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僕が家を出て、ちょうど一週間になった日。僕は、宿泊先のビジネスホテルに荷物を置き、深夜の住宅街を何も考えず彷徨うように歩いていた。何時間歩いたか分からないが疲れてきたのに気づいた時、近くにあった公園で休憩する事にした。

ベンチに座り空を見上げる。月に雲がかかった時、視界を前に向けると、ジャングルジムのてっぺんに、同い年ぐらいの女の子がいた。僕が彼女を見ていると、

「何こっち見てんのよぅ。」彼女が不機嫌そうに話しかけてきた。

「いや、別に。気を悪くしたなら謝るけど。」面倒ごとは避けたかった。

「別にいいわぁ。」別によくなさそうな言い方で言った。

「あっそ。」面倒ごとにはならなかったようだと思った。

「あんた、こんな夜中に何してんのよぉ?」彼女が興味なさそうに聞いてきた。

「ただの散歩だよ。お前は何してんだよ?」僕も興味なさそうに聞いた。

「別にぃ。ただの考え事よぅ。それと、あんたいくつぅ?」面倒になりそうだ。

「17歳だけど・・・」お前はいくつだと聞こうとしたとき、

「同い年ぃ!?背が低くて、同い年には見えなかったわぁ!」彼女がバカにするように笑ってきたので、少し腹が立った。

「ごめんなさぁい。気を悪くしたなら謝るわぁ。」僕の雰囲気を察したのか、彼女が笑いながら言ってきた。

「別に。」短く答える。彼女の態度が、余計に腹を立たせた。僕が何か言い返そうと彼女の欠点を探していると、

「ねぇ、ジャングルジムから飛び降りたら死ねると思う?」真面目な声で、彼女が聞いてきた。死ぬと言う単語が僕を少し動揺させた。僕はどう答えるべきか考えていた。

「死に場所を探してたのよぉ。」小さい声で言い。だから登ったの。とも言った。

「私ね、死にたいのよぉ。なんか、もう疲れちゃったぁ。」黙って聞いていた。

「お父様がね、遠い所へ行ってしまうんだけど、私は連れて行ってもらえないのぉ。お父様は私の為だって言うけど、ただ一人の身内のお父様がいなくなってしまうぐらいなら、まだ私は死んだほうがマシだわぁ。」彼女の声が震えていた。

「死ぬって・・・、お父さんは、そのうち帰ってくるんだろ?会いに行けばいいじゃないか?」僕は思った疑問を口にした。

「確かにそうかもしれないけど、私はお父様と離れるのが怖いのぉ。私はお母様の時みたいに、お父様に捨てられるんじゃないかって、思っちゃうのよぅ・・・。」彼女は泣いていた。

 

彼女はお父さんを信じられなくなりかけている。僕は皆信じられなくなった。

 

「お母さんは何か事情があったんだよ。それと、お父さんは君を見捨てたりしないと思う。」自分でも何の根拠も無い事を言ったと思った。

「気休めはよしてよぉ!私のこと知らないくせに何が見捨てたりしないと思うよぉ!!」彼女はまるで諸悪の根源は僕だと言わん限りの鋭い目を向けた。

「君は確かに、母親に捨てられたかもしれない。だから不安になるのは分かる。でも、父親も不安だと思う。父親も君しか身内がいないんだ。君を信じているんだ!なのに君がお父さんを信じなくてどうするんだ!!」腹が立ってきたので、まくし立てるように言った。

「お父様が私の事を・・・。でも・・・。」彼女はつぶやくように言った。

「そうだよ。誰も信じられなくなったら終わりなんだ。」自分は矛盾してるな。内心暗い気持ちでそう思いながら、泣きじゃくっている彼女の様子を見ていた。

 

どれぐらい時間が経っただろう、風が吹き、月にかかる雲が流れ、月光がジャングルジムだけを照らした。そして、風に吹かれる少女の髪が美しく銀色に光るのを眺めていた。

「何こっち見てんのよぅ。」銀髪の彼女の声が夜空に響いた。

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