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ジュンと翠星石は兄妹のようです。


「ジュン兄! 休日だってのに何家でゴロゴロしてるですか!」
いきなり怒鳴り込んできたのは翠星石。休日だというのに居間でゴロゴロしている男、桜田ジュンの妹である。
「…たまの休みぐらい寝かせてくれよ」
ジュンはもぞもぞと毛布にもぐりこみながら答える。
「仕事は忙しいし、休みは疲れてて寝たいし」
「はぁ…。そんなんだから結婚どころか彼女もできねぇんですよ」
「何でこんなにも熱心なお前には恋人がいないんだろうな…」
「う、ううううるさいです! 黙りやがれです! そういうジュン兄はどうなんですか!」
「いないよ。合コンは話が合わないし、お見合いは緊張してダメだし、結婚相談所は高いし…」
「ほぅら、ジュン兄だっていないんじゃねぇですか」
「じゃあお前が恋人になってくれよ。恋人いない同士」
「な、ななな何を言ってるですかこのバカ兄は! 大体翠星石たちは兄妹で…ゴニョゴニョ……」
翠星石は途端に真っ赤になって慌て始め、次第にもじもじし始める。
最後はもう小さすぎて聞こえないぐらい声が小さくなっていた。
「…ま、まぁ。ジュン兄がどうしてもって言うのならこの翠星石が恋人になってやらなくも……。…ジュン兄?」
「zzz…」
あまりに話が長かったためか、ジュンは寝てしまっていた。
「人の話聞きやがれですぅ!」
翠星石は赤面して怒鳴った。

 


 

ジュンと翠星石は兄妹のようです。

今日はジュンの給料日。翠星石はジュンの奢りでファミレスで外食しているようです。

「ジュン兄、それおいしそうですね」
「ん? 欲しいなら一口やろうか? ほら、あーん」
ごくナチュラルにスプーンを向けるジュンに翠星石は動揺した。
「なっ! こここ公衆の面前でなに恥ずかしいことしてるですかこのバカ兄は!」
「いや、問題ないだろ。兄妹だし」
「だっ、大体翠星石はそんなの欲しいなんて一言も言ってねぇですし…」
「そうか」
翠星石は次第に顔を赤くし、声もどんどん小さくなっていく。
「で、でもまぁジュン兄がどうしてもというのなら一口ぐらい食ってやっても……モニョモニョ…」
「それじゃあ、僕向こうで先に会計済ませて来るから」
ジュンはもじもじと一人り言を言い続ける翠星石を残して席を立った。



「あっ、で、でも一口だけですよ! それ以上は……って、あれぇ!?」
数十秒後、我に返った翠星石は目の前の兄がいつの間にかいなくなっていたことに気づいた。

 


 

ジュンと翠星石は兄妹のようです。

翠星石が放課後に買い食いしているようです。
そこへ偶然通りかかるジュン。
「お、ソフトクリームか。美味そうだな、一口くれよ」
突然現れたジュンに驚く翠星石。
「ジュ、ジュン兄!? だ、ダメですよ大体これは翠星石が自分のお小遣いで買ってきたものであって…」
「そうか」
そう言うとジュンはなおも喋り続ける翠星石を一人残してそっとその場を離れた。
「あー、おいしいですぅ。こんなにおいしいソフトクリームを食べられないジュン兄はかわいそうですぅ。
ま、まぁ翠星石は心が広いほうですから、一口ぐらいならかわいそうなジュン兄に食べさせてあげなくも…」
最後のほうは少し顔を赤くしながら言う。 
そこへちょうどその場を離れていたジュンが帰ってきて一言。

「自分で買ってきた」
「か、勘違いするんじゃねぇですよ! これは決して…って、あれぇ!?」

翠星石は顔が( ゚д゚ ) になった。

 

おまけ。数分後、帰路を行く二人。

「なぁ、せっかくお互い違う種類なんだから、一口ずつ交換しないか?」
突然の提案に、翠星石は一瞬ポカンとした後
「え…? ま、まぁいいですよ。翠星石もちょうどジュン兄のがどんな味か気になっていたところですから」
「んじゃ、はい」
ジュンは自分のソフトクリームを翠星石の顔に近づけた。翠星石はそれに はむ、と口をつける。
「ん、おいしいですぅ」
「そりゃよかった」
「じゃ、じゃあこれはおかえしですぅ。ありがたく食いやがれです」
そう言ってジュンの前に自分のソフトクリームを突き出す翠星石。
「はいはい」
素直じゃない翠星石に少し呆れながら応えるジュン。
二人は仲の良い兄妹のようです。

