質屋のお客達その2
この糞暑い中扇風機だけで過ごす……。地獄か…。
一日に客は一~二人だっていうのにこっちは一日中店番だよ。
…こんどクーラー買おう。
「ジュン。暑い中店番ご苦労さまかしら。」
そういいながら店に入ってきたのはおでこの広い小さな女性。…なぜ女性なのかって?
一応僕より年上なんだから女の子はおかしいだろ?
「え~っとカナ…カナ…」
「うぅ。お約束はやめるかしら。別に誰も望んでないのかしら!!」
「はいはい。金糸雀。でそのおでこで日光を反射させて僕を焼き殺すつもりできたのかな?」
「違うかしら。大体そんなのカナには無理。常識を知ったほうがいいかしら。」
常識ねぇ。今すごくやばいんだけどな。…まあいいか。
「それでなんのようだ?お金がほしいのか?」
「そうかしら。いまみっちゃんの借金は膨れ上がってやばい状態なのかしら。」
「いやみっちゃんさんはいつもそうだろ。この前もきたし。」
「それはそうだけど…たまにはカナもみっちゃんの役に立ちたいのかしら。」
う~むいるだけでみっちゃんさんにとっては役に立ってると思うけどなぁ。
「何を持ってきたんだ?当然何か持ってきてるんだろ?」
「フフン。カナだってバカじゃないかしら。バイオリンなんて如何な物かしら?」
いやリサイクルショップにでも行ってくれよ。…いいか。追い返すのは気が引けるしな。
「そうだな。まあ…お金についてはそっちの都合を聞きたいところだけど。まあまあいいものだ。」
「それはそうかしら。それはカナの大事な宝物なんだから。」
フフンっと胸を張る金糸雀。大事な宝物を質屋に預けていいのかよ。
「でもみっちゃんのためだから仕方ないかしら。それにジュンに預けるなら安心だからいいのかしら~。」
「まっ信用されてるのは悪くないかな。どれくらいほしいかはしらないけど…あんまりな値段じゃなければ都合してやるよ。」
「いいのかしら?ならこれくらい…」
金糸雀差し出してきた紙にはめちゃくちゃな値段が書いてあった。
あの人どれだけ借金まみれなんだよ…。
「はぁ。返せるのか?。まあ貸してやるよ。」
「さすがジュン。気前がいいかしら。大丈夫。カナは奥の手を使ってでも絶対返すかしら。」
奥の手をってなんだ奥の手って……。ああ…あれか…じゃあ始めからそれを頼ればいいのに。
…まあなんにせよ。あのおでこ…眩しすぎるよな。
続く