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この前、めぐのお父さんから聞いた言葉がまだ頭から離れない。
あの時、めぐのお父さんからは病室の番号を教えてもらったけれど、

父「まぁ、大したことないから…」

って言って肩を落としていた姿が頭が離れない。
そんなに重い病気なんだろうか…

今日は部活の遠征で病院に行くのは厳しいかなって思ったけど、
家に帰ってから面会終了時間までには間に合いそうな気がして──

お母さんから電動自動車を借りて丘の上までひたすら漕いで、
19時20分。余裕だ。

ここに来たからには、
何を聞いても泣かないようにしないと…

~~~~~

ここが、めぐの病室…
個室なんだ…

コンコン

──ノックしてみる。

め『入って』

──そして入る。

巴「こんばんは~」
め「……?」
巴「びっくりした?」
め「えっ?」
巴「へへん♪」
め「──とっ…巴!」
巴「幼稚園以来ね。めぐ」

私はベッドの近くのパイプ椅子に腰掛けた。
めぐはマスクを着用した。

め「…あっ、今はあまり私に近づいちゃダメよ。肺炎だから…」
巴「肺炎??」

何かひんやりした物が私の胸の中に流れ込んできた。

め「うん。マイコプラズマ肺炎っていうんだって」
巴「肺炎って大変な病気じゃない…大丈夫?」
め「普通にしていれば死にはしないらしいから大丈夫…」
巴「そうなんだ…」

はぁ…焦った…。

め「でもこれで私は出席停止扱いみたい。入院したときは熱が高かったから…」
巴「えっ…それってやっぱり怖いじゃない」
め「人によるんだって…あと、飛沫感染らしいから、気をつけて…」
巴「うん…」
め「…あ、そうそう」

めぐはメモ紙を取り出して、何か書き始めた。
…何だろう。

め「病院の中じゃ使えないからね…はい」

受け取ったメモ紙に書かれていたのは、携帯のメールアドレスだった。

め「入院する前に買ってもらったばかりなんだけどね」
巴「あっ、じゃあ私のアドレスも…」

私もペンを貸してもらってメモ紙に自分のアドレスを書いた。

巴「はい」
め「これでいつでもやり取りできるよね」
巴「うん──」

~~~~~

以外とあっさり面会が終わってしまった。
何だろう。

めぐのお父さんとは対照的に表情が明るかった。
空元気なんだろうか…
う~ん──

──この時点で、時間が少し余っていた。
あと15分…いける!

──桜田君の見舞いにも行こっと。

~~~~~

──あ、ここが桜田君の病室かぁ。
掛かってる名札の位置からして、窓側に寝てるんだね。

…夜だから静かに…。

やっぱりカーテン閉め切ってるし…
バッて開けてびっくりさせよっかなぁ…w

サッ!

巴「こんばんは!」
ジ「…Zzzz」

──寝てる…。

ジ「…水銀燈…重いよ」

──寝言だ…w

ジ「…何で…リズミカルに…ウソだ!…」

──何してるんだろ…w

ジ「ばらしー…炬燵…引っ張るなぁ…」

──炬燵かぁ…冬の夢見てるんだ…。

ジ「…ハ-イレハ-イレハイレハ-イレホー、ホッホー!!…」

──テンション高いなぁ…w

ジ「Zzzz…?…わっ!!」

飛び跳ねて後ずさり布団を被る桜田君。
そんなに驚かなくても…

巴「こんばんは」
ジ「…?」

布団から顔を覗かせる桜田君が何か滑稽だったw

ジ「ごめん…柏葉か」
巴「──相変わらず、引き篭もり属性は直ってないのね」
ジ「五月蝿いなぁw それに、そうじゃなくて変な夢見てただけだよ」
巴「ふふ…」
ジ「それに、もっと気安く挨拶してくれたらいいのに…
  8年ぐらい付き合いあるのに未だに『こんばんは』かよw」
巴「『こんばんは』じゃ悪い?」
ジ「いや、悪くないけど…柏葉の好きなようにしてくれたらそれでいいよ──」

…こうして当然のように会話が出来ている事が、ちょっと嬉しく思えた。
桜田君、翠星石や蒼星石とは私より接する機会が多いみたいだから少し不安だったんだけど、
…しっかり私のことも幼馴染って思ってくれてたんだ──

──別にさ、翠星石や蒼星石みたいに、
私のことを「トモエ」って呼んでくれてもいいのに。

ジ「さてさて。明日退院出来るかもしれないし、ここの病院ともやっとおさらばだ」
巴「えっ?そうなんだ」
ジ「おう…」

へぇ!明日退院なんだ。
明日も迎えに来ようかな…

ジ「…」
巴「ねぇ」
ジ「…」

おーい、桜田君──

巴「…ねぇ!」
ジ「あっ…」
巴「ナニぼーっとしてんのよ」
ジ「ごめん、ちょっと考え事」

私を見つめてぼーっとするなんて、
やっぱり寝起きだけあるなぁ…w
──あっ…

巴「たっ…退院すれば、あとは…あの…リハビリが待ってるね」
ジ「そんなこと言うなよw」

…気のせいだよね。
落ち着け…私…

巴「でも私たちは出来るだけのことをしてあげるから、あの…心配しないで──
  あいつらと戦って、桜田君の引き篭もりを直してあげるから…」

そう。私は桜田君のために戦う。
それに私だって、卒業まであの空気の中で過ごしたくないしね。

巴「あ、そうそう」

桜田君にめぐの事言っとこうかな…

ジ「何?」

やっぱやめとこ…
めぐが退院してからでいいよね。

巴「やっぱり何でもない」
ジ「何だよそれ」
巴「桜田君が学校に来るようになったら話すw」
ジ「柏葉も意地悪だなぁw…あ、そろそろ8時になるよ」

──そろそろ面会時間も終わりかぁ。

巴「ねぇ桜田君」
ジ「?」
巴「明日、絶対退院してよ?」
ジ「当たり前だ」
巴「その言葉が聞けてよかった。じゃあまた明日ね」
ジ「来るのか?」
巴「えぇ。迎えにね」
ジ「そか…わかった。じゃおやすみ~」
巴「おやすみなさい──」

明日…か。
いよいよこれからが本番だなぁ。
桜田君を学校に復帰させるための──

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