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31:甘ぁい保守を致すんだよ

「えーと、まず一つ。伊達や酔狂でこんな格好してるんじゃないからね」
「何も言ってないって。―でもまぁ、そういう女の子女の子した服の蒼星石はあんまり見ないな」
「…得意ではないかな。―役になり切るには、『相手の役の心情も理解した方がいい』って」
「あぁ、文化祭の…『シンデレラ』だっけ―王子様役だから、その相手の…」
「そ、シンデレラ。に、似合ってないのはわかってるってば!」
「似合ってると思ってるんだけど。―そいや、そのアドバイスは誰から?」
「…………ふぇ?―ぇ、ぁ、ぇと、結菱先生が教えてくれたんだよ」
「あー…あの人も文化面じゃ多趣味だもんなぁ…」
「ん…そうだね、ボクも本業でも色々助けてもらってるし」
「―で、本題なんだが。僕が呼ばれた理由って……」
「ぅぐ……。言わせないで欲しいんだけど………」
「言ってくれなきゃわかんないよ、―『シンデレラ』?」
「うぅぅ……シンデレラで練習するなら、その相手が必要なんだよ―『王子様』」
「あはは、わかったよ。―どの場面から始める?」
「最後のとこ」
「………即答?いや、いいけど。―えーと、最後って…どんなのだっけ?」
「はい、台本」
「サンキュ。―…………『王子様とシンデレラは口付けを交わし、永遠の愛を誓いました』…?」
「ん」
「いや、蒼星石さん?最後ってこんなのでしたっけ?と言うか、目を瞑って背伸びされてもー」
「んーっ」
「だからちょっと待て、普通、お芝居のキスシーンなんて演技するだけで―!?」
「―もぅ!
―『意気地なしの王子様に痺れを切らしたシンデレラは、自ら唇を捧げました』っ――(ちゅかちん」
「つぅ…………歯まで捧げられたんだが……」
「だって………うぅ…痛ひ……」
「…ったく、内容まで変えやがって。―ちゃんと台本通りにやり直すぞ―『シンデレラ』」
「――え?あ、えと……お願い…するねー『王子様』」

 

 


 


32:蕩ける保守を致すわよぅ2

「―あら、何所かに出かけるのぅ?」
「ん、駅前のレンタル屋に。買うほどじゃないけど、レンタル位なら…って思って」
「うんうん、……自転車で行くの?」
「あぁ、そのつもりだよ。流石に歩きじゃ辛い距離だし………って、―」
「うんうん。―じゃあね、お姉ちゃんも一緒に行きたいなぁ」
「…………やっぱりか。構わないけど、現地じゃ別行動だからな」
「ぅ…ちょっと残念だけど、わかったわ。―じゃあ、お願いね」
「……………お願い?」
「私、自転車の運転できないものっ」
「いや、そんな笑顔で言い切られても…。そー言えば、そうだったなぁ……」
「大型バイクの免許は持ってるけど…単車さん、今、レストア中で此処にないし」
「………姉ちゃんの技術の基準が分かんない。あと、ハーレーを『単車さん』呼ぶな」
「『はれはれGO(号)』って名付けたら却下されちゃったし」
「僕は悪くないっ。―はぁ、ともかく、さっさと乗れよ」
「はぁ~い。―んしょ、と、と、久しぶりだと、バランスが取りにくいわぁ」
「そりゃまぁ、年単位で乗ってないだろ――――!?ぅわ、ちょっと、そんなにくっつくな!」
「う、と、よ……―ん、何か言ったかしら?」
「わわわ、み、耳元で話すなこそばゆ―!」
「―ぁん、聞こえないわよぅ。もっとくっついて――ん、この距離なら大丈夫よぅっ」
「せなかにむねがみみにいきがががががががぁーっ、離れろーーっ」
「え、え、え、……駄目ぇ?」
「ぅ………駄目。色々危ないから、悪いけど駄目」
「うぅ、凄く残念よぅ……」
「うー……―じゃあ、歩いて行こうか。まだ滅茶苦茶寒い訳じゃないし。それに……」
「―『それに』?」
「うん、まぁ…話してたら、あんまり時間も気にならないだろうし…」
「いいのぅっ?―えへへ、じゃあ、早速行きましょうっ」
「いやあのだから!腕を組むな、身体を近づけるな、押し付けるなぁっ」

 

 


 


