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ジ「…」
翠「…」

ま~だですかぁ?
こいつはホントにチキンですね。
ちょっとでもヘマすれば翠星石に脛蹴り食らわされると思ってやがるです。
何でそんなに翠星石にビビるんですか?さすがはチビ人間ですぅ~
とんでもなくツマラン人間です。肝っ玉までプチサイズです…
…幼馴染なんですから、す…少しは翠星石の考えてることを読みやがれです──

翠「──だから、引き篭もるです」

…んもう、ほんとイライラさせてくる奴ですね!
固まってないでさっさと…
…あぁ…蹴り上げたくなってきたです…
…我慢ならねぇです──

翠「…ばっか!さっさと…」
ジ「!」

──おわあぁぁぁっと!!…危ねーです…
危うくジュンの脛を蹴り飛ばすところでした…
…でも…これでまたジュンを突き放しちまったですね…
はぁ。
短気は損気ですね。
普段から水銀燈が言ってることを守れば良かったんです…

──あ、そうです…
こうしてる間にすっかり忘れてたです。
翠星石だって加害者なんですよ。
ジュンに今までしてきた悪行の数々が今のジュンに響いてしまったんです…
そんな身でジュンと一緒に引き篭もろうだなんて甘いです…
ジュンに謝ったら…1人で帰って勝手に引き篭もるです…
でも…そうするにしても──

翠「ジュンに許してもらうまで、翠星石は生きて行けんです…」
ジ「…?」
翠「……悪いことをしたですぅ…許してくれですぅ…」
ジ「…何で謝るんだ?」
翠「ジュンはクラスの奴らに苛められて引き篭もってるんですよね?」
ジ「…」
翠「でも翠星石だってジュンにあいつらと同然のことをしてきたです…」
ジ「それはない!」

──この即答っぷり、もっのすんごぉく腹が立つです…
どーせ翠星石のことなんか深く考えてないんです!

翠「お前は蒼星石ですか!」
ジ「あ?」

はぁ。
何だか、悲しくなってきたです…
何でジュンとは喧嘩ばっかなんですか…

翠「…」
ジ「ま、上がれよ。愚痴りたいんだろ?」

…え?…いつもみたいに切り返して来ないんですか?
今日のジュン、何か変ですね。
このまんますんなりお邪魔していいものなんでしょうか──

──あ…いや、それだと引き篭もる意味が無いですぅ!

翠「──ややややっぱ帰るです!」
ジ「は?」

1人にさせやがれですぅ!
ジュンと一緒にいたらジュンを傷つけてしまうだけです!
あっ…いや…そうじゃなくてぇ…よく分からんです…
──もう!ジュン!…腕を掴むなです…

ジ「ちょっと…落ち着けよ。僕に用があって来たんだろ?」

今日のジュン、絶対何か変ですぅ…
いつもなら「あ、そ」で済ませるくせに…
もうやけくそです!
このジュンの掴む手を力ずくでも振り解いて家で1人で引き篭もってやるです!

翠「誰がジュンなんか!──は~な~せです!」
ジ「イヤだ」
翠「は~な~せ──」
ジ「いいから入れ!」

ひっ…。
そ、そこまで怒鳴らなくてもいいじゃないですかぁ…。

翠「…」
ジ「ほら早く…」
翠「…」

わ…分かりましたよ。
上がればいいんでしょ?
…はぁ、ダメです…またジュンを困らせてしまったです…。
ジュンって…広い心の持ち主ですね…。

翠「…」
ジ「じゃあ、こっち来い」
翠「…」

分かりました…鍵を閉めるです…。
いいですか?ジュンが誘ったんですからね。
こ、これは飽くまで翠星石の意志ではないんですから…
…って、いつも普通に遊びに来てるのに、何でこんなことを考えるですかね──

