質屋のお客達その4
あ、暑い……。延長ってなんだ延長って…。僕に死ねというのかあの店員め。
たしかに取り付けにくいのはわかるんだけど…
「暇そうだねジュン君。あっでも品物は色々あるんだね。」
そういいながら店に入ってきたのはショートカットで緑×赤のオッドアイの女性。
言うまでもないかもしれが翠星石とは双子。何の因果かこちらのしっかりした方が妹なのである。
「まあほとんどがみっちゃんさんの物。あとは蒼星石もよく知る人達の物だよ。」
「うん。たしかに姉さん達の物だね。……やっぱり持ってくる物は大体同じだ。」
「んっ?どういうことだ?蒼星石。」
「いやこっちの話だよ。それでなんだけどこの鋏は預かる対象になるのかな?」
ならなくもない…がやっぱりリサイクルショップに行ったほうがいいよなぁ…。
しかしでかい鋏。もはや凶器だ。銃刀法違反じゃないか?
「まっ本当はダメだけど例外を何個も見せておいて追い返すわけにもいかないな。」
「本当?よかった。」
「でもどうしたんだ?蒼星石がこんなところに来るなんてめずらしい。」
縁がないというか似合ってないというか。まあそんなのは偏見なんだろうけどね。
「この鋏と翠星石の如雨露は二つで一つの物。たしかに所有者は違うけど離れることはダメなんだ。」
「…ふーんそうなのか。オカルトじみてるけど本人がそうしたいなら仕方ない。大事に預かっておくよ。」
よくわからないけど蒼星石にとってこれは絶対なんだろう。その理由はなんとなくわかる。
「ありがとうジュン君。ついでにもうすぐ翠星石の誕生日だからね。何か買ってあげないと。」
「翠星石の誕生日なら蒼星石もだろ?」
「そうだよ。双子だからね。」
「そうか…。パーティーでもするのか?」
「よくわかったね。翠星石は今から楽しみにしてるよ。」
まああの家は祭りやら祝いごとやらでのドンチャン騒ぎは大好きだからな。約一名は大嫌いのようだが…
「なら僕も行かせてもらっていいかな?」
「えっ?ジュン君なら大歓迎だよ。こっちから言おうと思ってたくらいだからね。」
「よかった。なら何か用意して行くよ。まあ楽しみにしててくれ。」
「うん。じゃあ僕はもう帰るね。絶対来てよ。」
そう言って帰っていった蒼星石。
さてこの鋏は如雨露の横に飾っておけばいいのかな?
続く