33:ハロウィンな保守を致すのだわ

「気が早いと言うか…まだ、二週間近くあるんじゃないか?」
「もう二週間しかないのよ。―皆が仮装するって言うから、私も付き合う事になったし…」
「そりゃまたご苦労な事で。で、何の恰好するんだ?」
「うふふふ、私と真紅は吸血鬼よぉ。」
「同じ様な服装はどうかと思ったけど…水銀燈が譲らなくて。―貴方はどう思う?」
「別にいいんじゃないか?ポピュラーなモンスターなんて、限りがあるだろうし」
「だってぇ、こんな時でもないと、真紅はペアルックなんかしてくれないしぃ」
「…ペアルック言わないで欲しいのだけど。それに、色は違うんでしょう?」
「ぶーぶー。―みたいねぇ、私も完成品は見てないけどぉ…」
「…色?吸血鬼なんて、黒いマントにタキシードっていう定番のものしか思いつかないんだけど」
「私もそう思っていたんだけど。薔薇水晶に相談したら、『色んなパターンがある』って…」
「…………薔薇水晶?………微妙に、不安になってきた……」
「もぅ、なによぉ?折角、真紅と男の子達を魅惑してやろうって意気込んでるのにぃ」
「……魅惑………。確かに、女版の吸血鬼―ドラキュリーナってのは聞いた事あるけど…」
「―言っておくけど、私にそんな意志はないのだわ。でも、結構露出度が高いらしいのよね…」
「水着って思えばいいのよぉ。それに、お祭りなんだし気にしない気にしなぁい」
「いや、ちょっと待て。吸血鬼ってのは太陽光から肌を守る為に露出は極端に少ない筈…」
「突っかかるわねぇ。―そうだ、薔薇水晶に参考の絵を描いてもらってるんだったわぁ」
「胸元を曝け出して、下もレオタードみたいだし…。やっぱり、ちょっと躊躇するわね」
「……………今、その絵、持ってるか?」
「ええ、―ほら、こんな感じらしいわぁ」
「どれどれ。――…………………………ぁー、………やっぱりか…」
「??何が『やっぱり』なの?」
「いや、まぁ。水銀燈は妖艶な感じが、真紅はコケティッシュな感じが出ていいんじゃないか」
「同じ格好なんだから、真紅も妖艶じゃないのぉ??」
「残念ながら。―ともかく、だ。ゲーセンに行くのは止めて、喫茶店に変更しようか」
「貴方がゲームセンターに寄りたい、って言っていたのに。構わないけど」
「気が変わった。……(薔薇水晶、サキュバスって説明するのが面倒だったんだろうなぁ)」

 

 


 


34:せんせいのお時間(―痛い保守を致すんだよ―)

「……先生、お願いしたのはボクですけど、平仮名はどうかと思うんですが」
「うむ、柔らかい響きの言葉を使って登場するのが私だからな。フルボッコにされても
いたしかたなし。―それはともかく」
「はい、今日は『ネタ』について教えていただこうかと」
「『ネタ』と一括りにしても一万と二千…ようは多種多様にあるのだが…」
「そこをなんとか」
「だが断る。―と言ってしまっては話が続かんな。
では、使われる傾向の多いゲームやアニメ、漫画…サブカルチャーのものに絞ってみよう」
「わかりやすいモノが多いですもんね。保守短編だと特に」
「投稿制限のかかる30行でけりをつける必要があるからな。耳が痛い。
注意すべきは…乱用は避けた方が無難、ジェネレーションギャップと普遍性、か」
「え、でも、面白いならばんばん使った方がいいんじゃないですか?」
「だぁからお前は阿呆なのだ。―話の流れが一定してそうであれば問題ないだろうが、
無理やりに放り込むと整合性が取れなくなる」
「保守短編だから、整合性とか難しく考える必要はあんまりないような…」
「そいつは重畳。それはそれで確かだな。―では、後者は?」
「えーと…例えば、10代のボク達と20代以降の先生連ではわかるモノが違う…とか」
「ディ・モールト!―正しい。特に、知る人ぞ知る―という部類のものはスル―される危険性が大だ」
「じゃあ、漫画ならDB、ゲームならPMとかなら問題なし?」
「その解答だと50点だな。―繰り返し使われるネタなら誰でも知っていようが、些細なモノであれば
気付かれない事が多い」
「うーん……なんか難しいですね」
「考えるな、感じるんだ。―結局のところ、投下しなければわからないからな」
「……参考になった様な、投げ出された様な………」
「しかしな。今の会話だけでもぼんがぼんがネタを入れたんだが。反応がなかったじゃないか(T△)ノ」
「え、え?そうだったんですか?」
「私のネタは108式ある。―タイトルですらそうなのだが…はたしてわかるモノがいるかどうか…」

