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朝。
それも、土曜日ときた。
予定が無ければ二度寝コース。

だが、予定があるのに二度寝コースは流石にマズかった。

が、朝飯を作らなくていいのは儲けモノだった。

「この味噌汁うめぇwww」
「あったりめーですぅ。翠星石の味噌汁は何とか還元水の大臣もイチコロですぅ♪」
「朝っぱらから電波だな。」
「なっ!!誰が電波ですか!!」
「いや、あんた以外に誰がいるんだよw」
「キィィィッ!!ふざけんなですぅ!!今日はキャベツ80玉全部切ってもらうですからねぇ
!!」
「ちょwwww手おかしくなるwwww」
「つべこべ言ってねーでさっさと始めるですぅ!!」
まだ朝飯食ってる途中にも関わらず、彼女は僕にキャベツを切れと強要する。
素直に従わないと電子レンジに押し込まれそうなので僕はキャベツを切ることにした。

しかしキャベツ80玉が部屋にあってよく平気でいられるものだ。

「なぁ、毎年一人でやってんの?」
「そうですよ?」
「80玉?切ってんの?」
「ですぅ。」
「マジで?」
「嘘ついてどーするです?」
「それもそうだな・・・」

女性とは、すごいものである。
キャベツ80玉をひとりで焼きそば用に切ってしまう。
男である僕にはできそうにない。
が、やらざるを得ない。
でないと冷凍庫に押し込まれそうだ。
それでも手が、疲れる。
と言うか狂って腱鞘炎にでもなりそうだ。

「あーッ!!」
「ぐはっ」
「何やっやがるですか!!そんな切り方!!」
「え?ダメなのか?」
「ったりめーですぅ!!」

彼女のボディーブローが見事に決まり、床にひれ伏しそうになる。
切り方が間違っていたようで、彼女にこっぴどく叱られてしまった。

ふと横を見ると彼女が鼻歌を歌いながら人参の皮を剥いている。
なんとも幸せそうだ。

春の陽気は、心まで暖かくする。
手がおかしくそうだが。

「お、なかなか飲み込みの早いやつですねぇ。」
「ありがと。」
「ま、翠星石が教えてやったんですから当然ですぅ♪」
今日は酒が入っていないにも関わらず、ご機嫌のようだ。

昼も近くなり、30玉を切り終えたところで彼女が昼にしようと言った。

「食べに行くのか?」
「そうですねぇ。台所がこれですから・・・。」
「はははw何食べに行く?」
「ラーメン食べたいですぅ。」

僕らは近所のラーメン屋に行く事にした。
彼女はラーメンを、僕はチャーハン定食を頼む。

「そう言えばさ、豚肉も今日のうちに炒めとくの?」
「それは夜にやるですぅ。昼間は野菜を中心にやるですから。」
「ってことは夜までいないとダメってことか・・。」
「なんか文句あるですか?」
「いや、無い。でも何時くらいになるかは教えてくれると有難いんだけど。」
「今夜は帰さないですぅ♪」

危うく人間噴水になりそうだった。
「何言ってんだよw」
「あ、おめー今変な想像したですねぇ?」
「だからねーよww」
「大体8時くらいですぅ。かまわねーですか?って言うか決定事項ですぅ。」
「はいはいそうでした。僕には拒否権黙秘権お食事券は無いんだっけ?」
「ものわかりのいいやつですぅ。さ、ラーメン食べたらまたもうひとがんばりするですよ。」

昼食を終えて、翠星石の自宅へと戻る。
すると、彼女の口から意外な言葉が出てきた。

「ちょっと手首かすです。」
「ん?何で?」
「昼ごはんで休んだって言っても30玉切ったです。これつけとくです。」

彼女が僕の手首にコールドスプレーをかけてサポーターをつけてくれた。
なんとも意外な行動。

「ありがとな。」
「べっ、別に翠星石はおめぇの為にやったワケじゃねーですぅ!!
おめーが使いもんにならなくなったら翠星石の仕事が増えてめんどくせーんですぅ!!」

はいはいツンデレツンデレ。

でも、一瞬見えるその優しさは・・・
結構暖かいものだ。

「今更こんなこと聞くのもなんだけどさ、彼氏とかいないの?」
「はい?」
「いやさ、日曜の夜は僕と飲みに行って折角の土曜日は僕と野菜切ってて・・・
何かちょっと申し訳ないかなって。」

「そんなこと・・・ねーです。」
「え?」
「そ、そんなことはイイからさっさと野菜刻むですぅ!!!!」

一瞬見た彼女の顔が、なんとなく淋しそうだった。
それでも、一瞬で元に戻る辺りは・・・
なんとも彼女らしい・・・というのだろうか。

「ふぅ・・・、ちょっと休憩するですぅ。」
「ん?もう4時か。」

只今キャベツ50玉を刻み終えたところで、また休憩が入る。
彼女がお茶を入れてくれるそうだ。

「翠星石のお茶が飲めるなんて、おめぇは幸せですぅ。」
とか言いながら午後ティーだったりする。
そこを突っ込んだらそれころフードプロセッサーの中に押し込まれそうになるので、
言わないのが吉だろう。

「あれ、このスコーン手作り?」
「そうですよ。」
「そうなんだ。」
「うめぇwwwですか?」
「うん。マジでうめぇwww」
「それは何よりですぅ。」

え?

「あったりめーですぅ。」じゃねーの?

「ん?どうしたですか?翠星石の顔になんかついてるですか?」
「・・・え?いや、なんでもない。」

「それにしても、おめーは暇なやつですぅ。」
「はい?」
「日曜日は必ずといっていいほど教会にくるですぅ。」
「その後必ず飲みに連れて行くのはどこの誰だよ?w」
「うるでーですぅ。」
「それに・・・暇なのは翠星石も一緒だろ?」

「それは・・・。」

え?
何で詰まるの?

「ま、いいや。このスコーンさ、持って帰っていい?」
「1個210円でお持ち帰り可能ですぅ。」
「ちょwwwwしかも金額リアルwwww」

とりあえずスコーンを頂き、作業を再開する。
ここから彼女の手伝いもあり、キャベツもすぐに80玉を迎えた。

「ふぅ・・・疲れた。」
「だらしねーやつですねぇ、80玉ぐらいで。」
「いや、尋常じゃねーよ。」
「んなこたねーですぅ。トンカツ屋の厨房でバイトしてたらキャベツとお友達になれるですよ?」
「なりたくNEEEEEEwww」
「キャベツをバカにする奴は便秘になってしまえですぅww」
「それは勘弁w」

辺りは、すっかりオレンジに染まる。
「そろそろ晩御飯食べに行くですか?」
「ん、行こか。でも酒は抜きな。」
「言われんでもわかってるですぅ。」
「絶対飲むなよww」
「ゴタゴタうるせーですねぇ。飲まねーですよ。」

僕らは、晩御飯を食べに行くために外へと出る。

オレンジとピンクって普通は合うものではない。

それでも桜は不思議と合わせてくれる。
主張はするものの、しすぎない。

何とも不思議な花だ。

「来週は桜吹雪が見れるですねぇ。」
「だろうな。」
「何食べるですか?」
「いつものとこでいいんじゃね?酒抜きってのも新鮮だろ。」
「そうですね。行くですか。」

夕陽が照らす、桜並木はとても綺麗だった。
それ以上に、彼女の顔が紅潮しているのは何故だろうか。

そんなことを考えながら、彼女と歩いていた。

-日曜日のアラベスク-
~準備~

fin.

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