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Barrister-Mercury-Phase3

あのメールから暫くたって、木々は秋を装い―銀杏はその美しい黄色の葉を散らし、キンモクセイが放つ甘い芳香にうっとりしながら通学路を自転車で走る。
今日は珍しく一限目からの出席。まぁ、政経だからっていう理由に過ぎないが。
教室に着くと薔薇水晶が話しかけてきた。
薔「・・・おっぱ~」
J「おはよう。朝からスネークってのも考えもんだな」
薔「・・・それは、君だけ」
正論。反論不可能。
J「・・・。痛いとこ突いてくるなよ」
薔「・・・スネークに、リキッドって何ですかって聞いて?」
J「はい?」
薔「・・・お願い」
J「笹塚に頼むから、それでいい?」
薔「・・・むぅ・・・まぁ、いいや」
J「笹塚~ちょっといいか?」

笹塚に状況を説明し、お願いしてみるとすんなりOKしてくれた。
笹「そろそろ、授業始まるから」


授業開始のチャイムが鳴り、スネークが入って来る。
ス「おはよう」
早速笹塚が質問をする。
笹「先生」
ス「何だ?」
笹「リキッドって何ですか?」
ス「・・・」
笹「先生?」
ス「・・・笹塚、廊下に立ってろ。それと、授業が終わったら職員室まで来い」

薔薇水晶、君は何をしたんだ?
笹塚が恨めしそうな目をしながら廊下へと出ていった。
笹塚は基本的に廊下に立たたされている―本人に非があるとは思えないのだが。
だが、スネークだけは普通に授業を受けさせてくれていた。
今日のスネークはヤバい。
寝てるヤツも叩き起こして授業をしているくらいだから。

その日、笹塚を見ることはなかった。
午前中の授業を受け流し、昼飯を食いに学食へと向かう。
(今日はサンドイッチにでもするか・・・)
有栖学園には学食だけでも10店舗程ある。その中でも大学生が多い所へと足を運んだ。
店へ入ると見覚えのある顔が2つ・・・
(・・・え?)
そこには、水銀燈さんと薔薇水晶がいた。


薔「・・・あ、JUNだ」
銀「・・・え?ばらしぃ、知り合い?」
薔「・・・うん。クラス一緒」
銀「ふ~ん・・・」
薔「・・・お姉ちゃん」
銀「何?」
薔「・・・好きなの?」
銀「・・・何で?」
薔「・・・ごめん。順序間違えた。知り合いなの?」
銀「うん・・・まぁね。」
薔「・・・何処で知り合ったの?」
銀「バイト先のカフェよ。彼いつも来てくれるの」
薔「・・・そっか。応援してるね」
銀「何でそうなるのよぉ」

・・・・
J「チーズスモークサーモンサンドイッチと15品目サラダ、アイスコーヒーを」
店「680円です」
野口英世を手渡し、プレートを受けとる。
何処に座ろうかと迷っていると、窓側のカウンターから僕の名前が呼ばれる。
薔「JUN~。こっちこっち」
折角呼ばれたので行くことにした。


J「いいの?」
薔「・・私はいい」
と言って薔薇水晶は水銀燈さんの方に目をやる。
銀「私も構わないわぁ。あなたと学園内で会うのは初めてねぇ」
J「そうですねぇ」
銀「そういえば今日は来なかったわねぇ」
J「一時間目は外せなかったんですよ」
薔「・・・蛇だよ」
銀「あぁ、スネークねぇ」
J「ご存知で?」
銀「そう。高3の時の担任よぉ」
J「あいつが・・・」
薔「・・・担任」
銀「何よぉ、二人して」
彼女は笑った。
J「それより、何で薔薇水晶と一緒なんですか?」
薔「・・・私の彼j」
銀「ばらしぃちゃん?今日の晩御飯からシューマイ抜くわよぉ?」
薔「・・・お姉ちゃん」
J「薔薇水晶の・・・お姉さんが・・・」
銀「やっと見つけたわねぇ」
薔「・・・シンジラレナーイ♪」
J「そんなことないから」
銀「じゃあ、そろそろ私は授業あるから行くわぁ」
J「あ、行ってらっしゃい」
薔「・・・授業寝ちゃ駄目だよ?シューマイ、忘れちゃ駄目だよ?」
後者はいらないね。薔薇水晶。
銀「じゃあねぇ♪」
彼女は店を後にした。


