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──ここは…ジュンの家の玄関ですね。
翠星石はジュンを抱き締めてるです…
やっぱり、翠星石はジュンが好きなんですかねぇ…
言葉では言い表せないような安らぎを感じるですぅ…

翠「引き篭もりなんかやめてさっさと学校に来やがれです」

──引き篭もりたい気持ちは判らんでもないですよ。
でも、いつかは苛める野郎どもをギャフンと言わせなければダメなんですよ。
た~だ~し、蒼星石や巴のおバカみたいに武力闘争だけはしようとするなですよ~?

ジ「五月蝿いなぁ。あっちいけ!」
翠「まぁ!…」

ジュン…ひでぇです!
抱き締めた翠星石が悪かったです!あぁぁぁもう!
こんな奴からはさっさと離れてやるです!

ジ「お前に俺の何が判るっていうんだ?昨日の昼休みにあったことも見てないんだろ?」
翠「じゃあ翠星石からも言わせてもらうです──今日学校に来なかったくせに!」
ジ「何だと?」
翠「きゃあッ!」

ジュンがムッとした顔で立ち上がろうとするです…
もっとジュンから離れないと怖いですぅ…
門扉の近くまで離れるです…

ジ「何で逃げる?」
翠「す…翠星石はジュンと喧嘩しに来たんじゃないんです。ジュンに怒ってるわけでもないんです。
  むしろジュンを苛めた野郎どもに怒ってるんです。許せんです…転校させてやりたいです!
  今日もずっとジュンのことを貶めるような事を言ってたですよ?ホントにひでぇ奴らです!」
ジ「…」
翠「でも、今のジュンの反応を見て思ったんです。お前は引き篭もりになって当たり前なんです」
ジ「あ?」
翠「…す、翠星石の力では及ばんです……どうしても…お前と話すと喧嘩になってしまうです…
  …これじゃあ埒が明かんです。翠星石に…今のジュンを包み込めるような…力は…ないです…
  ……だ、だめですね……ジュンは…もっと…気の合う…にんげん…と…」

…うぅ…言葉が途切れ途切れになっちまうです…泣き虫は損です…

ジ「つまり、僕が引き篭もりだから手に負えない、と」

はぁ?…もう最高に馬鹿ですね!
いいですよ。もう。
ジュンなんて…大ッキライです!!!!

翠「お前が…引き篭もりになったとかどうとか、結果なんて今は関係ないですよ…」
ジ「じゃあ何?」
翠「……手に負えないのは……お前のその曲がりに曲がったヘソと…」
ジ「…」
翠「ジュンを突き放してしまう…翠星石の…この対応の悪さですぅ!!」

こんな事でジュンの前で泣くのはイヤですぅ!もっとジュンと距離を置きてぇです…
何が何でも走ってジュンから離れてやるですぅ…うっ、うっ──
──でも、こんなの…ホンモノのジュンじゃないです…

ジ『起きろ、早く…』

…なんですか?
急に眩しくなってきたですね

--------------

ジ「あー!」
翠「…ん~…」

ユサユサ

ジ「翠星石、早く起きろ」
翠「…はっ」
ジ「やっと起きたか」
翠「…?」
ジ「今、8時だぞ…しかもねーちゃんが帰って来た」

──さっきの夢…ジュン…

翠「──怖いです!怖いです!あぁぁ…」
ジ「え?」
翠「…な、何でもないです」

…何ですか?その目つきは…
今のお前に話したくないです…
もっとややこしいことになるでしょうから…

翠「だから何でもないって言ってるです!これ以上は何も話さんです!」
ジ「あ、そ」
翠「そうです。それでいいのです」
ジ「…で」
翠「どうしたですか?」
ジ「…ねーちゃんが帰ってきたから…」
翠「…あ!そうですね。翠星石も帰ります…」
ジ「…」
翠「ほら、何をもたもたしてやがるですか…」
ジ「!」
翠「鍵も開けに行くですよ」

さ、ベッドから降りて、鞄を持ってドアを開くですよ。

翠「のり~ちょっと待つです~」
ジ「…」

二重ロックしてごめんですぅ~
今から玄関を開けるです。
…あれ?ジュンが来ないですね。
翠星石1人で玄関で出迎えるのも変ですから、
引き返してジュンも連れてきますかね。

──あ、あれ?
ジュンの部屋のドアが閉まってるです…
勝手に帰れってことですか?
…さっきの夢の…ジュン──
…。

ま…まさかぁ~です。
ドアを開けてジュンの様子を確認してやるです…

ほ~ら、鍵無しのドアですから、すぐにドアが開いたです。
へん!引き篭もりにしてはまだまだ甘いですね。
…あっ──

──ぐひひひ…
ジュンの顔を見た瞬間に感づいたです。
もしかして…こいつ、のりと接触したくないんですね?
さっきまで2人きりでいたことを突っ込まれたくなくて──

翠「おめぇは馬鹿ですか!さっさと来るです!」
ジ「はぁ…」

じゃあ話は早いです。
ジュンの手をしっかり握って階段を猛ダッシュで下りるです~
…さ、玄関のドアの隙間からのりが見えるですよ?