 


 

ジュンと翠星石は兄妹のようです。

バレンタインデー当日、翠星石はジュンの帰宅を待っているようです。
「ただいまー。珍しいな、お前が玄関まで出迎えてくれるなんて」
「お、おかえりです…」
翠星石は玄関で後ろ手にチョコを隠しながらジュンを迎える。
リビングへ移動し、ジュンがソファーに腰掛けたところで、翠星石は何かに気づいた。
「…ジュン兄、その紙袋は何ですか?」
「ん、これか?」
それはジュンの腕にぶら下がっていた小さな紙袋だった。
「チョコだよ」
さらっと答えるジュン。
「なっ!」
驚く翠星石。
「ほら、うまそうだろ?」
ジュンは綺麗な包装をほどき、ニコニコしながら中身を見せてくれる。
そのチョコは高級そうで、とても義理とは思えない。
それに比べて自分のチョコはどうだ? 失敗の連続で、何とか出来上がったチョコだってただハート型にしただけの普通のチョコレートではないか。
「ななななななななな…」
翠星石は動揺した。こんな立派なチョコと並べられたら自分のチョコはどうしても見劣りする。
これは何の嫌がらせだろう? 一体誰から? どうしてジュンはそんなに嬉しそうに見せびらかすのか?
胸の中がモヤついて、翠星石の中でそんなマイナス思考スパイラルが展開する。ジュンがそのチョコについてまだ何か言っているが翠星石には聞こえない。
そして、テンパった翠星石は…

「だから一緒に食べようと思ってデパートで買って来 『ジュン兄のバカーっ!』 …え、えぇっ!?」

とりあえず目の前の兄を涙目で怒鳴りつけた。
いきなり妹に怒鳴りつけられ、ジュンはひどく困惑した。

 


 

ジュンと翠星石は兄妹のようです。 番外編

真紅とジュンは同僚のようです。

彼女の名前は真紅。仕事の鬼である。が、それ故に男性社員からは敬遠され、恋愛をしたくても中々できないでいる。
真紅が最近気になるのは同僚の桜田ジュンだ。
しかし何度かアプローチしようとするも、なかなかできないでいた。
どうすれば彼の気を引けるのか思っていたある日、 
「真紅さん」
就業間際、ジュンのほうから話しかけてきたのだ。
「桜田君?」
「実はお願いがあって…。これからの予定、どうなってます?」
すこし、はにかんだ様子だ。
これは一体どういうことだろう?
「(も、もしかしたら、これはデートのお誘いというものかしら?
というかこれからの予定を聞いてるんだからそうよね、そうに違いないわ。)」 
真紅はそう結論付け、初めての経験に舞い上がる。
が、ここですぐに返事をしては軽い女だと思われてしまうかもしれない。
そこで真紅は徐に手帳を取り出し、パラパラとめくりもったいぶった態度で答える。
「…そ、そうね。大丈夫よ」
そこでジュンがパァっと表情を明るくして一言。
「じゃあ今日の残業、代わってくれませんか?」
「え?」
予想外の一言に呆気に取られる真紅。
「…え、ええ、いいわよ」
呆然としながらも何とか答える。
「いやぁ、今日は妹の誕生日で、どうしても早く帰りたかったんですよ。ありがとうございます。
この埋め合わせは必ずしますから。それじゃあ」

一人ポツンと取り残される真紅。

 



ジュンと翠星石は兄妹のようです。

夕方、ジュンが傘を忘れて駅で足止めをくらっているようです。
そこへ偶然翠星石が通りかかった。
「ジュン兄?」
「あ、翠星石」
「そうしたんです?」
「いや、傘を忘れちゃって…」
参ったね、と頭の後ろをかきながら答えるジュン。
「そこで頼みがあるんだが、お前の傘にちょっと入れてくれないか?」
「なっ! なななななな。いきなり何てことを言いやがるですか! そそそ、それってあああ、あいあい…」
顔がどんどん赤面していく翠星石。
「やっぱダメか?」
「い、いや。ダメじゃ、ねーですけど…」
最後のほうに行くに従って声が小さくなっていく翠星石。
ジュンはちょっと考えてそっとその場を離れた。
「ま、まぁ、しゃーねーですから今回だけは特別に入れてやらなくも…」
気づかずに喋り続ける翠星石。
と、そこへジュンが帰ってきて一言。

