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『新説JUN王伝説~序章~』第23話
【湯煙温泉薔薇獄編】

浴衣を手にしたジュンたちは長い廊下を歩く。
目指すはこの旅館が誇るという大浴場だ

雪「ここの温泉はとても広くて気持ちいいんですの♪」
金「楽しみかしら~♪」
蒼「うん、そうだね。」

築100年を超えるこの旅館の最大のウリである温泉を控え女性陣は早くも上機嫌だ

雪「それに女風呂は男風呂よりも高い所にあるので眺めがよろしいんですの。」
翠「ほぉ、そいつぁいいですね。覗かれる心配もねえってもんですぅ。」
薔「そゆこと…」

そうこうしているうちに一行の前に大浴場と書かれた矢印が見えてきた

ジ「お、男風呂はこっちか。」
銀「とは言うけどぉ…ふふっ。」
ジ「!?」

水銀燈は妖しげな笑みを浮かべると後ろからジュンの首に手を回す

銀「今日は貸切なんだしぃ…別に混浴ってのも構わないのよぉ?」
ジ「なっ…な!おま…何バカなこと言って…!?」
銀「あ~ら、私は本気よぉ?だ・か・ら……痛たたたたた!」
紅「水銀燈!はしたない真似はおやめなさい!とっとと女風呂に行くわよ!?
ジュンも何を鼻の下を伸ばしているの!?」 

真紅は水銀燈の耳を引っ張りながらジュンから引き離すと甲高い怒りの声を上げる。
その表情はまさに赤鬼だ…

蒼「し…真紅!あんまり騒いじゃ迷惑だよ?ほら、僕らも早く行こ?」
紅「はっ!…コホン、私としたことが優雅ではなかったわね…では、行きましょうか。」
銀「ならさっさと耳を離しなさいよぉ!」
紅「貴女はしばらくこのままよ!さ、来るのだわ!」
銀「ふぇええ~ん、ジュ~ン…!」

結局水銀燈は真紅に耳を掴まれたままズルズルと女湯の方へと引きずられて行った

ジ「まったく……
さて、お前もあっちだろ?薔薇水晶…。」
薔「……ちっ。」


ジュンはどさくさに紛れて男湯に付いてこようとしていた薔薇水晶を見送ると男湯ののれんをくぐった 

一方、女湯脱衣場にて…

翠「ふんふ~ん♪温泉おんせ~ん♪ですぅ。」
待ちに待った温泉タイムを控え翠星石が鼻歌を上げる

銀「ぷぷっ…真紅ぅ、それが貴女のマキシマムぅ?」
水銀燈がタオルを巻いた真紅の体の一部を見ながら小さく笑った
紅「…耳だけじゃ足りなかったようね…。
沈めるわよ?」
雪「まあまあ、胸が女性の全てではありませんわよ?」
紅「貴女が言っても説得力がないのだわ……ねえ、金糸雀?」
金「…何でカナに振るのかしら?」

そんないつも通りの会話を繰り広げる背後で不気味に笑う者が1人…

薔「ふふっ…ふっふっふっふ…」
蒼「ば…薔薇水晶、なに変な笑い浮かべてるのさ?」
薔「じきにわかるよ……にやり。」
蒼「そ…そう…?」

まるで獲物を眼前に控えた蛇のように不気味で満足げな笑みを浮かべる薔薇水晶に
ついに蒼星石はその理由を聞くことはできなかった… 

翠「おめーら!何くっちゃべってやがるですか!?とっとと温泉と洒落込むですよ!」
長い髪を上に束ねた翠星石が扉の前で声を張り上げた。
どうやら最早辛抱たまらぬといったところであろうか

雪「はいはい、失礼しました。では行くとしましょうか?」
蒼「もう、翠星石ったら…昔から温泉に来るとこうなんだから。」
彼女たちはこぞってその扉をくぐった。
すると、一瞬の間煙で視界が白く遮られる。だがすぐに湯船はその姿を彼女たちに晒した

金「ふえぇ~、おっきいかしら~!」
紅「これは見事ね。」

まず飛び込んできたのは室内に設けられた巨大な檜の湯船であった。

だが翠星石はそこに目もくれず一行から離れて歩いてゆく

蒼「翠星石、どこ行くのさ?」
翠「決まってるです!温泉といやぁ露天風呂です!
まずこいつを制することが温泉を制するってもんですよ!!」
そして翠星石は内風呂の奥にある外への引き戸をガラリと開いた
翠「うひゃあ!寒ぃです…」
すぐに師走の冷たい風がタオル一枚の翠星石の体を叩く。
だが顔をしかめた翠星石が次に見た光景は…

