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「薔薇水晶…今度の休日、山へでも行ってみないかい? 」
「………山……? 」

朝食の時、お父様が唐突にそう切り出してきた。

「ああ。実は、白崎のやつが暇を持て余して勉強を始めたらしくてな……キノコ狩りでも、と誘われたんだ 」


………キノコ狩り……秋の味覚……山の珍味……………山……修行……パワーアップ……新・必殺技………
「……うん……行く…… 」
私はコクンと頷いて了承する。

「そうだ……良かったら、友達も呼んでみたらどうかな?白崎の事だ。多少賑やかな方が喜ぶだろうしな 」
お父様にそう言われて、私はちょっと考える。

きらきーは呼ぶとして……おバカな4人組…翠星石達はどうしようかな……?
来るかな…?来てくれたら……皆で和気藹々と……山で修行を………




◆ ◇ ◆ ◇ ◆  この町大好き! ☆ 増刊号25 ☆  ◆ ◇ ◆ ◇ ◆



 
日曜日の朝。
集合場所は駅前。

私はお父様と白崎とで、皆の到着を待つ。


「おバカ水晶ー!来てやったですよー!! 」
手をブンブン振りながら翠星石が満面の笑みで駆け寄ってくる。

「たまには、こうしてアウトドアというのも悪くないわね 」
「食材を自分で取る、って…何だか新鮮な感じよねぇ? 」
「でも、食べられるのとそうでないのとがあるから、気をつけないとダメだよ? 」
真紅と銀ちゃんと蒼星石の3人も、会話をしながら後に続いてやって来た。

うん。あとはきらきーだけだね。
翠星石達と話をしながらそんな風に考えて、ふと振り返ると、きらきーは既に到着して白崎と話をしていた。
何で、気配も無くいつの間にか登場しているのはどうして?


それから白崎の用意した大きな車に皆で乗り、山へと向かう。
運転は白崎でお父様は助手席。
私達は後ろの席でわいわいキノコ狩りへの期待を膨らませている。

と……
不意に翠星石が声をひそめて、私に話しかけてきた。

「ところで、おバカ水晶は……キノコ狩りに詳しいですか? 」
バカじゃないもん!と思いながら、私は首をふるふる横に振る。
すると翠星石は、そのまま顔を寄せてきて、説明を始めてくれた。
 
「まず…キノコ狩りとは……その名の通り、狩り……つまり、ハンティングですぅ……!
 キノコ共は、己の身を守るため、勇猛果敢にハンターである私達に襲い掛かってくるですよ……! 」

……スーパーでしか見た事無かったから……知らなかったよ……。キノコって、案外凶暴なんだね……。
私は固唾を呑んで翠星石の説明を聞く。

「そして、もしも…万が一、キノコ共に負けてしまうような事になれば……… 」
翠星石はいかにも恐ろしげな雰囲気で私に顔を近づける。
「……負けたら……… 」
どうなるんだろう……私は緊張感に、背筋がピンとなる……

と、
「ふふふ……あんまりばらしーちゃんをからかっては可哀想ですわ 」
きらきーが優しく諭しながら、翠星石のほっぺたをキューっと引っ張った。

「………ぅう……流石に雪華綺晶は騙せんですぅ…… 」
ほっぺたをつねられながら、翠星石が何か残念そうに呟いていた。

◇ ◇ ◇

そんな感じでわいわいと車で走り、目的の山に到着。

早速、各自散開してキノコ狩りを始める。


銀ちゃんはひたすらに大物狙いで、食べられようが小さいキノコなら見向きもしない。
近づいて耳を澄ませてみたら、「松茸…松茸…」と笑顔を浮かべながら呟いていた。

真紅は『食用キノコ大百科』とか書いてある本を片手にキノコを探している。
で、キノコを見つけると本を開いて……やがて本に熱中しはじめた。
 
蒼星石は真面目に、お父様や白崎と相談しながらキノコを収集している。
さすがは優等生。頼りになるね。

それに比べて、その姉ときたら……
キノコ狩りに来たというのに、満面の笑みで地面に穴を掘っている。何をしてるんだろう?


あれ?そう言えば、きらきーは……?

