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世界に一つの幸せ

☆微妙に性格のイメージが違います。

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「ねえねえジュン君、起きてよ ねえ」

寝ぼけた目をこすりながら目を開けると自分の顔からあまり離れて居ない距離に
緑と赤の綺麗なオッドアイの女の子が居て、少しジュンはたじろいだ。

「・・・蒼星石か。 こんな夜中に、どうしたんだ?」
こいつは2年前くらいからうちに下宿している子だ。美人で来たときはそれこそかなり興奮したし、
しゃべることも無かったのだが、今は傍から見れば恋人同士のような関係になっている。

メガネを探すが、ない。
どこにいったのかと闇の中手をモゾモゾしてると、蒼星石が
「はい、ジュン君。メガネはここだよ。」
と言って愛用のメガネを差し出してくる。それをかけると、視界が鮮明になって、
そこにいる蒼星石の姿がはっきりと見えた。
いつもはユニクロとかのシンプルな服を着ているのだが、今はパジャマ姿だ。
それがかわいくて、少しその細い体に視線を向け続けてしまう。
「ふふ、どうしたの?」
「ん、いや、なんでもない。」

時刻は夜中の2時。外は満月ではないが細い三日月が僅かに道を照らしていた。
「で、どうしたんだ?」
「散歩に行きたくなったんだけどね、今コートクリーニングに出してるし、
一人じゃ怖いから・・・。僕、こう見えても女の子だし。」
蒼星石がこんな誘いをするのは珍しい。しかしだな、
『一人じゃ怖いから』こんなこと言われたらついていかざるを得ないだろうがチクショウ。
まあ、ついていくことに抵抗は感じないしむしろうれしい。
コートをクリーニングに出した、ということはお前のコートを貸せ、ということなのだろう。

「ほら、コート。」
栗色のコートを蒼星石に差し出すと、少しサイズの大きいそれをパジャマの上から着ている。
うーん、かわいい。
自分は茶色の昔から使っているコートだ。冬場はよく着ている。
「さて、行くか。」
「そうだね。」
そういうと蒼星石はジュンの右腕をつかんで擦り寄ってくる。
「こうしたほうが、あったかいんだ。」
「ん、ああ。」
少しどぎまぎしてあいまいな返事しかできなかった。

夜道を3分ほど歩くと、公園の前で蒼星石は立ち止まった。
「ここのベンチに、座ろうよ。」
「ん」
夜公園は都会に行けば浮浪者とかでいっぱいだが、あいにく田舎で人っ子一人居ない。
電灯の下のベンチに腰掛けると、まだ夜になれていなかった目にとび色の髪をして、
人間では珍しい病気を伴わないオッドアイの蒼星石の綺麗な顔が飛び込んできた。
目が合って少しどきっとした。
空に雲はなく、三日月が綺麗に見えた。電灯の下ではその姿もあまり見えないが。

「そうだ、寒いだろ。あったかい飲み物かってこようか。」
「あ、ありがとう。」
暖かい、いや、熱いに近い飲み物を買ってきてやると白い息を吐き出しながら
ゆっくりそれを飲む姿があまりにかわいくて、自分の飲み物を飲むのを忘れていた。
「そ、そんなに見られたら恥ずかしいよ///」
「あ、ああ、ごめん。」
その言葉でわれに返って、少しぬるくなったミルクティーに口をつける。
蒼星石が作ってくれるのより、甘ったるくて、所詮は自販機のだな、と思った。

2分ほど沈黙が続き、飲み物であったかかった頬がさめはじめたころに、
蒼星石が口を開いた。
「あ、あの、あのね、ジュン君」
「ん?何?」
目線を合わせてこない。それと、どこかよそよそしい。
「僕ね、えっと、その・・・」
何も言わずに言葉を待ち続けていると意を決したように口を開いた。

「僕ね、ジュン君のことが好きなんだ」

一瞬ジュンは固まった。少し顔に血が上るのがわかったが、
その言葉をいつかは聞くだろうと内心wktkしていた。
だから、こう返してやった。

「僕もだ」

その瞬間、蒼星石はぱっと表情が明るくなり、抱きつくやいなや胸に顔をうずめてきた。
軽く抱いてやると、うれしそうにしている。これは、大事にしてやらないとな。
「ありがとう」
そんな言葉を言って蒼星石が顔を上げると、立ち上がった。
「帰ろう。」
唐突すぎて、返答に困りそうになったが、自分も立ち上がり、出口に向かうと、
出るときと同じように右腕に擦り寄ってきた。
・・・うん。まあ、二度目だけど、大事にしよう。

この世界に一つの幸せを、失わないように。

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