ですねぇ」
蒼「どこか有名どころだと…あっ!翠星石、あれはどうだい?」
翠「あれ…?」
蒼星石が指したのは、『月極駐車場』という看板
蒼「あの『ゲッキョク』という会社はあちこちに駐車場を持ってるし、絶対に一部上場してそうな
  凄い会社だと思うよ!買うんならああいう堅実なところの株がいいよ!何せ月まで極めてるんだよ!?」
翠「…」
蒼「それとか、テレビに出てくる『ゴランノスポンサー』って企業も凄いね!よく聞くよね!?何せほとんどの番組に提供してるんだよ!?」
翠「はぁ…」
蒼「?」
翠「本気で言ってるですか?あれは『つきぎめ』という呼び方をするだけの、
  別に企業でもなんでもないただの駐車場の一形式ですよ…?」
蒼「…」
翠「『ゴランノスポンサー』?これに関してはもう言葉に出来ない…
  ぷっ!あっーはっは!ちょっと今の本気で言ったですか蒼星石!?」
蒼「…」
翠「あなたに逢えて本当に良かった嬉しくて嬉しくて言葉に出来ないですよ、我が双子の同胞、蒼星石!!こういう人種が未だに存在してて、しかもすぐ側にいてくれて翠星石は幸せですぅ!! いーっひっひっ!!!」
蒼「…ひどいよ姉さん…そこまで言わなくても…ぐすっ」
【ばーか】【ばーか】





「好きって言葉、結構簡単に言えそうで言えないよね」
蒼星石と背中合わせで座っていると、突然ふと何かを思い出したように彼女はぽつりと言葉をもらした。
「まぁな。好きってわかってるから今さら面と向って……言うのも恥ずかしいし」
「好きだから好きって言えない」
僕は蒼星石の方に向き直って、彼女の小さな体を後ろから包むように抱きしめた。短い黒髪からは同じシャンプーの匂い。
「好きだからこそ言わなきゃいけないんだよな、それって。テレパシーなんかで伝わるもんじゃないから」
身もふたもない、超現実的なこと。
しかし、それはとても大切な、基本のこと。
蒼星石はくすりと一つ笑いをこぼし、器用に顔だけを僕の方へ振り向かせて、
「大好き、ジュンくん」
たったその一言。僕はたちまち彼女の黒い瞳の檻へと閉じ込められてしまった。
まっすぐに僕だけを見つめた、瞳。
「僕もだ」
柔らかな唇の感触がやけにリアルで、何よりも甘く、とろけるような味だった。







「だって」と、真紅は可笑しそうに目を細めながら口を開いた。


「貴方から相談があるだなんて。それも真面目な表情で言われたら、誰だって簡単に想像がつくわよ」


そう言い彼女は、テーブルの上の紅茶のカップを持ち上げた。
静かに口元にカップを運び、香りを楽しむようにしてから一口。
その仕草は、同性である僕から見ても充分に魅力的なものに思えた。


「翠星石の事、でしょう?」


カップが置かれ小さな音を立てるのと彼女の口から出てきた言葉が、同時に僕の耳に届く。
時折、それも人間関係の時にだけ見せる、真紅の実に的を得た観察眼に、僕は内心舌を巻いた。
さあ、どうだろう。
あっさり認めても良かったけれど、ほんの小さな悪戯心で、僕はそう答えをはぐらかした。

僕らが座っているのは、通りに面した静かな喫茶店。
真紅は紅茶を。僕はコーヒーを飲みながら、向かい合って座っていた。


「あら?私はてっきり、翠星石の事で何か悩んでるんだと思ったのだけど」


彼女はわざとらしく首をかしげながら、そう言ってくる。表情は、相変わらず微笑んだままで。
僕は、曖昧な笑みで彼女に答えてから、テーブルの上のカップを手に取り一口。
その行動だけで、真紅は僕が答えようとしなかった言葉も察してくれたのだろう。
大げさに首を振りながら、困ったような表情をしてみせた。 


「全く、貴方といい翠星石といい、素直じゃないわね」


君だって、そうだろう。
思わず、心に浮かんだままにそう答えてしまう。


「レディーには、例えそう思っていても素直に頷く訳にはいかない場合もあるのよ」


平然とした表情でそういう真紅を見て、やっぱり僕は確信した。
彼女も翠星石と同じで、相当素直じゃないや、と。
でも、今度は思ったことを口には出さず、そうなんだ、とだけ答えておいた。

「で、」と言葉を切ってから、真紅はカップを再び口元に運び、一口。
もったいぶった行動は計算なのか、それも‘レディーの洗練された動作のひとつ’なのかは知らないけど。
カップがテーブルと触れ合う小さな音を立てたあと、彼女は真っ直ぐに僕を見ながら尋ねてきた。


「翠星石の事で何を悩んでるの?」


僕は真紅から視線を外し、人もまばらな通りへと目を向けた。
わからないんだ。
決して何かを隠そうとするのではなく、純粋な自分の気持ちとして、そんな言葉が口から出た。 


「そう」


真紅は短く答えてから、僕と同じように通りへと視線を向ける。
そんな彼女の仕草に、僕は相談する相手が間違ってなかった事を誰にでもなく感謝した。
これが別の誰かだったなら、答えどころか質問ですら曖昧な相談など、ろくに聞いてもくれなかっただろうから。