翠「キターーー!! ですぅ~♪」 

そこに広がっていたのは高地から下界を一望する見事な景色と暖かな湯気を上げる巨大な岩風呂であった

銀「これは大したものねぇ。」
蒼「本当、はるばる来ただけあるよ。2人には本当に感謝だね。」
雪・薔「「いえいえ。」」
追いついてきた他のメンバーもその見事な露天風呂に顔を明るくする

翠「んじゃ、早速……」
翠星石がチャプリと湯に足を浸す
蒼「あぁっ!入る前にはちゃんとお湯を浴びないと駄目じゃないか!」
翠「カタいこと言うなですぅ。じゃ、お先にぃ~!!」
翠星石はその身を一気に湯船に沈めた。
しかし…

翠「ぅわっちゃああああああぁッ!!」
蒼「ほら、いわんこっちゃない…」
紅「愚かね…」

湯浴びをしないまま冷えた体を湯に浸けた翠星石は悲鳴を上げながら湯から立ち上がった。
まぁ、当然と言えば当然の結果である…


翠「うぅ…この翠星石としたことが…」
蒼「まったくもう。
それにしても…いい湯だね…。」
紅「まったくだわ…はふぅ。」 

真紅、蒼星石、翠星石の3人は絶景と最高の湯加減に表情をとろけさせる。
だがその一方で不穏な動きを見せる者が4人…

銀「金糸雀ぁ、例のモノは持ってきたぁ?」
金「ふっふっふっ、ぬかりはないかしら。」
薔「こっちも…バッチリだよ…。」
雪「ふふっ…あとは獲物を待つばかりですわね。」

銀・金・雪・薔『ふっふっふっふっふっふっ…』

紅「貴女たち…さっきから何をしているのよ?せっかくのいい気分が台無しなのだわ…」
翠「そうです。黙って肩まで浸かって100数えやがれですぅ。」
銀「あらぁ、貴女たちは別に気にしなくていいのよぉ?」
口の端をにやりと歪めた水銀燈が言う
蒼「さっきからどうしたのさ?君たちなんか様子が変だよ。」
金「これからのお楽しみタイム…にやけるなってほうが無理かしら。」
雪「…ですわね♪」
紅「お楽しみタイム?」
金糸雀の口から放たれた妙な言葉に真紅は疑問の表情を浮かべる

銀「これ、なぁ~んだぁ?」

すると水銀燈はどこからかある物を取り出し真紅たちに見せた 

翠「それは…」
蒼「双眼鏡?」
銀「ぴんぽぉ~ん♪」
水銀燈が見せたものは、普段金糸雀が愛用している金色の双眼鏡であった

蒼「それがどうしたっていうのさ?まさか動物でも見るの?」
確かに場所によっては動物が浸かりに来る温泉はあるが、それにしては彼女たちの雰囲気はあまりにも邪悪だ…

雪「ふふっ、もっといいモノですわ…♪」
雪華綺晶が眼帯を外した金色の両面をギラギラと輝かせながら言う
薔「そう…いい“モノ”…だよ。」
妹の薔薇水晶も同様だ

紅「勿体ぶってないでさっさと目的を言いなさい。
不気味でたまらないのだわ。」

4人の態度に痺れを切らしたのか真紅がイラつきの混ざった声を上げた

銀「しょうがないわねぇ…いいわぁ、教えてあげる。
貴女たち、ちょっとこっち来なさぁい。」
3人は水銀燈が手招きする方へと進む
銀「アレよアレ…」
紅「アレ?」
真紅たちは高台の下へと指された水銀燈の指の方を見下ろす。
その先には今自分達が浸かっているものとよく似た露天風呂が見えた

蒼「あれって……まさか!」
銀「ふふっ、わかったぁ?」 

蒼「君たちって人は…はぁ。」
翠「どういうわけですか?蒼星石ぃ…」
心底呆れた表情で溜め息を吐く蒼星石に翠星石が問いかける

蒼「君たち、ジュン君のお風呂を覗く気でしょ?」
紅・翠「「なっ!?」」
銀・金・雪・薔『いぐざくとぅりぃ(よぉ。)(かしら~。)(ですわ。)(…)』

蒼星石の推理に4人はこの日一番のスマイルで答えた

翠「お…おめぇら!一体何考えてやがるですかぁ!?」
紅「そうよ!不潔なのだわ!
レディが男湯を覗こうだなんて!!」
真紅と翠星石は立ち上がり抗議するが…

銀「じゃあ貴女たちは見なくてもいいじゃなぁい。」
紅・翠・蒼「「「!?」」」
薔「そこに浪漫(男湯)があるから覗く……それが私のジャスティス…!」
雪「何のために私がここを貸切にしたと思ってるのですか?
ここの地形を計算し、なんの邪魔もなくジュン様の生まれたままのお姿を堪能するために他ありませんわ!」
金「カナもちっぽけな真面目さはおうちに置いてきたかしら!
「旅の恥はかき捨て」ってかの諸葛亮も言ってるのかしら!」←注・言ってません。 