「売店でビニールの傘売ってた」
「か、勘違いするんじゃねぇですよ! これは…って、あれぇ!?」

 



ジュンと翠星石は兄妹のようです。番外編

ジュンと真紅は同僚のようです。

ジュンが前回残業を代わってもらったおかえしに同僚の真紅の買い物に一日つきあっているようです。

朝、洋品店など

「真紅さん、まだ買うんですか?」
たくさんの紙袋を両手にぶら下げて先行する真紅に続くジュン。
「あら、男の子がそのくらいで根をあげるのかしら?」
「…わかりました。今日はとことん付き合いますよ」 


昼、ファミレスに入る二人

「そろそろお昼にしようかしら」
「ちょうどいい時間ですしね」
「お代は桜田君持ちね」
「う…、わかりました」


そして友人A,Bとファミレスにいる二人を偶然発見した翠星石は

「あれ、あそこにいる人翠星石のお兄さんじゃない? ちょっとカッコいいよね」
「一緒に居る人綺麗だね。ねぇ翠星石、これってもしかして……翠星石?」

「(…ジュ、ジュン兄がマルチの勧誘にー!?)」

誤解していた。


おまけ

夕方。桜田家、居間。

「ジュン兄、紫とうもろこしのジュースですか?」
「は?」
「壷ですか? 多宝塔ですか? 印鑑ですか?」
「ちょっと待て、意味がわからない」
「あ、あとマーク・パ●サーには会えましたか?」
「話を聞け」

まだ誤解していた。

 


 

ジュンと翠星石は兄妹のようです。

ジュンが映画のペアチケットを手に入れたようです。

「翠星石ー、明日暇か?」
「なんでですか?」
「実は偶然映画のペアチケットが手に入ったんだけど、一緒に行かないか?」
翠星石は思いきり動揺した。
「なっ! そ、それって、でで、デートってやつですか?」
「まぁ、そうなるのかなぁ?」
ポリポリと頭を掻きながら答えるジュン。
「ば、ばばば馬鹿ですかジュン兄は! じ、じじじ実の妹をデートに誘うなんて、何考えてるですか!」
「おかしいかなぁ?」
「そ、そうですぅ。ジュン兄は自分のことを考えて職場の女の子でも誘ったらどうですか!」
「そうしようかなぁ?」
ジュンはそういうと携帯電話を取り出した。
「あ、もしもし真紅さん?」
そんなことに気づかない翠星石はさらに喋り続ける。
「ま、まぁ、どうせジュン兄には誘いに乗ってくれるような女の子なんていないでしょうから、
どうしてもと言うならこの翠星石が特別に一緒に行ってやらなくも…」
そんな翠星石に携帯電話をたたみながらジュンが一言。

「OKだって」

「…って、あれぇ!?」

 


 

ジュンと翠星石は兄妹のようです。

前回のオチを引っ張って、ジュンと真紅が映画に行くようです。
ジュンと真紅、二人並んで映画館へ入っていくのを物陰から見つめる影が二人。翠星石とその妹蒼星石だ。

「翠星石、やめなよ。尾行なんてデートの邪魔しちゃ悪いよ」
「いいんです! 翠星石にはジュン兄とデートする女を見極める義務があるです。
べっ別に嫉妬とかそういうのじゃないですよ。ただ妹として、ジュン兄が悪い女に騙されてないか気になっているだけで…」
「はいはい」
「だっ、大体いきなり映画館をデートする場所に選ぶなんて破廉恥ですぅ!」
「普通だと思うけど」
「映画館なんて偶然手が触れ合ったり女が驚いて抱きついてきたり……と、とにかく危険スポットなんです!
そしてムードに流された二人は…絶対にそれだけは阻止しなくてはいけないんです!」
「妄想全開だね…」
「か、勘違いするなですよ! これはジュン兄が好きだからとかじゃなくて…」
「悪い女に騙されてるんじゃないか心配なんでしょ?」
「そ、そうです。分かったらさっさと後を追うですよ、蒼星石」
そう言ってズカズカと映画館へ入っていく翠星石。後をついて行く蒼星石は映画館の前で立ち止まり、看板を見上げてため息をついた。
「…はぁ。この映画でどうしたらいいムードになるんだよ…」

映画のタイトルは「劇場版名探偵くんくん ~ぜんまい仕掛けの摩天楼~」
子供向けの夏休み映画である。

 


