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僕は今晩もあの姉妹たちの家でご馳走になる。
そして今日は柏葉も一緒である。
ねーちゃんも水銀燈も大学の部活から帰って来ており、
賑やかな食卓になりそうだ。

思えば、今の高校の合格が決まってからここの姉妹の御両親も
僕の親と同じようにして海外へ行ってしまったんだな。
それまでは、まさか翠星石の料理を食べることになろうとは思いも寄らなかったのに…

それも半年以上が過ぎ、年が明けた。
もうじき、高2だ。

──僕はソファに座りながら、今後の高校生活について考えていた。

雛「ジュン登りぃ~」

そして雛苺がいつものように飛びついてきて、僕によじ登る。
そういや──

~~~~~~~~~~~~~

去年の秋。
まだ残暑が厳しい頃、僕は自分の家のリビングで、
ソファに座ってテレビと見ていた。
今日の客は翠星石と真紅と雛苺。
翠星石と真紅は後ろのテーブルでお茶をしている。
話に夢中のようだ。もはや2人の世界を築き上げているに等しい状況だ。
こうして、僕をターゲットに絞り込める状況になると、
お約束のようにあいつが背後から飛びついてくる。

雛「ジュン登りぃ~」

僕は目隠しされて大事な場面を見逃した──

~~~~~

また別の日。
僕が床に寝そべって蒼星石と某サッカーゲームで対戦していると、
あいつがいきなり背中の上に乗ってきて、自分の頬を僕の頬にピトッと引っ付けてきた。

薔「ジュン登りぃ~」
ジ「わっ!」
実『ゴーーーーーーール!!ゴールデンゴールデンゴールデンゴォォル!!』
ジ「うわああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
蒼「やったあぁぁぁぁっ!やっと勝ったぁ!」
ジ「くそっ…引き分けで粘ってきたのに…」

それもこれも、こいつが僕の背中にうつ伏せで密着していなければ…

薔「嫌だっ!離れたくないぃ~!」ムギューッ!
ジ「いや、でもさ…」
薔「どんな困難な状況でも乗り越えてみせるのが男だろ!このばかっ!」
ジ「…だ…誰から教わったんだ?その言葉…」
薔「小3を甘く見すぎだ」
ジ「…わ、悪かったよ(こいつ、高校生になったら翠星石よりおっそろしー奴になるぞ…)」

~~~~~

また別の日。
僕の部屋で遊ぶばらしーたちにジュースを出そうと1階へ下りた時のこと。

誰も居ないはずのリビング。
後ろから気配がする…
誰かが僕の跡をつけている…
誰だ…
ねーちゃんは部活。蒼星石も部活…
翠星石か真紅が下りてきたのか?

あ。

とりあえずソファに寝転がってテレビでも見るか。
よいしょっと…ポチっとな。

雪「ジュン登り…」
ジ「やっぱりw」
雪「ジュンの背中は…暖かいですわ…」
ジ「そか…」

薔「わ!」
雪「…あ」
ジ「あ、お前も下りて来たのか!…登るのか?」
薔「ば…ばかやろう…」
ジ「あれ?珍しいなw」
薔「フン!翠星石と真紅に言いつけてこよ~っと」
ジ「それだけはやめろおぉぉぉぉ!!」

