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『皆様、新年明けましておめでとうございます。澄み渡る晴天もとに集ったアスリート達。そんな彼らが挑むのは魔物巣くうこのマラソン発祥の地、ローゼン峠。その先にあるのは勝利か、はたまた敗北か!?
第195267回ローゼン・エキデン。間もなくスタートです!』


「そ~れそ~れ乳酸菌飲料~はいっ!」
「飲みなさいよぉ。」


位置について!…よ~い…
スパーン!!
ワァアアアアア…

『さあ始まりましたローゼン・エキデン!実況は私白崎が上空300メートルよりお伝えいたします!今日の解説はおなじみ、ラプラスさんに来ていただいています!ラプラスさん今日はよろしくお願いします』
『どうも、お願いします』
『それではまず各大学と選手をご紹介しましょう!』


チャララララン
桜田門大学・真紅→桜田のり→桜田ジュン
庭師ノ学園大学・薔薇水晶→翠星石→蒼星石
有栖川大学・雪華綺晶→柿崎めぐ→水銀燈
宇入大学・コリンヌ→柏葉巴→雛苺
神奈川大学・金糸雀→草笛みつ→佐原
脇役選抜・ベジータ→笹塚→梅岡 


『…はい、今画面に各情報が出ておりますが、このローゼン・エキデンでは選抜を合わせ全6チームが3区間を襷を繋いでいくという形になっております。いやぁ、怱々たる面々が集まりましたね!』
『はい。これは期待が出来そうです』
『ではコース紹介に移りましょう。まず一区はローゼン峠の入口から湖畔を一周してローゼン滝へと向かう全長25キロのコースになっています。ラプラスさん、このコースはおなじみですが…』
『比較的緩やかな地形と風にも恵まれていますので、各自全力を出し切る事が重要になってくるコースですね』
『そして何と言っても魔の二区と恐れられる次のコース!高低差800メートルにもなるローゼン峠の横断!直線距離こそ最短ですが』
『ええ、毎年ランナーを苦しめている通り、ペース配分、事前トレーニング、コンディションの全てが揃わなければ思うようには走れないでしょう』
『最後の三区は最長の32キロをほこるローゼン大地を駆け抜け、見事この薔薇立競技場へと帰る体力勝負となっております!』
『はやる気持ちを抑え、どれだけ自分の走りが出来るかが勝負のポイントになってくると思いますね』
『まさに新年に相応しい過酷なコースと言えるでしょう。それでは選手達の様子を見て見ましょう。二葉さーん!』

『はい!こちら一号車の二葉です!現在は桜田門の真紅、庭師ノ学園の薔薇水晶、有栖川の雪華綺晶が一位集団、その後ろに神奈川の金糸雀、宇入(うにゅー)のコリンヌと続く形になっています!』
『二葉さん、選抜の選手はどうなっていますか?』
『えっと選抜のベジータはスタート直後にお腹とお尻を抑えてコースを外れてしまいましたのでこちらからは確認出来ない状況です!』
『そうですか。では新しい情報が入りしだい伝えてください』
『了解です!』


この湖も見るのは二回目かしら。天気もいいし体調も問題なし。後の二人の事を考えればなんとかここで一位を…いえ、引き離しておきたいところね。
それにしても、今朝のジュンの慌て用といったら酷いものだったわ。まぁ、アンカーを任されている重責はわからないでもないけれど、私が時間を稼ぎ、のりが堅実に繋いぐというお膳立てが出来ればあの子も少しは落ち着くはず。
(もう少し…ペースを上げた方がいいかもしれないのだわ)
ぴったりと後ろに着いてくる二人は互いに意識しあっているように感じるし、引き離すなら…今のうちかもしれないわね。
(…よし!)

『白崎さん!こちら一号車ですが動きがありました!桜田門が今手元の時計で10秒ほど差をつけています!これで単独一位になりました!』
『はいどうも!…いや、ラプラスさん。かなり早い時期に仕掛けましたね』
『まぁ、桜田門の中でベストタイムを持つ真紅ですから…後続の為にもこかはなんとしても余裕を作りたいところなんでしょう』
『これで先頭集団は桜田門を庭師ノ学園と名門有栖川が追う、という状況になりました』


