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『三年の沈黙を経て銀髪黒翼の堕天使が甦る!』

三年前に突如として姿を消した怪盗MERCURYが予告状をだした。
『六月一日零時に乙女の涙を頂きにあがります』
これを受けて警視庁は万全の警備をほどこした…が
MERCURYは警備を掻い潜り、美術館に展示されていた『乙女の涙』を見事に盗んでいった。
警視庁怪盗特別対策課責任者の真紅氏は
『今回はしてやられたのだわ。でも、次は必ず』
とのこと。
しかし、今回はではなく今回もと………


~赤と銀の追走曲~ 


side:真紅
「キィィィッ!」

新聞を読んでいた真紅先輩が急に奇声を上げる。

「どうしたんですか?」

あらかた見当はついていた。
昨晩のことをボロクソに叩かれた記事を見て怒り狂っているのだろう。

「これを見るのだわ!ジュン。まったくマスコミは何もわかってないのだわ」

やっぱりと思いながら、差し出された新聞を受け取り記事に目を通す。

「あちゃ~、これは痛いとこついてきますね。今回もとか」

「くぅ~、黙りなさい!」

怒りだすとなかなか収まらないんだよなぁ、先輩
……っと、自己紹介がまだだったね。
僕の名前は桜田ジュン。警視庁怪盗特別対策課に配属された新米警官だ。
怪盗と言っても、ほぼMERCURY一人のためにあるような課だ。
MERCURYっていうのは、四年前に突如現れ、有りとあらゆる美術品を盗み、一年で姿を消した伝説の怪盗だ。
そいつの被害を食い止めようと作られた課なんだけど、昨日もしてやられたわけ 

「……ュン、ジュン!聞いているの?」

「へ?なんですか?」

「今から今回の反省点と今後の対策を話し合うのよ」

この課は、僕、責任者である真紅先輩に、技術開発者の金糸雀さん、他数名の少人数だ。
金糸雀さんは漫画的な画期的発明をする反面、失敗作も多い。
今回だって

「う~、カナの発明は失敗だったかしらぁ…でっ、でも今回は急だったからでちゃんとわかってればカナだって……」

「わかっているのだわ。今回は三年ぶり、急な予告状と後手々々にまわってしまったのだわ。
でも、今重要なのは」

「何故、また現れたのか…ですよね?先輩」

―――― 

月明かりのみが射し込む薄暗い部屋に少女は降り立った。

「ふぅ~、久しぶりのお仕事は疲れたわぁ。ねぇ?メイメイ」

メイメイと呼ばれた物は、少女の回りを発光しながら飛び回っている。

「フフ……まだまだ元気だって言いたいのぉ?でもぉ、いつもより光が小さいわよぉ」

クスクスと笑う少女。

「さぁて、今回の獲物は当たりかしらぁ?」

少女は手に持った宝石を月明かりに当てる。
その宝石はまさしく盗まれたばかりの乙女の涙だった。

「いやぁ、見事でしたねぇ」
パチパチパチ

明かりの届かない部屋の暗がりから不意に拍手と声が聞こえた。
少女は振り替えると
「……ラプラスの魔!」
「ごきげんよう。いやぁ、実に素晴らしかった。
流石、伝説の怪盗MERCURY…いや、水銀燈と呼べばよろしいでしょうか?
ブランクを感じさせませんでしたよ、えぇ。
しかし、今回もハズレのようですねぇ」
暗がりから現れた兎の顔をした男は淡々と喋っている。
「探し物は何処か?
近くて、遠い。世界で一番珍しく、世界で一番ポピュラーな」 

「あなた何か知っているのっ!」

「さぁ? 人に教えられ得た物に何の価値がありましょうか? 
おやおや、そのような顔をされましても。 私はこの辺で…では、次の舞台で」

そう言うと、男はまた暗がりに隠れたかと思うと完全に姿を消した。

「まったくなんなのよぉ、あいつはぁ。 ねぇ、メイメイ」

問いかけても、正解が返ってこないことがわかっている。そんな感じの声色だった。

「まぁ、兎が言ったようにハズレだったんだしぃ、また頑張りましょうねぇ」

返事をするかのようにメイメイは点滅した。

「必ず見付けるわぁ…だから、お父様……」
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