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「──え?」
 真紅の呆けた顔なんていう、珍しい表情。基本的に外面はいいから、優等生風に見える。
 その真紅が、こんな素の反応を見せるなんて──僕はそんなに変なことを言っただろうか。
「あの。ジュン? もう一度、言ってくれる?」
「いいけど……。だから、この間、こたつで寝てたら、何だか知らないけど、脱がされてた」
「そうではなく、いえ、それも何かおかしいけれど、あえて言うなら、ジュン、あなた──」

「あなた、それが日常茶飯事だと言わなかった?」

「言ったけど?」
「…………」
 だから、何だってそんな信じられないものを見たような顔をしてるんだ、真紅。
「聞きたくないけれど、ジュン、他に、彼女には何をされているの?」
「え? 真紅、よくわかったね、他にも色々あるって」
「……いいから、話して」
 とことん疲れてる様子だ。なんか心配になってきた。
「そうだな、例えば──」

「──ジュン、それで本当に、バスタオル一枚で抱き着かれても、何故かはだけたパジャマで自分の布団の中で潤んだ瞳をしていても、あなたは、いつものことだと言うのね?」
「うん。違うの?」
「……ああ、ここで正しい意図を教えるのは恋敵に味方することと同じだし、かといって、それではあまりに不憫な気がして、というか、なんでそこまで鈍感なのかしら」
「え?」
「ということは、ジュン、私がもし、あなたが今言ったようなことをしても、何も思わないのね?」
 真紅が……? …………、…………。
「そ、そんなことをしてくれるのか!?」
「しないわよっ! ……っていうか、なんでそんな普通の反応なのっ!? よくそれで日常茶飯事とか言えるわね!!」
「だって、真紅だしなぁ」
「……こ、この男は。……嬉しいと思ってしまうのは錯覚にして、……だから、ああ、もう、いいこと、ジュン! それはね──」

「世間一般で、誘惑と呼ばれる行為なのよ──!」


「…………」
「な、何故そんな沈黙なのかしら。ジュン?」
「え、ええ!? 誘惑って、■■■■で◇◇◇◇を●●●して□□□□とかしたりすることなんじゃないのか!?」
「な、な、な、な──! な、何を言ってるのジュン、むしろそんなことをされているの!?」
 しまった、口が滑った。
「…………まさかぁ。そんなことをされてるわけ、」
「あるのね?」
「…………はい、あります」

「──ジュン。ちょっと、話が、あるの、だけれど」

 わざわざ文節ごとに区切って言う意味とか、あんまり考えない方がいいんだろうなぁ。



「ただいま……」
「あ、ジュン。おかえりー」
「おかえり」
 うーん、一応謝っておくか。
「あのさ、二人とも、気付かなくてごめんな」
「何に?」
「えっと、だから、誘惑してたんだろ?」
「……うわぁ、ジュンが変なこと言ってるけど、私はあんまり身に覚えがないなぁ。薔薇水晶は?」
「んーん。してないよ?」
「……何だ。やっぱり、そうだよな。真紅にいつものこと話したら、そうに違いないって言うからさ」
 迂闊。そう、これは、僕のミスだった。
「──へえ、ジュン、真紅と一緒に居たんだ」


「…………いや、」
「ふふふ、いいよぉ、言い訳しなくて。そうだねぇ、なんかジュンから、いい匂いがしてるもんねぇ? ──匂いが移るまで、そーんな近くに居て、一体二人は何をしてたんだろうねぇ?」
「…………………………………………」
「待て落ち着け雪華綺晶さんそんなギラギラした笑顔を見せないで、そして薔薇水晶さんは無表情で壁を殴り付けないで──!」

「「ジューーーーーーーンーーーーーーーー」」

 ……今日はきっと厄日だろうなぁ。
 あと、匂いが移ったのは、マウントポジションとられていたからなんだけど──多分、聞いてくれないんだろうなぁ。



 で、今回の蛇足。

「こ、こうなったら、私だって、ジュンを、ゆ、誘惑、してみせるんだから!」

 真紅が何か間違った方向に意気込んでいたとさ。


続かない。


ちなみにオチは、薔薇水晶とジュンと雪華綺晶にとって、それがもはや誘惑になってない、当たり前のことになってたってこと。

いわゆる、バカップル。

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