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壊れそうな程 狂いそうな程 切ない夜には そっと 「抱きしめて」
壊れそうな程 狂いそうな程 切ない夜には そう呟いた…

誰もいない部屋 キミのいない部屋 誰もいない部屋 僕が消えて行く…



「キャー」「ワー」等の悲鳴が響いている。
ゴゴゴゴォーとローラーの駆けて行く音。
ここには笑顔がある。たくさんの笑顔が。


「あれ?全然食べてないですね?大丈夫ですか?」
「ん?あぁ、最近食べる量減らしててな。大丈夫。
心配するようなことじゃないよ」
「ふ~ん。そうですか。じゃあ、これ貰っちゃうですよ」
「いいぞ。他にも何かいるか?」
「ふふん。この翠星石様に献上しようだなんて、立派な心掛けですぅ♪
ですけど、もういいですよ。腹八分目までです」
「そうか。じゃあ、そろそろ出るか。会計は出しておくよ」
「え!?本当にどうしたんですか?
本当に大丈夫なんですか!?どうしちゃったんです!?天変地異の前触れですか!?」 

「はぁ~。ひどいな。そこまで驚くようなことかぁ?なんとなくだよ、なんとなく。
先に外で待っててくれ」
「はいですぅ♪」



LUNA SEA 第四話 「TRUE BLUE」



彼が帰って来てから2日目、私達は今遊園地にいる。
会えなかった時間の溝というのは、深いようで案外浅かった。
たまに、変なことをするけど気になるようなことではない。
良かった。連休に帰って来てくれて。
今日の遊園地は私のリクエストで、最近オープンしたばかりなのだ。
一度行ってみたいな、と思いつつ、チャンスはなかなかないだろうと、思っていた矢先のこと。ラッキー。
当然人も多い。私は人混みが苦手なのだが…
「はぐれないように」、と握ってくれた彼の手は、私の胸の不安をすっと溶かしてくれる。


「じゃあ、次はあれに乗るです!」
「うげ、また絶叫系かよ…仕方ない。ここまできたら、腹くくるしかないな。
よし!とことん付き合ってやる!」


数時間後…
あれ?ジュン、少しやつれた?
足元おぼついてないし。 


「もうジェットコースターはやめて…お願い…」
「しょうがないですね~。本当はまだまだ乗り足りないですけど、時間もそろそろですし、最後にあれに乗ろうです」
私が指差したのは観覧車。
きっと、私の頬は赤く染まっているだろう。いや、これは夕焼けのせいだ。そうにちがいない。
…陽はとっくに沈んでしまっているが。


「さ、さぁ、とっとと行くです!」
「はいはい。分かったよ」
お互い様みたい。二人とも初心なのだ。


「本当、今日は楽しかったですよ」
「そうか?良かったよ。そう言ってもらえて」
「でも、突然どうしたですか?」
「…翠星石、お前に伝えたいことがあるんだ…」


観覧車が頂点に差し掛かる頃、彼の発した言葉は、私を絶望の淵に立たせるには、あまりに残酷で、あまりに強力過ぎるものだった。


「翠星石、僕、ガンらしいんだ」


この時、全ての歯車が噛み合って、
ギシギシと鈍い音を立てながら、
何かの終りを告げ、何かの始まりの声を呼んでいった。

第四話 「TRUE BLUE」 了

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