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(このお話は―甘い保守―のサイドストーリーです)



《L'étudiant étranger est Beauté Endormie》


「留学生?」

この時期には滅多に起こらないイベントに、余りそう言う事に興味がない僕も少し驚いた。
情報の発信源は、雪華綺晶と雛苺、そして柏葉。
「そうなのよ!ヒナと雪華綺晶のペンフレンドなの!」
そう言うと、雛苺は嬉しそうに綺麗な便箋を取り出し、見せてくれた。
………読めない。
「――フランス語ですわ。
 『親愛なる雛苺へ』から始まって、『もう少しで其方に行きます』で終わります」
さっと目を通しただけで翻訳する雪華綺晶。
恐らく、彼女の所にも同内容の手紙が届いているのだろう。
「………綺麗な子よ」
柏葉が静かに付け足す。
………何故かむすっとしている様に感じるのは、僕の気のせいだろうか。
「ふふ、巴様、心中穏やかじゃなさそうですわね」
「………雪華綺晶も、人の事言えないんじゃないの?」
「そ、そんな事はありませんわ」
うふふ、ほほほと乾いた笑いが両者の間に交わされる。
間に挟まれた僕と雛苺はいい迷惑だ。

「………雛苺、大変だな。お前」
「………ヒナだけじゃないと思うなの」
「?他は誰が??」

そう聞くと、胡乱気な視線が返ってきた。
………なんでだ?


「はーっい、HRを始める前に!今日は素敵なニュースがあるわよっ!」
数日後の朝、いつも元気なみっちゃん先生が殊更嬉しそうに口を開く。
「今日から留学生の美少女と一緒にお勉強!
 くぁぁ、センセーも色んな事教えたいっ!」
美少女言うな、何を教えるつもりだ、等と四方八方から突っ込みが降り注ぐが、
そんな事で挫けるほど、この人はヤワじゃない訳で。
「――ナニとかっ!」
クラスの心が一つになる――この駄目教師!
そんな罵声も馬耳東風。
先生はからから笑いながら、廊下にいるのであろう留学生を手招きする。

おずおずと現れたのは―「あ、あの………」―柏葉の言う通り、奇麗な女の子で。

その容姿は―「は、はじめまして………」―先生の嬌声そのまま、西洋人形もかくや。

「オディール・フォッセーと申します………の………――よろし」

おぉぉぉぉぉぉぉーー!!

クラスのあちこちから歓声が巻き上がる――女子からも上がっている辺り、
大分みっちゃん先生の毒が回っているようだ。
もっとも、最もはしゃいでいるのが当の本人なのだが。

「――えへへ、オディール、日本語上手なの♪」―前の席の雛苺が、にこにこと。
「雛苺と雪華綺晶が教えたんだっけ?」―左隣の柏葉が、二人に聞く。
「ええ。まだ不十分ですし、語尾もワタクシ達と似通ってしまいましたが………」―後ろから雪華綺晶。

「………あ………雪華綺晶、雛苺、巴………」
既にクラスの何割か(含む教師)を射抜いた彼女は―人見知りする性格なのだろう―、
知人の三人を見つけ、顔を綻ばせた。
その笑顔に、更なる被害者(含む教師)が生まれるが。

三人に挟まれる座席に座っている僕と、三人を見ていた彼女。

――視線が、ぶつかる。

「――じゃあー、お待ちかねの座席だけどぉ」
いつの間にか立ち直ったみっちゃん先生。
先生は先程よりもいい笑顔になっていた。
具体的に言うと、にこにこからにやにやになっている。あるいは、にまにま。

「まぁ、仕方ありませんわね。手紙に書いていたのは、ワタクシ達ですし」
――そう呟く雪華綺晶は、小さな溜息を洩らし。

「私は何もしていないけれど………――いいわ、受けて立つ」
――何事かの決意を秘めて、柏葉は呟き。

「………まだわかってないなの。好都合かもしれないけれど」
――雛苺が呆れた顔で苦笑する。だから、何の話だ。

「雪華綺晶ちゃんの右斜め前!雛苺ちゃんの右斜め後ろ!巴ちゃんから右二つの所!
 どれがいいかしらっ!?」

えーと………「――なんですか、その一択っ!?」
思わず叫んでしまったが、僕の声とは裏腹に、彼女―オディールはとことこと
此方にやってきた。
僕は、余りにもなその選択肢にクラスから怨嗟の声があがると思った、のだが。
クラスメイト達はみっちゃん先生と同じ様な笑顔を浮かべていた―にまにま。
周りの三人に視線を送ると、彼女達も笑み。
ただ、その質が違う気がする―『勝負だ、キュロット』『こい、ベータ』みたいな。
一人慌てる僕は、それでも必死に抵抗する。
そうだ、この教室で笑っていない僕以外のもう一人………オディールを味方につけよう。
そう思い、その思いが強過ぎた所為か、がたんと席を立ってしまった。

