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『さあローゼン・エキデンも全てのチームが二区へと駒を進め、中盤戦へと縺れ込んでいきます!ではまず現在の順位を見てみましょう』


チャラララン
1、桜田門大学
2、庭師ノ学園大学
3、有栖川大学
4、宇入大学
5、神奈川大学
~~~~~~~~~~
六、脇役選抜


『えー、現在六番目の脇役選抜は一区と二区での襷リレーが出来ませんでしたので、これからのタイムは記録には残りません。まぁ~選手としては悔しいでしょうが』
『仕方ありませんね。その残酷さも含めてのローゼン・エキデンですから』
『そしてその残酷さをもっとも表しているのがこの二区と言えるでしょう!ラプラスさん、この二区はどう攻めるべきなんでしょうか』
『選手のタイプにもよりますが…マズは前半の上り坂で体力を削られないよう注意し、後半の下りでは足や腰に注意を払う事が大切でしょう』
『さあその体力を大切にしたいとの二区ですが選手達はどうなっているでしょうか、二葉さーん!』
『はい、こちら一号車の二葉です!』
『先頭集団の様子はどうですか?』
『えー、現在一位の桜田門ののり選手は比較的ゆったりとした走りで確実に前へと進んでいます!そして単独二位になった庭師ノの翠星石選手は対照的に前半から果敢に攻めてます!もうじき順位が入れ代わりそうです!
三位の有栖川のめぐ選手はその中間の走りと言った所でしょうか!』
『ありがとうございました。や、タイム差としてはあまり差の無かった3チームですがかなり走りには違いがあるようですね?』
『それだけ各自が戦略を練っている、という事でしょう』
『成る程、やはりそれだけ選手が重要視しているこの二区です!』 

ふっふっふ!あの薔薇水晶もなかなかいい位置で渡すじゃねーですか。自分の姉相手に同着とはたいしたモンですぅ。 
「それに…見えたですよ、桜田門…!」
事前の調査で桜田門と有栖川の二人より翠星石の方がタイムがいいのはわかってるんです。ならば!ここは翠星石が一番に蒼星石へ襷を渡すのが当然なのです!
「さあ…待ってるですよ蒼星石!」

『白崎さん!今庭師ノ学園が桜田門を抜きました!』
『はいわかりました。それでは二号車周辺の動きはどうでしょうか。一葉さ~ん!』
『はい、今四位は依然宇入の柏葉選手ですがかなり早いラップを刻んでいます!そして同じく五位の草笛選手も宇入の後にしっかりと食いついています!』
『あ、今映像が流れていますが…ん~、どう見ますかラプラスさん』
『柏葉選手は宇入の中でベストタイムを誇りますから、やはりどうしても上位に上がりたいんでしょう。この選手は山登りには定評がありますからこの位が調度いいかもしれません』
『では神奈川はどうですか?』
『そ~ですね~~、みつ選手は最年長のランナーですからこのペースでは体力が心配ですね』
『なるほど。この二区は最終区へ繋ぐと言う意味でも大切な区間ですから、選手達もさぞペース配分には苦労しているでしょう!』


「はっ、はっ、はっ…」
今の順位は四番目…けしていい位置とは言えない。でもオディールは頑張った。彼女のタイムを考えればむしろいいレースだったと言える。
そして私。私に与えられた使命はこの区を一位通過すること。あの子の為に、そう…
「雛苺…」

(ねぇ、雛苺?貴方どうしてエキデンの選手の推薦を受けなかったの?せっかくのチャンスじゃない)
(巴の言う通りよ。タイムなら貴方が選ばれるべきなのに。どうして?雛苺)
(うい…巴、オディール…ヒナ、一人で走るのは好きだけど…人を抜いていくのは好きになれないのよ…)
(雛苺…)
(エキデンは皆が頑張って頑張って、本当に頑張ってたどり着ける舞台なの…だから人を抜くのが辛いのよ…)
(困った子ね…どうする?巴)
(簡単よ。ねぇ雛苺)
(うい?)
(なら、私が貴方に一位で襷を渡せばいいだけ。そうすれば貴方はゴールだけ見て走ればいいじゃない?)
(あ…でも…)
(大丈夫。私とオディールが必ず一位で襷を渡すから。ね?)
(…うい!わかったの!じゃあ先生に言ってくるのよ!)