 
ジュンと翠星石は兄妹のようです。

休日、居間でゴロ寝をしていた翠星石のもとにジュンがやってきた。
「ちょっと近所のスーパーまで買い物に行って来る」
ポケットに財布を仕舞いながらジュン。
「夕飯の買出しですか?」
「ああ。一緒に行くか?」
ジュンの何気ない提案に顔を真っ赤にして翠星石。
「なっ! ばばば馬鹿じゃねーですか子供じゃあるまいし!
(じゅじゅじゅジュン兄とショッピングジュン兄とショッピングじゅんにいとしょっぴんぐ…。まるでデートですぅ)」
「来ないのか?」
「え!? あ、あああったりめーじゃねぇですか。この歳になって兄貴と並んでなんて恥ずかしいですよ」
「誰も気にしないと思うけどなぁ。まぁ、とにかく今回は行かないんだな?」
「そ、そうですぅ。…ま、まぁジュン兄がどうしてもというならその、一緒について行ってやらなくも…ゴニョゴニョ……」
最後のほうはモジモジしながら殆ど聞き取れないぐらいの声量で答える翠星石。そんな翠星石にかまわずにジュンが一言。

「それじゃ、留守番よろしくな」
「…え?」
何気にちゃっかりとジュンのとなりに立っている蒼星石も一言。
「出かけるときは戸締りをしっかりね」

一人ポツンと残された翠星石。
「……あ、あれぇ!?」

 


 

ジュンと翠星石は兄妹のようです。


翠星石がジュンの気を引こうと思っているのにどうしたらいいかわからないようです。
夜、自室で悩んでいた翠星石は特にアイディアも浮かばないのでとりあえずテレビを見ることにした。
テレビ「男性の気を引くにはツンデレです。ツンとデレを上手く駆け引きに使うことで(以下略」
「…こ、これです! こんな凄いタクティクスが存在していたなんて! 孔明も真っ青ですぅ!」


翌朝、 ジュンと蒼星石は居間でテレビを見てくつろいでいた。
「ジュン兄!」
そこへ勢いよく現れる翠星石。居間に入ってくるなり開口一番
「ジュン兄のバカ! アホ! 朴念仁! べ、別に翠星石はジュン兄のことなんて好きでもなんでもないですからね!」
「…え、えー!?」
いきなり乱入してきた翠星石は言いたい放題罵詈雑言を並べた後、満足そうに自室に帰っていった。
あまりに突然の出来事に何が起こったのか理解できずポカンとするジュンと蒼星石だったが…
「…な、なんだったんだ? 今の」
「さぁ? まぁ翠星石の口が悪いのはいつものことだし」
「それもそうだな」
すぐに「翠星石にはよくあること」と華麗にスルーした。


一方その頃の翠星石は…
「後はこれでデレれば完璧ですぅ!」
自室でニヤニヤしていた。


 ジュンと翠星石は兄妹のようです。

翠星石が珍しくジュンに優しく接しようとしているようです。

夕方、ジュンが仕事から帰ってきた。

「ジュン兄、鞄持ってやるです。感謝しろです」
「う、うん…」
玄関で鞄を持ってやる翠星石、あっけにとられながらも鞄を渡すジュン。

「コーヒーできたぞ、飲みやがれです」
「あ、ありがとう…」
コーヒーを淹れてくれる翠星石。ぎこちなく受け取るジュン。

「ほぅら、翠星石の手作りケーキです。感謝して食いやがれです」
お茶請けにとお手製のケーキを食べさせる翠星石。よくわからないままケーキを前にするジュン。

「…なぁ」
「なんですか?」
翠星石が珍しく優しいことに何かあったと感じたジュンが翠星石を心配し、神妙な顔をして一言。


「…お前、何しでかしたんだ? 怒らないから言ってみな」
「ジュン兄のバカーっ!」

普段ツンツンしてる子が、急に優しくなると何かあるんじゃないかと思えるというお話。


※余談だが、ジュンはあの後きちんと謝って許してもらった。次の休日に翠星石の買い物に付き合うという条件付きで。


 ジュンと翠星石は兄妹のようです。


翠星石がリビングでアルバイト情報誌を読んでいるようです。
「何か良い場所ないですかねー」
そこへやってきたジュン。
「バイトを探してるのか?」
急にやってきたジュンに驚いたのか、突然慌てはじめる翠星石。
「そ、そうですぅ。花の女子高生には欲しいものがいっぱいあるですぅ」
「そうか」
「か、勘違いするんじゃねぇですよ! べべべ、別にジュン兄の誕生日プレゼントを買うためとかじゃないですからね!」
「ああ、そういえばもうすぐ僕の誕生日だったっけ」
「う…。…と、とにかく! ジュン兄には関係ないことです! 気にすんなです!」
「あ、ああ。わかったよ」


