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星に御願い


「今夜はお星さまい~っぱい見るの~!」

それは唐突な宣言、最も雛苺らしいものだったけど。

「なにバカぶっこいてるですか?今夜は氷が張る位冷え込むから間違い無く凍死ですぅ」

どうやら雛苺は今夜の流星群の事を言ってるみたい。
だけどさっきの予報通りなら翠星石の言う通り、自分が流れ星になっちゃうだろうなあ。

「んっふっふ~、この金糸雀に任せるかしら!夕方までにはイイ物を完成させるかしら♪」

また何か作るつもりなんだ…
半月前に機械なのに自我を持った鳥、ピチカートmarkⅥを作ったばかりなのにもう次の何かを作るなんて…ある意味天才だね。

「でも流星群なんて…ロマンチックじゃないかな…?」

こんがりトーストにジャムを塗りながら薔薇水晶が呟く。

「カナ姉様が何とかして下さるなら…むぐむぐ…是非とも見たい…シャクシャク…ですわ」

3枚目のトーストをかじり、2皿目のサラダを食べながら雪華綺晶が同意する。

「そうね。偶には星を見ながらの紅茶も良いかもしれないわ」

珍しいね。
真紅が賛成するなんて。

「…おはよぉ…眠ぅい…」パタ

居間まで来たものの、逢えなく力尽きた水銀燈をソファの上に引っ張り上げてから。

「僕も構わないよ。じゃあ夕飯は温まるものにしようか?」
「ですねえ…シチューにでもするです。蒼星石、後で買い物に行きましょう」 



~そして夜~

「完成かしら~!」

1日がかりで屋根裏で何やらやっていた金糸雀の声が響きわたったのは、丁度シチューにブロッコリーを入れた時。

早速雛苺・薔薇水晶・雪華綺晶が階段を上って見に行ったみたい。
見てみたいですぅ…
そんな表情の翠星石を見てちょっと笑ってしまった。

「姉さんも相変わらずだね。けど、夕飯の時にたっぷり見れるんだからここは辛抱してね」
「蒼星石、おめえには好奇心ってもんはねえんですか!?辛抱たまらんですぅ!」

おたまを振り回しながら身悶えする翠星石は、まだまだ子供っぽい。

「相変わらずお子様ねぇ。別に逃げたりしないんだから支度に集中なさぁい?」

鍋にチーズをすりおろして入れながら水銀燈が笑っている。

「ほら、出来上がりよぉ」

鍋つかみで火からおろして…と。
食器は水銀燈がお盆で持っていってくれたから…熱い鍋を火傷しないように持ち、階段を上って屋根裏に繋がる扉を翠星石に開けてもらう。

「うわぁ…」
「す…すげえですぅ…」
部屋の中には普通の倍位あるコタツが置かれ、その中央に丸い変な機械が置かれていた。
だけど僕達の目を引いたのは上。
天井は無く、満天の星空が広がって凄く綺麗…あれ?

「金糸雀!?屋根どうしちゃったんだい!?」
「ば金糸雀!まさかこ、こ、こ…」
「邪魔だったから一部壊して穴を開けたかしら。」

あああああああああ…
家をなんだと…
頭を抱えた僕達を見て金糸雀はケラケラ笑いながら言った。

「大丈夫。この天文台を使わない時は、スライド式の屋根が出てくるかしら♪」

そう言って戸口に立っていた僕達を部屋の中に招き入れてみんなに向き直る。

「ではでは…show timeかしら!!」

…ウィィィィィィン!

「わわわわわ!?」

ゆ、床が動いてる!?
金糸雀の後ろの扉が床に沈み込んで…いや、床が上に持ち上がってる!

「ひぃぃぃぃ!」

翠星石が僕に抱きついてきた。
思わず抱きしめ返すと辺りを見回す。
あの冷静沈着な真紅でさえ顔色を変えて水銀燈に抱きついて悲鳴を上げている。

ウィィィィィィ…

「と…止まったですか…?」

耳を押さえながら恐る恐る聞いてくる翠星石。
僕はそっと上を見上げさせる。
屋根の高さまで床が持ち上がり、何時もより星空が近く見える。
翠星石も口を開けたまま空を見上げていた。

「ほらほら。早くコタツに入るかしら。」

言われるままにコタツに入るとシチューを盛り分けてみんなに配る。

「いよいよこれを起動させるかしら!」

金糸雀がリモコンらしい物を操作すると、コタツの中央に置かれていた機械が無数の光を噴き出した。

「凄い…星座が浮かび上がった…!」

気がつかなかったけど、ここは無色の壁に包まれたドームみたいな構造をしているみたい。
その壁に線が映り、透けて見える星を繋ぎ星座を描き出している。
だからちっとも寒くないんだ。
実物を使ったプラネタリウムかあ…

「金糸雀、貴女やる時はやるのねぇ…」
「珍しくまともな物を作ったのだわ」

やたら辛口評価の2人。
普段、失敗作の一番悲惨な犠牲になってるからかな。

「はうぅ…いいですねぇ…えらくロマンチックな気分になるです…」
「これが…おりおん?…これは…北極星だね…♪」

うっとりしてる翠星石にはしゃぐ薔薇水晶。

なんかこういう時間って僕は凄く嬉しい。
てんでばらばらなタイプの姉妹だけど、みんなが一緒に過ごす幸せを感じられるから。

「ニンジンさんがお星様なの~!」
「あっつ~い!火傷したかしらー!?」
「大変美味ですわ。蒼姉さま、おかわり下さいな」

彼女達は花より団子、星よりシチュー、か。
苦笑しながらシチューをよそってあげてると…

ピーピーピーピー!

機械がアラームのような音を出し始めた。

「いやぁ!?何!?何なのよぉ!?」
「私は何も触って無いのだわ!?」

もの凄くビビる2人。
抱き合って半泣きなのは…よほど金糸雀の失敗発明がトラウマになってるんだなぁ…

フォークに刺したジャガイモをかじっていた金糸雀が上を見上げる。

「そろそろ流星群の軌道と重なる時間かしら…」

それを聞いてみんなが上を見上げる。

「…あ…流れた!…えと………よし!」
「ばらしーズルいの~…あ!うにゅ~うにゅ~うにゅ~!」
「なんなのよ、それぇ…あっ!………間に合ったわぁ♪」
「私も………あぁん、多すぎて間に合いませんわ」
「欲張りね。1つの願いを3回よ?…来た!…ちょっと!?何で瞬時に消えるのよ!?」
「みっちゃんの……が…く返済……ます……に」
「んな願い流れ星もいい迷惑で…流れたです!えと、えと…あ~!10秒位は流れんなですぅ!」

みんな一生懸命だなあ。
僕も……来た!
………ふう、ギリギリセーフかな?

「蒼星石は何願ったですか?」
「それは秘密。言ったら駄目でしょ?」

僕の願い

願わくば、僕たち姉妹の絆が永遠に続きますように…

end

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