 

 


 


35:せんせいのお時間:2限目(―痛い保守を致すんだよ―)

「えーと…次は『キャラ付け』についてお願いします」
「続けるのか……?―ふむ、しかし、君が投稿している所―つまり此処―は比較的容易ではないか」
「そうなんですか?」
「まず、イメージカラーがはっきりしている。君なら青、翠星石なら緑、真紅君なら赤」
「水銀燈や薔薇水晶、雪華綺晶はどうです?」
「それぞれ、黒、紫、…白、かな」
「服の色ですか。…それを逆手に取るのも面白そうですね」
「うむ、ギャップ狙いなら十分に手段となりえる。そして、何より『語尾』が特徴的だ」
「翠星石なら『~ですぅ』、真紅なら『~だわ』、金糸雀なら『~かしら』…ですね」
「その通り。アニメでは『ですます』調の薔薇水晶君も三点リーダで代用可能だしな」
「あ、でも、ボクは普通の口調だと思うんですけど?」
「普通は『ボク』なんぞ使わん。―主語抜きにしても、他の者が特徴的だから、充分に君だとわかる」
「なるほど、確かに」
「読み手の情報は、文章しかないからな。応用すれば、こうなる」

「…ダメなのよ、こんな所で…。それに、女の子同士なのよ…?―ひぅっ……」
「―問題ありませんわ、桃薔薇お姉様。さぁ、お互いに貪り合いましょう……」

「…せんせー、応用の意味がわかりません。と言うか、いきなり一人二役…気分が悪くなるような…」
「ストレートに気持ち悪いと言いたまえ。―今の台詞では、主語を使わず、容姿もほぼ特定していない」
「ダイレクトに吐き気がきたんで、余り覚えていませんが」
「直裁過ぎる(T△)ノ―しかし、ミドルな私が発した今の台詞も、読み手には可能性として、
雛苺君と雪華綺晶君の会話と読み取れるだろう」
「酷い話です。―じゃあ、分り易くするためにも語尾は多様した方がいいんですか?」
「それは書き手の裁量だろう。―まぁ、もっとも」
一「こうすれば一目瞭然な訳だが」
蒼「なんだったんですか、この30行は!?」

 

 

 


 


36:せんせいのお時間:3限目(―痛い保守を致すんだよ―)

「ふぅ……タイトルを『いけない!結菱先生』にしようかどうか、数時間悩んでしまった」
「?何がいけないんですか??」
「…理解されたらされたでショックだが、純粋な瞳で聞かれるのも困るな。まぁ、いい」
「…???―とりあえず、今回は…前回の補足ですか?」
「うむ、前回は君たちにしか触れなかったからな。今回は『彼』や柏葉君、草笛先生…
ようはミーディアム達だ」
「先生もですね。でも、基本的にはボク達と同じなんじゃないんですか?」
「そうでもない。君たちの項で触れたイメージカラーや語尾等の特徴が薄い」
「えーと……そう言えば、女性連はみんな、『私』って主語ですもんね」
「うむ。解説的に名前を文に放り込む、定番の台詞を言わせる等すれば
―解決はするが、そうしたくない時もある」
「じゃあ、どうするんです?」
「結局は口調に頼る事になる。のり君なら少々間延びさせる、草笛先生なら勢いよく、と
いった具合か」
「それなら簡単にできそうですね」
「問題は、柏葉君や『彼』だな。柏葉君なら薔薇水晶君と同様、三点リーダを使う」
「口調は基本、ボクと同じだから、巴さんもそんなに難しくない…かな。
あれ?先生、『彼』は唯一の男の子だから、難しくないんじゃ…?」
「主語が『ぼく』、口調は基本砕けた物言い。もう一人いるだろう?」
「………………ボク?」
「その通り。まぁ、『彼』の場合は時折乱暴な口調にすれば理解されるか。
―最も難しいのは、私と槐先生だろう」
「主語が同じで口調は硬い……ほんとですね」
「前回で言っていた、「」の前に一文字つければいいだけなのだが…小さな自尊心だな」
「先生……。―そうだ、ボク、一つ思いつきました!」
「ふ………。ん、言ってみなさい」
「そも、槐先生はともかく、結菱先生は限りなくSSに出てきません!だから心配無用です!」
「デスヨネー(T△)ノ」

 


 

 

