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眩い閃光、だがそれは暖かく優しい光。
招喚の言霊が呼び覚ます巨大な刃鋼(ハガネ)。
それは強大な魔術師に造られし最強の刃。少女を守る守護神。
零であったはずの空間に浮かび上がる法陣からそれは圧倒的質量を
伴って顕現する。
爆音、言霊によって招喚された神は力ある形態を持ってその場へと
桜光を纏いて降り立つ。
迸る魔力、浮かぶ魔術文字、意志秘めるその瞳。
その姿が現すその力の名はただ一つ、機巧神。
だが、それは昨日現われたあの機巧神とはまた別種の機体だ。
桜光の優しさを示すなだらかな曲面を持つフォルム、鴇色の装甲。
顕現したその機体は大地を踏みしめ眼前敵へと向き直る。
そして、刃金を執る少女達の姿は光に包まれ零の領域へシフト、
その空間から存在の一片をも残さず消失する。
次の瞬間、その零という無限の領域へシフトした存在は指定された
現在空間へと移行、その存在の概念はコクピットへと転送、
再び空間に固定され壱のカタチへと再構築された。


脳内を超密度で構成された情報が駆け巡り、一瞬にしてそのカタチは
明確な意思を自覚する。
「ん……ここは」
存在の確定を認識し、巴はコクピット内を見回す。
魔術によって鍛造された金属で作られたそれ、その表面に刻まれた魔術文字、
それは明らかに人のために作られたもの。なぜか感じる懐かしさ。
大小様々のモニタが示すこの機体のステータス、状況。
把握した状況を全て脳内で整理し、構築しなおす。
「雛苺?」
「うゆ?」
「大丈夫?」
「うんっ!」
「じゃ」
「いっくなのよぉ~~~~!!」
意志持つ機械の瞳に生命が宿る。機体が駆動音を上げ、
サイヤロボへに構えをとる。
「ふっふっふっふ………バッチコーーーイ!!」
サイヤロボもまた構える。

――――二体の巨身が激突する


「まずはこの俺からだなベイベー。トランクス、お母さんを頼むぞ!!
 いっけぇぇぇぇいい!!」
剛ッ、脚部ブースターを稼動させカカロット1号がベリーベルに接近する。
「喰らえぃ、サイヤパンチ!!」
右腕が大きく振りかぶられ、ベリーベルの左腕上部を狙う。
「くっ!」
ベリーベルは咄嗟にその攻撃をガードするが大きくその姿勢を崩してしまう。
「チャァァンンスだぜぃ!喰らえ、無○無○ラッシュ!!」
右、左、右、左、サイヤロボの鋼鉄の腕が容赦なくベリーベルの装甲を
穿つように叩き込んでいく。
「きゃあああああああ!!!」
「ぴゃ~~~~~~~!!!」
勢いに負け、ベリーベルの身体は宙を舞って大地に仰向けに倒れる。
「フワ~~~~~ッハハハハァ!!なんだ、口ほどにもない!やっぱり俺は
 宇宙一だな。はっ……己の才能のすごさにちょっぴりカ・イ・カ・ン」
その言葉を無視しつつベリーベルは片膝をついて立ち上がる。
「くっ!この機体、馬力がそんなにある訳じゃないんだ……」
「うゆぅ~……ベリーベルは叩きあいっこは苦手なのよ……」
「そう……だとしたら一体どうすれば―――っ!」
思案する間はない、気づけば再び眼前に迫るサイヤロボの巨体。
振り上げられた鉄塊をダイレクトに受けるのを避け、ベリーベルは
バックステップを行う。


