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懐かしき思い出

蒼星石のことからまた数日経ったある日。これは時計を取りに行き、家に帰った時の話だ。

「猫嫌いな少女」

よかったよかった。完璧に直ってるよ。あのロリコンじいさんもやるもんだな。重いのはかわらないけど…。

「しかしベジータのやつ…。結局時計屋に残りやがって…」

時計なんて興味もないくせにな。まったくストーカーから迷惑な入り浸りにかわっただけじゃないか。

「さてと…そろそろ家につくな。」

今日はこの時計を元あった場所にかけて寝るかな。っと思ったんだが…。

「どうにも今年の夏はめんどくさいことに巻き込まれることが多いな。」

そしてまたか貴様。黒猫が不吉というのもあながち馬鹿にできない。

「なにしてるんだ?赤いの?」

いやジオンの赤○彗星じゃないよ。ただ赤い服着た女の子が猫見て固まってるだけ。猫は猫で寄って行って顔舐めてるし。

「や、やめなさい。触らないで…」

とりあえずこの子が猫嫌いということは十分分かった。追っ払ったほうがいいのかこれは?

「そ、そこの眼鏡何を見ているの。早く追っ払ってよ。」 

………止めた。

「さてさっさと家に入るか…。」
「ちょっと待ちなさいよ。追っ払ってって言ってるでしょ?」

図々しいな。翠星石以上ベジータ以下ってところか…。

「ひっ。は、早く。早くして頂戴。」

なかなか捕まえるのが難しいあの黒猫が顔を舐めるなんてな。なついてるのか?
…いや嫌がらせだろうな。なんかこの黒猫頭いいし。

「ちょ、ちょっと考え込んでないで助けなさいよ。…猫なんて…猫なんて…」

……さてこれ以上は無理かな。泣きだしそうだ。
泣きだしそうになりながらも命令するのはすごいと思うけど…。

「ほらそろそろどいてやれよ。その子嫌がってるぞ。」

僕の説得(?)によって離れていく黒猫。
少し離れてから一声鳴きウインクを……なに?僕は今何を見た何を言った?猫がウインク?

「ありえないだろ?」
「そうね。ありえないわ。猫が私の顔を舐めるなんて…思い出しただけでもおぞましいわ。あれは貴方の飼い猫なの?」

いやいや待て待て冷静になれ。猫がウインクをするはずが無い。目の錯覚だ幻覚だ。そうに違いな…

「痛ぁ」
「ちょっとあなた無視してないで私の話を聞きなさい。」 

痛い痛い痛い…。本気の蹴だな?
渾身の力を込めてすねを蹴ったな?助けなけりゃよかったよ…。

「いつまで痛がっているの?男のくせにだらしないわね。」
「うるさい!!すね蹴られたら誰でも痛いに決まってるだろ!?なんなんだよお前は。」
「お前じゃないわ。私の名前は真紅よ。し・ん・く!覚えたかしら?」

真紅?だから服が赤いのか?…ってそんなとこ考えてる場合じゃないだろ!?

「わかったわかった。僕はジュンだ。桜田ジュン。」
「そうジュンね。もう一度聞くけどあの猫はあなたの飼い猫?」

あれ名前を名乗る場合でもないんじゃないか?
いや名乗られたら名乗るのが常識だけどこの場合…。

「ちょっとまた蹴られたいの?」
「へっ?ああ僕の飼い猫じゃないよ。この頃僕の家によく来るけどな。」
「そう。ならいいのだけれど…」

こいつはどこまで僕の調子を狂わせるんだ。
ベジータでもここまで調子は狂わないぞ。

「ふぅ。焦ったら喉が渇いたわ。ジュン。何か飲み物を貰えないかしら?」
「はぁ?なんで僕がお前に飲み物なんか…痛ぁ…。ま、またこいつ…」
「お前じゃなくて真紅よ。二度も言わせないで頂戴。」 

前言撤回ベジータ以上だ。僕の中で一位だ。図々しいランキング一位!!ダントツでな!

