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ジ「う~ん…」

3月13日…今、僕は悩んでいる。
明日…つまり3月14日……そう、ホワイトデーの事でだ。
バレンタインにチョコレートを貰える事は嬉しい事なのだが、その分「お返し」と言う精算が待ってる…。

ジ「はぁ、こんな事ならもっとお金貯めとくんだった…」

僕は財布をのぞき込んでため息をつく…。残金…9500円…。
2,3人ならこれで十分足りるのだが僕の場合8人…。
もっとも、他人から聞いたら贅沢な悩みだろう…。しかし、僕は真剣だった。
いくらお金が無いからって、彼女たちの好意を裏切れない。
しかし、それでも財布の中のお金が急に増えることはないのだ…。

「(しょうがない…、あいつに相談するか…)」


僕は一階の姉ちゃんの所へ向かった。

の「あら?ジュン君どうしたの?」

ジ「あのさぁ、その…女子ってどんな物を貰ったら嬉しいの?」

の「え?なんでいきなりそんなこと聞くのぅ?」

ジ「ほら、明日って…ホワイトデーだろ?」

の「ああ、真紅ちゃん達へのお返しねぇ!……そうねぇ……女の子は気持ちのこもった物なら何でも嬉しいわよぅ」

ジ「気持ちのこもった物…か…、…わかった!ありがとう、ねぇちゃん」

僕はそのまま家を飛び出し、薔薇デパートへと向かった。


 -薔薇デパート 1階 御菓子屋 エンジュ-

ジ「(う~ん、やっぱ気持ちがこもっている物って言えば手作りお菓子とかだよなぁ?)」

僕はお菓子の材料売り場をブラブラしながら考えていた…。
普通に売っているお菓子とかじゃなんだか素っ気ない。

ジ「(あまり手の込んだ物は作れないからなぁ…)すいませーん」

白「はいはい、いらっしゃいませ、何をお探しですか?」

ジ「(あれ?この顔どっかで見たような…)なるべく手間のかからないお菓子ってありますか?」

なぜか見覚えのある顔に戸惑いながら僕は尋ねた。

白「はいはい、でしたらこの「ポーションクッキー納豆添え」などいかがですか?」
ジ「なんか美味しそうですね、じゃあ、」

ジ「このクッキーの素買います」

白「……ありがとうございました」
ガラガラッ

ジ「(さて、お菓子の材料も買ったし帰るかな…)」


僕は帰ろうと出入り口まで歩いていた。

ジ「けっこう広いんだな…このデパート…」

そうつぶやきながら歩いていると、目の前に…花屋?

ジ「花屋…ローゼン?こんな店あったっけなぁ?」

そう思いつつもまるで吸い込まれるように僕はその中へ入っていった。

店の中はまるで別世界のように花に包まれていた。

ジ「………」

僕はその景色に目を奪われ立ちつくしていた。

???「……いらっしゃい」

その言葉で僕は我にかえった。

ジ「あ、…あの……」

店に入ったからには何か買うのが礼儀だ。しかし、僕は何を買うか決めていなかった。
買うつもりで入ったわけじゃなかったからだ。
その時、目にとまったのがひときわ美しい真紅の薔薇。

ジ「あ、あの…これを8本ください」

???「…どうも」


こういうのを「衝動買い」と言うのか?

僕はその薔薇を買い家に帰った。

ホワイトデー前日 終わり



ホワイトデー当日 朝

ジ「……ふう、出来た!」

 机の上には手作りクッキーが入った箱が9個。

ジ「なんとか完成したな…、
  思ったより早くできたなぁ……」
 
 僕は椅子に腰掛け、外を覗く…。
 朝日が眩しい。時計は7時2分を指し示す。

ジ「……そうだ、まだ早いから学校で渡すの恥ずかしいし、今から届けに行くか」
ジ「まずは…水銀燈だな…」

僕は家を飛び出し、水銀燈の家へ向かった。


 10分くらい歩いただろうか。
ジ「確かここら辺だよなぁ…、あ、此処だ」
  カチッ ピンポーン ピンポーン
 チャイムの音が鳴る。約5秒後…
『はぁい、どちら様ですかぁ?』水銀燈の声だ。
ジ「あの…桜田ですけど…」
『あらぁ、ジュン?ちょっと待っててねぇ』ドタドタドタ
  ガチャッ
水「おはよぉ、ジュン、どうしたのぉ?こんな時間に…」
ジ「あの…これ、ほら、今日ホワイトデーだろ?」ガサガサ
 そう言い、僕はクッキーと薔薇を渡した。
水「あらぁ、そう言われてみればそうねぇ、でもわざわざ持ってこなくても
  学校で渡してくれれば良かったのにぃ」
ジ「なんか学校で渡すのって恥ずかしいだろ?だから…」
水「ふふふ、ジュンったらかわいい、わざわざありがとぉ」
ジ「じゃあ、また学校で…」
水「ばいばぁい」
 そう言い僕は水銀燈の家を後にした。
ジ「(次は…金糸雀だな)」