私はちょっとキョロキョロしてみると……リスや小鳥に囲まれてるきらきーを発見した。
凄いや。いきなり森の支配者に君臨しちゃってるよ……。

きらきーは楽しそうに目を細めながら、ポケットからビスケットを取り出し、小動物たちにあげている。
多分、太らせてから食べるつもりだろう。

私はリスや小鳥の冥福を心で祈り、それから…何も見てない、と自分に言い聞かせる事にした。


それにしても、大自然!って感じがするね。
私はキノコ狩りの手を休めて、うんっと深呼吸をする。

新鮮な空気が肺一杯に広がって、とても新鮮な気分になる。
私のローザミスティ力(ろーざみすてぃちから。脳内設定の魔力みたいなもの)もみなぎって来る。


そんな風に、のんびりと自然との触れ合いを楽しんでいると……
「おバカ水晶!見るですぅ!! 」
おバカが大きな声で私を呼んでいる事に気が付いた。
 
何だろう?と振り返ってみると……
翠星石が蛍光グリーンの大きなキノコを高々と掲げている。
「1UPキノコを発見ですぅ!! 」

本当だ!凄いや!
私は思わず、翠星石へと駆け寄って……

 ズボッ!

突然、落とし穴に落ちた。
誰がこんな罠を仕掛けたの?酷いよ!


◆ ◇ ◆ ◇ ◆


それから、皆で集めたキノコを選別して、お料理開始。
火をおこして、キノコのバーベキューや……きらきーが持参してきたというお肉の下準備を進める。

「白崎さんのお陰で、沢山集められてよかったね 」
「………うん…… 」
料理をしながら蒼星石と話をする。

と、ちょうど話題に上っていた白崎が、料理の様子を見にやって来た。
「いえいえ。喜んでもらえて何よりですよ。それで……鞭のご褒美は頂けるのでしょうか? 」
さらっと、どさくさに紛れて変態発言をするザザムシ白崎。

とりあえず、腹が立ったからスネを蹴ってやった。
ちょっと嬉しそうにしてたのが、気持ち悪かった。
 

その頃、真紅と銀ちゃんはというと……拾った小枝でチャンバラごっこ。
でも、どう見ても二人とも本気。

……いいな。
この相手なら、本気でやっても大怪我にならないし大丈夫。って信用してなきゃ本気でなんて出来ないもん。
仲が良い証拠だね。


きらきーは、今度はどこで見つけてきたのか、鹿を手懐けていた。
……いくらなんでも、それは食べるには多すぎるよ?

私は料理の手を止めて、鹿にお菓子をあげているきらきーに近づいた。
「………ダメ…… 」
こんなに沢山のお肉、皆で頑張っても食べられないもん。

するときらきーは、ちょっと微笑んでから鹿の頭を撫でて……すると鹿は、どこかへと駆けていく。
「そうですわね……いくら可愛くっても、自然の動物に餌付けは……あまり良くありませんものね 」
ちょっと寂しそうにそう言いながら、きらきーは山の中に消え行く鹿の背中を見送っていた。


ふふふ……きらきー、無駄だよ?誤魔化そうとしたって、私の目は騙せないよ?
……食べる気だったんでしょ?

私はうんうん頷きながらきらきーの肩をポンポン叩き、それから料理の準備に戻る。

と……
「おバカ水晶!!こっちに来てみるですよ!! 」
翠星石がまたしても、元気な声で私を呼んでいるのに気が付いた。
 
「ツチノコですぅ!!ツチノコを発見したですぅ!! 」
何やら、珍獣を発見したと騒いでいる。

え?本当?
私は思わず、満面の笑みで手を振る翠星石へと駆け寄ろうとして……

 ズボッ!

またしても落とし穴にはまった。


◇ ◇ ◇


「薔薇水晶。そろそろご飯にするから、皆を呼んできてくれないか? 」
落とし穴から私を助け出しながら、お父様がそう私に頼んでくる。

私はこくんと頷いて、皆を呼び寄せに……

「おバカ水晶!!こっちの茂みにUFOが着陸した跡が残ってるですよ!! 」
と、二度ならず三度までも、翠星石が満面の笑みで私を呼んでいる。

UFO?凄い!
私はブンブンと手を振っている翠星石の所へと、再び走り出した。 










     
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