「雛苺、ベリーベルはどうやって戦えばいいの?!」
サイヤロボの猛攻を間一髪で避けつつ巴は下部コクピットにいる雛苺
に声をかける。だが、雛苺の方も作業に精一杯だ。
「え、えっと……えっと……ベリーベルは……きゃわわわぁ~~~!?」
「あ……きゃああああ!!」
コクピットを大きく揺さぶる衝撃、見るとサイヤロボの左腕がロケットパンチ
と化しベリーベルの胸部装甲を直撃したのだった。
ひしゃげる胸郭に尻餅をつくベリーベル、アスファルトが砕け散り地面が露になる。
「うっ……」
「うゆぅ~~~………」
「ナハハハァ!どうした、弱い弱いよっわいぞぉぉぉぉ!!やりっぱなしは
 ツマランがさっさと締めにいってみるぞ!!レエエッツファイヤァァ!」
言うが先かサイヤロボの胸部が開き、ミサイルの雨が夜空に火を吹く。
遙か上空まで昇ったミサイルは一転ベリーベルへと降り注ぐ!
瞬時、その場所は爆発に呑まれ辺り一帯は爆焔に覆われた。
「終わったな………ヘッ、きったねぇ花火だぜ。この爆発では流石の
 機巧神もオシャカ、か?爆薬は調整してたし(多分)死んではないはずだ、うん。
 そういう訳でローゼンメイデンはいただいて――――ってウソォォォ!!??」


夥しい爆煙が消える。大破しているであろうベリーベルを確認しようとした
ベジータの顎はあわや顎間接脱臼を起こすまでに開かれた。
ベリーベルは大破するどころか無傷であった。
何時の間に現われたのか、ベリーベル周囲を幾つかのビットが浮遊し、
それが生み出す防御結界によって機体は完全に防護されていたのだ。
「ふぅ。間一髪ね、助かったわ」
ホっと息をつくトモエ。
「ご、ごめんねトモエ……ヒナがちゃんとしなかったから……」
小モニタに映る今にも泣きそうな雛苺の顔。それにトモエは微笑む。
「気にしなくていいよ雛苺。貴女のおかげでこの子の戦い方も分かったしね」
「あ………うん!」
浮遊するビットを従えベリーベルが立ち上がる。
「あ、え、あっとだ。つまり、これはアレか?お約束の反撃タイム?」
「ええ、そうなるわ。さぁ、覚悟しなさい!!」
ベリーベルの周囲を廻るビット、それが一つ一つ展開し、蔓状のビームを
発生させる。
そして、ビットはサイヤロボへと指向性を持って突撃を開始した。


ビットがサイヤロボの足を絡めとる。ビームの熱によりサイヤロボの装甲は
火花が飛び散り、そしてそのまま地面に突っ伏す事となる。
「の、のぉぉぉぉぉぉぉぉっぉぉぉぉぉ!!??」
更に間髪おかずビットはサイヤロボ周囲を飛び、ビームを幾重にも
その機体に巻きつけていく。
「お、お、お、お!?う、動かない!?」
ジタバタともがこうとするサイヤロボ、だが強力な光り輝く蔓は
その動きを悉く封じる。
「ええ、動けないわ。もしそれを千切れるとしたらよっぽどの魔力だけだね」
「車田飛びなのよ~~~!」
次の瞬間、サイヤロボは空中へと舞い上げられる。
ビームの蔓によってサイヤロボは駒のようにグルグルと回転する。
「うぉぉぉぉぉぉぉおおおおお!!目がまわるぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」
「えへへぇ………てめーは地面にキスしてろなの~~~!」
蔓が途切れる。
駒のように回転したまま放り投げだされたサイヤロボは限界点まで昇ると、
重力の恩恵を受けて放物線を描いて落下、そのまま地面へ激突した。
「ぬっほおおおおおおおおおお!!」
大地を揺らす地響き、土煙が周囲数百メートルにわたって舞い上がる。

「よし!」
「いや、ま……まだだぁぁ~~~!」
スピーカーの声と共にどうにか起き上がってくるサイヤロボ。
「チッ……なかなかやるじゃねえか。ほ、惚れ直したぜ……」
「全然嬉しくない」
「ヒナもよ」
「ぬほぉっ!?オ、俺の恋する気持ちはブレイクハートか!?それは……
 それは……あんまりだァァァァァァァ!!!!」
脚部ブースターを三たび発火させるサイヤロボ。
「そう何度も同じ手は―――」
「喰らわないのよ~~!」
いつのまにかベリーベルの周りに戻っていたビットがベリーベルを護るように
防御結界を発動させる。
それにそのまま突っ込むサイヤロボ、紫電が全身を襲う。
「アーババババババアババババババアババババババアバ!!!」
感電したのだろうか、スピーカーから聞こえる素っ頓狂な声。
吹っ飛ぶサイヤロボ、耳と口と思われる部分から上がる黒煙。
静止するサイヤロボ、生じた勝機、それを逃すわけにはいかない。
「雛苺!一気に片をつけよう!!」
「あいあいさ~なのよ!!」


