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   『金糸雀堂』


大きな草原の真ん中に小高い丘がありました。
丘の頂上には大きな大きな木が一本、木の下には小さなお店がありました。
お店の名前は『金糸雀堂』。

今日はどんなお客さんがくるでしょう?


    その4

 今日は曇り。
はっきりしないもやもやした天気に木の葉もザワザワ不満げです。
準備をして待っていると、トントン・トントン、お客さんが来たようです。

ドアを開けると長い金髪で青い目の、小さな女の子が立っていました。

「みちにまよっちゃったの。」
「いらっしゃい、貴女を待っていたかしら。」
「わたし?」
「だからティータイムの用意をしておいたかしら。」

テーブルについてもらうとカップに紅茶を注ぎました。

「さてさて、貴女の探し物は何かしら?」
「ここおみせ?」
「ここは『金糸雀堂』。。誰もが一度だけ来る事が出来るお店かしら。」
「ふしぎなおみせなのね。」
「さあ、何をお探しでしょう?」
「わたし、おとうさまからもらったゆびわをなくしちゃったの。おかあさまがしてるのほしいっていったら、おとうさまが『とくべつだよ』って、つくってくれたゆびわよ。みつけないとおうちにかえれないわ。」

それを聞くと立ち上がって壁に掛かっている扉の絵に近づいて。

「そこの棚からノブを1つ選んで持ってくるかしら。」
「これにするわ。」
「この絵にはめて回しなさい。」

女の子は恐る恐る絵にノブを差し込み回しました。

ガチャリ

絵の扉の先は奇妙な部屋でした。
頭の上は一面水が満たされているのに下に落ちて来ません。
水底から見上げる不思議な気分でいると、真ん中の辺りに光るものがあります。

背伸びをしてそれを取ると女の子に渡しました。

「このゆびわだわ!おねえさまありがとう!」
「もう無くしちゃ駄目よ?しっかり指につけておくかしら。」
「はい。ねえ、わたしのおうちにきて。おれいをしたいわ。」
「う~ん、私はここから出る事ができないの。そうね、写真を一枚撮らせて貰えるかしら?」
「それだけでいいの?」
「もちろんよ。とびっきりの笑顔を見せて欲しいかしら♪」



写真が出来上がる頃、空の雲も少しずつ晴れ、光が差して来ました。
【天使の梯子】の中を帰っていく女の子を見送ると、今日は店じまいです。

「貴女はきっと、素敵なレディになるかしら。」

つぶやくと写真を見てみました。
写真には大木の前で花の様に笑う女の子と、隣で女の子と同じ指輪をして淑やかに微笑む女の人が映っていました。

「お日様の機嫌も直ってきたわね。」

そう言うとパタンと扉が閉まりました。


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