「本当に仲の良い関係、というのは」


窓の外を見つめながら、真紅が唐突に口を開く。


「家族のように退屈だ、と誰かが言っていたわ」


僕は退屈してるのかな。
彼女と同じように、僕も窓の外へと視線を向けたまま答えた。


「最近は翠星石も、昔みたいな無茶はしなくなったものね」


遠い思い出を懐かしむように、真紅は目を細めながら呟く。
あんなに得意だった木登りも最近はしてないしね。
僕も、まるで古い写真みたいにぼやけた記憶を呼び起こしながら、気が付けば微笑んでいた。 


「あの頃から、貴方は翠星石の妹で保護者だったわね」


それから、真紅は正面へと、僕の方へと顔を向けながら静かに、言った。


「手のかかった子が親離れしてしまって寂しい、といった所かしら?」


僕も正面に、真紅に向き直り、今告げられた言葉について考えてみる。
どうだろう。わからないや。
素直に思ったまま、そう答えた。
でも、その指摘もあながち間違いじゃないかもしれないね。
素直に、そう思えた。


それからも僕らは、ゆっくりと自分のペースで話し続けた。
喫茶店の代金は僕が払うよ。
「素敵なお店を教えてくれた事だし、気持ちだけ受け取って置くわ」
そのやり取りを最後に、僕達は店を後にした。


家に帰ると、僕より早く帰ってきていた翠星石が、夕飯の準備をしていた。
こうして彼女の後姿を見ているだけども、はっきりと分かる。
彼女は、素敵な女性に成長した。
見ているだけでもハラハラするような危なっかしさは、あまり見られなくなった。
あまり素直じゃないし、相変わらず妙な事を口走ったりするけれど、それでも歳相応にはなってきたと思う。 


保護者も卒業、かな。
魚の尻尾を、夕飯の匂いにつられてやって来た子猫に与えている翠星石の背中を見ながら、呟く。


「よーしよし。ぐんぐん伸びて、山のように大きく育つですよ」


子猫に無理難題を押し付けている声が聞こえてきた。
ついつい笑っちゃいそうになる。
やっぱり、まだ保護者が必要かな。なんて考えも、一瞬だけど浮かんだ。

いいや。
小さく首を振って、またさっきの続きを考える事にする。

保護者をやめてしまったら、僕は何になるんだろう。

家族で、姉妹で、妹で。
でもそれは、生まれつきで、僕の意志が介入するよちなんて無かった事。
僕は、僕の意志で、翠星石にとっての何になりたいんだろう。


「ねえ、翠星石。今度の休み、二人で買い物でも出かけようか」
「それは別に良いですけど……急にどうかしたですか?」
「いや、大した事じゃないんだけど―――」


改めて、君と友達になりたいと思って。
その言葉は、そっと胸にしまっておいた。





yuriyuri


僕の言葉が足りないのなら、胸を裂いて、抉りだしてもいい。

なんて、歌った曲はなんだったろう、と僕はただ一人、暗い部屋で座り込み思い悩んでいた。

もちろん、そんな歌詞を思い出すだけに悩んでいたわけではなくて、頭を過るのは僕の愛する人の顔ばかり。

君の迷いと言い訳くらいホントは僕にだって気付いていたのに。

僕は写真立てに飾られた中睦まじい二人を見つめる。
顔は一緒なのに、生まれた日も一緒なのに。
いつだって一緒にいたから。

僕は禁忌の愛に堕ちてしまったんだ。

この写真に写る頃には夢にも思っていなかったかも知れない。いや、ただ僕がその真実を見たくなくて、心の深い、深い奥底に沈めていただけなのかもしれないけど。

だけど、彼女は違った。

いつかまたあんな風に誰かを憎むのだろうか。

理由は簡単で、汚くて。

また憎むんだとしたら、僕は彼女を強く強く抱き締めるだろう。

彼女に『僕』という刺がいつまでも、いつまでも残るように。 

今更何もいわないけれど、君が僕に対して言った『コトバ』は、全部嘘だったんだろう。

もちろん、それは彼女が意図的に発した嘘なんかじゃなくて、それを受け取る『僕自身』の、彼女の『コトバ』が嘘のように捻れるから。

こんな歪んだ事ばかりをしていたら僕の涙は月にまで届いてしまうよ。

僕はまたあんな風に、『彼女』を愛したように誰かを愛せるんだろうか。

だけど、だけどもしもあんな風に誰かを愛せるとしたらその時はかぐわしい風のように時が流れればいいんだ。

いつまでも、いつまでも……ずっと、ずっと……続けばいいのに。


……玄関からただいま、なんて彼女の元気のいい、僕の大好きな声が聞こえてきた。

そして僕に今日の出来事を嬉しそうに一つ一つ話すんだろう。

それを僕はただにこやかに笑いながらそれを聞くんだ。

「蒼星石、ただいまですぅ! ……どうしたですか、そんな暗い部屋で。そんな事より聞くですぅ! 今日はですね、ジュンと」

そして君は、微笑む。

その笑顔を僕はまともに見ることなんて、できやしなかった。

【そして君は】【微笑む】

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