バックステップ、ベリーベルはサイヤロボから大きく飛び退く。
大地を踏みしめる鋼の両脚、周囲を飛ぶビットは唸りを上げて
高速回転を始める。
「ベリーベルのひっさつわざをお見舞いしてあげるのよ!」
雛苺の宣誓、コクピットを魔力の奔流が駆け巡り、魔術文字の発光は
眩くかぎりとなる。
同時、巴の脳内に天文学的情報量がダウンロードされる。
それは術式、ベリーベルの持つ破壊の呪法。
式が言霊として巴の魂に刻まれる。
そして読み上げられる祝詞
「攻性防壁結界発動!!!」
ビットがベリーベルを中心に外界へと解き放たれる。
閃光が夜空に痕跡を残して疾走する。
「縛せよ……縛せよ……縛せよ!!!」
爆発的推進力を得たビットは眼前敵、サイヤロボ周囲に展開していく。
取り囲むビット、魔術文字が光り輝く。
発動、ビットから射出された魔力が互いのビットと結びつき、
複雑に絡み合ったそれは螺旋状の拘束結界を形成する。


鴇色の鋼鉄はその双腕を重ね合わせ、拳を重ね合わせ敵に突きつける。
発動した術を執行する儀式。
爛々と輝く魔力の紋様はビットの一つ一つにその魔力を供給し
その一つ一つを僅かなズレを生じる事さえ許さずに使役する。
統べる者が行使する故に生み出される完全結界。
サイヤロボに一分の動きさえも許しはしない。
「お、お、お、おおぉぉぉ~~~~!?」
拘束は無情、破壊への宣誓が高らかに叫ばれる。
「それは鎖」
「それはつるぎ」
ビットが各々に回転を始める。咆哮、ウォークライ。
「暴虐封ぜる魔刃の茨」
「じゃあくをふうぜるぜったいのいましめ」
高速回転、唸るビットは外部装甲を解き、内部構造を露にする。
脈動する、脈動する、脈動する、内部機関、魔術動力炉が脈動する。
全方位無死角の結界が脈動する、サイヤロボを中心に魔方陣と化した
螺旋状構築体が魔術文字を輝かせて脈動する。

「「鎖縛の閃光よ収束しろ!!」」

そして、魔術動力炉の唸りが高密度の破壊を解き放つ。
ビットはサイヤロボに向けて暴虐の引き金を引いた。


「お、お、お、お、おおお~~~~~~~~~~!!!!」
吐き出された剥き出しの暴力がサイヤロボを飲み込む。
閃光が結界内を埋め尽くす。
螺旋状構築体内を暴れる破壊はその方角を天へと向ける。
街を包んでいた破壊の炎をも引き連れ破滅は天へと昇る。
螺旋を描く破壊の光、それは桜光、春を思わせるその色は
確かな破壊の象徴でありながら可憐。
優しくも無情な閃光だった。


「や……やった……」
「うぃ~……」
コクピット内、儀式を終えた二人はモニタ越しに天を見つめる。
宇宙へと消えていく光の行く末を気にするように。
終わった、敵は倒した。
すべての緊張が解け、巴はコクピットにへたれ込む。
「あは……あはは……腰、抜けちゃった」
「トモエ、だいじょぶ?」
「うん、大丈夫。雛苺、貴女は?」
「うん、ヒナも平気よ!ぜ~~んぜん、げんき!」
「ふふっ。うん、よかった」
微笑みあう二人。だが次の瞬間それは塗り替えられた。


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