37:熱い保守を致そう

「………………………ふむ」
「――結菱先生?何読んでるんです…って、手紙ですか?」
「あぁ、読者からの声を少しな…」
「………ファンレターって言いませんか?」
「その言い方は照れる。それに、『声』の方が趣があるではないか」
「そんなもんですか。―どんな事が書いてあるんです?」
「是には『激励』が綴られているな。―『声』と一口に言っても、様々なモノがある」
「僕はそういうの書いた事がないんでよくわかりませんけど…激励だけでもないんですね」
「勿論だ。『称賛』『雑言』『叱咤』…それらが一つの時もあれば、混ざっているものもある」
「ふーん…でも、叱咤とかは…なんか怖いですね」
「だが、少なくとも、それを書き、送る…という行為をしているのだ。私の作品の為に」
「厭じゃないって事ですか?」
「大事な原動力ではある。―そうだな、特に初めての作品に送られたモノはすぐに思い出せる」
「処女作ってヤツですか」
「そうだ。……小さな雑誌に投稿した、短い短編だったな」
「へぇ…どんな感想だったんです?」
「拙い文章ゆえ、『叱咤』が多かった。しかし、私にとって、何事も得がたい『共感』も頂いた」
「『共感』…ですか」
「うむ―今書いているモノは当時の作品とは毛色が違うが…私はソレを求め続けているのだろう」
「………なんか…ちょっと格好いいですね。―なんてタイトルだったんです?僕も読んで―」
「『胸威の大冒険―乳が好きだと叫び隊』」
「……………は?」
「熱い、熱すぎる漢達の苦悩と挫折と煩悩を綴った男汁溢るるショートストーリー」
「……………どんな感想―具体的に、どんなんだったんですか?」
「『よくやった』『ほんとに変態だな』『この変態紳士め』などなど」
「……………返せ。僕の感動を返せ―!!」

「…ふむ、行ってしまったか。―初めて書いたモノなど、おいそれと教えられる訳がないではないか」

 

 


 


38:ハロウィンな保守を致―すなの ―しますわ

「お腹空いたな…。―と、雛苺、お前もハロウィンになんかするのか?」
「うゅ?あ、こんにちはなのー!―そうなのよ、とりーとおあとりーとー♪」
「……既にお菓子しか眼中にないな」
「えへへ~。うにゅ~の他にも、うにぃ~やうにゃ~、うにょ~も欲しいのっ」
「えーと……順に、苺大福、大福、豆大福、……草大福、か。…は、腹減った…」
「うぃっ」
「―柏葉師兄(すーす)、僕も雛苺語が理解できる様になってきました。―それはともかく」
「すぱにゅ~やにがにゅ~は苦手なの…。うぃ?」
「雛苺は何の恰好をするんだ?」
「ヒナはね、ヒナはね、狐さんの仮装をするのっ」
「狐?……なんか趣旨が違わないか??」
「うゅ?でも、巴が、『雛苺にはけーこくのよーこが似合うわ』って」
「あぁ、玉藻前―『白面金毛九尾の狐』ね。…いや、どっちにしろハロウィンってイメージじゃー」
「『うにゅ~が欲しいんなら、日本のお化けじゃないと』って言われたの」
「それならそれで、もっと雛苺に似合うような―座敷童子とか雪ん子とか…」
「狐さんのお耳と尻尾をつけるの、とってもふわふわで気持ちいいのよ?」
「師兄、それが見たかっただけだな…。お、沢山どら焼きがあるじゃないか」
「そう言えば、雪華綺晶もヒナと同じで、日本のお化けさんなのよ」
「へぇ、あいつなら、そのまんまだけど、雪女とか似合いそうだな。―もぐもぐ」
「……………イ、…………………マ…………………まい……………………………マイ―」
「違うのよ、雪華綺晶は――って、だ、駄目なの、それは雪華綺晶の―!?」
「……………まい、………………くまい…………………ななま………………ハチマイ―」
「――!?……後ろから、役になり切っている雪華綺晶さんの息遣いが聞こえるんだが」
「凄いの、普段の格好なのにとっても怖いの。………ご愁傷様なの」
「……きゅうぅぅぅまいぃぃぃ、………一枚、いちまぁぁぁいぃぃ、足りませんわぁぁぁぁぁ…………」
「―サッー!!買ってきます!ダッシュで!だからそんな呪わないでー!?」

「―――補足しておきますと、皿屋敷の主人公・お菊から、白菊を連想して、ですわ」

 

 


 