薔「・・・JUN?」
J「何?」
薔「・・・一口」
J「嫌って言ったら?」
薔「ここで声張り上げて泣く」
J「全力で答えるなよそんなこと。サラダならあげるから」
薔「・・・サーモン欲しい」
J「メインディッシュを取るな」
薔「・・・泣くよ?」
J「それも嫌だけどサーモン取られるのも嫌だ」
薔「・・・むぅ」
J「サラダ食べろよ?一口あげるから」
薔「・・・サーモンくれないならあーんして」
J「何でそんなピンキーな雰囲気に持ち込もうとするかな?」
薔「・・・変換できてるね」
J「当たり前だ」
薔「・・・じゃあサラダ貰うね?」
J「一口な」
薔「・・・わかってるよ。(・・・JUNのケチ」
薔「・・・ねぇ、お姉ちゃんのこと好き?」
J「・・・何で?」
薔「・・・楽しそう」
楽しそう‐言われてみればそうなのかもしれない。彼女と共に過ごす時間は僕にとってとても有意義な時間だから。
J「確かに楽しいけど、好きとかそーゆーのは」
薔「・・・奥手」


こんな時悲しきかな彼女いない歴18年‐勿論童t(ry
J「なんでそうなるかな・・・」
薔「・・・図星」
J「そろそろ怒るよ?」
薔「・・・ごめん」
とりあえずブレーキかけさせないことには何を言わされるかわからない。
薔「・・・JUN、お願い聞いて?」
J「サーモンは駄目」

薔「・・・お姉ちゃんのこと」
全身の毛穴という毛穴が開き、冷や汗が流れる‐何故かはわからない。
J「・・・何?」
薔「・・・やっぱりいい」
J「あ、そ」
薔「・・・焦った?」
コイツは一体何がしたいんだろうと思いながら僕はあくまでCOOLに返事をする。
J「別に。ってか何かあるなら言えよ。こないだ言ってくれだの言うだのって力説してくれたわけだし?」
彼女は少し間を置いた。
薔「・・・お姉ちゃん最近悩んでるみたい」
J「何を?」
薔「・・・わかんない。でも最近ちょっと変」
朝見掛ける時はそうでもない気がするが‐と言っても、仕事にそーゆーのを引っ張って来る人とは思えないのだが。
J「んー・・・」
薔「・・・心当たり、無い?」
J「悪いけどないなぁ」
薔「・・・そぅ」
J「ごめんな」
薔「・・・気にしないで」
J「つーか5時間目始まったな」
薔「・・・作戦成功(ボソッ」
J「人を巻き込むな」


彼女にまた一杯食わされた。
一人でサボるのが寂しいからと偶然店に入ってきた僕を見事につり上げた。
J「まぁ、梅岡だし」
薔「・・・デザート」
J「自 分 で 買 え」
薔「・・・ケチ」

5時間目をサボった僕らは6時間目は出席し、その後帰宅した




帰宅途中にスーパーに寄る。
(今日は何にしようか・・・)
今日は豚肉が安い。キムチと炒めて豚キムチにしよう。
冷蔵庫にキムチが入っていたはずだから。あと、韮がいる。
(何か今日は韮高いな・・・)
128円。いつもより高い。

銀「豚と韮でなにするのぉ?」
彼女がポンと肩を叩く。無防備だった僕はかなり驚いた。
銀「そんなに驚かないでよぉ」
J「すみませんwボケッとしてて」
銀「で、今日の晩御飯はなにするのぉ?」
J「豚キムチとサラダですよ」
銀「美味しそうねぇ。私んとこは最近シューマイばっかりで・・・」
シューマイばっかりってどんな感じなんだろう・・・。想像出来ない。
J「薔薇水晶の好みですか?」
銀「うん。あの子シューマイには目がないから」
J「水銀燈さんって何が好きなんですか?」
銀「私は乳酸菌よぉ。ちゃんととってるぅ?」
J「そう言えばあんまり・・・」


