あれは7月の蒸し暑い夜のこと…
当時大学1年だった僕はその日実験のレポートを書いていた。
しかし最後の辺りでどうにも筆が進まなくなり気分転換に散歩に出掛けたのだ。
時刻は夜の12時を回ったあたりで、夏の夜風が心地良かったのを覚えている。
僕は少し歩きたい気分になりアパートから2キロほど離れたコンビニまで行ってアイスなどを買って帰路についた。
ジ「ふむ、やっぱ夏の夜の散歩で食うアイスは格別だな♪」
そんな独り言を呟きながら公園の横の一本道を歩いていた時である…
ーータッタッタッタ…
ジ「…ん?」
僕の目の前の方から何かが走ってきたのだ。
目を凝らして見てみると…
ジ「…子供?」
なんと、それは5~6歳くらいであろうか?白い半袖のシャツを着た男の子であった。
ジ(何だってこんな時間に子供が1人で…?)
辺りにはその子の親らしき姿もなく、僕は変だなと思いながらも走ってくる子供に向かいそのまま歩を進めた。
ーータッタッタッタッタッタッタッタ…
段々とその子との距離が縮まる。
そしてすれ違うその瞬間、僕は何となく気になってその子の顔を見てみた…
ジ「!?」
その瞬間、僕の全身に凄まじい寒気を伴う鳥肌が立った。
一瞬のことであったが
その少年の無表情な顔は暗がりの中でもわかるほど青白く、とてもこの世の者とは思えなかった。
加えてシャツの襟元や頬に血のような赤い染みが見えた気がする。
タッタッタッタッタッタッタ………
僕は慌てて少年が走って行った方を振り返った。
だがそこにはもうすでにその少年の姿はなかった…
ジ「~~~!!!!」
僕は居ても立ってもいられずにその場から全力でアパートへと逃げ帰った。
後日、明るい昼間にその場所を友人と通ってみると、道のほとりの電柱の元に干からびた花が供えられていたのを見つけた。
あの時に見た少年がその花を供えられた主であるかどうかは今もわからないが、
それから夜は1人でその道は通らないことにした…。
2004年、神奈川県某所で自分が実際に体験した話である。