「早く起きなさい。」
「ちっ。ウーロン茶でいいな?」
「だめね。紅茶よ。それ以外認めないわ。」
「……図々しいにも程がある…。」
「あら?何か言ったかしら?」
「いえ。何も…」
「そう。ならいいのだけれど…。さぁ早く家を開けなさい。」

地獄耳め自分にも微かに聞こえるくらいに言ったのに…。
なんでこんな小さい…しかも女の子に僕は逆らえないんだ…。

「ねぇ?貴方は自分の家を開けるのにどれくらいかかってるの?」
「うるさいな。両手に持ってるこの時計が見えないのか?」
「…一回置きなさいよ。」

……うっ。気が動転して気が付かなかった。やばい。予想以上に調子を狂わされてる。

「また考え事?まったくいつになったら開くの?」
「誰のせいだ。…ちょっと待ってろ。」

そう言ったものの鍵を開けようとしたところで僕の手は止まる。
こいつを家にいれたらどうなるんだ?
大概のことでは驚かない僕が……いやこの頃驚かされまくってるけど…。この際そんなことはどうでもいい。
問題は今だ。こんなに驚かされたのは人生初……

「ジュン!」
「はい…」 

情けない。なんだよあの威圧感は…。あれ小学生か?
しかしわかった。いやわかってしまった。あれには……逆らえない。
…本当に僕って情けない。今の僕はストーカーのベジータより惨めだ…。

「ずいぶん古い家ね。掃除はちゃんとしているみたいだけど…。埃が残ってるわね。」

どこの姑さんですか!?あなたの前世は意地悪な姑さんですか!?

「キッチンはこっちね。早く紅茶を入れて頂戴。」
「わかったよ。」

時計を掛ける暇もない。とことん図々しい。誰か助けてくれよ…。

「まだなの?ジュン?」
「この家にはポットなんて無いからな。いちいち沸かさなきゃいけないんだ。」
「それなら仕方ないわね。今回は許してあげるのだわ。次私が来るまでには買っておきなさい。」

んっ?真紅は今なんと?次私が来るまでには?また来る?なんでやねん!?
……はっ何大阪弁で突っ込んでるんだ僕は…。
おかしい…今日の僕は僕じゃないみたいだ。

「返事は?」
「はい…。」
「それでいいのよ。さぁ早く紅茶を入れて頂戴。もう沸いてるわよ。」

うわ本当だ。気付かなかったよ。
さてさて紅茶のもとをコップに入れて…。 

「ごふぁ。…なんだよいきなり?」

いきなり殴りやがって…こいつ…。ごふぁ。とか言っちゃったよ…なんだよ。ごふぁって…。

「紅茶は葉から入れてこそ紅茶よ。インスタントなんて紅茶じゃないわ。」
「生憎この家にはインスタントしかありません。飲みたければ葉を…」
「これでいいのね?」

はい?紅茶の葉とマイカップ?どこから出したんですか?
あなたは青い狸が持ってる四次元ポケ○トでもお持ちで?

「さぁ早く。」
「わかったよ。入れればいんだろ入れれば!?」

もういいや細かいことは気にしないでおこう。
とにかく今は紅茶を飲んでさっさと帰ってもらう。これが一番大切なことだ。

「入れたぞ。」
「まあ香りはいいわね。味は…」

真紅が僕の紅茶を飲んだ。あれ何で僕はこんなに緊張してるんだ?

「…まあまあね。厳しくいえば飲めたものではないけれど…。今回は大目に見ておくのだわ。」
「そうかよ。そりゃあよかったな。」

紅茶評論家かよ。素人バカにして何が楽しい。
そして飲ませてもらって礼の一つも無しか。このマセガキめ。
……なんて口が裂けても言えないと思ってしまうのはなぜだろう? 

