※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

激しく 胸が張り裂けそうさ 心奪われすぎてゆく
激しく 深く傷つくことも 恐れない
どれだけ 心が壊れても たとえキミを壊しても
激しく 熱く抱き締めさせて キミのすべてを


「母さ~ん。それホント~?」
「嘘でしょ~お母さん」
子供たちは信じていない。まぁそれも無理もないか。
蒼星石は、というと。
………読めない。ただ微笑してる。
「そうだね、翠星石。僕は信じるよ」
お前だけは信じてくれるですか。
「えぇ~。蒼姉ちゃん信じるの~?」
「絶対嘘だよ~」
「ふふ。どうかな?不思議なことなんてこの世にはいっぱいあると思うよ」
「ふ~ん。蒼姉ちゃんが言うならそうかな~?」
「じゃあ、私も信じる~」
蒼星石。この二人の信頼が厚いってのは、結構ですが、何ですか!この違いは!
私はそんなに信用ないですか! 

「ふふ。日頃の行いの違いじゃないかな?」
!?心を読むなです!
双子だからって、そうほいほい読んでいいもんじゃないですよ!
「そうだね。でもそれより話の続きを聞かせてくれないかな?
それから翠星石はどうしたの?」
…何も分かっちゃいねぇです。
まぁ、いいか。話を戻しましょう。


LUNA SEA 第六話 「DESIRE」


私にはその後の記憶がない。
抱き締められたのだろうか?私は泣いてしまったのだろうか?
気が付けば家にいて、天井を見上げていた。
いつの間に陽は昇ったのだろう。
染みを数え、意外と少ないかったことを知る。
かなり古い家なのに…私の心はあの天井よりキレイなままでいられるのだろうか?
分からない。涙を越えた。笑えもしない。どうすれば?

…こんな時、今日も仕事が休みでよかった。
仕事なんて、今は全く手につかないだろうな…、なんて考えている自分が嫌だった。 



記憶を辿る。何を言われたのだろうか?

「別れようか」

なんて、彼は言ってなかったか?
その時、私はその言葉を理解することなんてできなかった。
いや、今でもだ。
普段の私なら短気を起こし、彼に掴みかかっていただろう。
…多分泣きながら。

もう…いやだ。

「…死んじゃいたいです」

その言葉が私の心に深く染み込む。そうだ…一緒に死んでしまえば寂しくなんてない。
…寂しい?何故そう思うのだろうか。フラれたことよりも…
何で?でも考える気力なんてもうない。
心にトゲが刺さりすぎて、血を流しすぎたようだ。
何も…何も感じない。

携帯にメールが入っている。
私達が遊園地から出て、別れた後に送られたもののようだ。


『ごめん』

ただ一言。あぁ、やっと寂しさの理由が分かった…

苦しいのは誰?本当に苦しんでいるのは?
私なんかより、ずっと、ずっと苦しいはずなんだ。
忘れてた。そんな…単純なこと…。

急いでベッドから飛び下りる。
行かなくちゃ、彼の所へ。
何を話すの?
      分からない。
慰めるつもり?
      分からない。
できると思うの?
      分からない。
拒絶されても?
      まだ本心を確かめてない。
…彼が好き?
   その通り、当たり前だ。


頭の中からもう一人の自分が話しかけてくる。
私を咎めるように。私を試すように。
何ができるかなんて知らない。
何をしようかなんて考えてすらない。

夢中で彼の家へと走ってゆく。
着いた。まずは深呼吸。落ち着くんだ。
インターホンを鳴らす。

『はい?』
出てきたのはのりのようだ。

『のりですか?翠星石です』
声が裏返ってしまいそうになるのを、必死で抑える。

『翠星石ちゃん?ちょっと待っててね。すぐに開けるから』
のりが玄関へと出てくる。
この一瞬一秒がもどかしく、待ち遠しい。
朝早く、こんな時間に来られるのも迷惑だろうと、罪悪感に少し胸が痛む。
でも、そんなこと構ってられない。


彼女が出てきた。…目が赤い。やっぱり泣いていたようだ。

「いらっしゃい、翠星石ちゃん。ジュン君ならお部屋にいるわよぅ」
無理して取り繕った声が悲しい。
「お邪魔するですぅ」

リビングが視界にはいる。ちらかってなどいない。
むしろかなりキレイだ。…そう、不自然なまでに。
のりの悲しみが少しだけ見えた気がしてまた苦しくなる。
そして、彼の部屋の前。

「ジュン。入るですよ」
返事がない。不安になり、慌てて中へと入る。
なんだ…。寝てるだけじゃないか。
「まったく。呑気なヤツです。
どれだけ人を悲しませたら気が済むんですか。
そーいえば、引きこもりになったこともあったですよねぇ?
ほーんと、いつまで経ってもチビ人間はダメダメなままなんですから」
誰にというわけでもなく、私は愚痴る。
「まったく。お前ぇは、一人じゃ危なっかしいんですから、この翠星石様がついててやるですよ。
べ、別に翠星石が一緒にいたいってわけじゃないんですからね!
そっ、そうお前のためなんですからね!勘違いするなですよ、コンチクショー」


…何をやってるんだ、私は。
…今ぐらい素直になっても…いいよね?

「ジュン。本当は…本当に大好きですよ…」

寝てるよね?絶対。今なら…。

優しく、気付かれないようにそっと、くちづけを…


決めた…。最期まで、私は泣かない。
ずっと、笑顔でいてやる。



第六話 「DESIRE」 了

|