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『メイメイ飼育日記』第3回


水銀燈がメイメイと生活し始めて一週間が経とうとしていた。
今日も今日とてメイメイの目覚まし(メテオ火球発射未遂)を受けて起床し、げんなりとした様子で登校した。


銀「はぁ…」
最近ため息の回数が増えたと本人も思う…。その原因は言わずもがなあの怪しい同居者である。


すると、ここ数日毎日お通夜のような顔をしている彼女の元に心配そうな顔をした友人たちがやって来た。
紅「水銀燈…最近疲れているようね?」
蒼「何かあったの?僕らでよければいつでも相談に乗るよ?」
翠「一人で悩み事なんざ水くせぇですよ?ほら、遠慮なく話してみやがれですぅ。」
雛「水銀燈…ポンポン痛いの?大丈夫?」
金「なんならカナの卵焼き食べるかしら?」
ジ「ほら、僕らでよければ力になるからさ。」
銀「真紅ぅ…みんなぁ……うっ…ううぅぅ…」
精神的に弱っていた水銀燈は友人たちの優しい言葉を聞くと同時に目から涙が溢れ出してきてしまった。


蒼「どっ…どうしたのさ!?いきなり泣き出して…」
紅「ほ…ほら、涙を拭くのだわ!」
雛「泣いちゃめーっなのよ、水銀燈。」


突然泣き出してしまった水銀燈に皆オロオロと取り乱してしまうのであった。
数分後、やっと落ち着いた水銀燈にジュンが話し掛けた。
ジ「ほら…落ち着いたか?」
銀「うん…ありがとぅ……」
ジ「で、何があったか…よかったら話してみてくれないか?」
銀「実は……」
水銀燈は今まで起きた出来事をつらつらとジュン達に語った。その途中でも辛いことを思い出したのか水銀燈の目には再びうっすらと涙が滲んでいる。


銀「……と、いうわけなのよぉ…」
水銀燈の話を聞いたジュン達は誰もが複雑な表情を隠せないでいた。
蒼「えと…その…それ、本当のことなのかい?」
銀「私が冗談でここまで悩んでるように思えるぅ…?」
ジ「いや…それは……でも、なぁ?」チラッ
紅「ええ…そんなデタラメな生物が実在するなんて……とても信じれないのだわ…」
翠「翠星石も同感ですぅ…その、ゼットン…でしたっけ?」
金「火を吐くはテレポートはするはだなんて…カナ達の常識を超えてるとしか言えないかしら…」
銀「だから私も悩んでるのよぉ!!何が悲しくて私があんなワケわからないナマモノにビクビクしながら生活しなくちゃいけないのぉ!?」


半信半疑と言った態度の友人たちに水銀燈はまた目から涙を溢れさせながら怒鳴りつけた。
ジ「いや…僕らに言われても……」
銀「うぅっ…これじゃあどっちが飼われてるかわからないわよぉ……返してよぉ…私の生活を返してよぉ…しくしく…」
水銀燈は机に顔を伏して嗚咽を繰り返す。
雛「でもでも、ヒナそんなすっごい生き物見てみたいの~。ねぇねぇ、その子ってどんなカッコしてるなの?」
金「カラスを退治してくれるのはちょっといいかもかしら~。」
銀「……あんたらは何も知らないからそんなことが言えるのよぉ…」
呑気な態度を示す2人を水銀燈は恨めしげに睨んだ。
蒼「まぁまぁ…で、僕もちょっと興味あるんだけど…よかったら特徴を教えてくれない?」
銀「はぁ…えぇ、わかったわぁ……まず大きさは大きめの人形ぐらいでぇ…」
一同『ふむふむ…』
銀「体の色は黒くて手足は白…胸と顔に黄色く光る部分があってぇ…目はないのよぉ。」
一同『へ…へぇ…』
銀「それで頭には二本のツノがあって『ゼット~ン』って鳴……って、何よぉ!?その目は!?」
一同『……』
その話を聞いた誰もは怪訝な顔を浮かべ頬をひきつらせていた。
ジ「いや…その…なんて言うか…」
翠「ますます信じられねぇです…」
銀「なによなによなによぉ!?人が真剣に話しているのにぃ!!」
金「でも…想像したらとんでもない化け物になったかしら…。」
雛「えっと…ヒナ、言われたとおりに絵を描いてみたんだけど…こんな感じなの?」
雛苺は水銀燈の証言をもとに紙にペンで自分のイメージを描いていた。
だがそれは実物のそれとは殆ど異なる出来である。
銀「あぁ、違うわぁ…こんなんじゃなくてもっとこう…何考えてるのかわかんない感じで…そこはかとなく昆虫っぽくて……」
すると水銀燈の目の前、自分の机の上にちょうどイメージ通りのものが現れた。
銀「そ…そうそう!ちょうどこんな感じで…………
………
……