わかったぞ。こいつは僕の天敵だ。何かわからないけど天敵だ天敵なんだ。

「何を考えているのか知らないけど私を睨むのは止めて頂戴。」
「に、睨んでなんかいないよ。それで?もう帰るのか?」
「ええ。そろそろおいとまするわ。」

よっしゃあ。帰れ帰れ。僕の天敵。

「じゃあまたこん……」
「どうしたんだ真紅?」

キッチンもとい台所を出た真紅は止まった。文字通り完璧に…。理由はまあ言うまでもないけど黒猫だ。

「な、な、な、何で猫が家の中にいるのよ!!汚らわしいおぞましい最悪。」

始めに会った時に戻ったかのように真紅は取り乱す。
もう取り乱すったら取り乱す。
黒猫を罵倒するだけ罵倒すると怯えたように床にへたれこむ。
それもそうだ。黒猫完璧にお怒り。
罵倒の意味を理解しているように真紅を睨み付け近寄っていく。

「こ、来ないで、近寄らないで…」

黒猫は言っても聞かない。その目つきは僕でも怖っ。て思うほど人並みはずれた…もとい猫並はずれた目つきだ。

「ジ、ジュン。な、何をしているのよ。た、助けなさいよ。」

いやでも猫を馬鹿にした真紅が悪いわけで…。
こちらとしても一つガツンとやってほしいところだし。 

ゆっくりと近づく黒猫。もう後ろから湯気が出てもいいぐらいに怖い。
あれが噂に聞く猫又ってやつか?いや別に尻尾が二本あるわけじゃないが…。

「や、止めて、本当に、それ以上近づくのは…キャー」

んっ?考え事している間に真紅が引っ掛かれたようだ。
黒猫も満足そうに窓から外に出ていく。最後にまたこっちを向いてウインクした気がするが…まあ気のせいだろう。

「ジュン…。」
「えっ?は、はい?」
「なんで助けてくれなかったのよ。」
「いやなんでと言われましても…」

これは怖い。そこいらの不良なんかより格段に怖い。
さすが僕の天敵…。

「私はねぇ。本当に怖かったのよ?なんで助けてくれないのよ。」

うお!グーパンチが飛んでくるかと思ったら抱きつかれた。これは予想外ですね。
って何を!?

「これでも私は女の子よ…。守るのが男の務めでしょ?」

あなたはそんじょそこらの男より確実に強いです。…なんて考えてる場合じゃないか…。
泣きながら抱きくなんて反則だよ。しかもばれないように必死になって…。
本当に反則もいいところだ。
まったく虚勢ばっかりはってやっぱりまだまだ可愛い女の子じゃないか。
…思えばすね蹴も顔面パンチも素直じゃない言動もすべてはこんな自分を隠すためだったのかもしれないな。 

「ごめんごめん。悪かったよ。本当に悪かった。」
「…そんなことじゃ許さないわ。」
「わかったわかった。許さなくてもいいよ。それより引っ掛かれたところ見せてくれ。」
「…服が破れただけなのだわ。別に傷なんて…」

本当にあの黒猫は頭がいいらしい。あんなに怒っても傷つけたりはしないか。

「なら直すよ。見せてくれ。」
「…貴方が?」
「ああ。裁縫は任せとけよ。それと…そろそろ離れてくれるか?」
「…もう少しくらいいいじゃない。もう少しだけ…。」

まあ今はこうしてるのも悪くないかな。この後の僕の仕事はいっぱいのようだけどね。

…………………さて現在あれから六年経ったわけだが…

「ジュン。紅茶はまだなの?」
「はいはい今入れますよ。」
「はいは一回。」

まったく本当にポット買わせて紅茶入れさせるなんて信じられない。まったく傲慢な所はかわっていない。それどころか増すばかりだ。

「まだまだね。はぁ貴方に紅茶を入れる才能はないのかもしれないわね。」
「うるさいな。どうだっていいよそんなこと。」
「でもねジュン裁縫は完璧よ。これだけは誉めてあげるわ。」

そして傲慢な癖にたまに誉める。…まあこの誉め言葉が嬉しいのは仕方ない。だって真紅のやつ最高の笑顔で誉めるんだからな。…本当反則だ。やっぱり真紅はいろんな意味で僕の天敵のようだ。

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