それにしても、リビングから玄関にかけて、ものの見事な散らかしっぷりです。
ここまでの荒れ様は今までで一度も見たことがないですね。
う~ん…ジュンもかなり荒んでたんですね…
いや、荒んでたのは…のりの方かもしれんですね…
もしかして、ジュンも姉弟喧嘩してたんでしょうか…

~~~~~~

今日はジュンの背中が…やけに大きく見えるです。
でもそれは翠星石の勝手な思い込みではないかもしれないのです。
階段を上り切った時、ふと思ったんです。
背の高さが翠星石に追いついてきたなって──
お前も…もうチビ人間じゃないんですね…。
逆転されるのも時間の問題かもしれないです…

…なんて感慨深くなってたらジュンの部屋に到着したです。
今まで10年以上も見てきているのですが、この部屋の綺麗さはずっと維持されてますね。
1階も今までは散らかってたことは無かったはずなんですけど…
さて、ジュンがよっこらせと椅子に座ったので翠星石もベッドに腰掛けたです。
でも…さっきあんな風に怒鳴られた後だと気まずいですね…

ジ「ほら、さっきのは別に怒ったわけじゃないだから、そんなに元気なくさなくても…」
翠「…」
ジ「な。だから気にするなよ…」
翠「…」

ひぃゃっ!
近づいて何をする気ですか…?

ジ「よいしょっと…」

まったく、こ…こんなことで…ドキドキするなんて…馬鹿げてるです…
でも、何だかホッとするですぅ…

翠「…」
ジ「…」
翠「ジュン?」
ジ「何」
翠「ジュンが苛められてたのは昨日からだったんですね」
ジ「え?」

え?って…知ってたと思ってたんですか?

翠「今日気づいたです。昨日の5時間目の休み時間に何で五月蝿かったかが…」
ジ「?」
翠「昨日は机て寝てましたし…ジュンも突っ伏してたから寝てたのかと思ったです…」
ジ「あ…そうなんだ」
翠「改めて謝るです…昨日はあんなこと言って悪かったです…」

そうです。短気は損気なんです。
もっと冷静に考えることが出来たら、もっと早くにジュンの異変に気付けたはずですのに…

ジ「僕こそ、冷たくしてごめん…」

うぅ…。
ジュン…
──翠星石もこの事にもっと早くに気付けば良かったんです…
そしたら…今までよりずぅ~っと喧嘩の数も減って…平和的な関係を…
…ダメです。泣いたら話が進まんです…
ハンカチで涙を拭って、気持ちを切り替えるです。

翠「…それで、主犯格はAとBとCですね?」
ジ「C?」
翠「え?…違うですか?」
ジ「昨日はAとBだったんだけど…」
翠「じゃあ、増えたんですね…」
ジ「…」
翠「まぁ…クラスのほとんどの奴もジュンを貶める発言ばっかしてやがるですし…」

そうです。AとBの周りは特に馬鹿騒ぎしてましたね…

ジ「…」
翠「この増殖の動きは何としてでも食い止めたいんですけど…」

うっ…こんな鬱になること、言いにくいですね…
それでも、ジュンになら…

翠「…蒼星石が…怖いんです」
ジ「え?」
翠「巴も怖いです」
ジ「…?」
翠「2人で何かコソコソやってるです。翠星石はまるで弾き出されたような感じなんです…」
ジ「…」
翠「翠星石も…もはや孤立したんです──」

ううっ……嗚咽が漏れてしまうです…
だって…今までは何の問題もなく4人で仲良くやってきたですよ?
何で今頃になってこんなことになるんですか…?
ジュン…目が赤いですよ。お前まで泣くこたねーですよ…

ジ「…」
翠「──ぐずっ…」
ジ「…」
翠「まあ、向こうは他クラスですもんね…仕方ねーです」
ジ「…」
翠「それに、クラスはみんなジュンを貶めるようなことを言うです…」
ジ「…」

そうです。これが一番イヤなんですぅ…

翠「ジュンがいないのに、学校に行くだなんて…無茶ですよぉ…」

だって、うちのクラス、園芸部員も剣道部員も少ないんですよ?
いくら学年全体で対立してるからって、これじゃあ押し潰されていくだけです…
それに、戦争ムードが日に日に濃くなっていってるです。
争い事なんて…大っキライなんですぅ…
こんな寂しさを紛らわせてくれるのは…ジュンしかいないんですよ。
小さい頃からそばに居てくれたジュンしか──

ジ「…そうか。ごめん」

何を言い出すですか!
悪いのは明らかにジュンを苛める野郎どもじゃないですかっ!

翠「そ、そんな、ジュンは悪くないですよ!」
ジ「全く悪くないってわけでもないと思うよ…」
翠「でも…」
ジ「それで、今学校はどんな感じなんだ?」