「桜田門の方が先に行かれたようですが…追わなくてよろしいのですか?」
「私は…私の目標を超えるだけ…」
ふふっ、しはらく見ないうちに随分たくましくなりましたわね、ばらしーちゃん。
貴方と走った記憶の中ではいつも私の後ろをちょろちょろとついてくるだけでしたのに、それが今では…
「・・・」スッ
「・・・」スッ…ピタリ。
しっかりと真横に並走するまでになったのですから。私がペースを上げても下げてもぴったりと。余程私を意識しているのですね…
そう、私はいつも貴方の目標でした。私はいつも貴方よりも早く走る事ができましたからね。だから私は貴方を支え、指導するのが役目だと思っていました。
…でも。
貴方が選んだ道は、私が襷を渡すのでもなく、私に襷を渡すのでもなく…
「・・・」タッタッタ
「・・・」タッタッタ
こうして、私と競い合う相手となる事でした。
今だから言いますけれど、貴方が違う大学へ進むと言った時、私は驚くと共にとても不安だったのですよ?果たして私と違う学校でやっていけるのか、果たして私がいないで早く走れるようになるのか…
しかしそれは私の杞憂だったようですね。いえ、正直なところ、私は貴方と同じチームで走りたかったのです。貴方と一緒に練習がしたかったのですよ。しかし貴方は私を越えるために別の道を進んだ。そして確かに強くなりました。でも--
「まだまだ、私は越えさせませんわ…!」
「私は…お姉ちゃんを越える…!」
絶対に負けられませんわ。私が、貴方の目標であり続けるために。

「随分ハイペースかしら」
もう、一区は穏やかに進むって聞いてたのに…いきなりサバイバルレースになってるかしら。
さっきまで隣を走ってた子も前の人達に釣られて行っちゃったし。でも!カナは焦らないわ!みっちゃんから『自分のペースで走ってね!無理しちゃダメよ!?』って何度も言われてるもの!…でも一人取り残されるのは面白くないかしらぁ~


『さぁ、大分バラけてきました。では一区の途中経過をお伝えしましょう』


チャラララン
1、桜田門大学
2、有栖川大学
2、庭師ノ学園大学
4、宇入大学
5、神奈川大学
6、脇役選抜(行方不明)


『…どうですかラプラスさん。ここまでの展開は』
『全体的に少しハイペースな事以外は予想通りと言ったところだと思います』
『さぁそろそろ中間点を越えたあたりですが…』
『白崎さん!白崎さん!』
『はい、どうぞー』
『こちら二号車の一葉ですが庭師ノ学園の薔薇水晶選手のペースが少し落ちて有栖川が単独二位になっています!そして宇入が庭師ノ学園を視界に捕らえそうです!』
『はい、ありがとうございました。どうですかラプラスさん。二位争いは有栖川に軍配が上がったと見ていいんでしょうか』
『まだ中間地点ですから…なんとも言えませんね』
『そして宇入大学のコリンヌ選手ですが…あ、このままのペースですと自己ベストを2分縮めることになります!』
『かなりのハイペースですね。少し辛そうに見えるのが気になりますが』
『やはりどのチームも次の二区の選手のためになんとかいいポジションにいたいという事なんでしょう!それではここでCMを挟んで、一区の後半戦へと移ります!』


「乳酸菌飲料には、イライラを静めるカルシウムの他、腸の調子を整える乳酸菌が多く含まれています。貴方も乳酸菌飲料を飲んで健康な一日を過ごしましょう」
「お~っほっほっほ~!乳酸菌とってるぅ?」


『…さぁ、間もなく先頭車両が二区のスタート地点を捕らえそうです。依然順位の変動は見られませんが、果たしてこのまま二区へと…』
『白崎さん!二号車の一葉です!』
『はい一葉さん』
『今庭師ノ学園がペースが落ちはじめた宇入を引き離し有栖川に追い付こうとしています!凄いスピードです!』


ワアアアア…
「…ッ!!」
まさか…まさか始め私にぴったりと並走したのも、中盤でペースが落ちたのも…この時の為だと言うのですか!?
「ばらしーちゃん…貴方…!」
「これが私の走り…私がお姉ちゃんに勝つための策!」
違う…私の知っている薔薇水晶は後半でこんな走りが出来る選手じゃなかった…。この末足、昔私が一度だけばらしーちゃんに使ったのと同じ…いや、それ以上の伸び!
「ですが…ですが私は貴方に負けるわけにはいかないのです!」
私が貴方に負ければ…貴方はもう私を見続けてはくれない…
「私も成長した…いつまでもお姉ちゃんの後ろを付いていく薔薇水晶じゃない!」
「あああああ!!!」
「はああああ!!!」


