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「ゴメンね、桜田くん。待った?」

「いや、今来たとこ。」

 

四月某日。今日から僕は高校二年生。

 

~重なる想い(Side:桜田ジュン)

 

「桜田くんのことだから、きっと遅れてくると思ったのに。」

「失礼な。僕だって待ち合わせの時間ぐらいきっちり守るぞ。」

 

柏葉巴。何かと腐れ縁な、僕の幼馴染。中学の頃は色々と世話になったりもした。

俗に言う“ヒキコモリ”という奴だった僕の元へ、よくプリントなんかを届けてくれたっけ。

 

「この前の登校日、遅れたじゃない。」

「・・・あ、あれは目覚ましが鳴らなかったからで・・・!」

 

去年の夏休み明け、偶然登校中に柏葉と出会った僕は、気付いたら彼女と登校するのが日課になっていた。

いや、まあ・・・厳密には柏葉とというかある特定の・・・

 

「トモエー!ジューン!おはよーなのーっ!」

「かしらー!」

「あら。今日は早いわね、二人とも。」

 

そう・・・特定の女子数名と登校するのが。うう、周囲の視線が痛い。

 

「おい、雛苺!朝っぱらから大きな声出すなよ!」

「うゆ?そーゆうジュンの声も大きいのよ?」

「説得力皆無かしらー。」

「ああもう!ああ言えばこういう奴らだな・・・」

「巴。今日は部活はないの?竹刀を持っていないようだけど。」

「春休み返上で練習してたから・・・稽古場に置いてあるの。」

 

真紅。雛苺。金糸雀。・・・別にクラスが一緒というわけでもないのに、何故かちょくちょく一緒に登校している。

どんな関係だったっけ?確か柏葉が雛苺の奴と仲良しで、その雛苺と他の・・・あれ?

 

「雛苺。今日は他の奴は?」

 

我ながら気付くのが遅いと思うが、少ない。いつもだったらこの倍近く人数が居るはずだ。

全部で七人。学内でも一際目立つ美形娘七部衆・・・ってなんか、表現が妙に古めかしいな。

 

「んーとね。翠星石と蒼星石は緑化委員の仕事で朝早いって先に行っちゃったの。」

「水銀燈は、用事があるから先に行っててって言ってたかしら!」

 

なるほど、了解。

 

「そんなことより、ジュン。鞄を持ちなさい。」

「お前なぁ・・・何度拒否すれば諦めるんだよ。」

「貴方こそ、何度言えばわかるの。レディに重たい荷物を持たせたままだなんて、紳士のやることじゃなくてよ?」

「うるさいなぁ・・・僕は紳士なんて柄じゃないって何度言っ・・・痛っ!」

「私に口答えするつもり?いいから、早く持ちなさい。」

「・・・すぐ人の脛を蹴る癖直せよな・・・あ、コラ!勝手に自分の荷物を僕の肩にかけるな!」

「ジュンと真紅、またいつものやってるのー。」

「ホント、いつもいつも懲りない二人って感じかしら。」

「それで、やっぱりいつも通り桜田くんが荷物を持つ羽目になるのね・・・」

 

数こそ少ないまでも、流れ的にはいつもとなんら変わりない朝の光景だったわけで・・・ここからわずか十分。

 

「・・・こ、これは・・・どんな確率だよ・・・」

 

自分が絶句する羽目になるとは知る由もなかった。

原因は、新学年初日の恒例行事にある。入学式?いや・・・クラス発表である。

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2年B組 女子

  05 柏葉巴

  06 金糸雀

  07 真紅

  08 水銀燈

  09 翠星石

  10 蒼星石

  11 雛苺

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まさかの評判娘七部衆全員集合。しかも出席番号まで連番というから恐ろしい。

「か」から「し」の間が居ないのは認めてやれる。でも「そ」から「ひ」の間には普通一人ぐらい入るだろ!

ていうか柏葉以外の苗字は一体どうなってるんだとか・・・いや、この際もうそんな細かいとこは気にしない。問題は・・・

 

「おっ。や~っとこさ来やがったですぅ。」

「おはよう、みんな。」

「うゆ~!みんなおんなじクラスなの~!」

「な、なんだかとっても疲れそうなクラスかしら・・・」

「でも、賑やかなのも悪くないと思うけど。」

「まあ、適度な賑やかさは確かに必要なのだわ。そうよね、ジュン。」

 

この超確率のクラスの中に、僕も紛れ込む羽目になった、ということである。

 

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