『K』~雛苺と黒猫の物語~第五夜
俺が雛苺と暮らし始めてから一週間がたったある日だった。
雛「名前をつけようなのー!」
は?
雛「ヒナね、一週間ずうっと考えてたの。猫さんに名前をつけようって!だから……」
雛苺の目がキラリと光る
雛「第一回猫さんの名前決定全国選抜選手権たいか~い~!!」
『よぉし、どこらへんが選手権大会なんだ?』
雛「東の方代表雛苺!南西の方代表猫さん!!……以上」
『代表地区アバウトすぎだろっ! てか、いきなり決勝かっ!!』
まぁ、俺も割とノリノリなわけだが
雛「ん~、やっぱ見た目からなのよぉ……黒い猫……黒」
しばらく、ん~ん~唸っていた雛苺が急に
雛「わかったのー!!最高の名前なのよ?心して聞けなの!!」
雛「ブラックハヤテ号ってどうな『却下!!』
雛「ぢゃぁ、ぢゃぁ、黒→暗い→根暗でジュンってのは?」
『……』
雛「他にも他にも、黒→腹黒いで、蒼星石は?」
『…………』
雛「猫さん?どうしたのよぉ?」
『お前、俺のこと嫌いだろ?』
雛「ぅゆ?」
『わざわざ悪いイメージの名前つけようとしやがってぇ!!』
雛「ちょっとしたおふざけなのよぉ。怒っちゃメーなの」
ったくよぉ
それから、1時間以上の時を名前について語り合った。
『なぁなぁ、かっけぇ名前思いついたぜ』
まぁ、喋りかけても伝わるわけもないので、仕方なく雛苺の洋服の裾をくわえ引っ張った。
雛「ん?なぁに?猫さん」
『カマドゥーマってどうだ?カマドゥーマ!カッケくね?』
とりあえず、伝わらない。
『だーっ!くっそ!!………そうだ!!』
俺はテーブルの上の本を引っ張ってきて、活字を指差した。
雛「か・ま・ど・う・ー・ま? 猫さんが考えた名前?」
『そうだ!』
と、激しく首を縦に振る。
雛「………却下なの。それより、ヒナ本気で良い名前思いついたの」
『ん?言ってみろ』
雛「黒き幸【ホーリーナイト】ってどう?」
予想外に良い名前。
雛「ていうか、これで決定なのよ!ヒナが気に入ったの。異議は認めないのよ~」
おもむろに立ち上がる雛苺
雛「ぢゃぁ、ご飯にしよっか?ホーリーナイト♪」
『おう』
初めて呼ばれた名前はむずがゆかったが悪い気はしなかった。
続く