銀「ダメよぉちゃんととらなきゃ」
J「気を付けます」
チラッと彼女の籠を見る‐ヤクルト5ダースが入っていた。
銀「後でお裾分けしてあげるわぁ」
J「いいですよ。自分で買いますから」
銀「気にしないでいいのよぉ」
J「そうですか?それなら・・・」
僕は彼女の好意を受けることにした。
会計を済ませて店を出る。こないだの様にたわいもない話をしていた。すると彼女がいきなりこんなことを聞いてきた。
銀「ねぇJUN?彼女いるの?」
いきなりで正直戸惑った。この姉妹にはよく奇襲攻撃を食らってる感じだ。
J「唐突ですね」
銀「いる?いない?どっちぃ?」
J「生憎いませんよそんな人」
銀「じゃあ明日、晩御飯食べに来ない?」
僕はポカーンと間抜けな顔していたに違いない。
銀「どうしたのよぉ?そんな間抜けな顔してw」
J「いえ・・・いきなりだったんで」
銀「ふふっ。かわいいわねぇ」

J「からかわないで下さいよ」
銀「からかってないわよぉ?予定がないなら来て?明日妹が泊まりでアキバ進出するとか言ってハッスルしてるからぁ」
薔薇水晶・・・君は・・・
J「わかりました。何時に行けば良いですか?」
銀「そうねぇ・・・ねぇ、明日昼間は空いてないの?」
J「こう見えてかなり暇ですよ」
銀「じゃあどっか行きましょ♪」
少なくともこの展開は読めていた‐と言うか期待していたのかもしれない。
J「どこ行きます?」
銀「そうねぇ・・・じゃあついてきて欲しいとこがあるんだけど」
J「どこですか?」
銀「内緒よぉ」
J「じゃあ、楽しみにしてますね」
銀「うん。それじゃあね~」
J「また明日」

帰宅して、ケータイを見るとメールが来ていた。

ピッ

From:水銀燈<lactpower.new3-yakuruto-@>
Re:
明日の晩御飯なに食べたぁい?リク受け付けるわよぉ(^ω^)


To:水銀燈
リクですか・・・
水銀燈さんの得意料理は何ですか?

1分後、彼女から返信がきた。
(やたら早いな・・・)
From:水銀燈
no title
ん~私の得意料理は肉じゃがよぉ(・∀・)

(王道だな・・・)

To:水銀燈
Re:
じゃあ、得意料理お願いします
期待してますからね
その後、彼女と帰り道の続きのようにたわいもない話をメールでしていた‐心地のいい、楽しい時間を過ごすことができた。
一旦晩飯で止まったが、また再会して結局寝るまで続いた。
明日が楽しみだ。
時計の針はもう12時を過ぎた所を差していた。
(明日も早いし寝るか・・・)
僕は早めに床に就いた。


そよ風が僕の頬を撫でる。
「ご機嫌よう」
「・・・誰だ?」
「おやおや、私の事をもうお忘れですかな」
ここは・・・また、夢か。
J「久しぶりだな」
「覚えておいででしたか」
J「暫く呼ばなかったし、お前にここに引っ張り出されることもなかったしな」
「確かに。今日は私の方からお呼びさせて頂きました」
J「で、何の用だ?」
「先日私が申しましたこと、ご理解いただけましたでしょうか?」
J「なんとなくな」
「それは光栄でございます。ですがこれからはもう一段、段階を上げて実感していただくことになるでしょう」
J「どういうことだ?」
「それはご自身でご確認下さい」
J「お前はいつも肝心な部分を覆い隠すよな」
「私がお伝えできるのはここまででございますので。では、失礼致します」
J「・・・ったく」