もはや今の4人は餓えた獣同様であった。
その雰囲気にはさしもの真紅もかないそうもない

翠「し…しゃーねえですねぇ。諸葛亮が言ってるんなら従わなきゃですよねぇ。」
紅「す…翠星石!?貴女…」
翠「ち…違うですよ!?翠星石は別にジュンの裸なんてちぃ~っとも見たかねぇですぅ!
ただ、この場の空気を乱さないがために仕方な~っくヤツらに乗ってやるってだけです!」
蒼「そ…そうだよね、輪を乱すのはよくないよね。」
紅「蒼星石!?」
蒼「いやぁ、景色を堪能するのも温泉の醍醐味じゃないか。あはははは…」

そう言いながら庭師姉妹は水銀燈たちの輪の中へと加わる。
そしていつの間にか真紅を残し、餓えた獣は6人となった

紅「くっ…見損なったのだわ。みんな不潔よ…」
銀「じゃあ貴女はそこで指を食わえて見てなさぁい。」
薔「私達は…自分を偽らない……」
雪「後悔先に立たずですわよ?
ほら、真紅さんも無理せずこっちにいらっしゃいな。」
金「双眼鏡の他にみっちゃんから高性能望遠レンズ付きカメラも借りてきてるのかしら。
勿論防水、曇り止め加工済みかしら。」 

金糸雀がカメラをちらつかせた直後、咳払いをひとつしながら真紅は立ち上がった
紅「し…仕方ないわね…
不本意だけど、そこまで誘われたら私も無碍にはできないわ。」
銀「最初からそうすればいいのよぉ。」

真紅もやはり欲望には勝てない人の子だったようだ。
そしてこの瞬間、その場にいた全ての乙女が獣と化したのであった…

銀「さぁて、金糸雀…私達の分の双眼鏡は?」
金「ちょっと待つかしら。」ゴソゴソ
金糸雀は防水加工された袋の中身を探る。

だが…
金「あ…あれ?」
銀「どうしたのぉ?」
金「いや…その…他の双眼鏡、お部屋に…忘れてきちゃったみたいかしら……てへっ。」
一同『な、なんだってー!?』

どうやら金糸雀はこんな時まで持ち前のドジを発揮してしまったようだ

雪「今から取りに行っていたら間に合わないかもしれませんわね…」
薔「バ金糸雀…」
銀「金糸雀ぁ、この失態はどうするつもりなのぉ?」
金「ご…ごめんなさいかしらぁ。みんなしてそんな怖い顔しないでかしら…(((゜д゜;)))」 

翠「金糸雀のドジは今に始まったことじゃねぇです。それよりも…」
蒼「今はこの事態をどう切り抜けるか…だね。」

いつの間にやらすっかり乗り気の庭師姉妹…

紅「ならば拳で決めるのだわ…
いいわね?」
そして真紅までもすっかりノリノリのご様子だ

銀「望むところよぉ…。」
雪「恨みっこなし、双眼鏡とカメラ…勝ち抜けは2人というわけですわね。」
薔「おk…把握した…。」
翠「容赦はしねえですよ?」
蒼「僕も今回は本気で行かせてもらおうか…。」
金「カ…カナだって負けないのかしら!」

ゴゴゴゴゴゴゴ…

冬の露天風呂に源泉よりも熱い女の闘気が渦を巻く…

紅「では…用意はいいわね?」



一同『最初はグーッ!ジャンケンポンッ!!
あいこでしょっ!あいこでしょっ!あいこでs…(以下略)』 



真紅たちが熱い火花を散らしている頃、男湯では…

ジ「くぅっ…痛てててて…傷にしみるなぁ。」
1人内風呂に身を浸すジュンは体中を走る鋭い痛みに耐えていた。
その原因は昨日牙喪守によって付けられた爪撃によるものだ

ジ「…でも、少しは慣れてきたかな。ここの効能は傷や筋肉痛にも効くみたいだし……よし!」
ジュンは檜の湯船から上がるとタオルを腰に巻き直し露天風呂への扉を開けた

ジ「おぉ!ここもいい感じじゃないか。」

ジュンは目の前に広がる見事な岩風呂に驚くと、早速そこに浸かろうと歩を進めた。

同じ頃……

一同『あいこでしょっ!!
………あ。』
薔「や…やぁっほぉおおおおう!我が世の春がキタ-ー!」
紅「あ…あら、勝ってしまったのだわ。
し…仕方ないわね、ではお先に家来の成長ぶりを見定めるとするのだわ。」

