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海から帰って、合宿の宿泊地である旅館へ。

「いよいよお待ちかねの温泉ですぅ! 」
日焼け止めを塗らなかったが為に真っ赤になった翠星石が、底なしの元気良さを発揮していた。

翠星石たち4人は身に纏っていた全ての物を脱ぎ捨てる。絹のようにキメ細やかな肌が露になり……

  《 一部、音声のみでお送りします 》

「翠星石、お風呂場に水鉄砲は他の人の迷惑になるからやめなさい 」
「心配いらんですよ、真紅!こんな事もあろうかと、風呂は貸切にしといたですぅ!! 」
「あなた…その手際の良さを、遊び以外に活かせないものなの…? 」
「という訳で!憧れのデッカイ風呂で思う存分遊ぶですよ! 」

「…やっぱり、大きなお風呂って素敵ねぇ…… 」
「うん、たまにはこうして…のんびりするのも悪くないね……でも… 」

「ごちゃごちゃ言うなですぅ!コイツを喰らいやがれです真紅!! 」
「キャ!ちょ…ちょっと…止めなさ……ちょ…翠星石!! 」
「きゃー!真紅がキれたですぅ!逃げるですぅ!! 」
「待ちなさい翠星石!! 」

「ねえ水銀燈……そろそろあの2人を止めた方がいいんじゃないかな… 」
「……あらぁ…この温泉……ふふ…美肌効果ですってぇ……楽しみねぇ… 」 




◆ ◇ ◆ ◇ ◆  この町大好き! ☆ 増刊号7 ☆  ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

 

 
「ふぅ……やっぱり温泉は良いわぁ…… 」
サッパリした表情の水銀燈が、浴衣姿でマッサージチェアに身を委ねる。
「そうね。…でも、次はもっと落ち着いて入浴したいものね 」
真紅も隣のマッサージチェアに座り、アイス片手にくつろぐ。

その頃、翠星石は…
「ア゛ーーーア゛ーーーでーすーぅぅぅー 」
扇風機の前で「あー」と声を出して遊んでいた。

「コレ楽しいですよ!?てめぇらもどうですか!? 」
満面の笑みで振り返り、真紅と水銀燈に誘いの言葉を投げかける。

だが…
「嫌よ。私は今、それどころじゃあないの 」
真紅はバッサリと答えながら、マッサージの威力を調整しはじめた。

水銀燈は、そんな機械と格闘中の真紅の片手に握られたアイスにギラリと目を輝かせ…
隙を突いて横からパクッと一口。

マッサージ機の調節を終え、最高に心地良い感触に満足しながら、真紅は持っているアイスを一口。
水銀燈に少し取られた事には、全く気付く気配も無い。

バレなくって安心したのか、気付いてもらえなくって残念なのか…
水銀燈は拗ねたような表情でそっぽを向いてしまった。

その頃、翠星石は……
「ア゛ーーーア゛ーーーーですぅ♪ 」
まだやってた。
  
◇ ◇ ◇

満面の笑みで扇風機に向かって「あー」と言ってる双子の姉の姿を発見した蒼星石は…
暫くは、少し引き攣った笑顔で、生暖かくそれを見守っていたが…

このままでは姉がどんどんアレな方向に進みかねない。そう判断し、グルっと周囲を見渡した。
ちょうど、皆近くに揃っている。
それを確認すると蒼星石は……おもむろに、浴衣の中から何かを取り出した。

「さっぱりした事だし…どうかな? 」
そう話す蒼星石の手に握られているのは、卓球のラケット。

温泉。浴衣。卓球。
乙女達のしのぎを削りあう戦いが今、幕を開いた…!

◆ ◇ ◆ ◇ ◆

仲良くジャンケンでチーム分け。
翠星石・真紅チームと水銀燈・蒼星石チームに分かれて、2対2の戦いが始まった!

