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~僕のSCHOOL LIFE~           その4
真紅さんに言われるままに紅茶を淹れて、イスに優雅に座り、窓の外を見ている
乙女に差し出す。
「遅いのだわ!それに少し冷めてしまってるじゃない!全く紅茶の一つもまともに
淹れられないの?」
それはないんじゃないんですか?ただでさえ部室の給湯事情がわからなくて、ポット
だのなんだのを探すのに手こずったし、生まれてこのかた人の為に紅茶お淹れるなんて
あまりしたこともないのだ。とは言えずに「次から気をつけます・・・」という僕は何か
とても情けない。
「まぁ、今日はこれで我慢してあげるのだわ。次はせめてミルクを供える気遣いくらいしなさい?」
紅茶にミルク?初耳だ。紅茶にはレモンとかをつけるのだと思ってたのだが・・・
「それじゃただのレモンティーじゃないの。ちゃんと翠星石と蒼星石が専用のミルクを用意してるはずなのだわ。探しておくことね」
「・・・・・以後気をつけますよ。ってか」 「何か不満でも?」
いえ、無いです・・・・・。全く我ながら情けないことだが、僕はその場につっ立ったまま、真紅さんの紅茶の飲み干されるのをまっていた。・・・おかわりとか言わないですよね?


「ふぅ。冷めてて葉も開ききってないけど、まぁまぁだったのだわ」
カップを受け皿に置きつつそんなことを言う真紅さん。その動作一つ一つがとても優雅で、不思議な感覚に落ちてしまう。
「何をしてるのだわ?さっさと片付けなさい!」
「えっ?あっ!は、はい。只今!」
いや、もうなんかべジータみたいに下僕化してきたなぁ・・。ひとまず僕は真紅さんからカップを受け取り、流し台でチャッチャと洗う。
「終わりましたよ、真紅さん。で、昨日言ってた「いいもの」ってなんですか?」
なんか紅茶がどうのこうので忘れかけていたが、テーブルの上にある用紙を見て本題を思い出す。
「あら?そうだったわね。じゃあこっちにいらっしゃい」
イスから立ち上がり、さっき入ろうとしていた部室の奥へ僕を促す真紅さん。・・・その発言っぷりだと先輩も本題を忘れてたんですか?
ともかく促されるままに奥の部室に行くと・・・
「うわ、すごっ!」
目前に現れたのは棚いっぱいに広がる盾や額縁に入った賞状、トロフィーみたいなものなんかもある。棚に入りきらずあぶれたのもそこら中に散乱している。
「へぇ~凄いですねぇ。これ全部文芸部の賞なんですか?」
勝手に弄っちゃ駄目だったろうけど、僕はその辺にあった盾を拾って裏返してみたりしてみた。
「そうよ。ここ数年でこんなにたまってしまったのだわ。全く邪魔だから早く棚を買うよう言ったのにあのどんくさい校長ときたら・・・・」


棚の下のロッカーをゴソゴソさせながら悪態をついてる真紅さんをよそに僕はようやく疑問の答えを見つけた。
そう、これだけ功績のある部活なら学校が優遇するのは当然だろう。
僕はまだ文芸の賞の価値はわからないけど、「最優秀賞」と書かれてるものもあるってことは凄いんだろう。
それでもこの優遇の良さはそれを凌いでいる。きっとそこんとこは先輩の我まm・・・・自己主張かなんかの賜物なんだろう。
「あったのだわ」
勝手な思案を巡らせていると足元の方からそんな声する。
「これよJUN、少し埃がかかってるからあっちで払いなさい」
と、埃のかぶった冊子を渡され、手近なゴミ箱で払う。
「えっと・・・文芸部作品集?」
埃をかぶっていたものの、払えばまだ目新しい冊子だった。「文芸部作品集」と書かれたそれには名の通りたくさんの詩やら小説やらが載っていた。
「そう。過去3年くらいの先輩方の作品をまとめたものなのだわ。水銀燈が編集したものなのだけど、まだ4年前以前のものは編集できてないらしいのだけれど・・・」
制服についた埃をはらいながら真紅さんは僕の隣から冊子を覗きこむ。
「いいものってこれのことだったんですか?」
「そうよ、そのなかの草笛さんという人の作品を参考にするといいのだわ」
と言って、また椅子に座る真紅さん。僕はそのまま突っ立ってパラパラとページをめくる。


「ここで読む気?恥ずかしいから家で読みなさい!」
適当な詩を見ていると少し大きい声で言われた。なんで真紅さんが恥ずかしがるんだろう?
「その中には私の作品もあるのだわ!」
ああ、そういうことですか。流石にそのまま読むわけにもいかず、僕はカバンの中に丁重にしまう。
「じゃぁ家で読みますんで僕はこれで」
ここで読めないのならこれ以上留まる必要も無いので僕は帰り支度をする。
「あ、あらそう。それじゃあまた学校でなのだわ」
「はい。じゃあさようなら」
なにか達成感にみまわれながら僕は部室を出、学校をあとにする。結局居たのは1時間くらいだったが、まぁよくあることだろう。
「「「よーし!!」」」
弓道部から聞こえる声を背に僕は帰路についた。

「さてと、早速読むかな!」
家に着くなり自室の机について冊子と対峙する。・・・普段勉強してる時よりも机に居る気がするな。
「えっと草笛さん草笛さん・・・・っと、あった!」
目当てのページはすぐに見つかりそれを読み出す。これが思いがけないヒントになろうとは・・・・。


パタッと冊子をたたんで原稿用紙に向き合う。どんどん何を書くのかが頭に浮かぶ。
草笛さんとやらの作品は僕に素晴しいヒントをくれた。内容は主人公はごく普通の高校生で、
夢と夢にむかって努力をし、そのなかでの様々な葛藤を描いたものだった。なぜかそのときの主人公の
心情が綿密に伝わってきて、とてもなんというか「いい作品」だと思う。作品の最後に「この作品は作
者の実体験をもとにつくられました」と記されていた。あぁ、と納得した。だからだと。だから僕も実体
験をもとに書くことにした。草笛さんのようにはいかないだろうが、それでもイメージと内容がきまっていたし、
なによりやってみたいという気持ちが芽生えたからだ。
内容?もちろん決まっている。僕の実体験で一番印象に残ってるといったらあの時出会った少女(おそらく真紅さん)との日々と、僕がその娘に憧れたきっかけしかないよ。


「やっと創作に入ったかぁ!!ったく行動がトロいんだよJUNは!なぁ笹塚!?」
「・・・・うん、そうだねべジータ・・・・」
「おwちょ、お前なんだその変なモノをみるような眼は!?だからあれは違うんだ!!お前の誤解なんだぁーーー!!!」
「いやいや全然アレのことは気にしてないよ、君はもう「ただ」のクラスメイトであって友達とか
そういうんじゃないから好きなようにしてなよ、じゃぁね」
「え・・・ちょ、ちょっとまってくれぁあああ!!!!!」



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