そ、それを聞くですかぁ?
…鬱になってくるような話ばっかり続きますね…
これ以上続くと鬱で潰れてしまいそうですが、仕方ないですね。

翠「──戦争が…勃発しそうなんです…」
ジ「戦争?」
翠「そうです。ジュンを擁護する側とAとBの野郎の側とで火花が散ってるです」
ジ「…それで、まだ取っ組み合いとかは起こってないんだ」
翠「今朝小規模ながらありましたよ。だから近いうちに大規模なのも起こるはずです…」
ジ「深刻だな…」
翠「…それも多分、こっち側の中心は蒼星石と巴です…」

眉間にしわを寄せて考え込むジュン。
…何を考えてるんでしょうね。

ジ「──そういや、朝に巴が『潰しに行って来る』なんて言ってたな…」
翠「はぁぁっ?…巴が??」

唐突に何を言い出すですか…
巴…朝にそんなこと言ったですか?
…絶望的な流れですね…はぁ。
も、疲れました。寝るです。全てに嫌気が差したです。
ジュンのベッドを借りるです。よいしょっと。
はぁ…。

ジ「おいおい…外の服で入──」
翠「もうこの世の中が嫌ですぅ~どう考えても引き篭もるしかねぇです!」
ジ「…」
翠「…今晩…泊まってもいいですか?」

引き篭もりたいのに寂しいって変な感じです…
このことをジュンに突っ込まれたら恥ずかしいです…

ジ「…」
翠「…」
ジ「お…お前のお父さんとお母さんは…許さないだろうな」

──え?
…ジュンが…焦ってやがるです…何だかクソ真面目ですね。
今日のジュン、珍しく冗談で返して来ねぇです…
苛められたショックで冗談を言う余裕がないんですかね。

翠「ほ…本気にするんじゃねーです。ちょっと言ってみただけです!」
ジ「…ふんw」
翠「笑うなです!」

ったく、ジュンのせいで不覚にもこっちまで動揺してしまったです…
まぁ、蒼星石も巴も居ないのにココに泊まるなんてことは初めてになるんですが──

翠「でも…せめて、あとちょっとは…ここに居てもいいですか…?」

でも折角の2人きりなんですから、少しぐらい満喫してもいいですよね?
いつか泊まる時の準備…ということにもしておきますか…

ジ「…まぁ、好きにしろよ」

──え?
きゃぁっ!…ジュン、こっち見るなです!
…今日のジュン…調子に乗りすぎです…。
…それなら翠星石も…今日は本心をぶつけてやるですよ?
いいですか?
…じゃあ~好きにさせてもらうです♪

…さりげな~くジュンが寝る分を空けてやったですよ。
このベッドでいつか2人で寝るのが憧れというか…まあそんなもんだったんですぅ~
ここでギュウギュウに詰めで寝てみるとか、やってみたいなぁって…
2人でトランポリンみたいにポンポン飛び跳ねるのは諦めましたが…
…まぁこのことは「お前まだ幼稚園してるのかw」だなんて笑われたくないですから
口には出しませんけど?

さてさて。
翠星石がジュンに抱きついた時は…ちゃんと空気読めたんですから、もちろん…

ガチャ

あ…あれ?どこ行くですか?
…階段を下りる音がするです…1階へ下りていきましたね?
…。
長いですね。
…。
そういや、翠星石は何がしたかったんですかね。
最初は1人っきりで家でじっとしておくつもりだったのですが…

ガチャ

──あ、帰ってきたです…
ほらほら、さっさと隣に寝やがれです…

ドスッ

う…今の音は…何ですか?
こいつ、カーペットの上で寝たんですかね…こっそーり見てやりますか…
あ…座布団を持ってきたですか…その上に寝るんですね…
…って…やっぱり──

──きぃぃぃぃぃっっ!!そおぉぉんな配慮いらねーです!!
このどチキンがぁぁぁ!!!!

やっぱり翠星石の思い過ごしだったんですぅ…
こいつはあらゆる意味でチビ人間です!
図体だけデカくなりやがってぇ…

なんか…危機感を覚えたです!
やっぱりこいつには“喝”を入れるべき存在が必要ですね。
あんまり優しくし過ぎると一緒に居ても寒い人間になるばかりです!
今にでも飛び起きてジュンにビンタ一発食らわせてやりたいですね…
それから踏みつけて無理やり起こしたところにジュンのぼ──

──あ…熱くなり過ぎましたね…
と~にかく、元気になったら覚悟しやがれです!

ったく。
今日は…まぁ…しゃーねぇですから、このまま眠ってやるです……うぅ…
ばーかばーか。

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