(あ、行っちゃった。でも魔の二区を一位宣言なんて…大丈夫なの?)
(実は…今困ってる…)
(ふふふ、まぁ仕方ないわ。私と二人で雛苺のために一位を目指しましょう)
(うん。頑張ろう)

自分のために。チームのために。応援してくれる皆のために。そしてなにより、雛苺のために私は-
「待っててね…雛苺…!」


『さあ二区の山登りも半分を終え、辛いローゼン峠の頂上を目指す数キロを向かえます!果たして選手達はこの峠の魔の手から逃れられる事が出来るのでしょうか!ではここでCMです!』


「ゴクッ…ゴクッ…ゴクッ…プハ~!見て見て~!し、ろ、ひ、げ♪」
「乳酸菌委員会です」


『…さあ頂上に近づくにつれ次第に気温も下がってまいりますこのローゼン峠。ラプラスさん、この気温は選手にどのような影響を与えるんでしょうか』
『まぁ、このくらいならむしろ選手にとっては走りやすいと思います。ただ、ちょっと風が向かい風になっているのが気になりますね』
『そうですね~このローゼン峠を過酷なコースといわしめる理由の一つにこの風があります!その風をいかに…』
『白崎さん!』
『はいどうぞー』
『こちら先頭の庭師ノ学園ですが、今峠を越えました!かなり速いペースできていましたが、下りになったところで少しペースを落としました!』

「ふー、ふ~!…はぁ、は~…」
やれやれですぅ…ようやく坂道が終わりですか。でもこれで大分差が開いたハズです。この後は下りですから、同じペースで一気に行くですよ。ん…霧ですかねぇ…ちょっと前がぼやけるですぅ…

『まぁよくここまであのスピードで来れたと言うべきでしょう!そして庭師ノ学園が下りに入ったところで有栖川が桜田門を抜きましたね。依然三位ののり選手は自分のペースを守っていますが…あ!今画面の隅に見えたのは二号車ですか?』
『こちら二号車ですがそのようです!現在こちらからも微かにですが一号車が確認できる状態です!』
『これは宇入はかなり速い時期に追い付いてきました!一葉さん、五位の神奈川の様子はどうですか?』
『あ、神奈川のみつ選手は三分ほど前からペースを緩み初めて今は300メートル程後方に位置している状態です!』
『ん~、やはりこの坂をハイペースで上るのはキツかったようですね』
『そうですね。ただ選手達にはこの上りから下りなった事で自分のペースを乱したり体に付加をかけすぎないようにしてもらいたいです』
『はい、確かに何人かの選手達は少し辛そうな表情を浮かべてるようにも見えます。さあいよいよ二区も折り返し!この心臓破りの坂を抜けた選手達には一体どんなレースがまち受けているんでしょうか!』


「ん…ッ…はぁ…」
少し胸が苦しいわね。いつも走ってる時より鼓動が速い気がする…でも坂は上りきれたわ。あとは水銀燈の元へこの襷を渡すだけ。
今は二位…なんとか三位までは守らないといけないわ。だから安易にペースは落とせない…お願いだからもってね、私のカラダ…!


ジャジャーン!
「新年公開!年初はくんくん・ザ・ムービーで!客席総立ち、なりやまない歓声!アメリカの全紙が褒め称えた『名探偵くんくんと賢者の骨』大ヒット公開中!」
「今年も、よろし~くんくん!!」
「来場者には『限定10000台、全自動くんくん卵割り機』をプレゼント!」 


『…この辛いも二区いよいよ終盤。選手達にはさらに辛い状況に立たされていることでしょう!いかがですかラプラスさん。ここまでをご覧になって』
『上りが予想よりもハイペースでしたからね。ちょっとこの後が不安になりますが…』
『順位としては、逃げる庭師ノ学園を有栖川、桜田門、宇入が追う、という状況ですが』
『そうですねぇ…ポイントとしては宇入の柏葉選手がどこまで順位をあげられるか、後は各選手が自分の走りを維持出来るか、といったところでしょうか』
『それはやはり前半のハイペースな…』
『白崎さん!白崎さん!』
『はい、どうしました?』
『こちら一号車ですが庭師ノ学園に異変です!峠を下り始めたあたりから手元の時計でもみるみるペースが落ちて、今は蛇行しながら走っている状態です!!』

あ、あれ…なんか…変な感じですぅ…
急に寒く…いや、暑くなった…?でも体が震えるですし…
何なんですかコレは…翠星石は…早く…蒼星石の所へいくんですのに…
上手く…走れねーですぅ…

『ああ!これは庭師ノ学園にアクシデント発生です!ラプラスさんこれは…』
『どうなんでしょう…レース前から何かあったのか…すこし前半に力み過ぎていたようにも見えましたので、何かその辺りが原因じゃないかと思いますが』
『しかし一位を独走していた庭師ノ学園にとってこれは痛い!…あ~と!今有栖川が庭師ノ学園を抜きました!そして、三位に浮上した宇入、それに続く桜田門が抜いていきます!これで庭師学園ノは一気に四位になりました!』

「はぁ、はぁ…よし!」
今抜いたのが庭師ノ学園。様子がおかしかったから多分なにかトラブったんだ。
さっき桜田門を抜いたからこれで二位。残りは…あと一人!