そこへリビングのソファの上で二人のやりとりを黙って眺めていた蒼星石が翠星石の振り回していた情報誌を指差して一言。


「姉さん、ここなんてどうかな?」


つ 『ツンデレ喫茶』


こうして、翠星石のアルバイト先が決定した。


 ジュンと翠星石は兄妹のようです。


ツンデレ喫茶の店長が翠星石に接客指導をしているようです。
「んじゃ、一通りのことは教えたから次に入ってきたお客さんの接客をしてみて。見ててあげるから」
「は、はいですぅ」
翠星石は不安だった。以前、兄にツンデレを試して失敗したことがあるからだ。
それに、少し人見知り気味な自分がうまく接客できるかどうかも不安だった。
「(えっと、お客が来たら席に案内する。メニューを渡す、それから…)」
とりあえず手順を確認する翠星石。
「(一言目はたしか、不機嫌に「何しにきたの?」でしたよね)」
深呼吸しながら心の準備を始める翠星石。
「(なにしにきたの。なにしにきたの。なにしにきたの…)」
ぶつぶつと呟きながら練習を始める翠星石。
そして入ってくるお客。


「様子を見に来た」
「なにしにきたですかーっ!!!」
「うわぁ!?」

手に持っていた盆を投げての強烈な出迎え。
入ってきたお客はジュンだった。


ジュンと翠星石は兄妹のようです。

ジュンの突然の来店に翠星石が驚いているようです。
「その制服中々かわいいじゃないか。似合ってるぞ」
「当然です。翠星石は何着てもかわいいに決まってるです!
か、勘違いするんじゃねーですよ! 別に翠星石はジュン兄にほめてもらうためにこんなカッコしてるんじゃないんですよ!」
「仕事だもんな」
「そ、そうですぅ。とにかく、席に案内してやるからついて来やがれですぅ」
そういうと顔を赤くしながらぷいっと後ろを向き、ジュンを席まで案内する翠星石。
ここから翠星石は素で天性のツンデレっぷりを発揮する。

メニューを渡して。
「メニューやるから、さっさと決めやがれです!」
「はいはい」

コーヒーを置きながら。
「コーヒーです! こ、これ飲んだらさっさと帰りやがれです!」
「はいはい」

清算して。
「こ、これ次回来店時に使える割引券ですぅ。
か、勘違いするんじゃねぇですよ! これは客に必ず渡さなきゃいけないものであって、また来てほしいとかそういうのじゃないんですからね!」
「はいはい」

そしてジュンが帰り、一部始終を見ていた店長の判断が降りる。

「(うう…、うまく出来なかったです。このままじゃクビですぅ…)」
「完璧よ翠星石ちゃん!」
「…あ、あれぇ!?」


 ジュンと翠星石は兄妹のようです。

ジュンたちが海に行くようです。

きっかけはジュンの一言だった。
「翠星石、海に行かないか?」
「ええっ、海ですか?」
「ああ、今度の日曜。」
「(こ、これはきっとデートの誘いに違いないです!)」
「たまには家族サービスもしないとな。」
「(海ですか? 二人っきりで海ですか? ど、どうするです? 夏に向けてのダイエットもまだ始めてないし、新しい水着も買ってないですのに!)」
目をぐるぐる回しながら慌てる翠星石。勿論ジュンの話なんて聞いていない。そしてそれを不思議そうに見つめるジュン。
「…翠星石?」
「(あー、でもこんなチャンスめったにないですし。こ、これは行くしか…)」
悩んだ末、翠星石はどうやら決心がついたようだ。
「おーい?」
「ジュン兄っ!」
「わっ。な、何だよ、びっくりしたなぁ。」
翠星石の出した突然大声に驚くジュン。
「海、ですけど、その…、い、行ってやっても、いいですよ? でもその、勘違いするんじゃねぇですよ! これは、その…ゴニョゴニョ」
翠星石はどもりながらも、海へ行くとジュンに伝えた。そのまま独り言を続け、次第に自分の世界に入っていく。
「蒼星石、翠星石もOKだって。」
「楽しみだね兄さん。」
もちろん翠星石にはそれ以降の話なんて聞こえない。
「えーと、まずは明日水着を買いに行って、それから…」

