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「遅いぞ水銀燈。どこほっつき歩いてたんだ」
一番最初に私たちが来たVC応接室。
ジュンをはじめとした面々が冷たい目をしている。
何かもの凄く申し訳ない気がするのは気のせいじゃないわね。
手前のソファーに呆れ顔のジュン、そわそわしている翠星石(なんだかやけにジュンにぴっちりくっついている)と、
その向かいのソファーに座り、黙々と紅茶を飲む真紅&蒼星石、そして柏葉(と、膝の上のヒナ)。
「ちょっと修羅場にねぇ・・・」
つい数分前、薔薇水晶の群れに襲われかけ、腰が抜けて、へたり込んだ私。
そしてそんな私の隣にいるのは、命の恩人であり、元「仇敵」
―――雪華綺晶。
「別に貴女を助けようと思ったわけじゃあないわ。
 今日から私がこの屋敷の薔薇水晶を管理する事になったの。私は自分の仕事をしたまで。
 それに、この身体を手に入れた時点で、貴女の身体への興味はなくなっていてよ」
肉体の器を持たない雪華綺晶。
魂だけの、人間でもなければ吸血鬼でもない雰囲気。
それどころか生き物かどうかすらもよくわからない。
彼女はかつて、私の身体にとり憑くために、私に襲い掛かってきたことがあった。
しかし、今は。
「この身体には満足している。
 強度も抜群だし、私の魂がこの身体に入ったことによる拒否反応も、いまのところゼロ。
 『薔薇水晶』は、文句なしの素晴らしいボディだわ。
 『槐』。彼は素晴らしい腕の持ち主ね」
雪華綺晶は、薔薇水晶のうちの一体の身体にとり憑いている。
ただし、他の薔薇水晶と違って髪も、ドレスも白い。アイパッチもしていない。
代わりに右目から白薔薇が咲き誇っている。
まるで、よく出来た人形のように美しく、整った顔かたち。全く生き物のにおいを感じさせない。
「課長はああだけど、仕事だけは早いよなぁ。とくにこのテの改造とかは」
成る程。
ジュンが槐課長に依頼していた『特注の薔薇水晶』ってのはコレのことだったのね。
『ご名答』
ジュンと雪華綺晶のデュオ。
・・・ここにいると、他人の心を読むという異常で希少な能力もありふれたもののように思えてくるわ。
人の心を読み、それどころか、操りさえする異形の力。
その正体は、一切、不明。
私たちが教えてもらってないだけかもしれないけれど。

「そっちの話は終わったのかしら?」
不意に声が飛んでくる。
人形が話していると、見紛いそうになる。
麗しい見目形。優雅な所作。
・・・あと、かなり小さめであろう身長。
それらが、彼女を「人形」であるように思わせる。
紅い服を着ているからだろうか? 雪華綺晶に比べて若干温かみがあるような印象は受けるが。
真紅。
『対人外機動隊』所属。
さらには、若くして『対人外機動隊隊長』・・・。
私とそう年も変わらなさそうなのに・・・。
と思ったら
「いや、お前この中では多分一番の年長者だから」
ジュンにツッコミを入れられる。そういえばそうだった。
「まぁ、実際かなり若いけどな。今年で16だったっけ? 水銀燈も精神年齢はそのくらいか?」
「し、失礼ね!」
柏葉がブブブッと吹き出す。こういうキャラだっけ? この人。
(あっ、蒼星石ちゃん、ごめんね。本当ごめん。なんかこの二人まるで夫婦漫才みたいで何か変なツボに入っちゃって)
それを見た翠星石も大爆笑する。
(きゃはきゃはははきゃはははははジュンこの人おかしいですよぅマンガみたいに吹きだしやがったのですぅ!
 ブブフゥですって! あー面白い! こんなに笑ったのもお久しぶりですぅ『夫婦漫才』って喩えはいただけねぇですが)
柏葉の吹き出した紅茶をモロに浴びた蒼星石。ブチ切れそう。
(翠星石、ちょっと黙れ)
雪華綺晶は表情を全く変えない。ていうか彼女たちのやり取りを見てすらいない。
傍目からはボーッとしているようにしか見えない。
雛苺はこの期に及んでも尚、眠り続けている。この子は将来大物になるわね。年長者から言わせてもらうと。
そして真紅はそれをものすごーく鬱陶しそうに眺める。
「ねぇ、私、話しても、いいかしら!?」
ちーちゃい身体と胸を精一杯張って、真紅がようやく言う。
「あ、あー。そういやお前の話聞くために集まったんだっけな」
ジュンがぼりぼりと頭を掻く。
「で、何だよ」
なんだかひどく機嫌の悪そうな表情。
今までもろくな相談を受けていない、ってことだろうか。
元上司と部下だし。
そんな私の思いを察してか、否か、ジュンは、
「結婚の話はお前が成人してからなら、聞いてやる」
と、呟く。
翠星石が面白くなさそうな目をしながら歯軋りをする。
柏葉がポッと顔を赤くする。
雪華綺晶は不気味にニヤついている。
・・・また修羅場かしら?
ちなみに私は年齢的には成人してるし結婚はできなくもないわよん。
「余計な考えは挟むな。うざい」
「・・・」
ジュン、一蹴。
真紅は、黙り込んでいる。
先ほどまでの威勢は、どこへやら。
と思ったが、そうでもないようだ。
彼女は、思案している。思慮している。思考している。
非常に沈痛な面持ちで。
そして、しかし、だが、ついに、口を開く。
私は彼女の口から告げられた彼の者の名を、忘れる事はないだろう。

「―――ジャバウォックが、逃げ出したの」



第二十一夜ニ続ク



不定期連載蛇足な補足コーナー「紅薔薇白薔薇黒薔薇」

銀「えーと、なぜこの3人?」
紅「紅黒、黒白、紅白、どれでも何だかキマるからでしょう?色合い的に」
雪「念のため説明しておきますが『ジャバウォック』はオリキャラではありません。
  小説版ローゼンメイデン第一巻『Die Romane Der Rozen Maiden Schwarzer Wind』に登場する、
  れっきとした公式キャラであることを書き添えておきます。
  ・・・もっとも彼(?)が喋ったり意思表示をしたりするシーンは殆どありませんから、
  殆どオリキャラ状態になってしまうかもしれません。が、それはご愛嬌ということで」
銀「まぁ、私たちの言えたことじゃあないわね」
紅「確かにここの槐さんなんて絵に描いたような変態ね」
雪「アレは原作(アニメ)でも変態よ。
  神聖なるアリスゲームにちゃちゃを入れるなんて最低最悪最低のゲスだわ」
銀「妬むんじゃないわよ、見苦しい」


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