教室のすみっこで一人ため息をつくことしかできない。
この場所にはママやパパはいない。
じぃじも、ばぁばもいない。
それが不安で、寂しくて、ただただ居心地が悪くて。
涙が流れないのが不思議なくらいにつらかった。
小学校に入ったとき、そんな気持ちでいっぱいだったことを今でも覚えています。
幼稚園にも保育園にも行ってなかったから、
家族以外の人と長い時間を過ごすのに慣れていなかったのです。
たくさんの人に「おめでとう」と声をかけられるたび、
何もおめでたくないのにと私は思っていました。
そんなある日のことです。
友達も作らないまま、いつものようにぼーっと休み時間を過ごしていると、
同じように一人きりで座ったままの男の子と目が合いました。
すぐに男の子は目をそらしましたが、次の日も、そのまた次の日も目はあい続けました。
そして、だんだんと男の子はなかなか目をそらさなくなっていきました。
でもやっぱり最後には男の子が先に目をそらします。
そしていつも悔しそうにします。
ようやく気付きました。
これは先に目をそらしたら負けのゲームなんだってことに。
そうとわかったら絶対に負けられません。
二人は休み時間のたびに見つめ合い、勝負し続けました。
そのうちに、男の子の顔を見るのが楽しみになってきました。
まだ一度も話したこともない男の子と、そうして勝負していることが楽しくて仕方なかったのです。
授業中にだって横目で男の子を見るようになったころ、
男の子が一日お休みをしました。
その日は一日中不安で、寂しくて、泣き出しそうなくらいにつらい日でした…。
そして私は気付きました。
男の子と見つめ合う間は不安も寂しさも、泣き出しそうな辛さも感じなかったことに。
いつのまにか男の子は友達になっていたのでした。
大事な大事な友達になっていたのでした。
次の日登校してきた男の子との勝負に、私ははじめて負けました。
目があっただけでどきどきと胸が痛くなった気がして、思わずそらしてしまったのでした。
しまったと思ってまた見てみると、男の子はすごく嬉しそうに笑っていました。
その顔を見ていると思わず笑いが勝手にこぼれてきて…
私は学校で初めて笑うことができました。
それからもう6年が経とうとしています。
私は友達がたくさんできて、いつも笑っています。
男の子もすっごく大きくなって、とってもかっこよくなったと思います。
ただ、あんまり笑顔を見せてくれなくなりました。
それはちょっぴり残念です。
でも、優しいところは全然変わってません。
一緒にいるだけで嬉しい気持ちになることができます。
だから中学に行っても、ずっとずっと一緒にいたいです。
私の初めてのお友達。
大切な大切な人。
大好きな男の子、桜田じゅんくんと。
『小学校の思い出』
6年2組 雛苺
「えっと…その…」
「?どうかしたなの?」
「これって…」
「頑張って書いたのよ!自信作なの。」
「あぁ、うん。すごくよく書けてる。」
「ありがとなの♪」
「でも、ほかに書くことなかったのか?」
「せっかくの卒業文集なのに…」
「なんだか僕のことばっかだしさ…」
「でも1番の思い出を書けって先生が言ったのよ?」
「ヒナの1番はずーっとずーっとジュンなのよ!」
「だからこれでいいのよ~」
「ば!ばかっ!何言ってんだよ!」
「本当のことなのよ。作文の最後にもちゃんと書いたもん。」
「じゅんのこと、だーいすき♪」
そう言いながら飛び付いて顔を見上げてみる。
目が合うとジュンは顔を真っ赤にして「ばかやろう」と瞳をそらしてしまう。
「ジュンの負けなのよ~」
私は笑いながらいっそうジュンに強く抱き着いた。
ふと窓から暖かな春の風が舞い込んでくるのを感じる。
あの時に『貴方がいた幸せ』を書き綴った文集は、
その風に優しく閉じられていく…
横目にそんな光景を見て、私は少し切ない気持ちになった。
けどすぐにそんな切なさは消えていく。
私の背中をぎゅっと抱きしめた貴方から伝わる優しい体温。
私はこれからも『貴方がいる幸せ』を、そのぬくもりの中に感じ続けていく。
雛「ぐぇへへへ! おまえを喰ってやるぅ!」
雛「キャー! 助けてー!」
雛「まてぇい!!」
雛「誰だ!」
雛「あなたは!?」
雛「みんなー!」
雛「レッド!」
雛「ブルー!」
雛「イエロー!」
雛「ピンク!」
(以下略)
ジ「雛苺……両手にビニール袋嵌めて、何やってんだ?」
の「テレビの影響って、怖いのねぇ……」
ジ「?」
雛「そぉれ♪ ひっとえんどら~ん♪ ひっとえんどら~ん♪ おもったいじょーにてっがムレる♪」
蒼(い、違和感が……無いッ……!)
