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夜9時。
夕飯もとっくに済んで、みんなそれぞれにのんびり過ごしてるというのに、
まだ帰って来ない奴がお父様以外に1人いるです。


──水銀燈。


炬燵に頬杖をつきながら待ち続けて何十分経ったですかね。
今日の翠星石はおめぇに対する不満に満ち満ちているですぅ…
あんな恥ずかしい雑誌を男どもの群集の中を突っ切って買わされて、
あんな恥ずかしい雑誌をジュンに見せて、
あんな恥ずかしい雑誌をニヤニヤしながら受け取られたこの気持ち…

雛「…」
翠「…」
雛「…すいせいせき…?」
翠「…何ですかぁ?」
雛「きゃあぁぁっぁ!怖いのぉ!!」

何と失礼な!
そんな絶叫してまで逃げることはないはずです…
今の翠星石はそんなに怖い顔でもしてるんですか?

ふん。まぁそんなこたぁどうでもいいです。
どーせ水銀燈はアレを買うのに慣れてるんでしょうけど、
翠星石は顔から火が出る思いでしたよ!

そこで水銀燈は翠星石が潔癖症なんだって反論するんでしょうけど、
それだって水銀燈が慣れているからこそ出る言葉なのであって、
翠星石にとっては……あの…その…

…ったくもう…とにかく帰りが遅せぇです!

ピーンポーン

翠「あっ…」
薔「あ、来た」

いよいよ帰ってきやがったですね!

雛「うゆーい、すいぎんとーだぁ~!」
翠「翠星石が行くです…」
雛「ひっ…」

~~~~~

銀「ただいま~…」

うおぉぉ!鍵持ってましたか…
でも全力で行く手を阻むです!

翠「そうはいかんです!」
銀「…ハァ?」
翠「こっから先には入れさせねぇです!」
銀「あ、そ」
翠「何ですかその無関心な態度は!」
銀「はぁ…相変わらずお馬鹿さんなこと」

カチン!!

翠「何もかもお前のせいです!この馬鹿姉が!」
銀「ほう?」
翠「高二病!」
銀「…」
翠「すっとこどっこい!」

ピーンポーン…

銀「あ、誰か来たわ」
翠「だから人の話を聞けです!」
銀「え?まだ何も言ってないじゃなぁい…」

ブチッ!!!

翠「…」
銀「…何よ。こっちはもう早く寝たいの…もうクタクタ…」
翠「…この…ジャン“プ”がぁぁぁッ!!」

バシッ!

銀「…」

うっ…この渾身の右ストレートを受け止めたですとぉ?

翠「…」

ガチャ…

蒼「ただいまー…?」
銀「ふっ…ジャン“プ”ねぇ…」
翠「…」
銀「あなたのそういうところは、さすが私の妹って思えるけど、
  この突き出された拳はどういう意味かしら…?」

くぅぅ…悔しいというか情けないですぅ…

翠「…」
銀「──私の顔面を貫こうなんて…100万年早いのよ!!」
蒼「はいはいストーップ!」

~~~~~

銀「──ごめんなさい。その事は普通に私が悪かった…」
翠「こんな騒ぎにしてしまった翠星石も馬鹿ですぅ…ゴメンですぅ…」

1階の和室で講和会議が開かれたです…
座布団の上に正座で向き合ってお互いの立場を説明し合ったです。
ま、あっさり和解出来たのですが…

銀「冗談のつもりだったんだけど…」
翠「…」

冷静に考えてみれば、買わなければ済んだ話なのです…

蒼「喧嘩の原因聞いて笑っちゃったよもう…」
翠「笑い事じゃねぇです!」
蒼「ごめん」
銀「だからもう寝かせて…お願い…」
翠「寝るのはまだ早えぇです!」

和解はしたとして、ちょ~っと聞きたい事があるんです。

銀「あんたねぇ…今日は朝から部活だったのよぉ?
  ジュンくんのお見舞いにも行けなかったし…」
翠「そりゃ分かってますよ…」
銀「さっきの話だと、ジュンくん喜んでたんでしょ?」
翠「…そうです。鼻の穴デカクしてやがりました…」
銀「だったらそれでいいじゃなぁい」
翠「そうじゃなくてぇ…」

本意はきっとまた別のところにあるはずです…

翠「例えば…“ジュンが中二病かどうか確かめる実験”だとかいって──」
銀「Zzzz…あ、こめんなさい…寝てた」
翠「…」
銀「…でも、ちょっと試してみただけぇ…」

寝てる割には話の道筋は理解してやがるんですね。
…って、ちょっと!