え?」


「ゼット~ン…」


水銀燈の目が点になる。
だがその直後…
銀「ええええええええええええええええええええええッ!!!?」
校内に水銀燈の絶叫が響き渡った。
水銀燈はといえば席から崩れ落ちてワナワナと震えている。
それもそのはず、自分の席には今まさに話していたメイメイの姿があるのだから。
銀「なっ…何でアンタがここにいるのよぉ!?」
メ「ゼット~ン…」
ジ「す…水銀燈…なんだ?これ…」
紅「ぬいぐるみ…にしてはよく出来てるわね…」
ジュン達は突然現れた不思議な物体をまじまじと眺めている。
銀「だ…だからそいつが今話したゼットンなのよおおおおおッ!!」
蒼「これが?君が怖がってるっていう…」
翠「なんか…思ったよか弱そうですねぇ…」
雛「わ~、可愛いの~♪」
銀「ど…どこがよぉおお!?そいつはあんた達が思う数百倍はとんでもないヤツなんだからねぇッ!?」
水銀燈が指をさしながら叫び声を上げていると、メイメイは机の上から姿を消し水銀燈の眼前へとテレポートした。
メ「ゼット~ン…」
銀「ひいぃっ!な…何よぉ!?」
すると、メイメイは怯える水銀燈に向かって何かを差し出したではないか。
銀「ひぃっ!!」
以前メイメイにカラスの生首を差し出された経験のある水銀燈は驚いて両目を閉じた。
だが、ゆっくりと再び目を開けるとそこには見慣れた柄の布に包まれた小さな箱があった。


メ「ゼット~ン…」
銀「え?…これ…まさか、お弁当?」
メ「ゼット~ン…」
メイメイが頷く。
銀「あ…ありがとぅ…」
メ「ゼット~ン…」
なんとメイメイは水銀燈に忘れ物を届けにきたのだ。
何をされるのかとビクビクしていた水銀燈は拍子抜けを食らってへなへなと床にへたり込んでしまった。
直後、メイメイに向かって真紅達を筆頭とした人だかりができる。
蒼「へぇ~、どんな酷い子かと思ったらいい子じゃないか。」
紅「わざわざ主人の忘れ物を届けに来るなんて、利口なのね。」
翠「なかなかどうして見所のあるヤツですぅ。」
金「あーん、カナにも見せてほしいのかしら~!」
雛「ヒナもヒナもー!」


ガヤガヤガヤ…


銀「……」
水銀燈はその光景を唖然としながら眺めていた。
すると教室の扉が開きお馴染みのM字禿が飛び込んできた。
ベ「ふぅ、ギリギリ遅刻は免れたか……ん?」
ベジータは教室にできた人だかりに目を留めた。
ベ「何だ?何かあったのか?」
ジ「あぁ、水銀燈のペットが学校に来たんだよ。」
ベ「な…何ぃ!?銀嬢のペットだと!?俺にも見せろ!!」
ベジータは人だかりを押し分けてその中心へと進む。


やがてベジータの眼前には見たこともない奇怪な生物が現れた。
ベ「……なんだ?この不細工なのは…」
メ「ゼッ…!?」
ベ「はっはっは、銀嬢も趣味が悪いな。人の趣味にとやかく言う気はないがこれなら俺様の故郷にいるサイバイマンのほうがまだ見れるツラだぞ?いっそ…ぶべらっ!!」
その瞬間、ベジータの顔にメイメイの拳がめり込んでいた…。
一同『!?』
ベ「なっ…なっ…」
ベジータは床に倒れ込みながら何が起きたかわからないといった様子だ。
ベ「き…貴様!サイヤ人の王子である俺に……がふぅッ!!」
ベジータはメイメイに怒りの声を向けたが、その台詞を言い終わる前にメイメイはベジータの体の上へとテレポートし、片手でその首を絞め上げ始めた。
ベ「か…はぁっ…」
メ「ゼット~ン…」
ベジータの首はその凄まじい力にメキメキと音を立てて絞められてゆく…
銀「メ…メイメイ!やめなさい!!」
メ「ゼッ…!」
直後、水銀燈の言葉を受けたメイメイは首を絞めていたその力を緩めた。
ベ「くっ…うおりゃあああああああ!!」バッ!
メ「ゼッ…!?」
その一瞬の隙をついてベジータはメイメイの拘束から逃れた。