『さあもうすぐ一位の桜田門が襷リレーを行います!それを追いかける有栖川と庭師ノ学園ですが…いや凄いペースですね!』
『相乗効果と言うんでしょか…互いが互いを引っ張り合っているように思えます』
『その差はもう1分ありません!恐らく真紅選手もわかっているでしょう!…おっと、ここで真紅選手が襷をとりました!』

「真紅ちゃ~ん!!こっちよぅ~!」
「くっ…!」
はぁ…はぁ…!なんてこと…あれだけ離したと思ったのに、すぐ後ろから声援が聞こえるなんて!少しでも…一秒でも差を付けないと…!
「のり!後は頼んだのだわ…!」
「お疲れ様真紅ちゃん!」

『今桜田門が襷を繋ぎました!さあすぐ後ろから有栖川と庭師ノ学園がやってきます!もう二人とも襷を握りしめ全力疾走しています!』

「薔薇水晶~!こっちですぅ!!」
「頑張って雪華綺晶!」
「はぁ…くっ…あああ!」バッ
「うっ…ツッ…やああ!」バッ

『有栖川、庭師ノ並んで襷リレー!!ああっと二人とも倒れ込みました!今係員がタオルを巻いて脇に寄せています…っと、今二人のタイムが出ていますが…これは…同着ですか!?』
『いや、これは珍しいですね』
『そしてお互いがベストタイムを更新するというレースになりました。さて…ここで宇入大学が入って来ました!一位とは二分四秒差となっています。あ、そのすぐ後ろに神奈川大学も迫ってますね!』 

「はぁ…ごめんなさい巴さん…!」
「ううん…上出来よ。後は任せて」
「はいっ…!」
ぱしっ。

「カァナアアアアア!!!」
「はー!は~!やっはり折角の舞台だもの…ちょっと無理するくらいがちょうどいいかしら!でも、流石にこのペースは辛いかしら~…!」
「頑張ってぇええええ!!」
「受け取ってみっちゃん…!」バッ
「いよっしゃあああああ!!!」


『さあこれで5チームが二区をスタートしました。あっとここで情報が入ってきました。えー、脇役選抜のベジータ選手ですが、公園のトイレでお尻を出して倒れていたとの事です。そして…あっ、途中棄権扱いとなったようですね』
『あ~、残念でしたね』
『これで二区走者の笹塚選手は自動的に繰り上げスタートとなります。まぁ来年また頑張ってもらいましょう』
『そうですね』
『さてこの一区の区間賞は一位通過の桜田門、真紅選手となりました。いや流石ですね』
『はい。自己ベストには及びませんでしたがなかなかの走りでした』
『さあ次は魔物が住むという峠上りの二区!一体どんなドラマが待っているのでしょうか!ではここで一旦CMです!』 


「お前さ、あの選手の中だと誰が好み?」
「そうだな~、先頭の子かなぁ~」
「はぁ!?ナイチチじゃねーか!」
「てめぇ!つるぺたナメんな!ロリは世界を救うんだぞー!!!」
ガッシャーン!
ローゼン・エキデンは世界つるぺた連合会と協賛しています。


「はぁ…はぁ…はぁ…」
「だ…大丈夫ですか?ばらしー…ちゃん…」
「うん…体…動かないケドね…」
それは私もですわ…まったく、情けない事ですが。
「…タイム、もう聞きました?」
「うん…同着だってね」
負けなかったにせよ、あのばらしーちゃんが私と同着するまでになるなんて…
「…強くなりましたわね」
「…頑張ったよ」
「でも…もうこれでばらしーちゃんの目標はもっと上になってしまうのですね…」
「そんなことない」
「え?」
二人仰向けで寝転んでいるところを、首だけばらしーちゃんの方へ。
「私の目標はいつもお姉ちゃん…でもこれで、私の事…ライバルとして見てくれる?」
ライバル…私と、ばらしーちゃんが…
「…ふふっ。そうですわね…そういうのも、良いかもしれませんね」
「うん♪」
はぁ…いつまでも頭を撫でるだけではダメなのですね。私もいい加減、妹離れしないといけませんわ。でも今は…
「はぁ…ふぅ…」
「・・・」
この成長した妹の横顔を、眺めさせて下さい…

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