「ふふ…私と蒼星石が組んだら、どれだけ強いと思ってるのぉ…? 」
水銀燈が不敵な笑みを向ける。

対する真紅も負けてない。
「あら…そんな大層な事を言って、後で後悔しても知らないわよ 」
そう言い、後ろで「しゅっ!しゅっ!」と素振りをしている翠星石をチラッと見た。

今日も元気一杯、テンションだけは10人前だ。
 
(…実質、2対1みたいなものかしら…? )
真紅の胸に、言いようの無い不安が過ぎった。

◇ ◇ ◇

数分後…

「てめぇら!シロウト相手に本気出すなんて、大人気ないですよ!! 」
『3-0』と書かれた小さな黒板を指差しながら、翠星石がブチ切れていた。

さらに数分後…

「翠星石…役に立てとは言わないわ…せめて…足を引っ張るのだけはやめて頂戴… 」
『5-2』と書かれたスコアを横目に、真紅がため息をついた。
「なーに言ってやがるですか!!私だって一生懸命、応援の舞を踊ってるんですよ!? 」
卓球のラケットを両手に持ちヒラヒラ踊りながら、翠星石は遺憾の意を表明した。

◇ ◇ ◇

それからさらに数分後…

『10-8』と書かれた黒板を、水銀燈は嬉しそうに眺めていた。
正直…真紅は、ほぼ一人にもかかわらず、それでも尚、手強かった。
だがそれも…これでお仕舞い。

サーブ権を手にし、高々とラケットを掲げる翠星石へと、視線を戻す。
絶対に勝てる。
その確信が、水銀燈の心には広がっていた。

 
 
(このままでは…負けちまうですぅ…何か…何か手は…… )
翠星石は考えていた。必勝の手段を。
そして…
例の如く、やや怪しげな電波をキャッチすると…その声の導くまま、ボールを弾いた。
同時に叫ぶ。
「古今東西!ケーキの種類!モンブランですぅ! 」


「え?えぇーー!?!?? 」
突然始まった(?)新ルール。
それに対応できず、水銀燈は裏返った声を上げるばかり。
そして…スコーン、と卓球の玉は水銀燈と蒼星石の間を通り抜けていった……

◇ ◇ ◇

その後も、翠星石の「あぁ!アレは何ですか!?皆、見るですぅ!!」作戦を筆頭とした、
鮮やか(?)な奇襲により…ただ一人を除き皆が微妙な表情を浮かべる中、卓球の時間は終了を迎えた…。


◆ ◇ ◆ ◇ ◆


部屋に戻ってからも、翠星石主催の枕投げ大会や、顔面に枕が直撃して切れた真紅と水銀燈のプロレス大会。
乱入してきた翠星石への、見事に決まった2人同時のラリアット。
全員正座での、蒼星石の説教大会など等……

いつまでも、彼女達の部屋から楽しそうな声が途切れる事は無かった…。

 

そして夜も更け…

滅茶苦茶になった布団を整え、さあ寝ようか、という段になって…
翠星石がうんうんと唸りだした。

「うぅ……痛いですぅ……死んじまうですぅ…… 」

いつもの元気さが微塵も感じられない、弱弱しい声。
3人共、あまりの出来事に心配して翠星石の顔を覗き込むと……

「うぅ…日焼けした所がヒリヒリするですぅ……これはもう…助からんかもしれんですぅ… 」
重病人みたいな顔でそう呻く翠星石。

「……自業自得、ってやつねぇ… 」
「…心配して損したわね… 」
「だから日焼け止め塗ったら、って言ったのに… 」
思い思いの事を言いながら、自分の布団へと戻っていく3人。

「な!?てめーら!それだけですか!?とんでもねー薄情者ですぅ!! 」
ガバッ!と勢い良く飛び起きると、翠星石は叫びながら近くに有った枕を投げる!

ボフっと、誰かの顔に当たった音がした。


……… 


さあ、楽しい第2ラウンドの始まりだ ―――!! 





     
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