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──朝。

父「おはよう」
銀「…」

水銀燈が街へ行った日の翌日あたりから不機嫌ですぅ。

銀「あぁもう五月蝿い」
父「何だと!?」

水銀燈に限ってそんなこと有り得ない、ってな発言ばかり繰り返してるです…。
心配で蒼星石と少しリビングの外の廊下で話し合いました…。

翠「蒼星石…」
蒼「…ん?」
翠「水銀燈の奴、またAの親に圧力掛けられてるんですかね」
蒼「多分ね。街でAが翠星石に負けてから親に縋ったんじゃない?
  “もっと翠星石の関係者を苛めてくれ”なんてことをお願いしてるかも」
翠「…」

~~~~~

今日はジュンと距離を置くために、
蒼星石や巴とは別登校。
つまり、ジュンの家に行かずに直接学校に行ったです。

ジュンからのメールは昨日のあれからずっと放置。
同じく電話も放置。
翠星石のありがたみを思い知れです!

──とは言うものの、ジュンが私を相手にしなくなったら…。

あいつが学校に来なくなってから、どうもお互い意見が合わねぇ気がするです。

今まで積み上げてきた私たちの仲もこれまでですか…?
いや…そんな事になってたまるもんですかっ!

時間は、もう無いです。

~~~~~

──さてさて。次の事を考えるです。

昨日の寝る前に、お母様が「梅岡先生と話してきた」と言ってました。
もうジュンのことで何か言及されてもおかしくないはずです。
ですから、梅岡の授業の後あたりにでも…。

…。

…。

…。


何もないまま、翌日の帰りのSHRが始まってしまったです。

梅「…はい、以上です」
委「起立」

…。

くぅぅぅぅぅ!!
梅岡までへっぴり腰ですか!

バンバンバン!!

U「おい、そんなに机叩いてどうしたんだ?」
S「何を興奮してるんだよ!落ち着け…」

A「www」
B「www」
C「www」

ムッカー!!

e「睨んでもまた喧嘩になるだけだって…」

~~~~~

──とぼとぼと帰宅の途につく私。

まったく、何てことですか。
ジュンのことについて一言も触れなかったなんて…。

…まさか、隠蔽する気じゃ…?
あの学校に限ってそんな事──

…はあ。

…。

…。

──目の前に聳え立つ一戸建て…。

え?これがジュンの家かって?
違うです!また別の誰かの家ですよッ!

──いや…
ジュンの家です…。

この間はあんな事言いましたが、
ちょーっと寄って行く事ぐらい、いいですよね?
あいつもどうせピンポン押さなかったら気づかないでしょうし…

-----

蒼(『ジュン君のことが心配?』)

-----

だ、だからちっ…違うです!

-----

蒼(『ジュン君と距離を置くんじゃなかったの?』)

-----

やっぱ家に帰るです──