ベ「はぁ、はぁ…き…貴様ぁ…いくら銀嬢のペットといえど許せんぞ…はあああああああああ!!」

ゴゴゴゴゴゴ…


ベジータは唸りを上げ、闘気を高めると両手を突き出し構えを取った。
ベ「消えて無くなれ!ギャリック砲ッ!!」
刹那、轟音と共に眩い破壊の閃光が一直線にメイメイに走る。
だが、メイメイは両手を胸に合わせるとそれを真っ正面から受けた。
ベ「なっ…何ぃいいいい!?」
ベジータは目の前の信じれない光景に声を張り上げる。
なんとベジータの放った閃光は全てメイメイの胸の発光器官へと吸い込まれていったのだ。
メ「ゼット~ン…」
全てを吸収したメイメイはケロッとした様子で体を上下に揺らした。
ベ「ば…化け物め…くそぉおおおお!!」
取り乱したベジータは今度は近くの椅子を手にメイメイに殴りかかるが…


ーーバキイィン!!


ベ「なっ…!?」
だがその椅子はメイメイに触れることなく砕け散った。
メイメイの周囲には不気味に輝く光の障壁が展開されていたのだ。
銀「バ…バリアまで張れるのぉ…?」


メ「ゼット~ン!」ヴン…
ベ「っ!?…ぐわぁっ!!」
メイメイは一瞬でベジータの背後にテレポートすると、その背中を殴り飛ばした。
ベジータはそのまま窓際の壁に叩きつけられ崩れ落ちた。
ベ「ぐっ…うぐっ…」
メ「ゼットォ~ン…」
その瞬間、メイメイの眼前に光が集まりだす…
銀「あ…あれは…まさか!?」
それは水銀燈がこの一週間何度も見た光景、メイメイ必殺の超高熱火球の光である。
幸い今まで本当に放たれたことは一度もないが、もし説明書の記述が本当なら人ひとりなど跡形もなく消滅してしまうものである。
メ「ゼットォ~ン…」
だがその光はますます輝きを増し、今にもベジータへと放たれそうだ…
銀「だっ…駄目ぇえええええッ!!」
水銀燈は慌てて走り出すとメイメイのツノを両手で掴みその顔面を上へと向けた。



ーーーーカッ!!



瞬間、辺りに目を開けていられないほどの眩い閃光が走った…。
…………
………
……

銀「……ぅ…ん…?」
光が収まり水銀燈は静かに瞼を開けた。
銀「あ…あぁ…」
一同『………』
そこにいた誰もが言葉を無くした…。
水銀燈の目の前の窓際の壁は巨大な円形の穴を開け融解・消滅していたのだ。


ベジータはというと火球の直撃をなんとか免れたが、そのあまりの恐怖に泡を吹いて気絶していた。


ジ「こ…これは…」
翠「マジ…ですか…?」
雛「う…うゆ…」
銀「ふぅ……ねぇ?これでもまだ…私の言うこと信じられない?」
水銀燈の台詞にジュン達は皆揃って首を横に振った。


梅「ど…どうした!?何があったんだ!?……ってこれは…一体…」
騒ぎを聞きつけ駆けつけた梅岡は目の前の惨状に言葉を無くした。
銀「これは…えと…あ!」
いつの間にかメイメイは教室から姿を消していた。
銀「に…逃げたわねぇ…」
梅「誰か!説明してもらおうか!?」
梅岡が声を張り上げる。
薔「…ベジータがやりました…」
銀「!?」
すると、いつの間にそこにいたのか…薔薇水晶が梅岡にそう告げた。
梅「そうか…全く、しょうがないヤツだなぁ。じゃあこれからたぁ~っぷりお仕置きだな…勿論体でね♪」
そう言うと梅岡は気絶したベジータを引きずり教室を出て行った。


銀「薔薇水晶…貴女って子は……」
薔「……てへっ♪」


結果的に薔薇水晶のおかげで事なきを得たが、改めてメイメイの人知を越えた恐ろしさを実感した水銀燈であった…。



続く…

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