勝ち抜けたのは真紅と薔薇水晶の2人。
薔薇水晶は柄にもなく高らかに歓喜の声を上げ、真紅は必死に平静を保とうとするも口の端をにやけさせている

雪「くぅ…仕方ありませんわ。トップバッターはお二人に譲るとしましょう。」 

銀「その変わり、すぐに交代するのよぉ?後がつかえてんだから…」
翠「と…とっととチビ人間の粗末なモノでも見てやがれですぅ!」
蒼(大丈夫、油断する後の方がタオルを外す確率は高い筈…)

金「…あっ!ジュンが入ってきたかしらー!」
一同『どこどこどこ!?』

金糸雀の声に全員が男湯の方向を見下ろした。
それにしてもこの乙女たち、ノリノリである…

そして真紅は双眼鏡を、薔薇水晶は望遠レンズ付きカメラを覗きこむ

薔「ウホッ…いい体…。」ジュルリ…
紅「た…確かに…。(///)」ゴクリ…

すぐに2人は生唾を飲んだ。
ジュンは体こそ小柄でぱっと見は華奢に見えるが、昔からの鍛錬のためか贅肉の類の一切ない引き締まった肉体を隠し持っていた

紅(…あら?あの傷は…)

真紅はジュンの体中にある真新しい傷に気付く。
それが常人の想像を遥かに超えた激闘を物語っていたことを彼女は知る由もない。
何故なら後ろからの野次でそんな事など考えている暇がないからである 

雪「ば…ばらしーちゃん!早く私にも見せてくださいまし!」
薔「ごめん…今いいところ…ハァハァ。」
銀「真紅!見たんならとっとと交代しなさいよぉ!」
金「独り占めはズルいのかしらー!」
紅「し…静かにしなさい!気付かれるじゃないの!?」
翠「そんなら黙ってそいつを渡すですぅ!」
蒼「こんなことならもっとブルーベリーを食べとけばよかった…!」


女湯での激しい口論が飛び交う一方…

ジ「!?
今、なんか凄く嫌な視線を感じた気がしたけど……気のせいか?」
ジュンはどこからともなく感じた悪寒に立ち止まるも、流石に冬空の寒さはこたえたらしく早々に身を湯に浸す

ジ「ふぅ…極楽極楽。
いつか姉ちゃんも連れてきてやりたいな…。」

女湯での争いなど知る由もないジュンはこの平和なひとときにすっかり気を緩めていた。

だが……

ーートテトテトテトテトテ…

ジ「……ん?」 

ふいに内風呂の方から何やら足音のようなものが聞こえてきたのである。
ジ「あれ?確か今日は貸切の筈じゃ……」
不思議に思ったジュンは扉の方に目を向けた。
その時である!

『ガラッ』

雛「ジュ~ン♪」
ジ「………」
ザ・ワールド、時は止まる…

雛「うゆ?ジュン、どしたの?」
ジ「の…のぁあああああああああああああッ!!」
ジュンの絶叫と共に時は動き出す。
突如として男湯に入ってきたのは何故か全裸の雛苺であった…

【女湯にて】
雪「な…何ですってぇええええええ!?」
銀「なっ…何で雛苺が男湯にいるのよぉ!?」
金「カ…カナに聞かれても困るかしらー!」
蒼「そういえば、あの時…!」
蒼星石の脳裏につい先程の出来事が再生された。
それは彼女らが女湯ののれんをくぐる頃に遡る…

【回想中…】
雛「あっ!」
蒼「どうしたんだい?雛苺。」
雛「お部屋にお風呂で遊ぶアヒルさん忘れてきちゃったの…ヒナ、取ってくるの。」
蒼「一人で大丈夫かい?ここ広いし…僕も着いて行こうか?」 