~~~~~

翠「ただいまですー」
紅「おかえり」
金「おかえりー」
薔「おかえりー」
雪「おかえりなさいませ」

…ふぅ。
騒がしい家に帰ってきたです。
雛苺は託児所だからお母様が帰ってくるまでいないですか。

翠「ガラガラガラガラ…」

こうやって手洗い嗽をしながら思うんですが、
こんな感じで学校から家に直接帰ってくるのって全くもって普通のことで、
いつもなら別に意識することもないんですけれど…

---------

すぐ家に帰って、すぐに机に向かう…ってのは何日ぶりですかねぇ。
下のリビングじゃみんなして五月蝿いですし…
一緒になって騒ぐ気にもなれないですし…

…あ、今日の授業のノート、ジュンに渡しに行かなければ──

──いいや、あいつはしばらくは放置です。
ふん!
ずっと独学でやりやがれです。

…。

…う~ん、
ここにノートがあることで、逆に落ち着かねぇですぅ。

…んん…。
時間が経てば経つほど、余計に意識してしまうです…。
ますます落ち着かんじゃねぇですか。
勉強しようにも出来ないです…。

…。

~~~~~

──ま~ったく。
ジュンに会わないことが生活に支障をきたす事になるなんて、
夢にも思わなかったです。

…。

──しかも中途半端に雨が降ってくるですね。
どっちかハッキリしやがれです!
…やっぱりスリッパなんか履かずに普通の靴を履いてくりゃ良かったです…。

…。

…?

なっ…?

ななな…

なんで玄関の外で待ち伏せてやがるですか!
ヒッキーのくせに外で待ちぼうけですか!

ジ「…あ」

ジュンがまじまじとこっちを見つめてくるです…。

──って…

…きゃぁっ!
ちょっと目を離した隙に何て無防備なことを!

ジ「…」

ったくもう…。

翠「バカチン!」
ジ「…は?」
翠「独りで外にいて、ABCがまたここに来たらど~するですかっ!
  おめぇが前にここで絡まれてたのも、同じような時間だったじゃないですか!」

それでまた精神的に参って熱が出て入院とか、
二の舞を踏めば完璧に学習能力のない馬鹿です!

ジ「…」

何も返事が出来ずにただうろたえてるジュン…。
まぁ、翠星石の言いたいことは伝わったんですかね。

──そうそう、渡すべきものがカバンに…

翠「こっ…これ!今日の授業の分です!」
ジ「…」

ボンッ!!

──と手渡しました。
いつもならジュンの部屋で渡してるんですけど…
今日は…おめぇと距離を置くために…仕方なしに──

翠「今日の!晩に!また取りにくるですからね!」

だからって、わっ、私を止めても無駄です!
昨日のこと、まだ怒ってますからね!──

タタタタ…

──んなわけねぇじゃないですか…。

タタタタッ…

…あっ。

ズデッ…

翠「きゃっ!」

──転んじまったです…。
こっ…こんな何もないところで…。

…何で?
何で…こんなに上手くいかないんですか──

ジ「…どうしたんだ…」
翠「えぐっ…ひぐっ…」

…こんな時だけ優しくしやがって…。
ジュンのばか──

ジ「…怪我は?」
翠「ひっく…うっぐ…」

──もう…やめてくれです…。

ジ「転んだぐらいで泣くなよ」

…まぁ!!
ムカつく野郎です!

翠「うるせぇです!」

…こいつはやっぱり何も変わっちゃいねぇです。
ほんとバカですっ!

──ふん。
やっぱりイチイチ腹の立つ野郎のままでした…。

~~~~~

──家に帰って、リビングの隅っこで自分で膝の擦り傷の手当てをしました。
その時、ずっと考えてました。

どうしてジュンと上手くいかなくなったんでしょうか…。

…だって、街ではあいつは楽しそうにしてたです。
まぁ、ヒッキーになってから他人慣れしてないせいか、
人の多さに少し怯えてたみたいですけど…
でも、これで今後は何のイザコザもなく楽しく過ごせると思ったんですよ!
…ホント、何故か前より腹の立つ野郎になっちまったです…。

あぁ…どうにかならんもんですかねぇ…。
とっととABCの問題を片付けて、
ジュンの心をガッチリ掴むことさえできれば──

…さ、今度こそ勉強を始めますかね。
私はあいつにとって先生の代わりなんですから。

…引き篭もりになってからも、
あいつの方が出来が良いってのもまた悔しいですし…。

ピーンポーン

…おや?
夕方の5時半だというのに、
誰ですか…?

-----

蒼「ただいまー」

蒼星石でしたか。

翠「おかえりです。いつもよりかなり早いですね」
蒼「うん」

あ、蒼星石にジュンのノートを取ってきてくれるようにお願い──
…やっぱやめとくです。

蒼「ジュン君、今日はどうだった?」

やっぱり聞いてきましたか…。
またここで喧嘩してる…なんて言ったらまた笑われるですぅ。
…こうなったからには───

翠「ジュンの奴なら順調にヒッキーもどき生活を送ってるですよ~♪」
蒼「もどき…ね…w」
翠「今日なんて玄関の外に出て待っててくれたですぅ~♪」
蒼「…頑張ってるね。凄く」

…。

蒼「今日は早く帰って来れたし、ちょっと会いに行ってくるよ。
  すまないけど、部屋にカバン持って上がってくれる?」
翠「あ、いいですけど…」
蒼「ありがとう。じゃあ行ってくるね」

ガチャン

…。

…。

翠「──会いに…ですか…」

~~~~~

──机に向かうのはいいですが、
どうも集中できねぇです…。

蒼星石が行ってから胸騒ぎがするです…。
ジュンを懲らしめるために距離を置いてたのに、
いつの間にか翠星石がそれに苦しんでるです…。

う~…。

そもそも、距離をとる必要なんてあったんでしょうか…。

…。

──そろそろジュンの家に行ってもいい時間ですよね。
もうノートの内容は全部写しきったでしょう。

蒼「ただいまー」

帰ってきたです。
…じゃあ、次は翠星石の番です!

ガチャ

…タッタッタッ…

蒼「あ、翠星石」

こんな階段の途中でバッタリ…
何を聞かれてもサッとかわしてやるです。

翠「じゃあジュンの家に行ってくるです」
蒼「また喧嘩──」
翠「なんかしてないですよ!」

タッタッタッ…

──キッチンで夕飯を作ってるお母様にも一応報告するです。

翠「お母様、行ってくるです」
母「…もうすぐ夕飯よ?…どこへ?」
翠「ジュンの家です~」
母「早く帰ってきなさいよ」
翠「泊まるかもです!」
母「そう」
翠「でも、まだ保留にしとくです──」

~~~~~

ジュ~ン♪
ジュ~ン♪

──おっと、無意識ながらスキップしてたです…。

夜道を独りでスキップだとか…
あぁぁぁぁっ…。
恥ずかしくて顔から火が出そうです…。

──おぉ、ジュンの家が見えてきたです。
今晩も2階と1階に電気がついてるですね。
さ、もうすぐ着くですよぉ。

あ…2階の電気が消えましたね。
そろそろジュンの家も夕飯ですか。
何か悪いですね…。

まぁ、ノートを受け取るだけですから、
そんなに──

ジ「ギャアアアアアアアア!!!」

え?
ジュンの悲鳴?

