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キュイーン、ガシャン!ガガガガ、プスン。バギィ・・ガチャコン!!
「ふっふっふ・・・構想三ヶ月、製作半年の歳月をかけたカナの集大成が今、完成を迎えたかしら!」
ゴロゴロゴロ・・ビカッ!!
「今まで誰も成し得なかったこの快挙をカナが、この金糸雀が成功させたのはまさに必然!デスティニーかしら!さぁ、まずは誰を名誉ある試験者にしようかしら~?」
ゴロゴロゴロゴロ!ピギャシャーン!!
「かしララララララー!」


「あら、近所にカミナリが落ちたようね。まったく、危ないのだわ」


翌日。
「し、真紅・・おはようかしら・・」
「おはよう金糸雀。あら、どうしたの?黒焦げじゃない。」
「ちょっとカミナリに・・じゃなくて、真紅!この前福引きの景品で非売品のくんくんグッズが当たったんだけど、いるかしら?」
「何ですって?それは是非お目にかかりたいのだわ」
「じゃあ夕方カナの家に来るかしら」
「ええ、伺わせていただくのだわ」
「(ふふっ、まずは一人確保かしら。次は・・)」
 
「水銀燈、ちょっと聞いて欲しいかしら」
「あらぁ?黒い服なんて私と被るじゃなぁい。私と黒服の相性に勝てるとでも思ったぁ?」
「これはちょっと焦げただけかしら!それより水銀燈。実は親戚がヤクルトとかヨーグルトとか乳酸菌食品を大量に贈ってきたかしら。カナ一人じゃ食べ切れないから貰ってくれないかしら?」
「へえ、アナタにしてはまともな申し出ね。いいわぁ、そういう事ならこの水銀燈に任せなさぁい」
「じゃあ夕方にカナの家に来るかしら!(これで二人目!自分の策士ぶりに震えちゃうかしら!)」


「で、言われたとおり来てみればぁ・・・」
「ちょっと金糸雀!どういうつもり!?早くこれを外しなさい!!」
睡眠薬入りの紅茶で眠らされ、起きたら全身奇っ怪な装置で拘束されていた。
「金糸雀の話しを真に受けた私がバカだったわぁ・・・」
「そんなに落ち込む事はないかしら水銀燈!貴方達は名誉ある『スーパーカナリアン一号』の最初の試験者なのかしら!」
「・・・一応聞くけど、この装置を動かすとどうなるの?」
「ふっふっふ、よく聞いてくれたかしら!そもそもカナとこの実験の出会いは・・・」
両手を振り回し力説する金糸雀の手が、いかにもなボタンにぶつかる。
ポチッ。
「あ」

ババババババババババババ!!!
「「あああああああああ!!」」
ぷしゅーーーーーー。
 

「ま、まぁこのくらい想定の範囲内かしら!さてさて、どうなったかしら?」
「う・・・まったく・・・なんてことしてくれるのだわ・・・」
「ふふふ~♪やったかしら!成功かしら!気分はいかが?『水銀燈』?」
「アナタ、何を言って・・・え?」
目線を上げると、拘束されたままうなだれている自分の姿が。
「ちょっと!なんなのこれ!わ、私が水銀燈に!?」
「そう!この装置は他人と心を入れ替えるというベタだけど誰も成し得なかった事をするためのモノかしら!さて、『真紅』の方は・・・って、あら?」
「くあwせdrfgyふじこlp」
「ちょ、ちょっと!私のカラダが白目むいて意味不明な事を口走ってるじゃない!?」
「う~ん、水銀燈の方は上手くいったのにどうして・・・あー!真紅側の配線が何本か焦げてるかしら!さては昨日のカミナリで・・!」
「ねえ、大丈夫なの?元のカラダに戻れるの?」
「む~。成功したら直ぐに戻すつもりだったけど、まずはこの装置を直さないとだめかしら。とりあえず水銀燈・・じゃなくて真紅、直るまでは水銀燈でいるかしら。真紅のカラダは責任を持って管理するから大丈夫よ」
「ちょ、私が・・・水銀燈に?くっ・・・仕方ないわね・・・じゃあ金糸雀!直り次第直ぐに連絡しなさい!でないとジャンクにしてやるのだわ!!」
「わ、わかったかしら。それよりも、水銀燈みたいに話さないとバレちゃうかしら」
「へ?あ、そうね・・・ん、んん!あー、あー。す、水銀燈・・・よお?乳酸菌・・・採ってるう??」
「(これは・・・バレちゃうかもかしら・・・)」

 

 

「さて・・・これからどうしたものか・・・」
その後、真紅は今後の事を考えるため水銀燈のマンションに来ていた。
「金糸雀も長くても三日はかからないと言っていたし・・・別にお金もあるのだから焦る事は無のだけど・・・」
握りこぶしを作り、体がプルプル震え出す。
「なんなの!?この胸の重さはー!!!」
嘆きの波動(?)で花瓶が倒れたが、そんな事を気にしていられる真紅ではなかった。