そして、当日。

「何で蒼星石もいるんですかっ!?」
「いや、何でって言われても…」


 ジュンと翠星石は兄妹のようです。

兄妹で海に来た翠星石はジュンと二人きりになるチャンスを狙っているようです。
「け、計算外です。まさか蒼星石も一緒だったなんて…」
翠星石は考えた。どうすれば二人きりになれるのか。
そして、何かを思いついたようだ。
「そうです! 泳ぎの練習とか言って付き合ってもらえばいいんですぅ!」
どうやら泳げないフリをしようという作戦らしい。
「そして、うっかりおぼれたフリをして、あわよくばジュン兄とのマウス トゥ マウス…。きゃーっですぅ!」
興奮した翠星石は赤い顔に両手を添えて頭をぶんぶん振り回した。
突然のことに周囲の人間が驚いて何人か振り向くが気にしない。
「そ、そそそうと決まれば早速決行です。善は急げ!思い立ったが吉日です!」
翠星石は意を決し、ジュンを探し始める。

そこへ、蒼星石が走ってきて一言。

「大変だ! 兄さんが溺れた!」
「…あ、あれぇ!?」


 ジュンと翠星石は兄妹のようです。

ジュンが海で溺れたようです。
蒼星石からの知らせを聞いて翠星石は考えた。
駆けつけた翠星石が見たものは砂浜に横たわるジュンだった。
「(どどどどーいうことですかっ!? ジュン兄が溺れたって!?
ジュン兄は無事なんですか!? それにこのままじゃ翠星石の完璧なプランが…)」
一瞬パニックに陥る翠星石。しかしすぐに後ろを向いて考え直す。
「(い、いや逆に考えるです! ここは翠星石が人工呼吸をすればいんです!)」
普段は恥ずかしくてできないことも、人命救助という大義名分があれば堂々と出来る。
当初の計画とは逆になってしまったが、結果オーライだろう。
「(い、いや勘違いしちゃ困るです!これは人命救助のために仕方なくやるんです。け、決してやましいことがあるわけじゃねぇです。本当ですよ。)」
と、誰かに心の中で言い訳しつつ翠星石は覚悟を決めた。
「よし! しょーがないですね、ここは翠星石が…」
そして、思い切って向き直った。

すると、そこには元気になったジュンの姿が!

「ありがとうございました。」
「お騒がせしました。」
ライフセーバーに頭を下げるジュンと蒼星石。
「…あ、あれぇ?」
考えている間に全てが終わってしまっていて一人取り残される翠星石。


 ジュンと翠星石は兄妹のようです。番外編。
ジュンと真紅は同僚のようです。


昼休み、真紅が弁当を食べるようです。
「いただきます」
弁当の蓋を開け、箸を構える真紅。
しかし…
「あれ?」
真紅は上手く箸が使えないらしく、何度も掴もうとして失敗してしまう。
海外での生活が長かったため慣れていないのだろう。
「うまくいかないわね…」
弁当との格闘を繰り返すこと約五分。
後ろを通りかかり、真紅の弁当を覗いてみたジュンが一言。


「真紅さん、今日はそぼろご飯ですか?」

落ち込んだ表情で呟く真紅。

「……これはハンバーグよ」


 ジュンと翠星石は兄妹のようです。

職場から帰宅ジュンを翠星石が出迎えたようです。
「ただいま」
「おかえりです。さぁスーツをハンガーにかけてやるからとっとと渡すがいいです」
「ありがとう」
ジュンは上着を脱ぎ翠星石に渡した。
渡された上着を手に、
「(ああ…まるで新婚さんのようですぅ)」
と、頬を緩める翠星石であったが、すぐに違和感を覚える。
「……ん?これは、まさか、香水の臭い?」
スーツからほのかに良い香りが漂ってきたのだ。翠星石は動揺した。
「(え、えええ!? ま、まさかジュン兄に限って!い、いやでもジュン兄はかっこいいですし…でもやっぱりだめです!ていうかこれって浮気? い、いや翠星石たちは兄妹ですし、付き合ってるわけでもねーですし…あ、あれぇ!?)」
ぐるぐると回る思考に翠星石は混乱した。

そんな翠星石の後ろのほうで夕食の準備をしていた蒼星石が出てきて一言。
「兄さん、なんだかいい香りがするね」
「あ、やっぱり臭うか? 実は今日トイレの芳香剤を溢しちゃってな」


 

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