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懐かしき思い出

翠星石のことから数日経ったある日。予期せぬことから翠星石の家に壊れた時計を持っていった時のお話。

「自分らしさとは」

暑い暑い……。まったくもって暑い…。まさか猫が時計ぶっ壊すなんて…
どうやって掛けてある時計を落としたんだあの黒猫め…。

「重いんだよ。まったく…」

他の時計もあるけどあの家にはこの時計が掛けてないとしっくりこない。それにあいつが帰ってきた時大騒ぎしそうだ。
まあそんな訳で僕は時計屋へと向かっているわけだ。暑い中…でかい時計を持って…まわりの変な人がいるみたいな目の中を…。

「時計を修理に出すのがそんなに変かよ。やっぱりこういうことは筋肉馬鹿に頼むべきだったか…」
「あの…。手伝いましょうか?」

っとそんな独り言を言っていると正面から女の子の声聞こえてきた。

「えっ?いやいいですよ。」
「そうですか?ちなみにそれをどこに?」

正面は時計で見えないが随分他人思いの女の子らしい。

「いやこの辺にあるって聞いた時計屋に修理を頼もうと思って…」
「それならここですけど…」

視界の隅にあらわれた女の子の手は予想より小さな手だ。
その指はまっすぐ隣の建物を指差している。 

「あっ。そうなんだ。どうも。…うっ…」
「開けますよ。」

時計を両手に担いでいるため扉を開けられず困っていると女の子が扉を開けてくれた。

「ありがとう。」

扉を開けてくれたので一応お礼を言う僕。しかしなぜかは知らないか一緒に入ってきたんだなこれが。

「おお蒼星石…帰ったのかい。むっ?誰だそのもやし男は…」

誰がもやし男だ!
いきなりなんだこのじいさん…。いやちょっとまて帰った?蒼星石?つまり……

「お前翠星石と姉妹かなにかか?」

時計を置き改めて女の子の見ると翠星石と同じくらいの背。栗色でショートカットの髪。翠星石と同じく赤と緑のオッドアイ(色は逆だが)が見えた。

「そうだよ。僕は蒼星石。君は?」
「桜田ジュンだ。ふ~ん…双子?」

いやどう見ても双子なんだが一応聞いておく。
しかし目の色以外顔そっくりだ。髪の長さが違わなかったら見分けが付かないかもしれないな。

「わかる?ジュン君の考え通り僕と翠星石は双子だよ。翠星石が姉で僕が妹なんだ。」
「そうなのか?逆だと思ったけどな。」
「はは。それいつも言われるんだ…。」

そういうと蒼星石はちょっと暗くなった。…あれ僕もしかしてまずいこと言った? 

「それでなんのようじゃもやし男」

またもやし男と…空気を読め糞じじいめ。いやこれで話を切れるからいいのかな?

「あ~これが壊れちゃって…。直せますか?」
「……これはまた古い時計じゃな。少し待ってくれれば…」

ふぅ。なんとか直るようだ。ここまで持ってきて「直せません。」何ていわれたらたまったもんじゃない。

「そう言えば翠星石はいないのか?」
「翠星石なら夏休みの自由研究の題材を考えるからって図書館にいったよ。」

結局僕の家では材料が見つからなかったからな。しかたないか。

「そう言えばジュン君。時計直すまで暇だよね?ちょっと散歩に付き合ってくれないかな?」
「んっ?いいぞ。」

会ったばかりだっていうのに散歩か…。この頃こんなことばっかりだな。
……全部あの猫が関わっているような…。まあいいか。

「じゃあおじいさん。また少しでかけてきます。」
「いってらっしゃい蒼星石。もやし男蒼星石に手を出したら許さんからな。」
「僕の名前は桜田ジュンです。ついでにあなたのようなロリコンじゃないんで手なんか出しません。」