39:ハロウィンな保守を致―すですぅ ―すんだよ

「……怖い、雪華綺晶が怖い、皿屋敷が怖い、どら焼きが怖い…」
「……………どら焼き食べたいですか?」
「……………『饅頭怖い』か。よく知ってるな」
「伊達におじじ達と暮らしてねぇですよ。それはともかく。ドレスの作り方を教えやがれですぅ」
「はぁ、ドレス?―なんでまた」
「雪華綺晶達と同じく、翠星石も仮装するからに決まってますぅ」
「そう言えば、真紅が『みんな』って言ってたな。―にしても、ドレス着てるモンスター…?」
「花の妖精ですぅ。ヨーロッパ系の伝説には大抵いやがるですよ」
「モンスター……。いや、もういいや。―えーと、悪戯レプラコーンとか意地悪ピクシーとか」
「ふ・ら・わ・-・ふぇ・あ・り・ー!…ったく、ぶん殴るですよ」
「……暴力ゴブリン―っごふぅ!?」
「――ぶん殴ったですよ」
「―あはは、今のは君が悪いね。珍しく」
「僕も少しだけそう思ってたり。珍しく」
「お前ぇら…人を何だと思って………」
「ぶん殴らないなら言ってやるけど。―蒼星石も仮装するんだよな?」
「ぶん殴られるから言わない方がいいよ。―ん、翠星石と同じで、妖精だよ」
「おめぇらぁぁ……!―まったく…特に蒼星石、お前ぇの危機を未然に防いでやったと言うに…」
「未然に?―どういう事だ?」
「こいつ、最初は吸血鬼やるつもりだったのですよ」
「まぁ、結局、結菱先生と翠星石に止められたんだけどね」
「…話が見えないな。真紅や水銀燈と被るからか?でも、あいつらは―」
「それもあるですが…。―蒼星石、吸血鬼のロールプレイ、スタートですぅ」
「―『さぁ、お嬢様。ボクに蕩ける悪戯をされたくないならば、甘美な果実を差し出すんだ』」
「………!―切れるような流し目、真っ赤な唇をなぞる舌、誘う手つき指つき……」
「わかったですか?―ぜってぇ、下級生の娘っ子どもがトリックの大連呼ですよ…」
「あぁ……男の僕ですら、こう、なんか、乙女的な胸の高鳴りが……」
「――二人とも。褒めてるつもりか知らないけど、すっごく酷い事言ってるんだからね…(るー」

 

 


 


40:乙女な保守を致しましょう

「―あ、柿崎センセ、少し相談があるですが…」
「なぁに、翠星石?―それと、そんなに畏まらなくてもいいわよ」
「そぉよぉ、元生徒が教育実習で出戻ってきたんだしぃ、ねぇ、めぐ?」
「なんですか、Hg。もっと敬いなさい」
「わ、私にだけは相変わらず冷たいわねぇ…しかも、また時代遅れなネタを…」
「貴女に学がないだけで、普遍的な略称よ。―ま、いいわ、翠星石ちゃん?」
「……みずかねの略称は普通、ぱっと出てこねぇと思いますが。えと、ですねー」
「その言い方もわからないと思う。ん、話して頂戴な―」

「ん……?あ、翠星石と水銀燈、……柿崎先生発見。おーい―」
「―抗コリン剤や制酸剤…風邪薬・胃腸薬を飲んだのなら……」
「―乳酸菌よぉ、乳酸菌っ」
「―ジフェニールメタン系は痛いんですよねぇ…でも、アントラキノン系は…」
「―にゅ・う・さ・ん・き・んっ」
「―やかましい、80。あ、でも、プロバイオティクスとプレバイオティクスはいいかも…」
「―胸辺りに手ぇ持ってくんじゃねぇですよ、水銀燈。…バイオジェニクスですか」
「………太陽の子?―じゃなくて、翠星石!お前、なんか病気なのか!?」
「そーですよ、ものすっごい苦しい―」
「――!?そ、そんなに重いモノだったら保健体育の先生に話してないで病院に行かないと!」
「やですよ、グリセリン渡されるのが………って、聞いてるんじゃないですよチビ人間んんっ!」
「ぐはぁっ!?―いてて……あ………行っちゃった……あてっ」
「―今のは君が悪いかな。追いかけて、『話の内容はわからなかった』って謝ってあげなさい」
「先生までこづかなくても…。―え、と…行ってきます」

「――ねぇ、めぐ。結局、翠星石は何に悩んでたのぉ?」
「………わかってなかったの?乳酸菌勧めてたじゃない」
「万能薬だものぉっ」
「胸を張るな、鬱陶しいから。―現実的な乙女の悩みよ。ほら、あの子が嫌がってたピンクの小粒」

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