  スタスタスタ
ジ「着いた、うわぁ、広い家だなぁ…」
 視界に広がる豪邸…いや、金糸雀の家に驚く。
  カチッ ピンポーン
ジ「……………………………………」
  カチッ ピンポーン
ジ「………………………まだ寝てるのか?」
 しょうがないので、郵便受けにクッキーと薔薇を置いておいた。
ジ「(次は……、翠星石と蒼星石の家だな…)」
  タッタッタッタッタッ

その頃の金糸雀は…まだ夢の中でした。

金「(う~ん、卵焼きに食べられるかしら~)」ゴロゴロ


  タッタッタッタッタッ
ジ「ハァ、ハァ……ふう、けっこう遠かったな…」
  カチッ ピンポーン ピンポーン ピンポーン
 僕がチャイムを鳴らした直後、家の中から二人の声がした。
蒼「翠星石!いつまでも寝てないで誰か来たみたいだから出てくれないかな?」
翠「まったく、うるせーですぅ、翠星石はあまり寝てないんですよ!?」
蒼「それはゲームばかりやっていたからでしょ?僕は今、朝食作ってるから手が離せないんだよ…」
翠「あー、もう分かったですぅ!出てやるですよぉ…」
  ドタドタドタッ ガチャッ
翠「どちら様ですかぁ?新聞とかならけっこうです……って、ひゃあ、ジュ、ジュン!?(///)」
ジ「おはよう……なんか忙しそうだったけど…迷惑だったかな?」
翠「そ、そんな事はないですけれど……、それより何しに来たですぅ?」
ジ「ああ…その事だけど…」
  ガチャッ
蒼「翠星石ー、朝食出来たよ……やぁ、ジュン君 おはよう」
ジ「おはよう蒼星石、丁度良かった、二人に渡したい物があったんだ」ガサゴソ
翠・蒼「渡したい物?」
ジ「ほら、今日はホワイトデーだろ…だから、お返し持ってきたんだ…」
 そう言い二人にクッキーと薔薇を手渡す。
蒼「わざわざ持ってきてくれてありがとう、ジュン君…嬉しいよ」
翠「しゃーねーから貰ってやるですぅ♪(ジュンからのお返し嬉しいですぅ(///)
  この「ホワイトデー」と言う行事はなかなか見所がある…ですぅ!)」
ジ「じゃあ、また後で、」
蒼「うん!」
翠「合点ですぅ!」
 そう言い僕は走り去った。
ジ「(次は…真紅かぁ…)」


  タッタッタッタッタッ
ジ「着いた……、いつ見ても大きい家だなぁ…」
 視界に広がるそれは、もはや家…と言うより城に近かった。
ジ「あれ?チャイムが無い…どうやって呼べばいいんだ!?」
 僕はどうするのか分からなかったので……とりあえず叫んでみた。
ジ「おーい、真紅ー!おーい!!しーんーくーー!!……痛っ!!!!??」
 頭に何かがぶつかった。これは…真紅のステッキ!?
 上を見上げると…バルコニーから真紅が顔を覗かせていた。

真「まったく…騒がしいのだわ…、何?用があるのなら上がってきて頂戴」
 真紅の言い方に多少ムッと来たが、渋々玄関の方へ近づく。
真「ちょっと!ジュン!ステッキも持ってきて頂戴……、まったく、役に立たない下僕ね」
 ………逆らうと怖いのでとりあえず持って上がる。ってか僕は下僕じゃないぞ。
 そう思いながら2階に上がると、真紅、そして雛苺もいた。
雛「あー、ジュンーあはようなのー!!」
真「で、何しに来たの?ジュン…」
ジ「あ、そうそう…ってそういえば何で雛苺が真紅の家に居るんだ!?」
真「あら?知らなかったの?雛苺は毎朝私の家に紅茶を淹れに来て貰っているのだわ」
ジ「(初耳だ…なんか雛苺が可哀相に思えるな…)へぇー、そうなんだ」
真「で、用件は何なの?早くして頂戴」
ジ「そうだった、今日ホワイトデーだろ?だから、お返し持ってきたんだ」ガサッ
 そう言い、二人にクッキーと薔薇を渡す。
真「……その…ありがとうなのだわ…この薔薇…貴方にしては良い物を選んだのだわ…」
雛「ありがとーうなのー、ジュンだーい好き!!」ギュッ
 そう言って雛苺が抱きついてきた。その時…、
真「ちょっと!!雛苺!!下僕が私の下僕に抱きつかないで頂戴!!」
雛「あれ?真紅!雛にお餅焼いてるの?」
真「それを言うならやきもち…って、そ、そんなわけないのだわ(///)」
雛「なら、雛もっとジュンにぎゅーっ♪」
真「やめろと言ったのが分からないの!?」
 そんなやりとりを見ていて生命の危機を感じた僕は…、
ジ「じゃ、じゃあまた後で、学校でな!!」
 と言い残し足早に去っていった。
ジ「(ふう…、最後は…薔薇水晶と雪華結晶か…」