続くかも
翠星石・真紅・雛苺がケーキを食べています
「ケーキおいしーの!」
「のりのお菓子作りの腕は確かね」
「良くできたショートケーキですぅ♪」
「あら、紅茶がないわね…ちょっと淹れてくるわ」トテトテ
「いってらっしゃいなの~」
「(きしししし、真紅が居ないこの隙にチビ苺のイチゴ貰いですぅ♪)あ!?デブネコが空飛んでるです!」ビシィ!
「ネコさん!?どこなの!?」キョロキョロ
「(隙ありです!いただきですぅ♪あむっ)ありゃ?塀の上歩いてただけだったてす」モグモグ
「うゆ…飛んでるネコさん見たかったの…ああぁあぁああああ!?」
「全くはしたないわね…レディなのだから無闇に大きな声を出すものではないわ。台所まで聞こえたわよ?」
「イ、イチゴ…イチゴが…」
「イチゴがどうかしたですか?」クククク
「…翠星石が真紅のイチゴ食べちゃったの!」
「な、なんですってぇ!?」
「いいいいっ!?何でですかぁ!?確かに翠星石はチビ苺からイチゴを…えええっ!?」
「フ…フフフフ…翠星石、覚悟は出来ているわね?」
「ちょっ、タイム、タイムです!話せばわかっぴゃー!?」
「ヒナに同じ技は2度も通用しないの。いまやこれは常識なのよ?」
それは―突然の―
「雛苺…僕は…」
「ジュン…ジュンー!」
想いは募り、崩れ去り、
「ヒナは…ヒナは…!」
ここに、舞い降りる―
「真紅!ジュンが大変なのー!」
「そ、大変ね。あら、くんくんが始まるわ」
「わーい!」
ローゼン・メイデン リバース
~アルジャーノンは笑わない~
完
雛苺は甘えん坊だ。
子供みたいに、なんでも一緒にやりたがる癖がある。
でも、そこが無邪気で可愛いのだけれど――。
紅「あら、もうすぐくんくんが始まる時間だわ。録画の準備をしなくては…」
雛「ヒナもヒナも~」
翠「お花にお水をあげるですぅ♪」
雛「ヒナもヒナも~」
の「そろそろ夕ごはんのお買い物に行かなくちゃ!」
雛「ヒナもヒナも~」
J「さてと、お風呂にでも入るとするか」
雛「ヒナもヒナも~」
J「えっ?!」
雛「ヒナはもう子供じゃないのよ」
J「…ゴクリ」
雛「ねぇ、JUN、大人なヒナは嫌い?」
雛苺は甘えん坊だ。
子供みたいに、なんでも一緒にやりたがる癖がある。
でも、時には大胆になる時もあるようだけれど――。
《Word is heart》
『言葉にしなくても、想いは伝わる………』。
テレビから流れてくる台詞。
我が同居人はのぼせた顔で聞いているけれど。
なんて陳腐な言い回し。
考えてもみてほしい。
もしも、そんな事になれば色々と大変じゃないか。
色々と。イロイロと。
――兎にも角にも。
想いは言葉にしないと伝わらない。
想いは声に出さないと伝えられない。
それだって、何所までホントを伝えられているものか。
だけども、それしか私は方法を知らない。
だから、言葉にして、声を出して。
そして、言葉はシンプルで良い。
私が抱える想いもシンプルなのだから。
そう思い、愛しい貴方に想いを伝えても。
貴方はただ、苦笑するだけ。
今はそれでもいいけれど。
でも、何時かは気付いて欲しい。
他の人には送っていない、貴方だけに伝えている、この想い。
つまりは、こう言う事なのだ。
――「うゅ~、ヒナは、貴方が大好きなのよっ」
ジ「腹すいた…」
雛「ヒナのパンをお食べ!」
ジ「すげぇ!その縦巻きロールはクロワッサンだったのか!!ありがうヒナパンちゃん!」
翠「ひひひ!今日こそヒナパンちゃんを倒すですぅ!縦巻きロールは一人で十分なんですよ!」
雛「うう…髪が減って力が出ないの…」
巴「雛苺!新しいロールよ!!」
シャキーン!
雛「萌え分百倍!ヒナパンちゃん!いくのよ翠星石ー!」
ドカァ!
翠「さーしすーせそ~せーせきぃ…」
キラーン!
巴「やったわね雛苺!」
雛「世界の萌えはヒナが守るのー!」
ジ「幼女見ながらのクロワッサンうめえな…」
うん、終われ。