ピンポンピンポンピンポンピンポン!!

どうしたですか??
何が起きたですか???

──あ、窓が開いて…足を掛けて……

翠「きゃぁーーーーーーーーッ!!!」

~~~~~

の「すみませんでした──」

外ではジュンとのりが対応に追われてるです…
その場で腰を抜かした私は、
水銀燈に担がれてリビングのソファに座らされたです。

銀「はぁ…」

その水銀燈はキッチンの方のテーブルに腰掛けたです。
翠星石と顔を合わせたくないかのように…

…やがて、肩をすくめているジュンと、
珍しく厳しい表情を浮かべているのりがリビングに入ってきました。

の「何てことしてくれたの!…窓から身を乗り出すって…」
銀「ホント馬鹿ねぇ!」

水銀燈の肩が震えてるです──
翠星石もまだ身体に力が入らねぇです…。
あんなもの見せられて…。

ジ「…水銀燈が…怖かったから…」

ドン!!

ジ「…」

水銀燈のあの握り拳…相当キテるです…。

銀「何であんたたちは…なんで…」

すっ…翠星石も?

…翠星石も…ですか──

銀「…私に…隠してたってわけぇ??」

──あっ…。
もしやAの親のこと──

ジ「あの…水銀燈が聞いたらショックでどうにかなるんじゃないかって──」
銀「…」

そんなことより、ジュンのあのモーションが頭から離れねぇです…。

あんなことを平気で出来るのは、心理的に追い詰められてるからとか、
そんな風にしか考えつかないんですけど…

もうアレを見てからひたすら思うのは──

翠「今日は…ジュンの部屋に泊まらせて欲しいです…」

だって…不安なんですよ…ほんとに。
放っておいたばっかりにこんなことになるんですから。

の「──ジュンくんと翠星石ちゃんの御両親の許可があれば…いいわよぉ」

──ジュン!

ジ「まぁ、好きにしてくれ…」

…よし。

翠「じゃあ携帯で家に連絡するです…
  明日学校でも、別に6時に起きて帰れば問題ないですし…」

携帯を取り出す手が震えるです…
はぁ…。

翠「まさか…自殺未遂なんて──」
ジ「いや、自殺なんて…」

──否定しようとするところが危険信号なんです…。

~~~~~

夜。ジュンの部屋。
お母様からの許可も下りて、
蒼星石も駆けつけてくれて、3人で泊まることになったです。
ベッドの隣に布団を敷いて、ジュンを挟んで寝ることになったのですが…

蒼「…Zzz」
ジ「ZzzZZzz…グガーガゴゴ…」

…眠れないですぅ…。

ジ「ZzzZ…グガー…ZzZZZzz…ガゴゴ…」

…寝るまでほっとんど話してくれなくて、
飛び降りようとした事にずっと蓋をしてたくせに…。

……イビキだけはイッチョマエですね!

たまんねぇです!
上向いて寝るから悪いんですよ。
…ほら、こうやって顔を横に向けるです。

ジ「…Zzz」

…ふぅ。
これで何とか静かになりましたね。

ジ「…Zzz」

あぁ…でも向こうに向かせるべきでした…。
こっちを見られてるようで、また寝づらくなっちまったです…w

ジ「…Zzz」

はぁ…。
それにしても今日の梅岡…。

思い出せば出すほど憎いです…。

…ジュンがこんなことをした以上、
もはや待ったなしです。

かくなる上は奇襲戦法です。
タイミングのいいことに、明日は絶好のチャンスです…
明日を逃すと一週間先まで機会がなくなりますからね。

…笑っていられるのもあと僅かですよぉ?
ABCに対しては蒼星石や巴に任せっぱなしで、
翠星石はいつまでも手をこまねいてばかり…とは思うなです。
街で喧嘩を売ってきた件も、まだ終わってないのです。
ジュンを徹底的に排除しようとする奴らへの、翠星石の急襲です。

さぁ、思い知るがいいです…

──じゃあ、今宵は…蒼星石は向こうむいて寝てますし、
気合を入れるために…とっ…特別に…






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