~~~~~

また別の日。
翠星石たちの家に行った時のこと。

金「ねぇジュン~、あの棚の上のティッシュ箱取って~」
ジ「…う~ん…届かない」
金「170cmもあるのに届かないなんてヒドイかしらw」

そうそう、こんな所にティッシュ箱5箱セットを置く方も置く方だ。

ジ「脚立は?」
金「それがどこにあるのか分からなくて…」
ジ「そか…」
金「こうなったらアレしかないわ! 私を肩車してちょーだい!」
ジ「あ、うん…」

---

ジ「取れたか?」
金「取れたわ~」
ジ「おぅ…良かった」
金「…それにしても、久しぶりの“ジュン登り”かしら!」
ジ「そうだな」

…とまぁ、こいつはじきに卒業しそうだ。

~~~~~

さて、また別の日。
僕の家に真紅だけが来た時。

ジ「あれ?お前1人?」
紅「あの4人が五月蝿くって…ったく!」
ジ「ま、まぁまぁ、落ち着いて…気持ちは解るから…」
紅「…」

-----

紅「ジュン、その番組が終わったらワイドショーが見たいわ」

こいつはいつも通り僕の横に座り、そして注文をつけた。

ジ「え?あぁ…3時になってからな?」
紅「ええ」

……。

紅「ここはやっぱり落ち着くわね…」
ジ「あぁ…」

──こいつは小5で“ジュン登り”を卒業した。
いや、正確に言うと…こいつの場合、好きだったのは膝の上なんだが…
まぁ、この姉妹の中では珍しいのかなぁと思う。
それに、水銀燈はもちろん、同い年の蒼星石や、
この姉妹ではないが、幼馴染の柏葉には“ジュン登り”をせがまれた記憶がない──

銀『ジュンくんを負ぶった事なら何度でもあるわぁ』
蒼『え?ジュン君に登るの?w…恥ずかしいよ…w』
巴『…どうせまた“背中に当たるから~”って妄想膨らませてるんでしょ?w』

しかし、こういう事には決まって例外が存在するのであって…

~~~~~

それまたある日。
街の中心部に遊びに行ったまでは良かったが、帰りに電車が止まってて、
運転再開を待ちつつ線路沿いの道を歩いて家に帰るハメになって──

翠「もう歩けねぇです…疲れたですぅ…」
ジ「嘘つけぇ!…まだ歩き始めたばっかだろ?」

スッ…

翠「ジュ…ジュン登りぃ…です…」

翠星石は遠慮気味に手を伸ばし、僕の首に抱きついてきた。

ジ「仕方ないなぁ…ヨイショット」
翠「…」
ジ「次の駅に着く頃には…運転再開されてるといいな」
翠「…そうですね」
ジ「…」
翠「もし、まだだったら次は翠星石が──」
ジ「お前…どうも本気で疲れてるっぽいから遠慮しとく」
翠「な、何でそんなこと…」
ジ「何か…いつもみたいに突っ掛かって来ないからな…w」
翠「…」

翌日、僕は一晩でフル充電した翠星石に朝っぱらから、
いつもの3倍くらい叩かれ、罵られ、引きずられながら学校生活を送ることとなった。
さらに、こいつは今なお“ジュン登り”を卒業していない!──

~~~~~~~~~~~~~

──あ、でもそうか。
僕はこうしてあの兄弟の8人中6人に“ジュン登り”をさせたことになるのか。
じゃあ折角だから、水銀燈と蒼星石にも…w

──お、ちょうど、蒼星石が隣に座ってテレビを見ているではないか!w

ジ「なぁ、蒼星石」
蒼「ん?なに?」
ジ「登ってみるか?」

僕は自分の頭に登っている雛苺を指差した。

雛「うゆ?」
蒼「…?」

蒼星石は暫く僕の言葉が理解出来なかったようだった。
が、突然大声で笑い出した。どうやら僕の言いたい事に気づいたようだ。

蒼「あっははw 僕が登るの?」
ジ「あと水銀燈と蒼星石で完成なんだ!!」

向かいに居た水銀燈も吃驚して口をあんぐりと開け、
蒼星石の隣にいた柏葉もお茶を飲み損ねて咳き込んだ。

銀「え?なになに?何かのプラモデルでも仕上がるのぉ?」
蒼「気持ちは判るよ。あとコレだけで完成だ!っていうのは。
  どれだけしょーもない事でもね…うん。あるあるw」
巴「桜田君、なんかオカシイw
  引き篭もりが治ってから劇的にキャラ変わったよねw…ほんとw」
ジ「お前笑いすぎだろw」
巴「ごめんなさいw…笑いすぎて…お腹痛いw…」
銀「分かった。じゃあ筋トレの相手になってあげる」
ジ「え?」
銀「ほら、背中貸しなさい」

頭の中が真っ白になった。殆ど冗談で言ったようなもんだったからだ。
そして、水銀燈が…僕の背中に乗った。

銀「ジュン登り~」
ジ「あ」

水銀燈の息が耳に掛かる。
水銀燈のmu…

翠「きゃああああああああああああああ!!!!」

翠星石が金切り声を上げて、おたまを落とした。
…どうやら、大口を開けたままこっちを向いて固まっているようだ。
一緒に晩飯を作ってたねーちゃんが翠星石を揺するが反応が無いみたいだ…

ジ「翠星石、違うんだこれは!…あ」
銀「はい、気にせず前に進む!脚筋を鍛えるのよぉ!」

僕は水銀燈に操作されるように前に進んだ。
そして、2階へ上る階段の近くで折り返し、リビングへ戻ってきた。

ジ「じゃ…下ろすよ」
銀「あら、名残惜しそうねぇ」
ジ「え、そんなw」
蒼「ぼ…僕はまだ心の準備が出来てないから後日改めて…」
巴「私も…w」
銀「剣道部の人って防衛ラインが高いのね…てか、2人とも顔真っ赤だしw」
ジ「あ、顔真っ赤で思い出した…!」

僕はキッチンの方に目をやった。
翠星石は何事も無かったかのように、ねーちゃんの隣で復帰していた。
が、その顔にいつもの笑顔は無い。
眉間に皺を寄せているようにも見えた。

ジ「…」