気付けば、彼女は目の前まで歩いてきていて―「あ、あの………」

しどろもどろになりながらも、僕は彼女の意思を聞こうとする―「ぇ、と、オディール――」

だけど。彼女の口から伝えられた言葉に、僕も、クラスも、三人も――固まった。


「――生まれる前から、貴方を、愛しています」


かたまるみんな しずかなきょうしつ めのまえにたつかわいいおんなのこ ばくしょうするきょうし
――って、おい!
「だぁーはっはっはっ、今みたいな具合に、オディールちゃんはまだ日本語を使いこなせてないから、
 みんな、しっかりフォローしてあげるのよっ。
 オディールちゃんも、今のは『プロポーズ』の台詞だから注意よっ!」
注意程度で済ませるなぁ!――そういう、僕の渾身の咆哮は。
笑い転げている先生には届く筈もなく。
いつしか、クラスメイトの大爆笑と、オディールの慌てっぷりにかき消された。

柏葉、雛苺、雪華綺晶も何か言っていたようだけれど。
呟き程度の彼女達の言葉は、当然の様に、僕には聞こえなかった。

「………流石ね。言葉は否定しても、想い自体は否定してないんだから」
「うゅ、それに、オディールも意外と大胆なのよ。台詞は間違えたけれど、好意は伝えたのだから」
「――ワタクシ達も、頑張らないといけませんわね。うふふ」

「さて――」――ぱんぱん、と雪華綺晶は手を打ち鳴らす。
彼女の手が二回合わさった時には、もうクラスの喧騒は止んでいた(注:約一人除いて)。
その静まり様に、ぽかんとするオディール。
だけど、僕も、雛苺も柏葉も、勿論クラスメイトも。
雪華綺晶が続ける言葉を何となく予想して。
だから、雪華綺晶の口が開くのを待ち構える――彼女の言葉に、続く為に。

「返事がまだ、でしたから。――オディール、改めて、宜しくお願い致しますわ」

――こうして。

――彼女、オディール・フォッセーは朗繕学園の一員となった。



―――――――《L'étudiant étranger est Beauté Endormie》
       (訳:留学生は眠り姫)



エクストラな保守を致すの…

「え、と………オディール、ですの………」
「えへへ、オディール、久しぶりなのー♪」
「雛苺、C'est après une longue absence.Je suis heureux d'être capable de rencontrer」
「うゅ、駄目なのよ、翻訳ソフト大活躍もとい、日本語に慣れないと!」
「ぁ、ぅ………おひさ渋りね、敢えて売れしいわ………っ」
「なんとか伝わるの、その調子で頑張るのよ♪」

「――あぁ、微笑ましいですわ、お二人とも。食べてしまいたい………」
「………恍惚とした表情で言わないで。あと、フォークも閉まって」
「冗談ですわよ、巴様」
「………もぅ。えーと、此処ではオディールの設定を紹介、でいいのよね?」
「ですわ。
 オディールは本文にもある通り、フランスからの留学生ですの」
「容姿的に言うと、………貴女達と同様、もしくは上なのよね」
「抜粋は貴女様の台詞(原作)なのですが………」
「むぅ………あと、いきなりのあの台詞は――」
「――手紙で、ワタクシや雛姉様が何度も話題にしていましたから。
 登場時期が遅い分、好感度は元から高いんですわ」
「そ、そういうものなの?」
「ええ。因みに、オディール・ルートは『ワタクシと雛姉様のイベントを全てこなし、
 尚且つ、ワタクシの好感度が高い、加えて巴様のイベントもこなし』――」
「ちょ、ちょっと待って。細かい………と言うか、難しくない?」
「元から出す予定ありませんでしたから(笑顔」
「………」
「ぶっちゃけ、レスを頂いてからの即興なので、細かい事は考えておりませんわ」
「そ、そう………」
「ですの。――まぁ、立場的にワタクシのサブルートになりますので、
 次があるとしても遥か先になりますでしょうね。うふふ」

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