「有り得ないわ!こんな、こんな・・・!谷間だってこんなに・・・!」
それからたっぷり一時間、大きな鏡に今の自分の下着姿を写し、半ベソをかきながら胸をモミくだす真紅。
「この、この!これでもか、これでもか!!」
親の仇のように力いっぱい揉んでいたため赤くなってしまったが、それを気にしていられる真(ry
「はぁ、はぁ。ちょっと熱くなりすぎたのだわ・・・何か飲みモノは・・・」
冷蔵庫を開けると、マシンガンのカードリッジのごとく陳列されているヤクルト。ていうかヤクルトオンリー。
「まったく、あの子普段の食事はどうしてるのかしら・・・」
昔飲んだ時より美味しく感じるヤクルト片手に、ちょっと痛くなってきた胸を摩りながらこれからの献立を考えるのであった。

 

 

「(まったくこの胸は!歩くたびに揺れて!)」
そんな事を考えながら食材を買うため商店街へ向かう。
途中若い男に声をかけられドキッとしたが、今の自分の姿を思い出しにこやかにスルー。

「そこの美人のお姉さん!今これが安いよー!」
「やー、たいしたべっぴんさんだ!これオマケしちゃうよ!」

行く店、通る店でそんな事を言われる。始めは悪い気はしなかったが、だんだん何も感じなくなり、最後には嫌気がさしてきた。もちろん顔には出さなかったが。
あと、女性店員の態度や女性客の視線が普段自分が感じているソレとは違っている事に気付いた。
何か・・睨まれているような、軽蔑されているような。
決して気分のいいものではなく、買い物も早々に済ませ、早く帰宅することにした。

夕食後、紅茶・・が無かったので仕方なくヤクルトで一服する。
「なんか・・・無性に疲れたわね。明日からの食事はコンビニか出前で済ませようかしら・・・」
そこでこの家の冷蔵庫の中身を思い出す。

もしかして、あの子も・・・?

「・・・ふぅ。とりあえず、今日はお風呂入って早めに寝ましょう」
お風呂を沸かし湯舟に浸かり、そこに浮かぶ二つの塊に今日何度目かの奇声を発しながら、慌ただしい一日はふけていった。

 

 
二日目の朝早くに金糸雀から連絡があった。今日の夕方には修理が終わるそうだ。
「はぁ・・・」
無性にホッとした。正直、これ以上この生活を続けたくなかった。
あれから食事に関しての苦労は無くなったものの、休日だったためか頻繁に水銀燈の周りの男達から電話がかかってきた。
始めは言葉もたどたどしく向こうに勘ぐられたりしないかヒヤヒヤしたが、水銀燈が男達と電話で話してる所を見ているせいか、今ではなかなか様になってきているように感じる。
流石に人間関係を壊すワケにはいかないので、今忙しいからまたかけて、といった感じでごまかしながら対応していた。
今までこんなに男達からの電話を受けた事の無い真紅にとっては新鮮な体験だったのだが、

「なんなのかしらね、この虚無感は・・・」

おとといの商店街といい、昨日の電話といい、今までの人生で一番と言っていいくらい男達に相手にされているというのに。みんな知らない他人だから?いや、それより・・・
「ジュン・・・」
呟いたその名前。そう、ジュン。私には親しい男といえば(悲しいことだが)ジュンくらいなものだ。それでも、こんな気分にはならなかった。それは彼が、『私』を見てくれてたから。
 じゃあ今は?沢山の男達が見てくれる。だが、見ているのは顔、スタイルといった見た目の水銀燈。一体誰が、今はこの真紅である水銀燈の心を見てくれた?
昔、男達と遊んでばかりいる水銀燈に言った事がある。

『そんなに男達に相手にされて、さぞ楽しいでしょうね』
すると一瞬淋しそうな表情をしてから、
『うらやましい?真紅ぅ。貴方には無縁の事だものねぇ』
と、いつもの調子で返した。

今思うと、あの表情がすべての答えだったのかもしれない。
そういえば、ジュンが昔に似たような事を言っていた。あの強がりは淋しさの裏返しじゃないか、と。
「水銀燈・・・」

貴方は今まで、こんな世界で暮らしてきたの・・・?

考えに耽っているうちに、金糸雀に言われた時間になりそうだった。
「ふふっ、元に戻ったら、あの子を夕食にでも誘おうかしら」
始めは多分・・いえ、絶対に断るだろうけど。
「いざとなったらここに押しかけてでもご飯を作ってあげましょう。そうね、ジュンも一緒に」

少し微笑みながら、出発の準備を済ます。
今ならあの子に優しくできる・・そう思う真紅なのでした。


真紅のココロ、水銀燈のカラダ 終り。

第二旋律へ続く。
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