『さあ大変なレースになって参りました。これで一位争いは有栖川のめぐ選手と宇入の柏葉選手が競り合うという型に。それにしても桜田門ののり選手は安定してますね~』
『はい。決して速いとは言えませんが、確実に確実に襷を繋ごうという意思が見受けられる走りです』
『そして…あ、ついに宇入が有栖川を抜き単独一位になったようです!これで宇入の柏葉選手は三人抜きを達成したことになります!』
『いや、流石ですね。前評判通りの走りです』
『ただ今二位に落ちた有栖川ですが…胸の辺りを手で押さえますね…ちょっと苦しそうです!これは庭師ノ学園に続いてのトラブルとなってしまうのでしょうか!?』 


「くっ…!かはっ…」
こ…こんな時に…!もう少しで、あと数キロでゴールなのに…!
痛い。苦しい。呼吸が荒れる。
これが練習だったら即病院行きね。でも…

(めぐ…話しがあるの)
(あら、なあに?)
(貴方…今度のエキデン、やっぱり止めなさい)
(もう、今はちょっと足が張ってタイムが伸びないだけよ。冬までには…)
(聞いたのよ、貴方の主治医に)
(…そうなんだ)
(無断で聞いたのは謝るわぁ。だけど、今の貴方じゃ二区どころかエキデンなんてとても無理よぉ!貴方はまだ2年なんだから来年も再来年だって…!)
(水銀燈、私ね…来年大学を辞めるの)
(え…?)
(入学するときにパパとの取り決めでね。悪化したら、次の年に辞めるって)
(だ…だったらせめて二区じゃなくても…!)
(水銀燈。私が今日まで走ってきたのはね、エキデンで貴方に襷を渡したいからなのよ。そして、一位でゴールテープをきった貴方を抱きしめるため。私はそのためだけに走ってきた…)
(でも…!)
(お願い水銀燈。これが私の最後のレース。そして最初で最後の目標なのよ)
(めぐ…)
(走らせて)

「……ッ!!」
そうよ…まだ終わるもんですか!この襷を水銀燈に渡すまで走る、そう誓ったんだもの!
もう走れなくなってもいい!一生入院生活になってもいい!死んだって構わない!!だけどこの襷を渡すまでは倒れるもんか、死んでやるもんか!!
「あああああああ!!!」


『おっとここで有栖川の柿崎選手がペースを上げました!目もしっかりと前を見つめています!』
『柿崎選手は少し心臓に持病があるということでドクターの車が常に並走していますが…今のは大丈夫と判断したんでしょうかね』
『おそらくドクターからすれば今すぐにでも止めさせたいのでしょうが、柿崎選手の気合いがそれを許しません!現在一、二位の両選手は見ているだけでこちらにもビンビン熱意が伝わってくるようです!
さあまもなく一号車がこの辛い二区の終着点、ローゼン台地の入口を捕らえそうです!あ!見えました!今、三区のスタート地点から柏葉選手が見えました!』


「かはぁっ!くはっ!かっ…!」
なんとか一位でこれた…でも、それだけじゃダメ…次の雛苺の相手はおそらく名門有栖川の怪物、エース水銀燈。
雛苺が逃げ切るには…私が一秒でも…!