そして、特別な一日が始まりを告げる。


鳥の声で意識がはっきりしてくる。現実世界への帰還‐起床。
時計の針は7時を指していた。
突如、僕のケータイが叫びだす。目覚ましの着うたではない‐電話着信だ。

ピッ

銀「おはよぉ。生きてるぅ?」
J「おはようございます。生きてますし起きてます」
銀「それはよかったわぁ」
J「どうしました?」
銀「昨日何時って言わなかったでしょ?だから何時が都合つけられるかなぁって」
J「1時間待って貰えたら行けますよ?」
銀「今から?」
J「はい。僕は8時30分過ぎなら大丈夫です。」
銀「いいのぉ?あなた今起きたばっかでしょ?」
なんで分かったんだろ・・・
J「えぇ・・まぁ・・」
銀「ホントに大丈夫ぅ?」
J「構いませんよ?だから8時30分にしましょう」
銀「わかったわぁ。じゃあ何時ものY字路で待ち合わせねぇ」
J「わかりました」

電話が終わると僕は少し急ぎ目で準備をする。朝も昨日の残りを交えながらの手抜きメニューで済ませた。


服は一応用意してあったのでそれを着て、髪の毛をセット。何と無く秋らしい感じ。丁度いいくらいの時間になった。8:15、家を出る。
いつものY字路に着くとまだ彼女は来ていない。ボーッと空を見上げる。見事な秋晴れだ。
ブオォン‐乾いた音が響く。どこか聞いていて心地のよいエキゾーストノート。
銀「お待たせぇ♪」
何と彼女の車だった。
J「今来たとこですよ。」
ありきたりな受け答えをしながらも正直車に気を取られていたのは否めない。
何故なら彼女の愛車はホンダS2000‐僕の一番好きな車だから。
僕の部屋にはセナがホンダにいた時のポスターもある。ミニカーもよく見たらやたらホンダが多い。その中でも特に好きなこの車に彼女が乗っていたことに驚きを隠せなかった。
銀「ビックリした?」
J「えぇ、そらもう。まさかAP1に乗って来るとは思いませんでしたよ。」
銀「あらぁ、よく知ってるわねぇ。」
J「僕の一番好きな車ですから。」
銀「私もこの車が一番好きよぉ・・・って言ってもこれしか乗ったことないけど」
J「それはそれで凄いかも・・・あ、今日はどこへ行くんですか?」
銀「内緒よぉ♪着いたらわかるんだからぁ」

僕らは出発した。


J「そう言えば、昼飯どうするんですか?」
銀「トランクの中に入ってるわぁ。お弁当作ったから」
J「あ、なんかすみません」
銀「いいのよぉ。私が誘ったんだもの」
彼女の手料理だと意識すると心臓がハイペースになるのが手にとるように分かる。実にシンプルだ。
そんなシンプルさにちょっと嫌気がさしていてたりもするが。
銀「いい天気ねぇ。よかったわぁ、晴れて」
J「えぇ、ホントに。でも何か意外でしたね。」
銀「何が?」
J「てっきり買い物の荷物持ちかと思ってましたw」
銀「ふふっ。じゃあ今度お願いするわぁ」
J「わかりました」
何だかいつも以上に会話が弾んでいる気がする。すごく、楽しい。
いつまでも続いてほしいと思う時間なんてないと思ってた僕の考えは遥か彼方へと消え失せた。
車は・・・高速を使わずに走っているため正直今どの辺なのかが分からない。この車にナビはない。
モニターがあるが彼女によるとオービス対策のためのものらしい。
銀「あと1時間くらいよぉ」
J「わかりました」
銀「・・・あなたと会話してるとなんか引っ掛かるって思ったけど、原因わかったわぁ」
突然、彼女がそんなことを言った。


J「何が原因なんですか?」
銀「なんかこんだけ喋ってるのに敬語使われるのが何と無く引っ掛かっちゃって・・普通に話してほしいわぁ」
この人は‐と言うかこの姉妹はいつも突然だ。彼女達の専売特許。
J「そんなこと言われても・・・」
僕は回答に困った。
銀「すぐにとは言わないわよぉ。タメ口で喋ってくれていいのよぉ。敬語だとなんか変に気を使われてるみたいだし」
J「わかった。努力してみる。」
銀「お願いねぇ」
何と無くまた、親密になれた気がする‐勝手な妄想かもしれないが。
彼女が僕をどんな風に思っているのか、気になりだしたのはこの頃からだった。
そしてこの日、僕の心の中に"彼女"の存在が深く根を貼っていたことに気付かされることになる。

Phase3 fin
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