  スタスタスタ、
 辺りは謎の雰囲気に包まれている。
ジ「ここ……のはずだよなぁ?」
 目の前の屋敷を見てつぶやく……。
 それは、まるでホラー映画にでも出てくるような、しかも絵に描いたような幽霊屋敷だった。
ジ「こんな所…、人住めるのか?」
 そう思いながら門まで近づいた途端…、
  ギイィィィィィッ ガチャンッ
ジ「!!!!??うわっ」
 門が勝手に…開いた!?
 不思議に思いつつも、霊とか非科学的な物を信じていない僕は「偶然」と言うことにして
 ドアの前まで進んでいった。

   コンコンッ
 ドアをノックする。…こっちへ向かってくる足音が聞こえない。
ジ「(居ないのかなぁ?)」
 と思いつつもしばらく待ってみることにした。
 すると急に、
  ガチャッ
薔薇・雪「どちら様ですかぁ?」
ジ「!!!!うわっ」
  ドテッ
 二人が全く同じ動作で出てきたので思わず転んでしまった。クッキー&薔薇は死守!
雪「あら…ジュン君どうなさいました?」
薔薇「ジュン…大丈夫?」
ジ「(あー、ビックリした…)うん…ありがとう」
薔薇「で……、どうしたの…?」
ジ「あ、そうだった…(ガサッ)これ、ホワイトデーの…お返し…」
 そう言って起きあがり、2人に渡す。
雪「まぁ、わざわざありがとうございました…」
薔薇「ジュン…ありがと♪……感謝」
ジ「うん…あ、もうこんな時間か…じゃあ、また後で、学校で…」
雪「わかりました…、ではまた学校でお会いしましょう」
薔薇「ジュン…また…学校でねw」
 そう言って、僕はかけ足で帰宅した。
 朝食を急いで食べ、制服に着替え学校へ向かった。

 僕が学校へ着くと、もうみんな来ていた。
薔薇乙女達「ジュン!おはよう」
ジ「うん、おはよう」
 こうしてまたいつも通りの僕の生活が始まった。

~Fin~



ホワイトデー当日 番外編 「巴」
ジ「柏葉ー!!!」
 今日は、剣道の練習もないので帰ろうとしていたところを、桜田君に呼び止められた。
巴「どうしたの?」
 桜田君がわざわざ走ってきた理由がわからない私は、そう聞くほか無かった。
ジ「はぁ…、はぁ………、バレンタインの時、机にチョコ入れといてくれたの…お前だろ?」
 思いもかけない言葉に少し驚く。なぜわかったの?
巴「ど、どうしてわかったの?」
 私は、桜田君にたずねた。それもそのはず、私は桜田君に気を遣わせないように、わざと名前を書かなかったのだから。
 だから、今日のお返しとかも期待しないでいたのに…。
ジ「これでも一応、小学校の時からの幼馴染みだろ?お前の考えそうな事くらいわかったよ…
  僕に気を遣わせないように、名前を書かなかったんだろ?」
 さすが幼馴染み…、と言ったところか…、私の考えは、桜田君にはお見透しだった。
巴「……」コクッ
 それが合っている以上、頷くしかなかった。
ジ「だから…ほら、これ……お返し」
 桜田君にクッキーの箱を渡された時、涙があふれ出してきた。
 悲しい涙じゃなく、嬉しさ、そして安心感からの涙。

ジ「な、何で泣くんだよ!?僕なんか悪い事したか?」
 
 桜田君があわてる、……昔から変わらないね、そういう優しいところ。

巴「違うのぉ…ヒッグ…私は…不安だったの…ヒッグ…最近、桜田君は…あの子達と…真紅達とばっかり仲良くしてて…
  私…ヒッグ…忘れられちゃったのかなって心配だった…不安だったの…」
 
 私は、今までの自分の思いをはき出す。

ジ「……そうだったのか…ごめん…
  …でも、僕も不安だった…、だから、バレンタインの時、柏葉がチョコをくれた時…嬉しかった」

 気付いて見ればなんて事はない…、二人は昔のままだった。

ジ「柏葉…涙拭けよ……」
 
 そういって桜田君はハンカチを渡してくれた。それで涙を拭く…。
 さっきまで、ぼやけていた視界は澄み渡り、桜田君の優しい表情がうつる。

巴「また…昔みたいに仲良くしてくれるの?」
ジ「当たり前だろ…、僕達…幼馴染みじゃないか」
巴「……嬉しい、ありがとう」
 
 そう言い、私は桜田君に抱きつく…。

ジ「今日は、剣道の練習無いんだろ?久しぶりに一緒に帰らないか?」
巴「うん!」

3月14日…二人の友情が戻った日……。

~Fin~

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