さてさて騒ぐじじいは無視してさっさとここから出るかな。 

「それでなんで散歩になんか誘ったんだ?」

少し歩きながら前を歩く小さな背中に聞いてみる僕。

「ちょっと興味があってね。あの人見知りの翠星石が今日会ったばかりの人の話を何度もするからどんな人かな?ってね。」
「あいつ人見知りだったのか?」

始めこそそう見えたかもしれないがそこまでの人見知りには見えなかった。

「僕が見てきた中で考えると、翠星石が始めてあった人と話すにはかなり時間が掛かるはずだよ。」

そこまで重度の人見知りにはとても見えなかったけど…。
まあ双子の妹が言ってるんだから間違いないか。

「その翠星石がジュン君のことやたらと話すからどんな人かと思ってたけど…うん納得したよ。」

何か納得したようだが何をだ?しかし容姿もさることながら口調も男の子っぽいな。

「何を納得したかは知らないけどさ。どうして髪を短くしてるんだ?格好も男の子っぽいし。口調だって…」
「そ、それは…。」

僕もしかしてとてつもなく無粋だったか?
やばいな。暗い…。触れてはいけないことだったのか。

「なんてね。少し暗くなってびっくりした?」
「びっくりなんてもんじゃないよ。泣きだすかと思ったよ。ははは…」

きついな。引きつった作り笑顔なんてされたら良心がずきずきと…

「この口調は生まれつきなんだ。髪と格好は…口調に合わせてかな。」
「何で合わせたんだ?もっと女の子らしい服を着ればいいのにさ。」
「口調がこんなのだとこの方が合ってるっていうのかな?そんな感じだよ。」

にしては色々気にしてるみたいだよな。

「でも男に見られるの少し気にしてるだろ?なら女の子らしい格好をすれば…」
「ダメだよ。そんなことしたら翠星石に迷惑が…」
「そんなことないと思うぞ。お前はお前翠星石は翠星石だろ?」
「それでも…」
「ストップストップ。僕はこれ以上とやかく言うつもりはないよ。自分は自分だからな。蒼星石がいいならそれでいいんじゃないか?」

僕は人の悩み事を解決できるほどの時を生きていない。
ついでにいえば人には干渉されたくないこともある。僕がそうだったようにね。

「そう…。でもなにか引っ掛かっていたものがとれたみたいですっきりしたよ。ありがとうジュン君。」
「お礼を言われることはやってないぞ?」
「う~ん僕が言いたいからいっただけたよ。あんまり気にしないで。」 

まあ気にしないでと言うなら気にしないけど……。

「時計はそろそろ直っ…うわ…」
っと誰かにぶつかったみたいだ。謝らないと

「あっすいませ…」
「すいませんじゃな…桜田お前…」
「なんだ。あんたか…。謝って損した。」

めんどくさい奴に会ってしまったようだ。
「ジュン君誰?」
「あ~僕の中学の元先輩だよ。」
「こら無視するな。それより桜田。あの馬鹿の居場所知らないか?」

なんで僕が馬鹿の居場所知ってるんだよ。
「知りませんね。」
「お前あいつの友達だろうが。隠すとためにならんぞ。」
「友達だからっていつも居場所知ってるわけないでしょ。ついでに指鳴らして脅すとか古いですよ。」

見当違いもいいところだ。相手をする気にもなれないな。
「さっさと行こう蒼星石。」
「う、うん。」

めんどくさいことはお断わりだ。今は蒼星石もいるんだしな。

「おいちょっと待てよ。」
待てよと言いつつ殴りかかるな馬鹿。めんどくさいな~。
おっとあの馬鹿が教えてくれたこと久しぶりにやっても出来るもんだ。……気の毒に。コンクリートに頭ぶつけて痛そう。 

「えっ?何をしたの?」
「投げた。」
「投げたってどうやって?」

う~む説明するのは難しい。実際僕も頭で理解しているというより体で覚えてるって感じだからな。

「まあつまり殴ろうとした相手の力を使ってとかそういうやつ。」
「なんでそんなことを?」
「護身術。馬鹿な友達に少し覚えさせられてな。」

しかし卒業してニートやってるのに先輩ずらするとは恐れ入る。学校嫌いだったくせにそこら辺だけは手を回すからな。

「へぇ~。会ってみたいねその人。」
「案外近くにいるかもな。」

……やばい。なんか本当にそんな気がしてきた。後ろを振り向いたらいそうなんだよな。あの馬鹿

「そういえばあの人大丈夫なのかな?」
「あ~頑丈ぽいからいけるだろ。たぶん…」
「そうなの……」

んっ?どうしたんだ?途中で声が途切れてって…

「あんた本当にしぶといね。」
「だてにケンカばっかりやってないんでな。」
「だからって小さい女の子人質にしちゃダメだろ。」

顔面からコンクリートにおもいっきり当たっといてよく立ち上がるよ。んっ?なんでこんなに冷静なのかだって?いやさ。
あいつの後ろに幻覚とは思えないほどはっきりとあの馬鹿が見えてるからだ。 