雛「平気なのよ!じゃ、先に入って待っててなのー!」タッタッタ…

【回想終了】
蒼「雛苺のことだから、多分迷子になっていつの間にか男湯のそばに辿り着いた…
迷って不安だらけの雛苺はおそらくジュン君に会いたくなったんだろう…そして今に至るってとこかな?」
翠「呑気に解説してる場合じゃねえです!!」
金「あぁっ!雛苺が!!」
一同『!?』

【男湯にて】
雛「ジュン、どして逃げるの?ヒナのこと嫌い…?」
ジ「き…嫌いとかそういう問題じゃないだろ!?いいからさっさと出てけよぉおお!!」
ジュンは湯船に体を漬け、雛苺に背中を向けたまま叫ぶ
雛「うゅ…ヒナ、迷子になってすっごく寂しがったの…やっとジュンに会えると思って…安心…したのに…うっ…えぐっ…」
雛苺の緑色の両目にだんだんと涙が溜まってゆく
ジ「そ…そんなこと言われても…」
雛「びぇえええええええええん!ジュンの馬鹿ぁああああああああああッ!!」
ついに雛苺は全裸のまま大声で泣き出してしまった…

ジ「うっ…あぁ!もう!泣くなって!僕が悪かったよ!
謝るから許してくれ!!」 

ジュンはたまらず背を向けたまま叫ぶ
雛「ひぐっ…ぐすっ…じゃあ、ジュンとお風呂…入っていい?」
ジ「いぃっ!?」
その爆弾発言にジュンは間抜けな声を上げた
雛「駄目…なの?」
背中ごしだがその声が再び泣き出しそうなことは明らかであった。
ジュンは諦めたようにため息を付く
ジ「わかったよ…けど、まずはタオルを巻いてからな?」
ジュンがそう言った次の瞬間…

雛「ジュン…ありがとなのー♪」

『バッシャーン!』
ジ「うわぁあっ!!」
なんと雛苺はそのまま湯船へと飛び込むとジュンの背中に抱きついたのだ。

一同『!!!!』
その光景を女湯から見ていた全員が驚愕に目を見開く

ジ「こ…こらっ!雛苺!!離せ!」
雛「やーなの~♪」
ジ(う…うわわ!や、やわらかいものが背中に…!!)

ジュンがその未体験な感触に臨界点を突破しそうになったその瞬間…

翠「くぉるぁあああああああ!!チビ苺ぉおおおおおお!!」
ジ・雛「「!?」」

先に怒りの臨界点を突破した翠星石が女湯の縁に仁王立ちになり叫んだ 

紅「雛苺!今すぐそこを離れなさいッ!!」
銀「さっさとしないとジャンクにするわよぉ!!」
雪「むしろ……踊り食いにしてさしあげますわ!!」
金「ズルいかしらー!!いくら雛苺でも抜け駆けは許さないかしら~!!」
蒼「そのままだと…僕も優しくはないよ?」
薔「すり潰す……。」
どうやら臨界点を突破したのは女湯の全ての獣たちであったようだ…。
仁王立ちになり怒りのオーラを放つ7人に、流石の雛苺もガクガクと震えながらジュンから離れた

雛「う…うぃ、かしこまりましたなのぉー!!」ダッ
そして雛苺は顔面を真っ青にしたまま脱兎の如く男湯から出て行った

ジ「ふぅ、行ったか。
さてと……」
ジュンは雛苺が去ったのを確認すると冷ややかな目を上へと向ける
ジ「お前ら…どういうことだ!?」
一同『!?』

男湯から放たれたジュンの声に7人はビクリと肩を振るわせた

翠「ち…違うですぅ!これは…その…水銀燈の奴にハメられたんですぅ!!」
銀「はぁっ!?」
紅「そ…そう!私は抵抗したのよ!?それを水銀燈が無理矢理…」
銀「あ…あんたらねぇ!カマトトもいい加減にしなさいよぉ!?」 

蒼「ぼ…僕は、あの…その…///」
金「カ…カナは無実かしらー!!」
雪「双眼鏡とカメラまで持参しておいて今更何をおっしゃいますか!?」
金「持ってこいって言ったのはきらきーとばらしーかしら!!」
薔「私…知らない……」
一同『ギャーギャー!!』


ジ「…………はぁ、とっとと出よ…。」

ジュンは醜い争いを続ける7人に見切りをつけると一人露天風呂を後にするのであった。


その後、7人に連れられて部屋に帰ってきた雛苺は緑色の目を涙で真っ赤に染め、足取りも覚束ないほどフラフラであった。
雛苺に一体どんな恐ろしい仕打ちが待っていたのかを、ジュンはついに聞くことができなかったという…。

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