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「またも不祥事」「息子、親を惨殺」
「市民を守るはずの警官が…」
「連続通り魔事件、死刑宣告」
「政治家、汚職事件」

今日、我々の身の回りには、犯罪で満ちている。人々は何を持って犯罪へと駆り立てられるのだろう。
望めば何でも手に入る飽食の時代。
その分だけ、どうしても満たされない隙間というのが生まれてしまったのであろうか。

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犯罪の発生率は増加の一途を辿り、止まることを知らない。

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日本人のモラルは今いずこ。
大きな改革、いや、革命が必要とされているのかもしれない。

     (新聞への匿名投稿より、一部抜粋) 
 
 
 
DIABOROS 第三話 「Noesis」 
 
 
 
安いわりに味は良く、量もそこそこな学生には嬉しいレストラン。
その一角に僕ら7人は陣取っていた。

「梅岡のヤツ、また面倒くさい所を当てやがったです!」
「まぁまぁ、翠星石。落ち着きなよ。あれはまだ予習してたら十分分かるよ」
「蒼星石は、頭がいいからそんなこと言えるのかしらぁ。カナにはやっぱり難しいかしらぁ。」 
 
と、愚痴をこぼしてたり、

「言ったわね、今日という今日こそは決着つけるわよ、ヤクルト中毒」
「望むところよ、この貧乳。どっちがより、ジュンにふさわしいか思いしらせてあげるわぁ」

とかケンカしてたりするけど、僕は今日初めて会った人にどこをどう気に入られたのか、話に捕まっていた。

遡ること半時ほど前。

「ねぇ、みんな。今日は一人増えるけどいいかな?」
と蒼星石が提案してきた。
「えぇ、私は構わないけど。皆は?」
誰も駄目だということはなく、すんなり話は済んだ。

4限終了後、蒼星石がその人を連れてきた。
「紹介するよ。彼女はオディール・フォッセー。同じ部なんだ」
「なんだ、オディールでしたか。てっきり知らないヤツかと思ってドキドキしてたですよ」

「オディール・フォッセーです。初めまして。蒼星石、翠星石と同じ部です。よろしくお願いしますね」

僕の彼女への印象は、物腰が柔らかく、知的だな、というもので、この人との会話は疲れないだろうな、と思えた。
そして皆、簡単に自己紹介をし、目的地へと行く。

レストランに着き、順々に席へ着く。 
そして僕はオディールの隣に座ることになった。

「桜田さんって、面白い方なんですね」
と彼女は突然言い、
「あれ?僕、そんな面白いこと言いましたっけ?」とそのまま思ったことを口にした。
「いえ、やっぱり面白い方ですよ。これなら、翠星石が部活であなたのことばっかりいうのも無理ないですね」とおっしゃり、
「な、なな何馬鹿なこと言ってるですか!翠星石はそんなやつのことちっとも好きじゃないですよ」
と、別の話をしていた翠星石が反応。
この速さはもはや脊椎反射と言っても差し支えないだろう。
「翠星石…。墓穴掘ってるよ、それは」と蒼星石は呆れ、
「そんなに必死に否定しても説得力ないかしら~」と金糸雀は笑った。
そんなやり取りの間にも、真紅と水銀燈は火花を散らす。
はい、そこの二人ちょっと待て。ここ出入り禁止にはなりたくないだろ。
だから、お願いだから暴れないでくれよ。

「ふふ、翠星石もやっぱり面白いですよね」
「この翠星石のどこが面白いですか!」
いや、十二分に面白いだろ。ギャグキャラ化してるぞ、お前は。 
 
「あ、そうでした。桜田さんって、私の友人とよく似ているんですよ」
「へぇ、どんな人なんです?」
「不思議な人ですよ。彼女は本当に人の心を掴むのが上手い」
「…。どこら辺が僕と似ているんですか?」「うーん。どこがかって聞かれると困りますね。なんていうか、彼女とは似ている所がないんですけど被るんですよ
いつか会わせてみたいです」
「ふーん。ちょっと興味が出てきたな。機会があれば会ってみたい。オディールさんの友達なら、悪い人じゃなさそうだし」
「きっと会う機会もあると思いますよ」

「ちょっと、ジュン。何鼻の下伸ばしてるの」
「い、いや何言ってるんだよ真紅。鼻の下伸ばしてなんか…」
「うるさい下僕ね。ちょうどいいわ、紅茶を持ってきてちょうだい」
「それは自分で頼めよ!」
なんて漫才みたいなやり取りをしながら、昼食を終えた。

その後はショッピング。特に何を買うでもなく、見て回るだけ。
よかった。こいつらは買うときは一人じゃなくて、全員が買うからな。
そして僕に全部持たせるし。

あっという間に日は暮れ別れ道。
一人になったあたりで、オディールさんのことを考える。 
 
彼女について、分かったことといえば、
家は金持ち。そして叔父は軍人。しかも高官。
なんか回りには多いなそんな人、って仕方ないか。
他には、親戚が東側、つまり壁の向こうにいるってこと。
その親戚とは姉妹のような間柄で、会いたいと願っているらしい。
僕も柏葉とは久しぶりに会いたいなぁ、あの手紙に書いてあったアドレスに送ってみてもエラーって出るだけだし、電話もコール音すら鳴らない。
そのうち、というかすぐにでも壁がなくなることを願って生きているっていうのが、僕ら二人に共通していることか。
彼女の言っていた友達ってどんな人だろうと想像しつつ、コンビニに立ち読みに行こうと思う。
コンビニのサービスは色々増え、もはや出来ないことなんてないだろうってレベルになりながらも、立ち読みってのは変わらない。
今日は、というより一人になってから気付いたことだが、なんか寒気がする。
風邪でも引いたかな?なんて思いつつ、道を歩いた。
 
 
DIABOROS 第三話 「Noesis」了
 
 

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