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今年は暖冬のようだ。
彼は言った。テレビからの情報なのは間違いない。
なんだかつまらないなと思いながら落ち葉を蹴飛ばすと、見事に足元を取られてこけそうになった。
「ほら、言わんこっちゃない」

-SnowSmile-

雪「暖冬なんてつまらないですわ。おでんや鍋、はたまたラーメンが美味しく頂けませんもの」
J「結局そこかよw」
雪「それだけじゃありませんわ」
私は彼の手をとる。
雪「手を繋いでる時の暖かみが違いますもの。JUN様の温もりを感じることができる折角の季節ですのに、残念ですわ」
自分でもたまによくまぁここまで歯の浮くようなセリフを吐けるモノかと思うが、正直な気持ちにはかわりない。


暖冬と言う割に気温は低い。かと言って雪が降るほどでもなかった。
そんなある日、
J「今日は何食べる?宝くじで10万当たったから奢るよ。いつも賞金で僕の分まで払って貰って悪いし。」
雪「でしたら、バイキングに参りましょう。個室でいいバイキングを存じておりますわ」
J「じゃあ、そこに行こうか」
私は俗に言う大食の部類に入るらしい。自分ではそこまで意識したことはないが、間違いないとよく他の友達に言われる。
それでもJUN様は「食欲出るから一緒に食ってて楽しいよ」と言ってくれる。
その日はバイキングの料理を空になるまで食べて、店を出る。
会計は彼が済ましてくれた。
雪「またご馳走させて頂きますわね」
J「それはありがたいwそれにしても寒いな」


雪「そうですわね。少々寒いです」
J「あ、雪華綺晶!!雪だ!!」
彼が言う。
確かに、雪が降ってきた。
雪「雪は、舞い散る位で積もらない方が良いですわね」
J「まぁ、積もっても困るけど雪遊びができないよ」
雪「JUN様は意外とメルヘンなのですね」
J「そうかな?まぁ、確かに舞い散る位が綺麗でいいかも知れないけど、それ以上に・・・」
彼はそれ以上は言わなかった。
私もあえて聞かずにいた。

今思えば聞いておけばよかったと、何度も何度も後悔の念に刈られる。
その2か月後、私達は春の芽吹きの時期に別れた。
理由は、彼が海外へデザイナーの修行を行うため。
それでも私は待ち続けた。

彼からは1か月一度、手紙が来る。
許された外部との連絡手段がこれだけだという。

あれから5回目の冬を迎えた。


私は何時ものように、賞金稼ぎに回っていた。
通算賞金は・・・幾らになったんだろうか。考えたこともない。
彼が日本を出てから5kg痩せてしまったのだから。

今日最後のターゲットを片付けると、外はかなり冷え込んでいた‐あの時のように。
雪「雪、降りますでしょうか・・・」
そんなことをボソッと呟くと、


「今日は降るよ。間違いなく。それも君の好きなちらつく程度の雪がね」

私は声のする方を向く。
J「ただいま、雪華綺晶」
雪「JUN様・・・なのですね?」
J「間違いなく」

こんな形で再会を果たした私達は、翌年の冬に結婚した。
その日は、初雪であの日のような雪が降っていた。
舞い散る位の、積もらない雪が。

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