「そこを動くなよ。動いたら、ぐわ…」

さてついにこの暑い中暑苦しい顔と対面してしまった。しかしぐわってダサいな…

「男が女の子人質にとるなんて持っての他だ。まったく殴っただけじゃ気が済まない。笹塚特製目潰し爆弾改を食らえ。」

気絶してる相手に目潰しは意味ないだろ。起きたとき大変なことになるだろうけど…

「…ジュン君。あの人は誰?」
「あれがさっき言ってた馬鹿。名前はベジータだ。しかし冷静だな蒼星石。」
「あの人が…。あっえっとね。ジュン君が冷静だったからなんとかなるかなって思って…」

まったくよくできた小学生だ。しかしいつまでやるつもりだあの筋肉馬鹿は…

「おいベジータ。助けてくれたのはうれしいがいつまでやるつもりだ?」
「このやろ…この……ってああジュンかいいってことよ。」
「それでなんだがな。なんで電柱の影からでてきたんだ?」
「えっ!?いやそんなことはないぞ。俺は通りすがっただけで…」

嘘を吐け嘘を…。電柱からでてきたのをしっかり見たぞこの野郎。

「あの~。ベジータ…さん?助けてくれてありがとうございました。」
「…ぐはぁ…」

あっ。倒れた。わかりやす!とことんわかりやすいやつだな…。 

それからは少し大変だった。
人が集まってきたのにベジータは倒れたまま。置いていこうとしたら蒼星石がダメだっていうし。
仕方ないから引きずって帰ることにした。

「蒼星石。どんな格好や口調だろうと好いてくれる人間はいるぞ。お前はかわいいんだからな。」
「えっ?どうしたの突然?」
「いやこいつをみたらそう言いたくなったんだ。」

僕が引きずっているベジータを見ながらそう言うと蒼星石は少し笑った。
本当にいい趣味してるよベジータ君。

「ジュン君時計はどうするの?」

蒼星石は家の前でそう聞いてきた。まあ答えは決まってる。

「時計はまた今度取りにいくよ。こいつと時計両方は持てないからな。」
「うん。おじいさんにもそう言っておくよ。それと……」

蒼星石は少し俯き考えるように手を握ったり開いたりを繰り返し再びゆっくりとこちらを向き直した。

「今日はどうもありがとうございました。」

深々と一礼すると蒼星石は家の中へと帰っていった。蒼星石も何か見つけられたみたいだな。
まあ僕にはそれがなんなのかわからないけどね。 

「大変だよ本当に…」
「まったくだな。あの笑顔は殺傷能力大だ。将来美人になるぜ。」

いつの間にか起き上がったベジータが図々しくも僕の独り言にたいして返答してきやがった。誰もそんなことは聞いてないんだよ。まあ同意せざるおえないがな。

「そういえばベジータ…ロリコンでストーカーはやばいぞ…。」
「う、うるさい。暇だから電柱の影から見ていただけだ。」

それをストーカーっていうんだ。直球馬鹿のくせにらしくないな。まっそのうちなんとかするだろう。たぶんな…

…………………
さて現在あれから六年経ったわけだが…
「蒼嬢ぉぉぉおお」
「うるさいぞベジータ」
「な、何のようかな?ベジータ君」
「結婚してくれ。」

人の家まで来て女の子を口説くな馬鹿野郎。しかもストレート…。本当に直球すぎるのもどうかと思うぞベジータ…。

「五、五年くらい考えさせてよ。」
「なに!?五年待ったら結婚してくれるだって?うおおおおおお」

叫ぶな。勘違いするな。帰れ。
「蒼星石どうするんだ?」
「え~とゆっくり考えてみるよ。」

嫌ではないのか?……これは翠星石が怒り狂いそうな話だな。…まあ僕には関係ないがな。さてそろそろうるさいあいつを黙らせるか…。

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