※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

あの夏からもう半年もたったある日・・・
J「バレンタインか・・・貰えるのか・・・?」
僕はそんなことを呟いていた。
彼女は期末試験の真っ最中だ。僕はと言うと・・・12月の卒業試験も無事に終わり、進路も確定。めでたく第一希望の学部に転がり込めた。年があけ1か月たったたある日のおはなし。
‐‐‐‐‐‐‐‐
「はぁ・・・全く毎日毎日チョコレート柄みのもんばっかり・・・こうなったら原材料カカオだけにしてやるですぅ・・」
街角で小さなケーキ屋でパティシエとして働いていた彼女はぶつくさとそんなことを口にしていた。
「それにしても・・・おばばがいないから暇ですぅ」

Patissiere-Jade-

おばばとは店長のことだ。元々和菓子造りをしていたが翠星石が来てからはケーキ造りに没頭するようになり和菓子やがいつのまにかこ洒落たケーキ屋になっていた。
店の評判も良く、その評判は口コミで広がりなんと沖縄から電話注文が来るまでになった。


そんな店も今はバレンタイン商戦の真っ只中。バレンタイン限定のチョコレートバリエーションを増やすとあっと言うまに売り切れ御礼状態。なので基本的に午後は暇で暇で仕方が無かった。
なので翠星石はいつも店長と話をしてくつろいでいたが今日は定期検診だとか。人間、年には勝てないものだ。
そんな時‐カランカラン♪
店のドアが開く。
翠「?いらっしゃいませですぅ」
J「やってるの?」
翠「失礼なヤツですねぇ。ちゃんと営業してるですよ?」
J「これは失礼。えーっと・・・」
翠「スィショコラならもうないですよ?ほしけりゃ朝一に来るですぅ」
と言うか、チョコレート関連の物はもう何もない。
J「そっか・・・」
翠「バレンタインに貰えない哀れな野郎ですか?何なら今から翠星石が作ってやるですぅ。感謝しやがれですぅ」
J「は?」
翠「は?じゃねーですぅ。いらないですか?」
J「僕はチョコレートケーキもいいけどそのショートケーキがいいな」


彼が指したのは私の一番の自信作だった。チョコレートはどちらかと言えばあまり好きではない。何と無く昔からスポンジと生クリームの組み合わせが好きでそればっかりやっていたらいつのまにか其なりの味になったらしく、この時期でも売り上げベスト3に入る。
このお客はそれを知ってか知らずか、私の一番の自信作を選んでくれた。
翠「お前は中々見所のあるやつですぅ。うちのショートケーキはおいしいですよ?」
J「じゃあそれを2つ貰えるかな?」
翠「わかったですぅ。家までどれくらいですか?」
J「自転車だから・・10分くらいで」
私は保冷材を箱に入れ、ケースからケーキを2つ取り出して、箱に入れた。
翠「今日はもう暇だからもうひとつオマケしてやるですぅ」
その冴えない客はポカンとした顔をしていた。
翠「何間抜けなツラしてやがるですか。もっとシャキッとしやがれですぅ。そんなことだから彼女できないんですよ?」
J「お生憎さま」
今度は、私がポカンとしてしまった。


翠「まぁ、いいです。ほらオマケしといてやったですよ?翠星石に100万回感謝しろですぅ」
J「ありがとさん。いくら?」
翠「630円ですぅ」
J「じゃあ1000円ね」
翠「つり銭いらないですね?」
J「ちょwwいるよww」
翠「仕方ない野郎ですぅ。ほら、370円です」
J「ありがと。また来るわ」
翠「もう来るなですぅ」
J「じゃあ来ない」
翠「やっぱり来てくれですぅ・・」
J「どっちだよwじゃあなw」
翠「ありがとうございましたですぅ」

彼は本当にまた来るのか?
私がオマケで入れたのは朝ふざけて作ったカカオ99%ケーキだから。
まぁ、それでもまた来てくれたのなら私の腕も少しは上がったんだろう。


おしまい

|