「あっ…かっ…!」
もっと動いて!私の足!もって速く!もっと!もっと…!

「トモエー!こっちなのー!」
皆は頑張ってって言うけれど、ヒナは言わないのよ…だって、だってあんなに頑張ってるトモエ初めて見るもの!あれ以上頑張れなんて言えるワケないわ!
ヒナが…ヒナがあんな約束させたから…オディールとトモエにこんな辛い思いを…
「雛…苺…!」
「トモエ!あと少しなのよ!」
ううん、今はそんな事考えるのは後よヒナ。ヒナ決めたのよ。このレース…絶対に勝つの!! 

『今宇入が一位で襷リレー!いやぁ柏葉選手素晴らしい走りでした!おっと区別新記録が出た模様です!前の記録を30秒以上縮める大記録となりました!』
『最後かなりペース上げましたからね。レースにかける想いの大きさがよくわかります』
『そして…一位の宇入から1分40差で有栖川が入ってきました。あー辛そうです!顔をしかめ、胸を押さえ、それでもなお走り続けます!』

「めぐ…貴方って子は…本当に…」
「水…銀、燈…がん、ば…」
「ふっ…少しは自分の事も考えなさいよぉ。でも…」
「水銀燈…!」
「貴方の夢?目標?何だって叶えてあげようじゃないのぉ!」

『柿崎選手、崩れるようにして二区を走り抜けました!そして速やかに担架に運ばれていきます!』
『本当によく頑張りましたね。ゆっくりと休んで欲しいと思います』
『そして後から桜田門、間をあけて神奈川、選抜がリレー!え~…そして最後の庭師ノですが…』
『白崎さん!こちら三号車ですが、庭師ノの翠星石選手は辛うじて前に進んでいるといった様子です!手元の時計で単純に計算しますと、ぎりぎり間に合わないペースです!』


ああ…ここは…何処でしょう…ゴールは近いんですかね…翠星石は…何処に向かえば…
(…石)
ん…なんです…声でしょうか…もう…何も聞こえないハズですけど…
(…星石)
でも…この声…何処かで…えっと…たしか…
(翠星石!)
「はっ…!」
ワアアアアア…
ここは…ローゼン台地の入口の前。そうです、翠星石はもうここまで来てたんですよ!
「うっ…!?」
くっ…相変わらず気分が悪りーですが…
(翠星石!)
聞こえるですよ…この声の方向に…ゴールが…蒼星石がいるです…!

『さあ残り30秒!果たして庭師ノは間に合うのか!もう姿は見えている!翠星石選手もわかっているでしょう!あと少し!あと少しですが…あと20秒!!』

「翠星石ー!」
見えましたよ蒼星石…そこで…待ってるですよ…今、襷を渡しますから…
「こっちだ!ここだよ翠星石!ここだ…」
そんなに言わなくても…わかってるですよ…ほら、随分遅れちまいましたが…襷を、受け取るで…

パーーーーーーン!

『あーーと!ここで無情にもピストルの音が響きましたーー!!!あと数メートル、あと数歩というところで、庭師ノ学園大学、ここで襷が途切れましたーーー!!!』

え…?何で…何で走っちゃうですか…?待つですよ蒼星石…まだ…襷、渡して…な…
ガシッ。
「お疲れ様だ、翠星石」
「槐…コーチ?離すです…まだ…妹に…襷を…」
「もう蒼星石は居ない。繰り上げスタートだ」
「え…?じゃあ…翠星石は…」

間に…合わなかった…

「う…あ…ああああああああ!!」
「翠星石…!」
「まだです!まだ走れるですよ!?ぐっ…妹に…蒼星石に襷を渡すまで…ゴホッ!ゴホッ!」
「もう終わったんだ!もういい、今は休め!」
「…うっ…ヒッグ…でも…しゅい星しぇきのぜいで…たずぎ…途切れちゃ…」
「…いや、ちゃんと蒼星石は受け取っていたよ。君からの襷を。その証拠に、彼女はとても凛々しい顔でスタートしていった」
「ぐっ…ひっ…蒼しぇえじぇぎ…」
「悔しいか」
「でずぅ…でずよぉお…」
「なら今よりもっと強くなることだ。私が鍛えてやる。私を信じろ。だから…今は休め」
「ばい…ゴージィ…う…うああああああああああああ!」

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