「こちらワトソン。ターゲットが動き出しました。どうぞ」
「こちらクリック、これより尾行を開始します。どうぞ」
「健闘を祈ります」
今日の仕事は、前回訪れた水銀燈からの依頼でしたね
えー、あれから私達は綿密な計画を短時間で立て、めぐさんの尾行を開始することにしました。あ、コードネームは私がワトソンで、クリックが所長です
ワトソンならホームズじゃないの? って方は、Google先生で『ワトソン クリック DNA』で検索すると幸せになれますよ
一応、所長と別れて行動することになりましたが、大丈夫かどうかはかなり不安です。何と言うか、彼女は無駄に堂々としていますから
「こちらワトソン、ターゲットはファンシーショップに入りました。これより先は貴女に任せます。どうぞ」
「こちらクリック、了解」
さて、ガンダムWの某トレーズ様並にエレガンツな真紅所長がどう動くか、お手並み拝見といきましょうか
一応彼女も探偵……しかも所長ですから、さぞ鮮やかな……って、普通に話してますね
あ、戻ってきた
「所長……」
「ワトソン君、貴方の言いたい事はわかるわ。でも、互いに知り合い同士…………なにも隠れて追い掛ける必要も無くて?」
いや、あのー……所長って探偵ですよね? 尾行って初歩の初歩の気がするんですよ
まぁ、怪しまれない服装(いつものツインテールをポニーテールしたり、セピア色のオシャレグラスをかけたり、傍から見れば普通の女の子)にしているのは及第点ですが……
「で、結局何だったんですか? めぐさんの目的って……予想は大体つきますが」
「まぁ、ここで言うのは野暮でしょうね。あの子には、カレンダーを三百回ほど見直してきた貰った方が良いでしょうしね」
結局、この尾行で得たのは私のストレスと、交通費の出費だったようです。まぁ、報酬もそれなりに取らないとやってられませんね
「結局、めぐは何をしていたのぉ?」
あれから二、三日後の前回と全く同じ時間、水銀燈はやって来ました
それでは、結果をお知らせしましょうかね
「真紅、後は頼みます。これは貴女の口から言った方が説得力があるでしょう」
さてそれでは私は、この事務所が戦場になる前に撤退しましょうか
それにしても、鈍感って損をしますね。冷静に考えられないんでしょうか?
一週間後が水銀燈の誕生日だなんて
事務所から、二人の悪魔が暴れる音が聞こえますが、あと二、三分収まるでしょう。それでは、また次のお仕事でお会いしましょう