やきとり処「水銀亭」~…誰だっけ?~
金「こんばんわかしら」
銀「あら、こんな時間にお嬢ちゃんひとりなのかしらぁ?
悪い事は言わないわ。早く帰った方がいいわよぉ」
金「ちっ…違うかしら!」
銀「じゃあもしかして家出とかぁ? それならすぐ仲直りしておきなさいよぉ」
金「じゃなくてぇ!」
銀「それとも夜逃げ?」
金「カナはお姉ちゃんの妹かしら! 妹のことを忘れるなんてひどいかしら!」
銀「あ…ああ、誰かと思ったらカナ…カナ…」
金「カナ?」
銀「カナ…ブン、だったかしら? 違うわね。神奈川? これは地名よね。
金沢も地名だし…。カナダドライ…だっけ?」
金「お姉ちゃんたらひどいかしら! カナは金糸雀かしら!」
銀「…も、もちろん! わわわ、わかってたわよぉ。
ぜーんぶジョーク! 嘘! 本気にしないでよぉ」
金「目の焦点があってないかしら」
銀「まっ…まぁ~とりあえずもう夜遅いから危ないってのはそんな間違ってないから
早めに帰ったほうが身のためよぉ。明日も学校あるんでしょぉ?」
金「学校はだいぶ前から夏休みかしら」
銀「そ、そういえばそうだったわねぇ」
金「ということでやきとり食べたいかしら。お金もちゃんと持ってきてるのよ」
銀「…しょうがない子だこと。じゃあ、何を焼きますかぁ、お客様」
金「うずらの玉子が食べたいかしら」
銀「他には?」
金「うずらの玉子が食べたいかしら」
銀「…ピーマンも焼いとくわねぇ」
金「!? そんなの頼んでないかしら!
カナがピーマン食べられないの知ってるくせにぃー!
お姉ちゃんのサディスト! いぢわる!」
銀「好き嫌いはよくないわよぉ。ピーマンだってよーく味わえば
苦味の中にほんのり甘みがあって、とーっても、おいしいのよぉ」
金「…じゃあ頑張って食べてみるかしら」
銀「うふふぅ。その意気よぉ。…玉子酒、サービスしといてあげるわねぇ」
金「カ、カナは未成年かしら!
それに玉子酒は風邪ひいたときに飲むものかしら!」
銀「細かいことは気にしないのぉ。普段飲んだって結構イケるものよぉ」
金「じゃあ…飲んでみるかしら」
銀「ようこそ、大人の世界へ」
やきとり処?「水銀亭」~大丈夫、仕事はしてる~
薔「いい年した大人がこんな時間に公園で何をしているの…? やきとり屋は夜からのはず…」
銀「あらぁ、薔薇水晶じゃなぁい。御機嫌よう。
確かにあなたの言うとおり、やきとり屋は夜からの営業よぉ。
だけどそれじゃあ暇だから昼間はこうやってカキ氷売ることにしたのよぉ」
薔「仕事に疲れた大人の次はいたいけな子供にたかるのね…」
銀「…言い方がよくないわねぇ、薔薇水晶」
雛「そうなのよー。ばらしーも食べてみればこのおいしさがわかるのよー」
薔「あら…雛苺。御機嫌よう」
雛「ごきげんよーなの。…はい、こればらしーのぶんのカキ氷」ガリガリガリガリ
銀「ちょ、雛苺。それ売り物なんだから」
雛「細かい事は気にしなくていーのよー。つりはいらねぇぜ、ばらしーちゃん」
薔「お釣りどころか、一銭も払ってない…」
雛「すいぎんとー持ちだからきにしなくていーの! ね? すいぎんとー」
銀「でも友達だからっていっ『さすがすいぎんとーなの! ローゼン家の長女だけあって太っ腹なの!』」
薔「そういうことなら遠慮なく…」
銀「…ハァ、今回だけよぉ」
しゃりしゃりしゃり
薔「炎天下の中、木陰でカキ氷……。オツだ…」
雛「このシチュでのカキ氷のよさが分かるなんて、さすがはばらしーなの。大人なのよー」
薔「最初はこのシロップも酸味が濃くてクセが強いと思ってたけど…なかなか…」
銀「うふふぅ、それは水銀燈特製のヤクルトシロップよぉ。お口に合ってうれしいわぁ」
雛「そういえばすいぎんと、ヒナの雪見うにゅー、そろそろできてるかしら?」
銀「確かに、いい頃合ねぇ。薔薇水晶も食べてく? 雪見苺大福」
薔「…それじゃあ、食べてく」
雛「お菓子はひとりで食べても美味しいけど、やっぱりみんなで食べるのが一番なの!」
銀「その通りだわぁ」
薔「それじゃあ…きらきーも呼ぼうか…」
銀「洒落にならなくなるからやめて頂戴」