翠「あっ!やっぱりくだらない実験してたんですかっ!」
銀「さっ…そろそろ寝ようかしら…」
翠「……」
銀「本気で眠いから…お風呂入る前にもうこのままここで仮眠とってもいいかしら?」
翠「きぃぃぃぃぃーーーーッ!!! 完璧になめてやがるです!!」
蒼「2人とも…抑えて」
銀「Zzzz…」

──今日の水銀燈は見てるだけでイライラするです…

翠「…とにかく、“中二病”というのを永続的に禁句にして欲しいです!」
銀「あ~はいはい…Zzzz──」
翠「こっ…コイツぅぅぅぅ…!」
銀「…はっ…“コイツ”ですって?!」

ほーら、起きようと思えば起きていられるんじゃないですかっ!
もう何か水銀燈全般が凄まじく気に入らねぇです!

翠「えぇ“コイツ”です。お前がです」
翠「“お前”ぇ?…この…中2の分際で…」
翠「やっぱり…いいですか?…一発…」
銀「あぁ?どうぞお気に召すがままに!やれるもんならやってみなさいよ」
蒼「ほら2人とも!」
翠「水銀燈!まずおめぇがバスタオル一枚で家の中をウロウロするから、
  ジュンがあぁいうのを見て鼻の下を伸ばすようになるんですよ!」
銀「あんただって、前の春休みに洗面所でジュンくんと言い争ってた時に
  思いっきり素っ裸だったじゃないの!ばっかみたい!」
翠「なっ──」

スパァン!

──襖が…開いた…?

母「コラァ!あんたたちうるさいよ!」

ひぃぃっ……一番怖えぇのがしゃしゃり出てきたですぅ…

母「また喧嘩ぁ?」
銀「仲良くしまーす…」
翠「仲良くするですぅ…」
母「そ」

…そうして襖を開けたままリビングの方へ引き返していくお母様。
はぁ…危機一髪だったですぅ…。

銀「ごめんなさい…もう中二病関連には手をつけないから…」
翠「こっちこそ…気に障る事言って悪かったです…」
蒼「やれやれ…」

~~~~~

それから水銀燈は仮眠をとったにも関わらず、
お風呂場でも湯船に浸かったまま寝てしまったらしいです。

お風呂場が静かだったからって真紅が覗いて確認したから助かったものの、
もしジュンの野郎だったら気づかずに電気消して放置してたところだったですw

──さてさて、そして早ければ明日退院ですねぇ。
巴ともメールで迎えに行く行く時間とか話し合いましたし、
色々と楽しみですぅ~

どういう形で迎えに行きますかねぇ。
思いっきり甘えてやりますかねぇ。
それとも…グフ…フヒヒヒヒヒw

蒼「翠星石?…また妄想?」

そうやって、ベッドに横になってあれやこれやと想像していたら、
下のベッドから蒼星石が話し掛けてきたです。

翠「…そそそ…そんなわけねーですよ」
蒼「不気味な笑い声が聞こえてきたから…」
翠「…あう」
蒼「学校で発作が起きないのが奇跡に思えてきたなぁ」
翠「発作って…そりゃねぇですよ…」
蒼「ごめんごめん。言い方が悪かったね」

まぁ発作って言われても仕方ない部分は認めるですよ?
…でも恥ずかしいから高校入学までには直したいものなんですけどねぇ──

蒼「それでさぁ…」
翠「…何ですか?」
蒼「ジュン君が引き篭もってから、妙に気が立ってない?」

意表を突く問いかけですねぇ…

翠「そっ…そんなわけねぇです」
蒼「…そう?」

そんな馬鹿なこと…あるわけねぇですよ…

翠「…そうですよ」
蒼「じゃあ…前よりもっと甘えん坊になってない?」

うっ…

翠「そ、そうですかねぇ…」
蒼「…そう思うんだけどなぁ」

さっさとこの話を終わらせてしまいてぇです…

翠「ささ、明日に備えてさっさと寝るですよ。
  おやすみです~」
蒼「あ、うん。おやすみ…」

むぅ。
翠星石はジュンがヒッキーになってからでも
別に普段と変わんねぇですよ。
普段と変わらない。
えぇ。きっとそうです──

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