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私は、紫色の影と対峙している。
紫色は、まるでぼやいているかのように、呪いの言葉を唱えているかのように、呟く。
「私の名前は薔薇水晶。この場所でお父様とお父様やお父様のために奉仕する。
 敵があらば撃墜する。必要あらば服だって脱ぐ。隙あらば脱ぐ。全ては愛ゆえに」
・・・不気味である。
「そういうことを、聞いてるんじゃないの。
 あなた、なんでか知らないけど、いっぱいいるじゃない。あれは誰? ていうか何?」
「最近はジュンでもOK。彼は非常にクール」
「そういうことを、聞いてるんじゃないの。
 あなた、なんでか知らないけど、いっぱいいるじゃない。あれは誰? ていうか何?」
大事なことだから2回も言ってやったわよ。
マイペースというか、相手のペースを全く配慮にも眼中にも入れてないよこの人。
恐ろしい子・・・!
「私は、私。薔薇水晶。
 お父様は私のコピーを沢山、沢山作って、ここの仕事をさせている。
 全ては私だけに苦労をさせないため」
この屋敷にいる薔薇水晶たちは、全て彼女のコピー。
つまり、そういうことは、
「あなたが、そのぅ・・・本体って、こと?」
薔薇水晶は表情を変えない。
微動だにしない。
まるで、人形であるかのように。
「そういうことになる」
人間らしさをちっとも感じない挙動で、薔薇水晶は言う。
「じゃあ、あなた以外のあれは一体何? あなたの父親が作ったって、言ったわよね」
「私のクローンをベースに脳や神経、筋肉を改造して作られた電気人形」
彼女は、そう、さらっと言ってのけた。

「いいえ、そいつは嘘を言っている」
私の背後から、声がする。
ひとの温かみが全く感じられない、声。
振り向く。
またも、薔薇水晶。
もう一人の薔薇水晶は言う。
「私のレプリカは、電気人形なんかじゃなく、お父様の魔法によって作られた肉人形」
「でたらめな事を言うな、偽物のくせに」
その奥から、さらにまた、一人の薔薇水晶が。
「私こそがオリジナル。出来損ないは調子に乗らないで」
またもや、薔薇水晶が。
「いいえ、本物は私。そこのまがい物、お父様を呼んできなさい。
 お父様なら私こそが本物と証明できる」
さらに、薔薇水晶が。
気がつけば。私の周りには既に。
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ぎっしりと、みっちりと、ずっしりと。
薔薇水晶が敷き詰められていた。
ただの廊下であったそこは修羅場と化していた。
ガチンコファイトクラブも真っ青である。
ていうか、この屋敷にはこれだけ薔薇水晶いたのか。
いや、もしかしたらもっといるかもしれない。
そう考えるとぞっとする。
『私こそが本物よ』
廊下の中で大合唱。耳がつんざけそうだ。
『私以外に本物なんているわけがない。怪しい人』
不思議なハーモニーを作っている、合成音声。
『お父様に害を加える前に、排除しなくては』
シンクロする、呟き。
修羅場は戦場に変貌し。
薔薇水晶の薔薇水晶による薔薇水晶のためのバトル・ロワイヤルが開幕した。

かに見えた。
それは開戦した直後に、停戦した。
いくつもの目が私を見つめている。
そこにある視線は全て、私に集中している。
「あら、銀色の髪」
「あら、緋色の瞳」
「あら、明らかな偽物がいるわ」
「あら、変装も満足に出来ないだなんて」
「やはり、偽物は愚かね」
『消しましょう』
狂ってる。
壊れている。
自分と他人の区別さえついていない。
これではただのジャンクである。
薔薇水晶は集まり、巨大な狂気の渦となった。
そしてその渦は巨大な津波となって、私に降りかかろうとしている。
笑えない。
戦ってみれば、それでも結構やれたのかもしれない。
けれど、彼女たちのおかしな気勢というか、そういうものに、完全に圧されていた。
私は、怖くてたまらなかった。ぴくりとも動けなかった。
神に祈りを捧げて、友達たちに別れの挨拶をして。
目を瞑った。

そのときであった。
「あなた達の偽物なら、ここにいるわよ?」
機械の歯車が鳴らす音のような声。
薔薇水晶たちに負けず劣らず、感情のこもらない声。
私は、こういう声を出すモノを、知っている。
「ただし、魂なら本物」
振り向く。
白い髪。
白い肌。
白いドレス。
金色の瞳。
右目には白薔薇。
ただし、薔薇水晶たちと、ほぼ同じ顔。
「私の名前は雪華綺晶。雪華綺晶よ」
魂だけの自由人が。
己だけの肉体を得て。
私の前に再び現れた。
私はあとずさる。
「心配は無用。魂がない肉塊なんて、私の人形も同然」
彼女がそう呟いた瞬間。
薔薇水晶たちの右目から白い薔薇が一斉に咲き誇った。
「左目は薔薇のアイパッチで、右目からは白薔薇、か。何だかしまらないわね」
雪華綺晶はぼやいた。
「後の処理は槐に任せましょう」
そう言って、彼女はこの場を立ち去った。
私はへたりこんだ。
薔薇水晶たちは音を立てて倒れた。


第二十一夜ニ続ク



ぶっちゃけ本編が不定期連載蛇足な補足コーナー「ボスと下っ端」

銀「マジ怖かったわよぉ! 本当今までで一番か二番くらいに怖かったわよぉ!」
槐「君は吸血鬼だろう? そんなことではここの課員は務まらないぞ」
銀「え? ここの仕事ってそんな怖いんですか?」
槐「いんや、出世コースから外れた人々の吹き溜まりだからあんな雰囲気は日常茶飯事なのさ」
銀「それはそれで怖いですね。で、結局薔薇水晶って何だったんですか?」
槐「俺の嫁」
銀「そういうこと聞いてんじゃないですよ」
槐「私の作った自律型アンドロイド。原動力は電気と私の魔法。ここだけの話、実は禁術。
  本当は、私の娘を再現しようと思ったんだけどねぇ、中途半端に自我が生まれちゃってねぇ。
  どの子も『自分こそ本物』って心の奥底では思ってるのよ。
  まぁその自我も、こちらから手を出さない限り機能することはないんだけど、
  話しかけたりして自我を触発しちゃうと、急激に自我が発達しちゃうんだよ。
  で、またそこに違う薔薇水晶が現れると、その子も『私が本物』と言い出して、
  その騒ぎを聞きつけてまた別の・・・みたいな無限ループになっちゃうわけ。
  そして今回みたいに、殺し合いが始まってしまうわけだ。
  今回は雪華綺晶ちゃんのおかげで未然に防げたがね。
  だから今度からは、彼女に話しかけるのは厳禁だからね。気をつけてね」
銀「気をつけます」
槐「彼女たちの修復とか結構大変なんだから。ああ、また初期化しなきゃだなぁ」


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