の「あら、翠星石ちゃん。来てたの?」
翠「ジュンの看病に…んぐぐ」

何ですか!口を塞いだりなんかして!
ちょ~っと配慮して「ジュンの看病してた」って言ってやろうとしたのに…
それなら後で「2人っきりで一緒に寝てた」ことをぶちまけてやるです。
散々突っ込まれるがいいですよ~くっくっくw

ジ「あ、気にしない気にしない…ははは…」

いいからこの手を放しやがれです!
…でも、後ろから抱きつかれた感じなのは…そこまで悪くはないのですが…

の「あ…」
ジ「…」
翠「…」

あれ?
この沈黙は気まずいですね…

の「…」
ジ「今開けるよ。一旦ドア閉めて」

何でそう嫌そうな顔をするですか?
普段よりますますのりに冷たいですね…

ジ「おかえり…」

なっ…これはまるで離婚寸前の夫婦…
酷い奴です…
のり、気にするんじゃねぇですよ──

──あ!水銀燈!?

…油断してたです…
のりと同じラクロス部だから水銀燈が一緒に来てもおかしくなかったんですぅ…
帰りが遅いことを誰かがチクリやがったですね?…うぅ…
後で覚えてろよ~です!

銀「翠星石ぃ?」
翠「え~…」

この薄気味悪い笑みは……もうダメですぅ…

銀「蒼星石よりも帰りが遅いから捜して来てって連絡があったわ」
翠「…」
銀「ここにも、ジュンくんの携帯にも、あなたの携帯にも連絡したのに誰も出ない…」
翠「…」
銀「それで来てみたら、やっぱりここに居たのねぇ…」
翠「いや…」
銀「お母様が心配しているわ」
翠「あっ!…」

──誰かがチクッたんじゃなくてお母様から直に?

銀「…連絡もなしに…」
翠「…」

だって連絡入れたら「ジュン君と遊ぶために部活休んだの?」って言われるじゃないですか。
だからと言って本当のことを話すのも気が引けますし…

銀「しかも学校から直接ぅ?」
翠「…」
銀「まさか、無断で部活休んだとか?」
翠「そっちの連絡はしましたよ!?」
銀「あっそぉ。ま、事情は知ってるからいいわ」
翠「…」
銀「でも、家族の中でその事情を知ってるのは私と蒼星石だけ…」
翠「…」
銀「判ってるわよね?」
翠「…ご、ごめんですぅ」
銀「家に連絡入れるか、一旦家に帰るか、どちらかにしなさいって言ったこと、覚えてる?」
翠「…」

ここで水銀燈から笑みが消え、口を小さく開けながら睨みつけてきたです…
今にも殴りかかって来そうな雰囲気がするです──

銀「いくらジュンくんの家だろうが、言われたことは…」
翠「ひぃ!」

ここは逃げ出した方が勝ちです!
それに、翠星石はもう中学生ですよ?
少しぐらい自由にさせやがれです…

銀「待ちなさい!」

えぇぇ!?そんな速さで階段を駆け上がって来るなんて…
やっぱり運動部の人間には敵わんです…

翠「きゃっ!来るなです!」
銀「ジャンクにしてあげるわ!」

ひえぇぇ…行き止まりです…。
振り返れば…水銀燈がすぐ目の前に立ちはだかっていたです…
思わず腰を抜かしたです…

翠「ごめんですごめんですごめんですぅ~~」
銀「謝るならお母様に謝りなさい!」

もう判ったです…だから怒鳴りつけて来るなですぅ…
──相変わらず水銀燈は怖えぇです…

翠「はい…」
銀「じゃあ家に帰ったら謝るのよ」
翠「はいです…」
銀「もし次もやった時には…覚悟なさい…」

そう言うと水銀燈は立ち上がって──

銀「ジュンく~ん?」
ジ「何~?」
銀「…大事な話があるから、ちょっと来てぇ~」

笑顔でジュン呼ぶ水銀燈。今度はジュンを叱る気ですか?
──と思ったら急に真顔になりやがったです。
ジュン…幸運を祈るです…。

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