~~~~~

晩飯が終わり、柏葉とねーちゃんが帰っていった後、
翠星石は1階から僕を除く全ての人間を2階へ排除し、
僕は翠星石の監視の下で、今晩の分の皿を全て洗うこととなった。

翠「どうせお前はああいうのが好みなんですよ!」
ジ「どういう事だよ」
翠「胸が大きくて!」
ジ「お前だってペッタンコってわけじゃないだろ? 美ny──」

唐突に翠星石の左手が僕の頬を襲った。

バシッ!

ジ「ごめん…」
翠「それに背が高くて!」
ジ「お前だって十分高いじゃん。160cmあるだろ? だから決して低いわ──」

…翠星石が強く睨んでくるので黙らざるを得なかった。

翠「その上、自分を引っ張っていってくれる人が!」
ジ「え…?」
翠「お前はいつも受け身なんです!」

僕はどう返していいのか判らなくなった。

ジ「…」
翠「…」
ジ「…」
翠「図星ですね」

翠星石は冷たく言い放った。
急に本格的に怖くなってきた──

ジ「…」
翠「はぁ…」

もう翠星石の方に顔を向けられない…いや、
向けたくない、と思った。

ジ「…」
翠「…お前」
ジ「…」
翠「お前、水銀燈が好きなんですね?」
ジ「…へ?」

僕は最後の皿を危うく床に落としそうになった。

翠「きっとそうです!」
ジ「なっ…何ぃ?」

…おお!見える!この家に稲妻が落ちた!落ちている!…

翠「じゃあ今から水銀燈になりきってやるです!」
ジ「え…えぇ?」

…おぉぉぉ!落雷祭りだ~!外は晴れているのに室内で豪快に轟いている!!…

翠「そうと決まったら早速着替えてくるです♪」
ジ「コスプレはやめろ!」
翠「はぁ?」
ジ「だから…」
翠「ちげぇです!普段の水銀燈みたいにしてくるだけです!」
ジ「え?まさか髪の色まで…?」
翠「馬鹿ですねぇ~。さすがにこの髪は弄れませんよ。
  あくまで他の部分を軽~く水銀燈風味にしてくるだけです。か・る・く♪」
ジ「…」
翠「じゃ、着替えてくるです~♪」

~~~~~

翠星石はそう言うや否や、ササッと階段を駆け上がっていった。
危ない。かなり危ない。
こういうタイプの怒り方をすると止められないんだよな…

あぁぁ…大変なことになっちまった…
決めた。

──逃げよう。

僕は、こっそりと玄関から抜け出…そうとしたところで誰かに飛びつかれた。

翠「ジュン登りですっ!!」

そのまま庭の芝生の上に翠星石と吹っ飛んだ僕は、そのまま翠星石に引きずられ、
2階に連れて行かれ──

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翠「水銀燈、こいつが『水銀燈になった翠星石を見てみたい』そうなので色々借りるですよ?
  そんでもって協力してもらうです。色々と」
銀「ちょ…え?」
紅「…」

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そうして水銀燈に無理やり協力してもらって、僕は水銀燈と真紅の部屋に監禁され、
その間に翠星石は自分の部屋でおめかしを始め、
(同じ部屋に居た蒼星石も驚いてこっちの部屋に逃げてきた)

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蒼「ジュン君!大変だよ!」
ジ「分かってるよ…」
蒼「──怒ってたんだ…やっぱり…」
ジ「僕ってさ…今日までで何回あいつを怒らせたんだろうね。はは…」
蒼「…」

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そしてお披露目となった。

ガチャ…

蒼「…」
ジ「…ゴクリ」

翠「あら、待っててくれてるわねぇ~。この私をだぁい好きだという人が♪…」
銀「…」

僕は今の翠星石の容姿と言動があまりにも衝撃的すぎて、如何なるアクションも起こせなかった。
この後、翠星石に背後から絡まれて、そのまま耳に息を吹きかけられ、卒倒した──

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